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誰かが私にキスをした

昨今の東映作品の打率の低さは半端ないです。
仮面ライダーやら戦隊ヒーローは置いといて、去年から今年にかけて
まあまあ評判がよかったのは『劔岳 点の記』くらい?
一番稼いだのは『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』だったっけかな。
まぁ最近では、『花のあと』はそれなりに楽しめたんで、
今年公開予定の中で期待できそうなのは『必死剣鳥刺し』くらいかな。
なんかヒーローやアニメ映画や時代劇映画以外は、
インディペンデント映画かと思うような作品が多いです。
だからこそ稀に、東宝にはできないような面白い映画もあったりするんですけどね。
『ゼブラーマン』は地雷臭すぎますが、『ソフトボーイ』はもしかするかも?

ということで、今日はある意味実験的な東映映画の感想です。

誰かが私にキスをした

2010年3月27日公開。
アメリカの小説『失くした記憶の物語』を映像化した日本映画。

階段から落ちて病院に運ばれたナオミ(堀北真希)は、過去4年間の記憶を失い、退院して復学するものの、すべてが初めての景色だった。混乱するナオミの前に、病院まで付き添ったユウジ(松山ケンイチ)、親友のミライ(手越祐也)、アメリカ人のエース(アントン・イェルチン)が現われ、微妙な四角関係が始まり……。(シネマトゥデイより)



酷い仕上がり。

本作はハリウッドで活躍(?)するハンス・カノーザが、
お抱えの脚本家ガブリエル・ゼヴィンの小説『Memoirs of a Teenage Amnesiac』を
映像化した作品で、当初はアメリカで制作・撮影しハリウッド映画になる予定を、
なぜか日本を舞台にした作品に変更し、日本人俳優を主演に迎え、日本で制作し、
日本映画になった変な経歴の作品です。
表向きは「文化のぶつかり合いも絡んだ深みのある物語になる」という理由ですが、
ただ舞台を日本にしただけで、日本の文化、風土を全く無視しているため、
深みどころか、違和感だらけの浅い物語に仕上がっています。
たぶん真相は、ハリウッドでは企画が通らなかったため、
そのまま日本に持ち込んだら企画が通ったってところでしょう。
東映はかなり甘い企画でもホイホイ通っちゃうイメージがあるし…。

ストーリーは至って普通なアメリカの学園ドラマ的なラブコメ。
日本映画にするにあたって、日本にマッチするように工夫しようなんて
一切考えていなようで、舞台を安易に日本のアメリカンスクールにしてます。
学生もほぼアメリカ系外国人。飛び交う言葉もほぼ英語。
本作も『ハイスクール・ミュージカル』的な学園ラブコメなんですが、
アメリカの学校って学生が階層化されてたり、プロムとかダンパが頻繁にあったり、
一種独特のものじゃないですか。
本作にもイヤーブックなんて、独特の行事が中心に描かれたりするんですが、
これって日本人にはちょっと馴染みのない文化ですよね。
それでもそんなアメリカの学園ドラマを作品として受け入れられるのは、
アメリカが舞台であり、アメリカの文化を尊重しているからです。
でも本作は、アメリカンスクールとはいえ、主要キャストはほぼ日本人。
人間同士の距離感とか、メンタル的な部分でかなりの違和感を感じます。

まぁボクはインターナショナルスクールに通った経験はありませんから、
日本人でも実際にあんなアメリカ人みたいな学生になっちゃうのかもしれないけど…。
それに『ワイルドスピード×3』は、典型的な日本の学校に外国人生徒が混ざってて
それもそれで変な違和感はありました。
そもそも脚本化にあたって、日本文化がわかっている(日本人の)脚本家ではなく、
原作者にやらせているんだから、日本にマッチングするはずがありません。
たとえ日本人脚本家でも、この原作を日本的に書き換えるのは無理がありますが…。
根本的にこれを日本映画にするのは企画段階でありえなかったんじゃないかな?

まず一番どうしようもない違和感は、ヒロインのナオミの性格。
ナオミを演じるのは堀北真希で、どこからどう見ても(清純派の)日本人だが、
中身はアメリカ人の女学生。
彼氏はジョックで、学校での階級はクイーン・ビーだし、
初対面でも唇を許してしまうようなフランクさ。
いや、アメリカ人の女の子ならフランクで済むけど、
日本人だと単なる尻軽女にしか見えません。
男も間をおかずとっかえひっかえしてるし…。
まぁヒロインとしてあんまり好感を持てるタイプではないですよね…。
いや、日本人の女の子でもそんなタイプの子はいるけど、
少なくとも堀北真希が演じるようなタイプではないでしょ。

そのジョックの彼氏エースは『ターミネーター4』でカイル・リースを演じた
注目(?)の若手アントン・イェルチンが演じています。
窓から彼女の部屋に侵入する、典型的なアメリカンボーイです。
2番目の彼氏は松山ケンイチ演じるユウジ。
不良っぽい不思議系ツンデレ男子で、本作のメインの相手役。
精神が不安定な役柄で見ててヤキモキします。
松山ケンイチっていつの間にか演技派俳優と認識されるようになって、
精神異常者みたいな難しい役が増えている気がします。
ボクはコメディなどでのキャラクター俳優としての彼が好きだったし、
『ウルトラ・ミラクル・ラブストーリー』でかなりゲンナリしたので、
そっち系の役はあまり歓迎はできないかな…。
3番目の彼氏は手越祐也演じるミライ。
階層的にはプレップス層の文系メガネ男子って感じで、唯一外見も中身も日本人的。
なんか違和感だらけの作品の中で、彼だけが心の拠りどころでした。

ヒロインが自己中な尻軽女なんで、それだけでも好感は持てない作品でしたが、
ヒロインの演技も演出も全然ダメ。
事故で逆行性健忘症になり4年分の記憶が退行する役柄で、
本来ならけっこうテクニカルな役だと思うんですが、
それを何の工夫もなく演じてしまっています。
記憶を失ってからも取り戻してからも全く同じ演技…。
いくらラブコメとはいえ、ちょっとだけでも悲壮感を表現しないと、
全然リアリティがありません。

やっぱり外国人監督だとメンタル面の演技指導とか出来ないのかな?
もしくは日本映画をナメてて、適当に作ったか…。
全体的な印象からたぶん後者だろうなぁ…。

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