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9<ナイン>

今月は上海万博も開幕しましたが、昨日いよいよカンヌ映画祭も開幕しました。
今年はコンペ部門に日本映画、北野武監督の『アウトレイジ』がノミネート。
ライバル映画の概要を読んだ感じでは、『アウトレイジ』が一番娯楽性が強そうで、
昨今の国際映画賞の潮流からして、パルム・ドールの可能性もありそうです。
今年はティム・バートン監督が審査委員長ということもあって、
アメリカ映画『Fair Game(原題)』、イギリス映画『Another Year(原題)』が、
『アウトレイジ』の最大のライバルになりそうかな?
でも個人的に一番気になるのは、ある視点部門の『Chatroom(原題)』。
Jホラーの巨匠・中田秀夫監督によるスリラーです。
日本映画ではないようですが…。

ということで、今日はカンヌ映画祭審査委員長のプロデュース作品の感想です。

9<ナイン> ~9番目の奇妙な人形~

2010年5月8日日本公開。
第78回アカデミー賞短編アニメ部門にノミネートされた短編アニメ『ナイン』を、
ティム・バートンのプロデュースで長編映画化したダーク・ファンタジー。

古びた研究室の片隅で、背中に数字の9が描かれた奇妙な人形が目を覚ます。人形が外に出てみると街は廃虚と化しており、ぼう然とする彼の前に2の背番号を持つ人形が現れ、自分たちは仲間だと語り掛ける。しかし、突如現れた巨大な機械獣が2を連れ去ってしまい、ほかの番号を持つ人形たちと出会った9は2を救出しようとするが……。(シネマトゥデイより)



ハリウッドの大物監督ティム・バートンは、
本作の新人監督シェーン・アッカーの短編映画『9』をいたく気に入り、
その長編化のプロデュースを買って出ました。
そして制作されたのが本作なわけですが、
新人監督の短編を、大物監督がプロデュースして長編化するってのは、
ピーター・ジャクソン制作の『第9地区』と似た経緯ですね。
こうやって才能はあるけどネームバリューがなく長編が撮れない新人監督を
ベテラン監督がフックアップしていくのはいいことですよね。
ただ、短編作品は短編になることが前提に制作されているので、
短編映画として公開された時点で、既に完成系です。
短編映画の長編化だけじゃなく、短編小説の長編映画化でもそうですが、
長編化するということは、余分なものを足していく作業にしかなりません。
基の凝縮されていた面白さは水増しされ、本来のテーマは薄まります。
まぁ全部が全部そうじゃないでしょうが、そうゆうことが往々にしてあります。

本作の上映時間は約80分で、長編としてはかなり短い映画だけど、
基になった短編映画『9』は上映時間約11分しかなく、
本作では9体登場した"奇妙な人形"も、#9と#5しか出なかったんだそうです。
つまり他の7体の人形は後から取って付けられたものということですが、
人形ふたつなら特にキャラ分けも必要ないけど、全9体となるとそうはいきません。
他の7体が個性的だったのに比べ、#9と#5はなんとなく没個性的だったのは、
キャラクターが作られた過程が違ったためだったんですね。
(ちなみに追加された#6のモデルはティム・バートンらしいです。)
人形に個性を持たせたことで、同じような人形がなぜそんな多彩な性格になったのか
説明付けをする必要があり、人形を作った科学者のエピソードが追加されたそうです。
そのエピソードが辻褄あわせで終わらない興味深い内容だったのはいいんですが、
下手すると本来のテーマ以上に興味深いため、全体的にはテーマが薄まってます。
というか、本来のテーマがよくわからなくなっちゃいました。
たぶんサイバーパンク、"科学の傲慢"みたいなテーマだと思うけど…、違うかな…?

とはいうものの、本作の魅力はテーマなんかどうでもいいと思えるほどの映像美です。
『アリス・イン・ワンダーランド』なんか目じゃないって思えるような
ティム・バートン監督本来のゴシックホラー調の独特な映像センスと、
毒を帯びたダーク・ファンタジーな世界観が楽しめます。
あ、共同プロデュースのティムール・ベクマンベトフ監督のセンスも感じますね。
アクションシーンは今まで観たどんなCGIアニメよりもハードでスタイリッシュ。
それが最後まで怒涛の如く続き、息をつく暇もありません。
ほとんどアクション映画と思ってもいいくらいアクションシーンが多いですが、
長編化するにあたって、主にアクションシーンで嵩増ししようとしたのかな?
そのアクションシーンと映像美のクオリティがやたら高いために、
もうストーリーなんて気にならないほど楽しめました。

本作はイマドキのCGIアニメには珍しく、2Dオンリーで公開のようですが、
あれだけすごいアクションシーンをデジタル3Dで観れたら凄かったでしょうね。
あ、たしかデジタル3Dは激しいシーンには向かないんでしたっけ??

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