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ベスト・キッド

今の日本は政治的にも経済的にもガタガタで、諸外国から軽視されています。
一方お隣中国は、近々GDPも日本を抜き去り、世界2位の経済大国として、
世界中から注目されています。
もちろんハリウッド映画界でもそうで、中国市場を意識した作品が増えてます。
その最たるものがリメイク版『カラテ・キッド(原題)』で、
オリジナルはアメリカ人少年が日系人の師から空手を習うという内容でしたが、
リメイク版は同じ題名にもかかわらず中国人からカンフーを習うという内容に改変。
完全に日本を飛ばして中国に目が向いています。
これは日本人としてはちょっと寂しいことですよね…。

だけど日本だってまだ捨てたもんじゃないです。
全米で大ヒット中の『インセプション』の一部は日本でロケされてるし、
日本人俳優・渡辺謙も超重要な役でキャスティングされてるし、
全米No.1にもなった『プレデターズ』は日本のヤクザ(侍)が大活躍するし、
今年最大のヒット『トイ・ストーリー3』には日本を代表するキャラ・トトロが登場。
今後の作品でも『バイオハザード4』の冒頭の舞台は東京だという話だし、
『ウルヴァリン2』の舞台も日本の可能性が高いという噂です。
『ゴジラ』をはじめ、ハリウッドリメイク予定の邦画もたくさん控えています。

これは『アリス・イン・ワンダーランド』が、日本が全米に次ぐ興収を上げたりと、
ハリウッドにとって日本がまだ魅力的な市場だからです。
方や中国は、13億人の人口は魅力的ですが、ハリウッド映画が好きじゃないらしく、
せっかく中国を舞台にしてあげた『ベスト・キッド』に対して、
「黒人に中国人がやられるなんて…」「中国人は弱い者イジメ役ばかりだ」と、
難色を示しているんですよね。
中国人の国民性がわかる有名なエピソードですが、
『カンフーパンダ』も一時中国(四川省?)で上映中止になったらしいけど、
その理由が「アメリカ人が中国を金儲けの道具にしているのが気に入らない」と…。
これではハリウッドも中国贔屓してあげた甲斐がないです。

で、何が言いたいかといえば、日本も昨今、邦高洋低なんていわれて、
洋画を観る人が減ってきているみたいだけど、日本が諸外国から無視されている中で、
せめて映画市場だけでも見捨てられないように、もっと洋画観ようぜ、ってことです。

ということで、今日はリメイク版『カラテ・キッド(原題)』の感想です。

ベスト・キッド
The Karate Kid

2010年8月14日日本公開。(7日・8日先行上映。)
ウィル・スミス制作で1985年公開の名作『ベスト・キッド』をリメイク。

母親の転職で、アメリカから北京に引っ越して来た11歳のドレ(ジェイデン・スミス)は、言葉や文化がまるで異なる環境の違いから、いじめに遭ってしまう。そんなある日、ドレはカンフーの達人であるハン(ジャッキー・チェン)に出会い、猛特訓を開始。抜群の精神力を秘めていたドレは、見違えるように強い少年へ成長していくのだが……。(シネマトゥデイより)



母親の仕事の都合で引っ越すことになった主人公は、
新天地での生活が始まって早々、色恋沙汰が原因でイジメられるようになる。
それを見かねた武道の達人であるアパートの管理人がイジメっ子から主人公を助ける。
主人公と管理人はイジメっ子の通う道場に、もうイジメをやめさせてもらえるように
お願いに行くが、イジメをやめさせる交換条件として、イジメっ子が出場する大会に
主人公も出場することになってしまう…。
大会出場のために主人公は管理人に武術を習うことになるのだが、
管理人から主人公に課せられる課題は武道とは全く関係なさそうな、
日常的な動作の反復であった…、という話。

オリジナルである1985年の『ベスト・キッド』とは、全く別物になってると思ってたから、
いっそ『カンフー・キッド』に改題して、全く新しい映画にすればいいと思ったんですが、
想像以上にオリジナル版を踏襲している、列記としたリメイク作品でした。
大筋はもちろん、有名な蠅を箸で捕まえるなど細かいエピソードも再現されていて、
8割、いや9割近くはオリジナルに忠実な展開です。
大きく違うのは舞台がカリフォルニアから北京に移され、
習う武術が空手からカンフーに変更になったこと。
これに対してワシントン・ポストが「日本は淘汰、米国は衰退、中国は飛躍」なんて
記事を発表し、社会情勢の変化の表れであるように報じました。
もうひとつ付け足すなら、主人公が白人から黒人になったのも社会情勢を反映ですね。

アメリカ人からしてみれば東洋の武術ということで同じようなものなのか、
空手からカンフーへの変化は思ったほどの影響はなく、
ちょっとアクションが動作が派手になった気がする程度の変化です。
あと師匠である管理人役がジャッキー・チェンになったことで、修行が日曜大工でなく、
ジャッキーの得意技であるジャケットアクションに変更されたことくらいかな。

それよりも、シナリオはオリジナルとほとんど同じなのに、
舞台が中国に変わるだけで、受ける印象がこんなに違うのかってことに驚きました。
まず言葉が通じないことと、カルチャーギャップが起こるという設定の追加ですよね。
軽いネタでは『スポンジ・ボブ』の中国語吹き替えに愕然するのところとか
けっこう面白かったですが、中国の社会情勢を反映して、富裕層のヒロインが、
チアガールでなく音楽の英才教育を受けているという設定になったりだとか、
イジメの発端は同じなのに、民族主義的な中国が舞台なだけで、
イジメに人種差別的卑劣さを感じたりと、かなり印象が違います。
全体的に重くなってますね。

管理人ハン(ジャッキー・チェン)の設定もそうで、
オリジナルの管理人ミヤギは元・第442戦闘団として、出兵中に妻子と死別しましたが、
本作のハンも妻子と死別してるけど、中国人なのでその理由は当然全然違って、
かなり重~い事情に変更されています。
その影を背負っているから、好々爺なイメージのミヤギとは全く違い、
かなりシリアスで厳格な雰囲気のキャラになっています。
でもこの雰囲気だとジャッキーよりもチョウ・ユンファかジェット・リーの方が
相応しいような気がしました。
重く鬱屈した展開は観ていてシンドくなるけど、その分ラストが盛り上がるので、
一概にどちらがいいとは言えませんけどね。

しかし舞台変更よりも印象に重大な影響を及ぼす強烈な変更点は、
登場人物の低年齢化でしょうか。
オリジナルの主人公は高校生くらいでしたが、本作では弱冠13歳です。
キスまでとはいえ恋愛を描くには若すぎるし、修行するにも幼すぎます。
主人公はまだいいとして、問題は同年代のイジメっ子グループです。
オリジナルはイジメというよりも恋愛トラブルといった感じだったけど。
本作は完全に集団で一人を弄る弱い者イジメです。
人種差別は置いとくにしても、卑劣で見てられないです。
特に須賀健太似のイジメっ子のリーダー・チョンの憎たらしさは半端ナイですが、
それに輪をかけてムカツクのがイジッメっ子グループを指導し、
イジメを助長させているカンフー道場の館長リー(ユー・ロングァン)。
役柄的にはやってることもオリジナルと大差ないのに、
教え子が年端もいかぬ子供というだけでこんなにムカツクかって感じです。
本作を観た中国人が「中国人は弱い者イジメ役ばかりだ」と憤るのも
少しわかる気がするほど、中国のイメージよくないです。
なんでも中国ではイジメシーンなど30分ほどカットして上映してるんだとか?
そこ切ったら成立しないような気もしますが、上映時間140分はちょっと長いので、
意外とちょうどいいかもしれません。

それに管理人ハンがイジメられている主人公を助ける時に、
イジメっ子をコテンパンにするんですが、
悪ガキとはいえ、ジャッキーが子供を蹴り飛ばしてるのなんて見たくないかな…。
前作『ダブル・ミッション』では、子供に振り回されるいいパパ役をしたばっかりだし。
あと、13歳の子供が試合でヘッドギアも付けずに顔面蹴りあうってのも…。
主人公の最後の一撃なんて、相手は軽い怪我ではすまないような…。
まぁ主人公ドレ役、ジェイデン・スミスありきの企画だから、
彼に合わせるのは仕方ないのかもしれないけど、あと3年待ってもよかった気が…。

そのジェイデン・スミスくん、本作のプロデューサーでもある大俳優、
ご存知ウィル・スミスのご子息です。
ウィル・スミスは好きだけど、あまりこんな七光り的な配役は感心しません。
ですがそんなことは本人の資質には関係のないことです。
そのカンフー・アクションのセンスはジャッキーも太鼓判を押すほどだったそうです。
たしかに試合シーンなんてかなりの迫力でしたが、すぐわかるほどの早回し撮影で、
ホントにスゴイのかどうかは疑問です。
でも普通の演技はなかなかよかったんではないでしょうか。
普段は子供らしいけど、試合中や修行中など時折見せる真剣な顔は、
名優ウィル・スミスの片鱗を感じさせました。
エンドロールでも父親譲りのラップを披露しています。

どちらかといえば、やはりオリジナルの方が好みですが、
これはこれで興味深い作品でした。

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