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隠し砦の三悪人

今日は映画の感想です。

隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS

2008年5月10日公開。
黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』のリメイク。
監督・樋口真嗣、主演・松本潤。

なるべくネタバレなしの感想です。
懐古厨まるだしのオリジナルとの比較がメインですが。

黒澤明の『隠し砦の三悪人』といえば、
ジョージ・ルーカスがこの映画からスターウォーズのアイデアを得たといわれるほどの
日本を代表する名作映画のひとつ。
それを畏れ多くも『ローレライ』『日本沈没』のな映画監督がリメイクしたわけですが、
スリリングで痛快な冒険活劇だったオリジナルを、見事にアイドル映画に貶めてくれました。
『THE LAST PRINCESS』なんて正気の沙汰とは思えないような副題までつけて…。

いや、もちろん始めから期待なんてしてませんでしたよ。
その日見るつもりだった映画『ミスト』が運悪く満席で、代わりに見ただけです。
主要キャストにアイドルやお笑い芸人を配する程度のおき楽映画だし。
それでも安心感No.1の俳優・阿部寛は出演してるし、
オリジナルは黒澤映画なので脚本は間違いないから大滑りもないかな?
…と思ってました。
しかしそんなに甘くはなかった…。
脚本からしてもはや別物。
本家のいいところをちょっと拝借したパクリ映画といった印象です。

本家とどこが違うか、それを挙げるとキリがないですが、
まず登場人物が真壁六郎太・雪姫以外、ほぼ全て名前も設定も違うオリジナルキャラ。
本家の魅力の大きな部分を占めていた迷コンビ、太平と又七はいなくなり、
代わりに武蔵(松本潤)と新八(宮川大輔)というキャラに置き換えられているのですが、
本家の名コンビの役割を新八ひとりで請け負う形になっていて、
武蔵は全く新しいキャラになっています。しかもこいつが主役というありえない設定。
もともと仲良しの太平と又七と違って、会って間もないはずの武蔵と新八が
とるには不自然な行動がいくつもあって違和感があります。
特にエンディング前の新八の行動は絶対におかしい!

敵国の侍大将も本家は田所兵衛という名の六郎太のまさに好敵手といった感じの
武道家らしい気のいい武将だったのに、今作の敵国の侍大将・鷹山刑部(椎名桔平)は
ダースベイダーをモチーフにした甲冑を身につける強欲な冷血漢。
田所兵衛は最後に敵国を裏切り味方になったんですが、
鷹山刑部は最期まで欲におぼれた悪者です。
この映画のキャッチコピーである「裏切り御免」ってのは
もともと田所兵衛が敵国を裏切る時に言ったセリフで、
そこが本家の魅せ場でもある痛快なシーンなんだけど、もちろん今作にはありません。
今作でも雪姫と武蔵に「裏切り御免」ってセリフがあるけど、
どっちも裏切りとはいえない展開だし、使いどころ間違ってる気がする。

人物設定で違和感あるところは多いけど、一番ひどい改悪されているのは雪姫(長澤まさみ)でしょう。
本来の雪姫は男勝りに育てられた気丈な姫なのですが、
今作の雪姫は世間知らずのお嬢様といった感じ。
なので同じように身勝手な行動をしても、本家では信念に裏づけされた行動と映るが
今作では単に軽率でわがままにしか見えず、それによって仲間を危険に晒すので
すごいウザい小娘にしか感じられなかった。
ロクな働きもせず、顔以外になにもいいところがない武蔵に恋するのも納得いかない。
恋するなら忠義を尽くして自分を守ってくれる六郎太だろ。(顔もいいし)
いや、そもそもこの作品にこんな安っぽいロマンスいらないだろ。

真壁六郎太役の阿部寛は、本家の三船敏郎を彷彿とさせるさすがの演技。
設定上で今作の六郎太は異常に強すぎる気もするけど、
彼ひとりのお陰でなんとか見れるレベルに仕上がってると思います。

長々と登場人物のダメ出しばかりしてきましたが、最後に肝心のストーリーの話も。
後半は本家にないありえないラブロマンスと安っぽいスペクタクル展開ですが、
途中までは本家の筋に沿ったストーリーで安心感があるのですが、
それでも蛇足な部分が多すぎる。
敵国の関所を抜けるところなど、本来なら六郎太の機転で切り抜けるところが爽快なのに、
無駄な展開を足すから、関所の役人が間抜けで通れたみたいな感じになって爽快感が薄まります。
リメイクするなら足すんじゃなくて関所を抜ける方法を新しく考えて、
本家みたことある人を唸らすくらいの切り抜け方を見せてほしいもんです。
本家なら死なないはずの助けた娘(黒瀬真奈美)を展開上邪魔だからアッサリ殺しちゃうのも
蛇足な上に気分が悪いです。そこだけじゃなく無駄に人殺しすぎ。

これだけ映像技術が進歩したのに、迫力も臨場感も本家に負けてるんですよね。
もうなんのためにリメイクなんかしたんだか…。
でも本家を見たことがない人なら、お気楽アドベンチャーとして充分楽しめるかも。
無精髭の松潤に違和感さへ気にならなければ…。

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