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ヒックとドラゴン

なぜか日本で絶大な支持を受けるディズニーキャラといえばスティッチですが、
ボクもピクサー関係を除けば一番好きなキャラのひとつです。
『リロ・アンド・スティッチ』はもちろん見たし、DVDの続編『~2』も見ました。
テレビアニメシリーズも見たし、その前日譚『スティッチ! ザ・ムービー』と、
完結編『リロイ・アンド・スティッチ』も全て見ました。
後にも先にも、これほどハマったディズニーアニメはないです。

ですが、日本で制作されたテレビシリーズ『スティッチ!』は、
数話だけ確認程度に見ただけで、ほとんど見てません。
面白いかどうかはちゃんと見てないからわかりませんが、
ボクが思うに、本家『リロ・アンド・スティッチ』の魅力って、そのタイトル通り、
スティッチの相棒の少し変わった女の子・リロの魅力が半分を占めてるんですよね。
日本版はリロの代わりに日本人の女の子がスティッチの相棒になってますが、
こっちの子は日本のアニメによくいる普通の女の子キャラ。
なので作品の魅力の半分を損なってしまっています。
その残り半分を担うスティッチも、コマ数を節約する日本式のアニメでは
スティッチの動きに遊びがなくて、どうもスティッチらしくありません。
絵は日本版の方が繊細で綺麗だと思いますけど…。

ボクとしては、本家のシリーズをもっと続けてほしかったと思うんですが、
なぜこんなディズニーアニメの異例ともいえるローカルプロダクツが行われたのか?
その理由はスティッチが日本で絶大な人気を誇るということも関係してますが、
現在公開中の映画『ヒックとドラゴン』も少なからず関係しているはずです。

ということで、今日はその辺の事情も絡めつつ『ヒックとドラゴン』の感想です。

ヒックとドラゴン

2010年8月7日日本公開。
『リロ・アンド・スティッチ』の監督最新作。
児童文学を基にした、ファンタジー・アニメ。

以前より、バイキングとドラゴンとの戦いが続いているバーク島。ある日、平凡な少年、ヒックはケガをしたドラゴンのトゥースと偶然に出会う。本来なら敵同士であるヒックとトゥース。しかし、二人の距離は少しずつ縮まり、やがて誰にも知られないように友情を育んでいく。(シネマトゥデイより)



本作の監督であるクリス・サンダースとディーン・デュボアのふたりは
ディズニーの『リロ・アンド・スティッチ』を監督・脚本でもあります。
他にも『ムーラン』『アラジン』『ライオン・キング』などにも携わるなど、
90年代を支えた生粋のディズニーっ子だったはずですが、
なぜディズニーの最大のライバルであるドリームワークスで本作を作ったのか?
普通に考えれば、ヘッドハンティングのようなものかと思うんですが、
少し調べてみたところ、どうもそう単純なことではないようで…。
以下、事実を基に自分なりに解釈した本作に至る経緯です。

数年前、クリス・サンダースはディズニー・クラシックス第49作目となるCGIアニメ、
『アメリカン・ドッグ』の監督をするため、日々シナリオ作りをしていました。
そんな折、ディズニーがピクサーを買収し、ディズニーのアニメ部門のトップに、
ピクサーの最高責任者ジョン・ラセターが就任します。
就任早々、制作中だったディズニーアニメの続編ものDVD作品を
「クオリティが低い」と次々打ち切っていった完璧主義のジョン・ラセター。
(おそらく、この時『リロ・アンド・スティッチ』も続編制作不可能になったため、
局地的に人気のある日本に制作を丸投げされたんだと思います。)
その矛先はクリス・サンダースの『アメリカン・ドッグ』にも向けられ、
クリス・サンダースは監督更迭されてしまいます。
後に『アメリカン・ドッグ』はジョン・ラセターとピクサーのテコ入れにより、
名作『ボルト』へと生まれ変わり公開されます。
その更迭劇の名残としてクリス・サンダースは原案としてクレジットされてます。
(ちなみにクリス・サンダースはスティッチの声優でもありました。)

一方、ドリームワークスは昨今のファンタジーブームに乗っかり、
児童向けファンタジー小説『ヒックとドラゴン』の映画化権を取得するが、
ドリームワークスは『シュレック』『マダガスカル』など、
コメディしか作ったことがなく、王道ファンタジーのノウハウがありません。
そこで目を付けたのが、ディズニーから更迭されたクリス・サンダース。
そしてその相方ディーン・デュボアです。
突如『ヒックとドラゴン』の監督に抜擢された二人は、
ドリームワークス的なコメディテイストは一切持ち込まず、
ストーリー重視のディズニー的な手法で内容や設定を大幅に変更しました。
(この時『魔女の宅急便』や『紅の豚』などジブリ作品も参考にしたとか。)
こうしてドリームワークス史上類のない、感動のファンタジー作品が完成しました。

しかし、公開週はなんとか全米1位になったものの、
ドリームワークス作品としてはかなり期待ハズレな滑り出しだったようです。
全米ではドリームワークスのコメディはピクサーよりも人気のあるので、
観客は「ドリームワークスのファンタジーなんて…」という意識があったんでしょう。
翌週以降は首位を明け渡してしまったのですが、口コミでその評判が広まり、
なんと公開5週目にして見事に返り咲き、そのままロングランヒット。
現時点でドリームワークスのコメディ『シュレック/フォーエバー』に次ぎ、
年間全米ランキング6位の大ヒットです。
ちなみに年間1位はジョン・ラセター制作の『トイ・ストーリー3』なので、
クリス・サンダースがジョン・ラセターを見返せたとまでは言えませんが、
『ボルト』の興収は軽く抜き去ったので、一矢報いることはできた感じです。

なぜこんな内容と関係ないことをダラダラ書いているかといえば、
内容のこともホントは書きたいけど、その反面一切書きたくないからです。
本作があまりにも素晴らしい内容だったので、まだ観てない人には、
是非予備知識なしで観に行ってほしいからです。
展開やオチを知ってしまうと、感動が半減することは間違いないです。
まだ観てない人は、どこかでネタバレされる前に早く観に行くことをオススメします。
ウチもネタバレしないようにしますが、それでもこれ以降は読まない方がいいです。

いやぁ…、やるぞやるぞとは聞いていたけど、ここまでの傑作だったとは…。
特に感動のクライマックスと衝撃のラスト!
クライマックスは、大迫力の映像と共に、それまでの伏線を一気に回収しながら、
知恵と勇気と友情で強敵に立ち向かう、映画的快感を与えてくれる素晴らしい展開。
各ドラゴンの造形や脇役たちの性格、セリフのひとつひとつまで全て緻密に計算され、
それがこのクライマックスに収束してくる様は感動的で、
ここまで爽快なカタルシスを感じれる作品は稀で、それだけでも名作ですが、
ディズニー/ピクサーならこのくらいのこといつもやってます。
それよりも本作で重要なのは、その後の衝撃のラストです。
この衝撃の展開は、ディズニーという枠の中ではほぼ不可能なもので、
ドリームワークスだからできたことです。
本作はドリームワークス初のディズニー的なストーリー重視の作品ですが、
良くも悪くも完璧主義なディズニーならこの刺激の強い展開はまず避けるはずです。
(最近では『プリンセスと魔法のキス』の例があるから、絶対とは言い切れないけど…。)
まぁ例え避けたとしても、十分いい作品になったに違いないでしょうが、
あの展開があるとないとでは全くテーマが違っていたはずです。

本作は『リロ・アンド・スティッチ』同様、種族を超えた絆がテーマですが、
バイキングの少年ヒックと飛べないドラゴン・トゥースは、
交流するうちにお互い友達や家族と思える存在になっていくわけだけど、
そもそもトゥースが飛べなくなったのはヒックが尾びれを傷つけたからです。
トゥースはそのことを知らないので、ヒックに信頼を寄せているけど、
この関係のままでは、どこまでいってもヒックは加害者のまま、対等とは言えません。
しかしこの衝撃のラストのおかげで、完全なるハッピーエンドではなくなったものの、
ヒックとトゥースは家族や友達という絆を超えた、真の対等な関係、
運命共同体になるわけです。アニメ映画史に残る感動のラストです。
『トイ・ストーリー3』のラストもかなり感動したけど、
続編というアドバンテージを考慮すれば、本作の方がいいかも。
本作を見る限りでは、クリス・サンダースはディズニーという枠の中では
全力出せなかった感じですね。
更迭されて良かったてことはないけど、人生何が幸いかわからないもんです。

しかしドリームワークスは本作を『シュレック』シリーズに代わる
基幹シリーズにするつもりのようで、それは賛成できません。
本作は今回の終わり方でほぼ完璧だと思うし、続きなんて絶対蛇足にしかなりません。
しかも『シュレック』シリーズを見ればわかるように、
ドリームワークスの続編は劣化していくんですよね…。
それに、ドリームワークスのカラーはやっぱりコメディですよ。
来年公開のアメコミのパロディ映画『メガマインド』に期待しています。

あ、本作はピクサー作品同様、3Dを意識して作られてないので、2Dで十分です。
下手に3Dで観ると、内容が内容だけに『アバター』と比較しちゃって、
ガッカリするかもしれません。

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