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告白

昨日『告白』を観に行ったら満席だったため観れなかったので、
今日はちゃんと予約して観に行きました。
R指定だし、かなりお客さんを選ぶ映画だと思ってたんですが、読みが外れました。
R指定でも東宝の組織力を持ってすれば、興行成績に全然影響ないんですね。
あ、そういえば本作は東宝にとって3年ぶりのR指定作品だそうです。
言われるまで意識したことなかったけど、そういえば東宝って健全な作品が多いです。
バイオレンス映画の『座頭市 THE LAST』にしても、
東宝の手に掛かれば、手首切断されても一滴の血も出ませんでしたしね。
極力R指定にレイティングされないように制作してきてたんだろうなぁ。
そんな表現の制約を受けつつも、邦画でひとり勝ちし続けている東宝って、
何気にすごいなと思う反面、今までの作品でもR指定覚悟で撮ってたら、
もっとスゴイものになってたんじゃないかと残念に思ったりもします。

ということで、そんな東宝がR指定覚悟で撮った『告白』の感想です。

告白

2010年6月5日公開。
湊かなえの同名小説を原作に、中島哲也監督がメガホンを取ったミステリー。

とある中学校の1年B組、終業式後の雑然としたホームルームで、教壇に立つ担任の森口悠子(松たか子)が静かに語り出す。「わたしの娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではなくこのクラスの生徒に殺されたのです」教室内は一瞬にして静まりかえり、この衝撃的な告白から物語は始まっていく……。(シネマトゥデイより)



少年法とかイジメとかが絡んでくる作品って、
"社会問題を斬る"って感じの、俗っぽいものになりがちだと思うんですが、
本作は徹底的に娯楽性を追求しているので、全然俗っぽくないです。
逆にこの手の社会問題が絡んだ作品を娯楽的に撮ると、
今度は悪ふざけのようになるもんだけど、不思議とそんなこともない、
絶妙なバランスで成り立っている映画だと思います。
それは原作の素晴らしさもあるとは思いますが、
やはり中島哲也監督の撮り方による功績が大きいんだと思います。

本作の内容は、全編モノローグで構成された『藪の中』方式のミステリーで、
小説で読んでる分にはなんてことないけど、
映像化すると違和感(ツッコミどころ)が露わになるタイプのもの。
どうも世界が狭すぎたり、都合がよすぎるんで、現実味を感じないんだけど、
中島哲也監督特有のどこかファンタジックでアーティスティックな映像により、
その現実味のなさが融和され、ファンタジー映画を観ているような感覚になります。
なので登場人物たちの人間味のなさや何考えてるかわからない異様な行動も、
作中の世界観ならありかも、と納得できます。
と同時に、誰にも感情移入する暇を与えないほどテンポよく進むんで、
観客は常に傍観者の立場におかれて、どんな不条理な展開でも、
少年法、イジメ、HIV、学級崩壊など、ある意味デリケートな問題でも
ギミックとして受け入れられるんで、あまりショックを受けることもなく、
娯楽的に楽しめるんで、鑑賞後感も悪くないです。
中島哲也監督の過去の作品も不幸な登場人物が多いけど、
全然悲しい気持ちにさせられたりしませんよね。
そのスタンスが、この作品の救いのない内容にうまく合致しているんだと思いました。

もうすでに海外からリメイクのオファーが殺到しているらしく、
リメイクされることも決定してるらしいのですが、
中島哲也監督の絶妙なバランスで成り立っているから面白いんであって、
たぶんリメイクされたら、俗っぽくなるか悪ふざけになるかどちらかに転ぶはず。
どちらにしても後味の悪い作品になるのは間違いなさそうです。
特にハリウッドのメジャーなんかに任せたら、
人種差別とか性的虐待とか、いらない要素まで盛り込んでグチャグチャにしそうです。
とりあえず今年度のアカデミー賞外国語部門の日本代表にでもして、
このままの形で世界の人に観てもらったらいいと思います。

本作では主演の松たか子や、犯人の母親役の木村佳乃の怪演も好評で、
きっと日本アカデミー賞などにも絡んでくると思いますが、
ボクは空気読めない若手熱血教師役の岡田将生が特によかったと思います。
悪意に満ちたモンスターたちの中にポツンとひとり、
人間味のある彼はかなり際立ってて、いいスパイスだったと感じました。
世間は熱血教師を嘲笑する風潮があるけど、ボクは熱血教師好きです。

最後にちょっとネタバレですが、
ラストの一言は原作では無いらしいですね。
あの言葉がどこに掛かっているのかはわかりませんが、
もしかするとラストの解釈を大きく覆してしまう一言で、
作品に深みを与えてくれます。
良くも悪くも解釈できるけど、都合のいいようにも解釈できるので、
ボクはあの一言で重大な疑問点がチャラにできたのでよかったです。
ちなみにそれを付け足した脚本家も中島哲也監督。すごい人です。

今年観た邦画の中では1~2を争う出来でした。
…なんてね。

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