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なくもんか

昨日感想を書いた、150万人動員しないと監督が映画界から引退に追い込まれる映画
『笑う警官』ですが、見事に全国週末興行成績で初登場8位と、
いい感じに低調な滑り出しを見せてくれています。
面白くないんだから当然の結果ですね。目標達成はほぼ絶望的じゃないかな?
今日は初登場3位と堅実なスタートを切った、面白い映画の感想です。

なくもんか

2009年11月14日公開。
水田伸生監督、宮藤官九郎脚本、阿部サダヲ主演の
『舞妓 Haaaan!!!』トリオによる人情コメディ。

無茶苦茶な父に捨てられ、幼少期に生き別れた兄・祐太(阿部サダヲ)と弟・祐介(瑛太)は、互いの顔も名前も知らずに成長する。祐太は、東京下町の商店街でハムカツが名物の店を切り盛りし、祐介はお笑い芸人として超売れっ子になっていた。そんなある日、祐太のもとに、初代店主の一人娘・徹子(竹内結子)が突然帰って来る。(シネマトゥデイより)

いやぁ、まさかこんなにいい作品だとは思わなかったです。
クドカンはテレビドラマの脚本家としては大好きだったんだけど、
映画となると途端にダメになるイメージがあって、特に後半のグダグダ感が酷いから、
たぶん1時間以上の作品の脚本は苦手なんじゃないかとか思ってました。
それに最近脚本を手掛けた映画『カムイ外伝』なんか、全くクドカンらしさがなくて、
ちょっと幻滅しつつあったんですが、本作で見事に返り咲いた感じです。
見くびってたわけじゃないけど、まさかクドカンにこんな重層的な脚本が書けるとは。

主演はクドカンファミリーの阿部サダヲですが、彼の役どころも今までと違う感じ。
ハイテンションのバカっぽい役なのはいつも通りだけど、
八方美人で人がいいが、その裏で悲しい感情を隠しているシリアスな役柄です。
いつもみたいに力業で笑いを取るキャラも阿部サダヲの魅力だけど、
こうゆう人間味のあるキャラも新鮮でいいもんですね。

阿部サダヲ演じる祐太は幼くして両親が離婚、父の知り合いのお惣菜屋に身を寄せるが
父が店の売上に手をつけ蒸発、一人残された祐太を店の主人(カンニング竹山)は
我が子同然に育てますが、祐太自身は泥棒の息子という引け目を持っていて、
そこで生きていくため処世術として八方美人のお人よしを演じ続けます。
店の主人から店を任され、自分の店となり、その人の良さから商店街の顔になっても
自分は所詮余所者だと思い続け、謙虚にお人よしを演じ続ける健気な祐太。
そんな折り、家を出ていた店の主人の一人娘・徹子(竹内結子)が帰ってきて、
なんやかんやで祐太は彼女と結婚し、漸くこの店の本当の息子になれたと感じるが、
彼女の連れ子が全然懐かず、自分を父として慕ってくれず悩む…、という人情話。
これだけでも映画として充分なボリュームなんだけども、そこに更に、
祐太の生き別れた弟・祐介(瑛太)の話が加わって、話に奥行きが増します。

祐介は生まれた時には兄と父は家を出ていたために兄の存在は知らず、
母が他界してからは親戚の家を転々としながら成長しますが、
度重なる転校でイジメられないための処世術として面白い奴を演じ続けます。
いつしかお笑い芸人になり、事務所の方針で金城大介(塚本高史)という芸人と
コンビを組み、兄弟漫才師ということで売り出されブレイク。
しかしそこに本当の兄である祐太が現れ…、というのがサイドストーリー。
いや、こっちがメインストーリーかな?
こっちだけでもまた一本映画作れそうなボリュームがありますね。
祐太の人情話の方が笑えるし感動できるし面白いんだけど、
こっちはこっちで、今のお笑い業界に対する風刺が効いてて興味深いです。

この2本のストーリーが時に干渉し合いながら平行に進むんですが、
本当の家族、義理の家族、偽装家族の愛憎が歪に混ざり合い
重層的な家族の物語になっていて、ラストのイベントシーンで感動的に収束していく、
後半グダグダになりがちなクドカンにしては、映画的なうまい脚本だと思います。
まさかクドカンの脚本で笑えることはあっても感動できるなんて思わなかったかも。
キャッチコピー通り、泣ける喜劇です。

ちょっと難点を挙げるとすれば、祐太と祐介の父(伊原剛志)が
救いようのないダメ親父で、人間味に欠けること。
とにかく酷い男なんで、もうちょっと懲らしめる展開があればスッキリするかも…。
あと、祐介の相方の金城大介は、逆にもう少し救いのある展開にして欲しかったかな。
何気に不遇のキャラだし、あのままだと少し可哀想なんじゃないかな?
まぁコメディ映画は90分程度がが理想だけど、すでに2時間を越えてるし、
あれ以上長くしたら観るほうがダレてくるかもしれないけど。

ボクはけっこう感動したし、かなり笑えたんだけど、
一緒に観に行った子が、"全然笑えない、薄ら寒い"って言ってました。
意図的に"薄ら寒く"している部分はあるんですが、劇場でもみんな笑ってたし、
そんなことはないと思うんだけど、クドカンの笑いにハマってない人はダメかも?

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