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運命のボタン

7月に公開されるM・ナイト・シャマランの映画『エアベンダー』は、
テレビアニメの『アバター 伝説の少年アン』が原作ですが、
ジェームズ・キャメロンの『アバター』とタイトルが被るので、
『エアベンダー』になったんだそうです。
アカデミー賞助演女優賞を受賞した『プレシャス』も、
原作は『Push』という小説だったんですが、同時期に公開されたディズニー映画
『PUSH 光と闇の能力者』と混同しないようにタイトルを変えたんだそうです。
タイトルひとつ付けるのも、いろいろ考えなきゃいけないんですね。

で、今日感想を書く『運命のボタン』は原題は『The Box』といいます。
たぶん『The Box』のままだと、来週公開の邦画『ボックス!』と被るし、
再来週には『BOX 袴田事件 命とは』なんて邦画もあるんで、
仕方なく邦題を付けたのかもしれませんね。
でもこの邦題だと、実は本来のテーマが明確に現されてないんですよね。
別に間違える人はいないだろうし、原題のままでもよかったんじゃないかな?
公開中の映画でも『NINE』と『9<ナイン>~9番目の奇妙な人形~』が
タイトル被ってるけど、絶対間違えませんもんね。

ということで、今日は『The Box(原題)』の感想です。

運命のボタン

2010年5月8日日本公開。
リチャード・マシスンの短編小説を基にしたスリラー。

ある日の朝、ノーマ(キャメロン・ディアス)とアーサー(ジェームズ・マースデン)夫妻の元に、赤いボタン付きの装置が入った箱が届く。夕方、謎めいた男がノーマを訪ね「このボタンを押せば100万ドルを手に入れられるが、代わりに見知らぬ誰かが死ぬ。考える猶予は24時間」と驚くべき提案を持ちかける。二人は迷いながらもボタンを押してしまうが……。(シネマトゥデイより)



ノーマ(キャメロン・ディアス)とアーサー(ジェームズ・マースデン)夫妻は、
夫が公務員で給料が安い上に、息子の学費の割引まで打ち切られ生活がギリギリ。
そんな中、顔面半分が焼き爛れた不気味な老紳士(フランク・ランジェラ)から
赤いスイッチの付いた箱が贈られる。
その箱のスイッチを押せば100万ドルを老紳士から貰えるが、
代わりに見知らぬ誰かが死ぬという提案を持ちかけられ、
夫妻は欲望とモラルの間で葛藤することに…。

…という話で、その謎の箱をめぐる都市型ホラーの類かと思いきや、
正直よく意味のわからないSFスリラーでした。
そのスイッチを押すか押さないかの葛藤だけでも2時間の心理サスペンスが作れそうな
興味深い設定だと思うけど、24時間の制限時間を設けているために、
制限時間間際になると意外とアッサリ押しちゃうんですよね。
映画としてもかなり早い段階です。
むしろそこから本編がスタートする、みたいな。
でもその本編が全く意味不明なSFで、全然面白くありません。
はじめの謎の箱による葛藤は興味深いのに、
ラストに向けてどんどん盛り下がる残念な映画です。

まず老紳士や彼の組織の目的が全くわからないので、不条理さしか感じません。
結末は何のヒネリもない最悪の結末で何ひとつ救いもないし…。
だからテーマは因果応報ってことかもしれないけど、
それだとスイッチとは関係ない息子に対する仕打ちが酷すぎるし…。
スイッチを押せば人が死ぬカラクリはよくわかったけど、
息子に対する仕打ちは魔法としか言いようのないもので納得できないし…。
そもそもその箱にしても、普通の家庭に贈られるからリアリティがあるんであって、
この夫妻は夫がNASA職員で妻が障害者というかなり珍しいケースなんで、
イマイチ親近感がわかないし、根本的にその設定すら必要性を感じません。
妻の障害はもちろん、老紳士の焼け爛れた顔面だって何の意味もないし、
ただ観客に生理的不快感を与えたいってだけな気がして感じ悪いです。
ドンデン返しもなければ意外な展開も全くなく、
ただ不条理で無意味で後味も最悪などうしようもない作品でした。

唯一の楽しみ方は、そんな箱を貰ったら自分ならどうするだろうと考えることです。
ボクも観る前は「死ぬのが見ず知らずの誰かなら当然押すだろう」と思ってたけど、
本作を観た後では「やっぱり押すべきじゃない」と考え方が変わりました。
見ず知らずの誰かなら死んでも構わないけど、
その箱が見ず知らずの誰かに渡ったら、自分も死ぬ可能性があるってことですもんね。
今だったらそんな物騒な箱はとりあえず壊すかな。

本作は『運命のボタン』なんていう間の抜けた邦題ですが、原題は『The Box』。
"Box"はこのスイッチ付きの箱のことだけじゃなくて、
テレビや家や棺桶、魂の器である人間の体など、哲学的な意味で、
入れ物としての箱(器)のことも指しています。
むしろ本作のテーマは後者の方なんですが、間抜けな邦題に騙されて、
てっきりボタンをめぐる心理サスペンスだと勘違いしてしまったために、
イマイチ楽しめなかったのかもしれません。
まぁ原作は邦題に近い『Button, Button』ってタイトルの小説らしいので、
(読んでないからわからないけど)原作はSFとか哲学的な器とか全く関係ない、
ボクの予想していたような心理サスペンスだったのかもしれません。

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