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君の膵臓をたべたい

最近、アニメ映画の感想が多めですが、現在TOHOシネマズのフリーパス期間中ということもあって、いつもなら見なかったであろうアニメ映画も見ています。アニメ映画って入場者特典が付くことが多いのですが、フリーパスで見ている手前、特典をもらうのがちょっと忍びない気持ちになります。まぁ貰えるものは貰いますけど。
アニメ映画の特典で多いのがブックレットで、最近だと『僕のヒーローアカデミア』『七つの大罪』『のんのんびより』などで配られていました。ブックレットには主に原作者の書き下ろし漫画なんかが掲載されており、原作漫画を購読するファンなら足を運ばざるを得ない仕組みになっています。ただ原作にさほど興味があるわけでもない私としては、書き下ろし漫画よりも設定資料集的な内容のブックレットの方が有難いです。上映前にちょろっと読めばレギュラーキャラの関係性などがある程度把握できるようなものであれば尚いいです。その点では『僕のヒーローアカデミア』のブックレットは内容が充実しており、非常に鑑賞の助けになりました。
ストラップやクリアファイルみたいに嵩張る上に使えない特典なんかより、読んだら気兼ねなく捨てれるブックレットの方が特典として有難いです。

ということで、今日は原作者書き下ろしブックレット特典付きアニメ映画の感想です。

君の膵臓をたべたい
君の膵臓をたべたい

2018年9月1日公開。

2016年の本屋大賞で第2位となった住野よるのデビュー作でベストセラー小説『君の膵臓をたべたい』を長編アニメーション化した本作。昨年(2017年)には実写映画化もされていますが、企画スタートは本作の方が早かったみたいで、なんと原作小説出版前から始まっていたそうです。そもそも原作小説はライトノベル投稿サイト「小説家になろう」に投稿されて注目され、出版に至ったようですが、「小説家になろう」はアニメ原作の登竜門みたいなものなので、出版よりもアニメ化企画の立ち上げが早かったのも当然なのかも。本屋大賞大好きな東宝配給の実写映画版は本屋大賞2位を受けて企画スタートしたと思われますが、先にスタートしたアニメ化をあっさり追い越して公開されるなんて、実写版は怒涛のスピードで製作されてたんですね。アニメ版である本作は東宝ではなくアニプレックス配給(アニプレックスが単独配給するなんて珍しいですね。)ですが、東宝はアニメ版より先に実写版を公開しようと急いで製作したのかもしれません。奇抜なタイトルからは想像できない純愛小説で、そのギャップこそが最大の売りだから、先行する方が有利なタイプの作品ですからね。原作小説は読んでなかった私も、その話題性に釣られて実写版も見ましたが、やはり物語の既視感は強く、ギャップによるインパクトは先行する実写版の方が大きかったです。実写版から本作の公開まで僅か一年程度しか空いてないので、もしもう数年寝かして、客が実写版を忘れた頃に公開しておけば既視感は薄められたかも。

ただ出来自体は実写版よりアニメ版の本作の方がよく出来ていた気がします。まぁ出来がいいのは後発なんだから当たり前と言えば当たり前ですが、実写版は急ぎ過ぎていたためか、けっこう雑で妙な構成になっていたのもありますね。主人公は高校生ですが、実写版は大人になった主人公が高校時代を回想するという構成で描かれています。これは原作にはない脚色だったようですが、大人になった主人公を小栗旬が演じており、なんとか人気俳優を起用して集客したいという東宝の大人の事情が垣間見える改変です。でもさすがに強引すぎる改変で違和感があり、単なる小栗旬の無駄遣いだったと思ってしまいました。その点本作はアニメなので、キャストによるテコ入れは必要なく(あまり効果なく)、原作通り高校時代のみで構成でき、謎の構成による違和感もありません。実写化は様々な大人の事情が絡むので往々にしてアニメ化の方が原作を踏襲しやすいみたいですね。そもそも原作はラノベ投稿サイト出身なので、実写化よりもアニメ化の方が親和性が高いだろうし、たぶん作者もアニメ化を目指して書いていたと思います。

他人とは関わらず、いつも一人で本を読んでいる高校生の志賀春樹は、ある日一冊の文庫本を拾う。「共病文庫」と記されたその本は、天真爛漫なクラスの人気者・山内桜良が密かに日常を書き綴った日記帳で、そこには彼女が膵臓の病気を患い、余命僅かであることが記されていた。予期せず桜良の秘密を知ってしまった春樹は、彼女の「死ぬ前にやりたいこと」に付き合うことになるが…。
というのが序盤の流れですが、実写版で初めて見た時は、正直「何これ痛いな」と思ってしまいました。恋人どころか友達もいないボッチ男子が、予期せず美少女に付きまとわれることになり、一緒に(おひとり様にはハードル高い)焼肉やスイパラでデートしたり、九州にお泊り旅行に行ったり、両親が留守な彼女の家に呼ばれて迫られたりと、非リア童貞オタク男子の妄想みたいな展開の連続で、見てるこっちが小っ恥ずかしくなるような話しだなと思いました。後に原作が「なろう系小説」だったと知り、やっぱり非リア作者の願望を描いたものだったのかと納得したものです。
ただアニメ版である本作では、ほぼ同じ展開だったにも関わらず、そこまで小っ恥ずかしさを感じませんでした。それはたぶん、二度目による慣れもあるでしょうが、このラノベ的展開が実写よりもアニメとの親和性が高いからでしょう。こういう妄想展開は実写だとまるでAVみたいで違和感がありますが、オタク向け恋愛アニメにはよくある展開なので受け入れ易いのかもしれません。不思議とあり得ない展開でもアニメだとマイルドになるんですよね。でもやはり若干の痛さは残ってますが…。

今回は知った上で見ましたが、実写版鑑賞時は終盤の展開にはけっこう驚かされました。難病ものなのでヒロインが死ぬことは予想していましたが、当然病死するものだと思っていたので、まさか通り魔殺人の被害者になるとは予想外です。たしかに劇中でも二度ほど連続通り魔事件についての言及があり、このオチの伏線は張られているのですが、正直このオチは予想外で衝撃的ではあるものの出来としてはイマイチ。桜良の病死は覚悟できていた春樹も不慮の死に大打撃を受ける、という流れはいいのだけど、不慮の死なら別に事故死でもいいんじゃないかと思ってしまうんですよね。通り魔殺人事件に巻き込まれるなんてちょっと突飛すぎて現実味がないし、通り魔事件で殺されたならと通り魔に対する怒りも描かないと不自然。しかし通り魔に対する怒りを描くと、桜良を失った春樹の喪失感を描くのに邪魔になり、テーマがぶれるので怒りは描かないで正解ですが、それならそもそも通り魔事件にするのが間違いでしょう。結局劇中で通り魔は捕まりませんが、そもそも連続通り魔が何か月も捕まってないなんてこと自体があり得ないですからね。

桜良の死後、喪失感から少し立ち直った春樹は、遺族に頼んで彼女の日記「共病文庫」を読ましてもらい、天真爛漫に振舞っていた彼女の真の心境や自分への気持ちを知り号泣します。ここはさすがに感動させられます。この日記朗読シーンは桜良の愛読書『星の王子さま』を絡めたファンタジックな映像で描かれ、これはアニメならではの表現方法だなと思いました。ただ『星の王子さま』にそんなに思い入れがない私としては、その演出に価値を見出せず、実写版のように普通に回想シーンで描いた方が泣けたような気がします。いや、今回も泣いてしまったことは白状しますが。桜良の春樹への深い愛、春樹の桜良への深い愛に感動しました。

…と言いたいところですが、ある物によってその感動が台無しになります。それは本作の入場者特典として配布されたブックレットで、そこには本作の後日談となる作者の書き下ろし短編小説「父と追憶の誰かに」が掲載されています。大人になった春樹(実写版では高校教師でしたがこれでは出版社に勤めているみたい)が、桜良の姪(兄の娘)と桜良の墓参りをするところを、娘に目撃されて問い詰められるという物語です。絶対にひとりっ子だと思った桜良に兄がいたという設定にも違和感がありましたが、娘に「その人(桜良)のこと好きなの?」と問われた春樹が「ふゆみ(娘)が思っているような、例えば恋人に向けるような気持ちを彼女に向けていたわけじゃないんだ」と答えるんですよね。2人の純愛に感動したのに愛とか恋とかという感情はなかったのか、と驚き、それならもう理解できないなと思ってしまいました。というか、春樹は絶対桜良に恋心を抱いていたはずで、それを悟られまいと見栄で隠していた晩熟(おくて)男子だと思っていたので、娘にまで見栄をはるなんて、どんだけ痛い奴なんだと思っちゃったんですよね。こんなブックレット貰わなければよかった。こんな後日談しか書けないとなると、作者も一発屋になりそうかな。

コメント

のんのんびより

「のんのんびよりばけーしょん」のブックレットは2週目の特典です。
1週目3週目はミニ色紙で明日からはカットフィルムです。
レビューは書かないですか?

  • 2018/09/14(金) 16:07:35 |
  • URL |
  • 通りすがり #-
  • [ 編集 ]

Re: のんのんびより

あー、萌えアニメ恒例のリピーター商法ですか。ミニ色紙やカットフィルムは貰っても困るので見たのが2週目でよかったです。
レビューというか感想は『フリクリ』の感想記事の前書きに書いておきますね。短いですが。

  • 2018/09/14(金) 20:41:13 |
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  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

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