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エアベンダー

今大流行のデジタル3Dですが、割増料金、3Dメガネの衛生面、
3D上映確保のための劇場圧迫など、いろいろ問題点が多いです。
しかし今一番問題なのが、2D作品を無理矢理3D化した粗悪3D作品の乱造です。
今年に入って全米1位の作品の6割が3Dなことでもわかるように、
3D映画は割増料金だし集客力もあるので儲かります。
そのためにもともと2Dで撮られた作品を、商業的な判断で3D化するんです。
編集時に急遽3D化してしまうことを"ポスプロ地獄"というそうで、
付け焼刃なのでマトモなものが出来るはずもなく、不完全なものになります。
顕著な例として、画面が暗くなることが多いそうです。

だから、まともな監督ならそんな後付けの3D化を認めるはずはありませんが、
場合によっては、監督の意向を無視して3D化されることもあるんだそうで…。
(その代表的な被害者が『タイタンの戦い』のルイ・レテリエ監督です。)
逆に内容に自信がないし興行的にも失敗しそうだから、とりあえず3D化して、
少しでも制作費を回収しようという作品も増えていると思われます。
なので、賢い消費者はそんな商業主義に乗ってはダメです。
もし2Dと3Dが選べる環境なら、アニメや3Dカメラで撮られた作品以外は、
2Dを選んだ方が、お財布にも優しいし、作品の完成度も高いはずです。

ということで、今日はポスプロ地獄で3D化された映画の感想です。
ボクは2D版を観ましたが、3D版は案の定画面が暗くて観にくいらしいです。
だからといって2D版もオススメできない、制作費回収タイプの作品ですが…。

エアベンダー
The Last Airbender

2010年7月17日日本公開。
『シックス・センス』のM・ナイト・シャマラン監督によるアクション超大作。

気、水、土、火の4つの王国が均衡を保つ世界。しかし、火の王国が反乱を起こし、人々の平和が脅かされる事態に。気の王国の生き残りであり、気を操ることができる"エアベンダー"、アン(ノア・リンガー)に希望が託される。しかし、彼が世界に調和をもたらすには、気、水、土、火の4つすべてを操る"アバター"を目指さねばならず……。(シネマトゥデイより)



前評判がかなり低く、地雷であることはわかりきっていた作品ではあるものの、
M・ナイト・シャマラン監督はトンデモ映画が売りの監督であるため、
むしろそのポピュラリティの無さが魅力なのであって、
トンデモ映画が好きな人には、そんな世間や批評家の評価は全く当てになりません。
前作『ハプニング』もあまり評判よくなかったけど、ちゃんと面白かったし、
酷評されればされるほど期待は高まるってもんです。

が、本作はそんなシャマラン監督に理解のある人ですら駄作と感じる作品です。
なぜなら全然トンデモ映画でもない凡庸な作品だからです。
ジョージ・A・ロメロ監督にゾンビ(ホラー)映画を求めてしまうように、
多くのお客さんは超自然スリラーを求めてシャマラン監督の作品を観るんです。
それがシャマランのようなカルト映画の監督の宿命です。
なのに本作は単なる子供向けファンタジー…。
そんなものを彼が撮る必要もないし、他にもっと相応しい人がいます。
まぁ超自然という意味では本作もそうだけど、ハイ・ファンタジーですからね。

でも本作は『アバター 伝説の少年アン』という原作アニメもあるんだし、
ファンタジーであることは観る前からわかっていたことです。
ただ彼の過去の作品の中にはアメコミヒーローものを
超自然スリラーに料理した『アンブレイカブル』みたいな意欲作もあるし、
もしかしたらファンタジーでも彼の持ち味が出てるかもしれないと期待しました。
ところが本作は"選ばれし者が世界を救う"というファンタジーの王道中の王道。
それを何のヒネリもなく描いているので、本作は面白くないというよりも、
初見なのに見飽きたという印象の作品です。
これではトンデモ映画を期待して裏切られたシャマラン監督ファンはもちろん、
ファンタジーとして観にきた一般のお客さんも退屈です。
あ、そういえば『アンブレイカブル』の続編制作の噂もありましたね。
ただ本作の評価が酷すぎるために、シャマラン監督は干されるかもしれませんね。

出来が悪いということの他にも、公開前から囁かれたネガティブな話題といえば、
本作の世界観がアジアをモチーフにしているにもかかわらず、
主人公アンのノア・リンガーをはじめ、主要キャストに白人であることに対して、
原作ファンや一部のモンゴロイドが抗議しているということです。
これに対してはアメリカ映画なので仕方ないと思うし、
ハイ・ファンタジーに人種も何もないだろうとは思うのですが、
建造物は中国風だし、カンフー・ファンタジーの様相もあるので、
白人が主人公というのはちょっと違和感があるといえばあるかな?
それよりも、本作にもちゃんとアジア系の人たちも出てくるんですが、
植民地になっている土の国の民として、みすぼらしく描かれているので、
人種への偏見は確かにあるんだと思います。
(ついでにアフリカ系部族も土の国の民です。)
でも同じアジア系でも例外として、『スラムドッグ$ミリオネア』のデヴ・パテルが
強国である火の国の王子として、かなり重要な役で出演しています。
シャマラン監督がインド系だから、インド系だけ重用したのかな?
あ、そういえば"キヨシ"という日本人ぽいキャラのエピソードも出てきました。
例の如く土の国ですが、歴史的な賢人という感じで、まあまあいい扱いですね。
あとアメリカのアニメが原作だから仕方ないし、どうでもいいことですが、
東洋の陰陽五行思想と西洋の四大元素思想がゴッチャになってますね。

ストーリーは前述のように何のヒネリもない救世主ものですが、
主人公アンが使命に目覚めるのも、水のエレメントを使えるようになるのも、
仲間のサカ(ジャクソン・ラスボーン)が水の国の王女と恋におちるのも、
火の国の王子ズーコ(デヴ・パテル)が寝返るのも、
展開の何もかもが唐突すぎて、全然人物の心境の変化などが描けてません。
シャマラン監督はこれまでトリッキーなことばかりしていたので、
人物を描くということが不得意なのかもしれません。
それか長い原作を2時間にまとめるのに無理があったのかも。
これでもまだ原作の第1シーズンだけの映像化ですからね。
もちろん話も次回に続きそうな感じで終わっちゃいます。
で、当然こんな評判では続編の制作なんてのは望めず、中途半端なまま終了です。
こんなことが多いから、ファンタジー大作の映画化は
だんだんお客さんから相手にされなくなってくるんです。

余談ですが、アンたちの移動手段となる牛ですが、
『となりのトトロ』のネコバスがモチーフになってるんだそうで、
たしかに空中を走る姿など、ネコバスにそっくりです。
『ヒックとドラゴン』のドラゴンのデザインも
宮崎駿監督のアニメからインスパイアされたんだそうで、
『トイ・ストーリー3』にトトロが登場した経緯も含めて、
宮崎駿監督のハリウッドへの影響力はスゴイですね。

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