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アデル/ファラオと復活の秘薬

日本で一番初めに『ザ・コーブ』を上映することを決めたといわれる
ハードコアなミニシアターといえば"第七藝術劇場"ですが、
その劇場名の由来は"映画が第7番目の芸術"とされていることにあります。
ちなみに第1~6番目の芸術は、建築・彫刻・絵画・音楽・文学・舞台だそうです。
そしてフランスでは漫画(バンド・デシネ)が第9番目の芸術とされているんだとか。
日本では漫画はまだ芸術ではなく大衆娯楽って感じだけど、
フランスでは芸術として認められてるんですね。
ただ、この番号はただの芸術と認められた順番ではなく、序列でもあるということで、
第8番目の芸術がテレビらしいから、ある意味では漫画は軽視されてるとも思えます。
日本ではテレビ番組なんて俗物の塊でしかないけど、フランスの番組は高尚なのかな?
まぁこの第○番目の芸術というのはいろんな解釈があるから、
第8番目がファッションであるとか、いろんなパターンがあるみたいですけどね。

ということで、今日はフランスの第9番目を第7番目化した作品の感想です。

アデル/ファラオと復活の秘薬

2010年7月3日日本公開。
ミニモイ3部作のリュック・ベッソン監督が手掛けるファンタジー・アドベンチャー。

1911年、エジプト。妹の命を助けたいフランス人ジャーナリストのアデル(ルイーズ・ブルゴワン)は“復活の秘薬”の手掛かりをつかむが、宿敵のマッドサイエンティスト、デュールヴー(マチュー・アマルリック)に阻まれてしまう。ちょうどそのころ、パリでは博物館の卵の化石からジュラ紀の翼竜がかえり、人々を恐怖に陥れていた。(シネマトゥデイより)



パリの自然史博物館に展示されている翼竜の卵の化石が孵化、
パリの街で暴れまわるというところから始まる本作。
後にルーブル美術館に舞台が移るというのも知っていたので、
フランス版の『ナイトミュージアム』みたいな作品かな?
…と思っていたのですが、全然違いました。
それに、エジプトのピラミッドの謎を解き、ミイラを復活させるという粗筋から、
『ハムナプトラ』であったり、同じく女性が主役の『トゥーム・レイダー』のような
考古学アドベンチャーを予想してたんですが、それも全然違いました。
宣伝や予告編でも『ナイトミュージアム』や『インディ・ジョーンズ』を
足して2で割ったような作品、みたいなフレコミだったんで誤認させられましたが、
実際はそんなファミリー向けアドベンチャーとは全然違う、
シュールでウィットに富んだブラック・コメディといった感じです。
(PG12指定だし、多少エログロもあり、子供連れにはオススメできない内容です。)
ちょっとハリウッド映画にはないような、一風変わった作品でした。

フランス映画であり、セリフも全てフランス語。
プテロダクティルス、デュールヴー、エスペランデュー、ズボロフスキなど、
長くて聴きなれない固有名詞が多く、次々登場するキャラを覚えるのも一苦労です。
とにかく英語と違ってリスニングが全く出来ないため、
ある程度物語の流れを掴めるまで、字幕から目が離せない状態でした。
しかも序盤はいかにもフランス映画らしく、煙に巻くような凝った構成で、
話が跳びまくり、なかなか本題に入りません。
なので序盤は振り落とされないように話についていくので必死で、
ちゃんと最後まで楽しめるのかどうか不安でした。

なかなか物語の本筋も見えにくい、ちょっと眠くなってきた頃、
アデル(ルイーズ・ブルゴワン)の妹アガット(ロール・ド・クレルモン)が登場、
彼女のインパクトあるダークなビジュアルで一気に目が覚めました。
さすがは鬼才リュック・ベッソン、一筋縄ではいきません。
そこからはアデルの目的もハッキリしたし、本筋に沿うわかりやすい展開になり、
グイグイ物語に引き込まれ、リュック・ベッソン監督らしい独創的で
ウィットに富んだ演出も楽しめるようになってきました。
序盤のややこしい展開も、後々ボディブロウのように効いてきます。
結局かなり楽しめたので、序盤で脱落しなくてホントによかったです。

もともとフランスの漫画が原作ということもあってか、
キャラクターもクセのある人物ばかりです。
ビジュアルからして個性的で、原作を見たことはありませんが、
たぶん原作からそのまま出てきたような人物が多いです。
宿敵デュールヴーや、エスペランデュー教授は、もう妖怪染みてます。
翼竜プテロダクティルスやミイラなどのVFXは、
やはりハリウッド映画には及ばない完成度ですが
そのチープさがまた漫画的で、本作にはマッチしてたかも。

過去にミラ・ジョボヴィッチやナタリー・ポートマンを発掘したとして、
先見の明があるといわれるリュック・ベッソン監督が、
本作でヒロイン役に抜擢した新人女優はルイーズ・ブルゴワン。
名物お天気お姉さんとしてフランスでは有名人だったそうですね。
ボクはもちろん初めて見たけど、他のキャラが強烈すぎたのと、
アデル自身のド派手で豪華な衣装の方に目がいってしまうので、
それほど印象には残らなかったかな?
ただヌードシーンで髪を下ろしている彼女は、ちょっとミラジョっぽかったです。
リュック・ベッソン監督はあんなタイプが好きなんでしょうね。
映画宣伝でルイーズ・ブルゴワンがインタビューを受けているのをいくつか見たけど、
監督に負けないくらいユーモラスな人で、すでに大物の貫禄がありました。
それにしてもお天気お姉さんがデビュー作でいきなり脱ぐってのも、
日本じゃちょっと考えられないことですね。

ラストシーンは本作の時代背景を活かし、アデルの運命を暗示させるものですが、
あれは意地の悪いジョークなのか、それとも続編への伏線なのか…。
明らかなのはリュック・ベッソン監督が来年公開予定の"ミニモイ3部作"の完結編
『アーサーとふたつの世界の決戦(仮題)』を最後に監督業引退宣言してるので、
『アデル』の続編を自ら撮ることはないだろうということです。
でも本作を観て改めて実感したけど、リュック・ベッソン監督はミニモイのような
子供向けアニメよりも、大人向け実写映画の方が向いてると思うので、
ミニモイなんかでキャリアを終えるのは勿体ない気がします。

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