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魔法使いの弟子

昨日公開の『魔法使いの弟子』はディズニー・クラシックスの『ファンタジア』の
一篇を長編実写化したものだけど、ディズニーも新しいネタがないのか、
昔のディズニー作品の実写映画化や続編作品が多くなってきました。
最近では『アリス・イン・ワンダーランド』とか『トロン:レガシー』とか。
(『クリスマス・キャロル』や『ティンカー・ベル』もそうかな?)
他にも『白雪姫』『シンデレラ』『眠れる森の美女』『オズの魔法使い』
『海底二万里』(『アトランティス 失われた帝国』の原作)などの
企画が進行しているようです。

でも、ディズニーオリジナルの『トロン』の続編はいいとして、
他は世界的な古典作品が原作ですよね。
版権フリーな古典作品を、さも自社のものであるかのように、
勝手にディズニーが続編作るのってあまり歓心できないと思うんですよね。
『魔法使いの弟子』ももとは有名な管弦楽曲の詩の実写化なはずなのに、
平然と『ファンタジア』の実写化と宣伝されています。
いつから「魔法使いの弟子」は『ファンタジア』の物になっちゃったのか…。
『アリス・イン・ワンダーランド』だって、完全に原作の解釈変えちゃってるし…。
まぁ古典作品の映画化はブームなので、ディズニー以外でもかなりあるんだけど。

ということで、今日は実写版『ファンタジア』の感想です。

魔法使いの弟子

2010年8月13日日本公開。
『ナショナル・トレジャー』の製作、主演、監督トリオが再結集したファンタジー。

現代のニューヨークで、800年にわたり繰り広げられてきた魔法大戦争がぼっ発。今は亡き魔法使いの最高指導者の後継者を探してきた魔法使いバルサザール(ニコラス・ケイジ)は、その運命を持つ若者デイヴ(ジェイ・バルシェル)を見いだし、自分の弟子にする。しかし、デイヴは悪と戦うどころかケンカすらしたことのない、気弱な物理オタクだった……。(シネマトゥデイより)



原作扱いとなる『ファンタジア』の一篇「魔法使いの弟子」は、
師匠である魔法使いから水汲みを命じられたミッキーマウスが、
師匠の留守中、サボるために箒に魔法をかけて自分の代わりに水汲みをさせたが、
魔法の止め方がわからないため箒は延々と水を汲み続け、
部屋中水浸しにされたという内容の9分ほどの短編アニメーションです。
その短いエピソードを、原作がわからなくなるほど拡大解釈し、
太古から続く善と悪の魔法使いの戦いを描いた物語に仕上げたのが本作です。
もちろんこの原作のエピソードも本作中に登場しますが、
原作よりもさらに短く、物語上何の必然性も脈絡もなく描かれているため、
タイトルとの辻褄を合わせるために取って付けたような印象です。
『ファンタジア』の実写映像化なんて、原作の知名度を利用した口実でしかありません。

本作の制作のジェリー・ブラッカイマーという人は、この手の企画が好きなようで、
彼の作品の中には、ディズニーランドの人気アトラクション
「カリブの海賊」を映画化した『パイレーツ・オブ・カリビアン』や、
最近では人気テレビゲームをほとんどオリジナル脚本で映画化してしまった
『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』などがあります。
知名度のあるものを膨らまして映画化するのが得意なんですね。
ただ膨らましすぎて、原作の一般的なイメージからかなり逸脱してますが…。
まさかあのミッキマウスの「魔法使いの弟子」が、
世界の命運を賭けた魔法使い戦争になるとは常人では想像もつきません。

その制作ジェリー・ブラッカイマーを含め、監督ジョン・タートルトーブ、
主演ニコラス・ケイジの『ナショナル・トレジャー』チームが再集結した本作。
『ナショナル・トレジャー』はそれなりに好きな作品だったけど、
こっちの企画を始めたってことは、もう続編は作らないってことなのかな?
残念ではありますが、本作にも『ナショナル・トレジャー』らしさは継承されてます。
たとえば、魔法を科学の延長線上として疑似科学的に描いているところとか、
トンデモ説満載の『ナショナル・トレジャー』に通じるものがありますね。
あと、あまり意味のないカーチェイスとかも継承されてますね。

魔法の習得に疑似科学を使っているのは面白い設定だと思うんですが、
少々難しいためか弟子のデイヴ(ジェイ・バルシェル)が物理オタクの大学生という
キャラになってしまっているのは、ちょっと年齢設定が高すぎないかな?
ファンタジーの客層考えると、ローティーンくらいの方がいい気がします。
現にデイヴの子供の頃から物語はスタートするんだけど、
その頃のデイヴ(役の子役)の方が魅力的だったし、突然10年経って、
大学生のデイヴが出てきた時には、その間の抜けた面にガッカリしたというか…。
どこから見ても冴えないオタクにしか見えないんで、ある意味最高の配役だけど、
やっぱり主人公は多少華があった方が見栄えがしますね…。
(原作ならばミッキーマウスの役どころなのに。)
もしやニコラス・ケイジを立てるために、わざと華のない役者を…?

魔法を科学にするというのは面白い設定で、これにより物理オタクのデイヴが、
太古の魔法に現代の科学で対抗するというワクワクする展開が描かれるんですが、
その現代の科学としてテスラコイルを使うってのはどうかな?
20世紀半ばが舞台だったらそれでもいいけど、現代のNYが舞台の本作では、
ちょっと時代錯誤感がありますよね。
せっかく物理オタクなんだから、もっと現代的な科学で対抗してほしかったです。
それにテスラコイルの放電に魔法ほどの攻撃力はないと思います。

物語は善と魔法使いマーリニアンと邪悪な魔法使いモルガニアンズの抗争の話。
モルガニアンズのボス、最強の魔法使いモルガナを倒すためには、
選ばれし少年の力が必要で、それがデイヴだった…というもので、
とても王道なハリポタ系ブリティッシュ・ファンタジーですね。
面白かったのはマーリニアンの生き残りバルサザール(ニコラス・ケイジ)によって、
モルガニアンズがマトリョーシカ(グリムホールド)に封印されているという設定。
ひとつ開けるたびにモルガニアンズがひとり解放され、
最後の人形の中には最強の魔法使いモルガナが封印されています。
これも次に何が出るかワクワクするし、すごく面白いアイディアだと思うんだけど、
如何せん2時間程度の映画では良さが伝わりにくい設定で…。
せっかくマトリョーシカなのに、たったの四重構造なんですよね。
しかもモルガナとバルサザールの宿敵ホルヴァート(アルフレッド・モリーナ)以外は
ビックリするくらい雑魚で、特に3人目の魔女(ニコール・インガー)なんて…。
デイヴと裏表の関係である、悪の魔法使いの弟子ドレイク(トビー・ケベル)も、
いいキャラだったのにまさかあんなあっけない最期になるとは…。
デイヴの魔法修行にしてもあまり描けてないのにラストでかなり強くなってるし、
短編を膨らませすぎた結果、1本の映画では物足りない作品になってしまっています。

だからといって3部作とかシリーズ化してしまうと、続編が作られる保証はないので、
とりあえず1作で完結させてくれたことは評価したいと思います。
最近のディズニー映画はそこそこの成績でもシリーズ打ち切りますからね…。
ディズニーが投げ出した『ナルニア国物語/第2章 カスピアン王子の角笛』の続編は
20世紀FOXが継承してくれるからなんとか完結できそうですが、
下手すれば中途半端に終わったまま打ち切られるところでした。
本作もエンドロール後に続きを予感させるシーン(これは必見!)が流れますが、
全米初登場3位では打ち切り確定です。

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