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アリス・イン・ワンダーランド

日本では3D超大作『アバター』の公開に合わせて、多くの映画館が
3D映画の鑑賞料を実質値下げしたのもまだ記憶に新しいですが、
アメリカではその『アバター』など3D映画の予想以上の好調を受けて、
3D映画鑑賞料を値上げした映画館チェーンがかなりあったそうです。
日本でも3D超大作『アリス・イン・ワンダーランド』が土日だけで13億円も稼ぎ、
『アバター』のオープニングの2倍以上の興行成績を叩き出しましたし、
着実に3D映画は定着してしまっています。
アメリカの値上げは対岸の火事とは思えないです。
(アメリカの鑑賞料は値上げしても平均16ドル程度で、日本よりまだ安いです。)

3D映画が割高料金なのは、特殊な映写機などの設備投資の費用を補うためですが、
たしか通常のフィルム映写機でも3D化できるシステムが開発されたというような
噂を聞いたことがあります。
実用化されてるかは知らないけど、それが普及したら3D映画料金も下がるかな?
まぁ安くなったとしても3D自体があんまり好きじゃないんで、
とっとと廃れればいいと思ってますけど。

ということで、今日は『アリス・イン・ワンダーランド』の感想です。
土日を避け、平日の夜に観に行ったんですが、依然大混雑でした。

アリス・イン・ワンダーランド
Alice in Wonderland

2010年4月17日日本公開。
ティム・バートン監督が『不思議の国のアリス』を映像化したファンタジー。

白ウサギと遭遇したことによって不思議の国へと迷い込んだアリス。そこは、美しくもグロテスクなファンタジーワールドで、トゥィードルダムとトゥィードルディーや、赤の女王とその妹で慈悲深い白い女王たちに出会う。(シネマトゥデイより)



あの『チャーリーとチョコレート工場』『スウィーニー・トッド』などの
ティム・バートン監督とジョニー・ディップの名タッグで
世界的小説『不思議の国のアリス』が映画化されるということで、
制作発表時から大いに期待していたんですが、情報が出てくるにつれて、
どうもそう単純なことではないらしい、と薄々わかってきて、不安な気持ちに。
どうやら『不思議の国のアリス』の続きの物語ということになっているらしいけど、
『不思議の国のアリス』の半年後を描いた『鏡の国のアリス』の映画化とも違う。
正確にいえば『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』をモチーフにした
ディズニー・クラシックス『ふしぎの国のアリス』の後日譚ということらしいです。
『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』も原作(の翻訳版)は読んだし、
けっこう好きな作品だったけど、『ふしぎの国のアリス』は観たことがありません。
後日、急いでレンタルしてきて観ました。

でも『ふしぎの国のアリス』も他の『不思議の国のアリス』の映画化と同様に、
あんまり面白くありませんでした。
そもそもこの原作はあまり映像化には向かない作品なんですが、
それ以上にディズニーアニメは原作に敬意を払わないことで定評があるため、
物語を改変しまくった挙句、無難で全然面白くないものに仕上げてしまっています。
そんな映画の続編なんて、まず面白いはずもありません。
でもそれでも期待してしまうのはバートンとジョニデのタッグによる映画だから。
今のところハズレなしのこの名コンビなら、もしかしたらもしかするかも…、と。

小説『不思議の国のアリス』というのは、単なる児童向けおとぎ話ではなく、
英語の言葉遊びと当時の風刺を散りばめたナンセンス・ファンタジーで、
本当に面白さがわかるのは作者と同時代を生きたイギリス人だけと言われています。
それでもこれだけ世界中で翻訳され、世界中の老若男女に親しまれているのは、
主役アリスのキャラクターの魅力によるところが大きいとボクは考えます。
おませだけど浅はかな6歳の少女らしい女の子で、とても可愛いです。
映画化されたものがことごとくイマイチだったのは、
不思議の国のギミック的な再現に力を入れるばっかりに、
アリスのキャラを魅力的に描くことを疎かにしたことが原因でした。
本作はアリスはそれから13年時を経ての19歳、すでに大人の淑女です。
その時点ですでに原作で描かれた可愛いらしい少女のアリスではないわけで、
この物語の魅力の大半を損なってしまっていると言っても過言ではないです。
本作ではそれを逆手に取り「このアリスはあのアリスなのだろうか?」という疑問が
物語前半の主要な関心事になるわけですが、ボクも本作のアリスが
6歳の頃のアリスと別人のアリスだったらどれほどよかっただろうと思いました。

本作は前述のようにディズニーの『ふしぎの国のアリス』の13年後の話なんですが、
全くのオリジナルストーリーということでもないようで、
小説『不思議の国のアリス』の正統続編『鏡の国のアリス』がベースになってます。
小説『鏡の国のアリス』は簡単に説明すれば、チェスに見立てられた世界の中で、
アリスは白のクイーン・ポーン(歩)としてゲームを開始し、
最終的には白のクイーンにプロモーション(昇格)して、
赤のクイーンを取るまでを描いた物語。
実際にはそれは裏設定なんで、普通に読めば全然意識する必要のない知識ですが、
本作は白の女王に加担し、救世主として赤の女王を打ち破るという内容なんで、
その裏設定を活かした物語になってるんだと思います。
そのチェス世界での戦いに、更に『鏡の国のアリス』の序盤に登場する
「ジャバウォックの詩」の内容を準えて、作られたのが本作なんじゃないかな?
「ジャバウォックの詩」は原作ではナンセンス感を煽るための小道具に過ぎず、
明確な内容もない詩なので、イマイチ印象に残ってなかった意味不明のものですが、
この詩が映画化されたのは一度や二度ではないので、
クリエイティブな人には何かしらインスピレーションを感じる詩なんでしょうね。

物語としては『ナルニア国物語』的な王道の剣と魔法のファンタジーです。
原作の難解さ、ナンセンスさは緩和されたこともちょっと残念ではありますが、
それ以上に鬼才ティム・バートン監督らしくないベタな内容だったことが不満…。
アリスがアンダーランド(地底の国)をワンダーランド(幻想の国)と
聞き間違えたがために、6歳の時にこの世界を訪れた記憶を夢の中の話だと
思い込んでいたってのがオチですよね。
原作は言葉遊びや洒落が満載の作品ですが、
このワンダーランドとアンダーランドという洒落は映画オリジナル。
奇才バートン監督を持ってして、こんなベタな洒落しか思いつかなかった?

などなど、内容に対しては不満を列挙すればキリがありませんが、
不思議の国の世界観を再現した映像の美しさは、さすがバートン監督です。
小道具や風景も凝りに凝ってるし、キャラもアリスは原作には遠く及ばないけど、
それを補うように、帽子屋(ジョニー・ディップ)をはじめ、
不思議の国の住人達は魅力的な造形や所作です。
特に白の女王(アン・ハサウェイ)は、見た目こそ一番マトモだけど、
ものすごく印象に残るいいキャラクターだったと思います。
でも3Dメガネって、やっぱり画面が暗くなっちゃうし、多少色も失われるんで、
2Dで観た方が映像も更に綺麗だったんじゃないかな?
そんなにデジタル3Dを活かした演出もなかったし…。

ティム・バートン監督は、同じくディズニー・クラシックスの『眠れる森の美女』を
アンジェリーナ・ジョリー主演で映画化することが決まってるんだそうです。
次は頑張ってほしいです。

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