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アウトレイジ

先週公開になった『アウトレイジ』や『FLOWERS フラワーズ』など、
主演級や大御所俳優が何人も共演している作品(特に群像劇)が最近多いですね。
有名な俳優としては、そんな束売りみたいなことされるのは嫌だと思うけど…。
もう単独で客を呼べる俳優がそんなにいないってことなのかな?
でも客からしてみれば、そうゆう豪華共演も嬉しかったりします。
今後の作品では『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』とか『十三人の刺客』とか、
ちょっとビックリするような豪華キャストでかなり楽しみです。
内容だけじゃなく、エンドロールの序列なんかも興味深いです。

ということで、今日は豪華キャストが全員悪人役の『アウトレイジ』の感想です。

アウトレイジ

2010年6月12日公開。
第63回カンヌ国際映画祭コンペ部門に出品され話題になった北野映画最新作。

関東一円を取り仕切る巨大暴力団組織・山王会組長の関内(北村総一朗)が若頭の加藤(三浦友和)に、直参である池元組の組長・池元(國村隼)のことで苦言を呈す。そして、加藤から直系ではない村瀬組を締め付けるよう命令された池元は、配下である大友組の組長・大友(ビートたけし)にその厄介な仕事を任せる。こうして、ヤクザ界の生き残りを賭けた壮絶な権力闘争が幕を開けた。(シネマトゥデイより)



北野武監督は今年、フランスの芸術文化勲章の最高位コマンドールを受けましたが、
同じくフランスのカンヌ国際映画祭のコンペ部門に出品した本作は、
お世辞にも惜しいとはいえない惨敗でパルムドールを逃しました。
最高の芸術家と認めているのに、作品は酷評されるなんて、なんだか妙な感じです。
まぁ酷評してるのは主に現地のマスコミだったみたいだし、
コンペ部門出品できるだけでも、かなり評価はされてるはずですが。

でも本作はカンヌなんて場違いなんじゃないかと思うほどの娯楽映画です。
カンヌは芸術映画の祭典だし、端から測る基準が全然違うんじゃないかな?
芸術映画としてだと評価しようもないけど、娯楽映画としては充分面白いです。
『座頭市』以外の北野映画が苦手な人でもちゃんと楽しめる大衆映画です。
娯楽映画大好きのアメリカのマスコミからは好評だったようですが、
現地のマスコミにしてみれば「コマンドールあげたのに娯楽映画かよ」って感じ?

フランスのマスコミは、概ね「過剰な暴力を描いた映画」という評価のようです。
「グロテスクだ」とか「ホラー映画のようだ」なんて言われて、
実際に上映途中で席を立ってしまう人もいたそう。
そんな評判を聞いてたから、よほどグロい残酷描写が満載なんだろうなと思ったら、
全然そんなことなかったです。
あれなら『座頭市』の方がよっぽどグロいです。
多少血は飛び散るけど、切り株映画みたいに首やら内臓やらが飛び散ったりしないし、
凄まじい殺され方しても、死体や傷口が強調されることもないです。
フランスのマスコミは芸術映画ばっかり観てて残酷描写に免疫ないのかな?
ボクなんかは残酷描写は得意な方じゃないけど、むしろ物足りなく感じたくらいです。
椎名桔平演じる水野の斬新な殺され方はさすがにギョッとしたけど、
何気に昔ながらの小指詰めが一番痛そうだし、生きてる分だけ精神的にキツイです。
(その小指詰めも切断シーンをダイレクトに描いたりはしてないです。)
本作は一応R15+指定だけど、椎名桔平と渡辺奈緒子の濡れ場がなければ、
PG12指定でもいけそうな感じです。

そんなわけで、過激なバイオレンスを期待すると拍子抜けだけど、
ヤクザ映画としては、かなりいい感じだと思います。
直参とか義兄弟の杯複とか、複雑なヤクザ組織の相関関係を踏まえながら、
ストーリー展開も二転三転するんで、ややこしくなりそうなものですが、
緻密に計算された脚本で、意外なほどわかりやすいです。
ボクもヤクザには疎いので、最初はヤクザ用語や相関関係に戸惑って、
必死でストーリーを追おうとしたけど、いつの間にかわかるようになりました。

それに何より気に入ったのが、仁侠モノのヤクザ映画と違い、
社会の害悪であるヤクザを、あまりかっこよく描いてないところがいいです。
まさにアウトレイジ(極悪非道)な奴らばかりで、
ヤクザの世界がどれだけ汚くて、恐ろしいところか…。
この映画観てヤクザに憧れるような人はいないはずです。
(マル暴に憧れる人はいるかもだけど…。)

そんなストーリーの面白さもですが、それ以上に豪華キャストの共演が魅力です。
北村総一朗、三浦友和、國村隼、杉本哲太、椎名桔平、石橋蓮司、小日向文世など、
日本の名優が大集結して、全員が超極悪人を演じています。
これだけの俳優が騙しあい、殺しあうってのは、それだけで面白いけど、
残念ながら、この面白さもカンヌでは伝わりませんよね。
みんなそれぞれのタイプの極悪人役がハマってて、
むしろ主演のビートたけしがちょっと浮いてるんじゃないかと感じたくらいです。
特にインテリヤクザを演じた加瀬亮のハマり方が半端なくて、
加瀬亮がどこに出演していたのか、途中までわかりませんでした。
それにしてもインテリヤクザって、強面ヤクザより怖いですね…。

北野武監督の映画は難解なものが多くて、ボクは苦手だったけど、
監督自身も"わかりやすさ"の重要さに気付いたらしいので、
今後は大衆向け娯楽映画が増えてくるかな?
次回作も楽しみになりました。
フランス人にしてみれば不本意なことでしょうが…。

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