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ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

目が痛くて痛くて仕方ないです。たぶん花粉症になってしまったのでしょう。最近急に辛くなったからヒノキ花粉に弱いのかも。生まれてこの方、アレルギーなんて何もなかったのでショックです。もう仕事以外で外出したくないし、とにかく目を開けてるのがしんどいので映画を観るのもブログ書くのもなかなか大変です。クシャミや鼻水は全くないんだけどそんなものなのかな。来年からはちゃんと対策しないとダメだな。

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書
The Post

2018年3月30日日本公開。

ステーブン・・スピルバーグ監督、メリル・ストリープ、トム・ハンクス共演の本作。スピルバーグとトム・ハンクスのタッグは通算5度目で珍しくもないけど、スピルバーグとメリル・ストリープのタッグはたぶん初めてで、意外でもあり新鮮です。しかし何と言ってもメリル・ストリープとトム・ハンクスの超豪華共演が目を引きますね。2人あわせてオスカー受賞5回の超オスカー級キャスティングですが、それだけ今回のスピルバーグはオスカーを本気で取りに来たんだと思われます。
ニクソン政権時代の実話を基にした物語で、真実を追求するマスコミと隠蔽に躍起な政権の戦いを描いていますが、これはマスコミ叩きに必死な現トランプ政権に対する揶揄です。更に女性リーダーを主人公とした物語でもあり、反トランプ的でフィミニズム熱が高まっているハリウッド主流派に媚びる内容で、いかにもオスカー狙いが見え見え。まぁスピルバーグ自身の思想とも一致しているのだろうと思いますが、キャスティングも含めてオスカー狙いがちょっと露骨すぎ、ちょっと射に構えてしまいます。
結局ハリウッド主流派が大半を占めるアカデミー賞会員たちからも見透かされてしまったのか、作品賞、主演女優賞で候補入りするも受賞には至らず無冠に終わりました。予想通りの結果でしたが、それにしたって主演女優賞候補だったメリル・ストリープの通算21回目のノミネートは凄まじい記録で感心してしまいますね。彼女の候補入りはもはやアカデミー賞の風物詩です。もし受賞していれば4度目となり、キャサリン・ヘプバーンに並ぶ最多受賞タイ記録になったのですが、それは来年以降に持ち越しです。

前述のようにニクソン政権下が舞台で、ベトナム戦争における政府の隠蔽を暴く物語です。ニクソン政権とベトナム戦争はハリウッド映画の頻出事項であり、ハリウッド映画を観る上での基礎教養…、なのはわかっているのですが、私は如何せん勉強不足で、その辺りのアメリカ現代史に疎く、毎度苦労しています。しかしそこはさすがのスピルバーグ。実際は複雑だと思われる史実を単純明快に描いており、予習なしでも問題なく楽しめるように出来ています。特に今回は反政権映画ということもあり、トランプ大統領を重ねたニクソン大統領を悪役に仕立て、単純な勧善懲悪の物語にしてしまってるのでわかりやすいです。ただそれにも限界はあり、本作のウォーターゲート事件オチなんかはあまりに不勉強すぎる人だと意味がわからないかもしれませんね。
私が最も苦労したのは、登場人物の顔と名前(あと役職)がなかなか一致しなかったことです。史実なので仕方がないことですが、マクナマラとかバグディキアンとかエルズバーグとかローゼンタールとか聞き慣れない名字の人が多くて覚えられず、彼らの名前が台詞に出てきても、誰のことを言ってるのかすぐには理解できず…。あとトム・ハンクス演じる男主人公の名前はベン・ブラッドリーですが、彼の近しい同僚にももうひとりベン(・バグディキアン)がいて、これもちょっと混乱しちゃいます。覚えにくい名前や同じ名前はフィクションだったら避けるでしょうが、本作は伝記映画なので如何ともし難いです。

メリル・ストリープ演じるワシントン・ポスト紙の社主ケイ・グラハムとトム・ハンクス演じる同紙編集主幹ベン・ブラッドリーのW主演ですが、グラハム女史は意外と終盤まで活躍しないんですよね。
当時のアメリカ政府はベトナム戦争で負けるのはわかっていたにもかかわらず、敗戦はアメリカの恥だと考えて国民に隠し、若者を戦地に送り続けていました。しかしロバート・マクナマラ国防長官の指示で書かれたベトナム戦争の実態を綴った極秘調査文書「マクナマラ文書」のコピーが、文書執筆に関わった軍事アナリストのダン・エルズバーグによってニューヨーク・タイムズ紙にリークされ、記事になって公表されてしまいます。ポスト紙編集主幹ブラッドリーはタイムズ紙に負けじと文書を入手し、記事を掲載しようと奔走する。
…というのが本作の中盤までの流れになりますが、ブラッドリーが文書入手に奔走する中、ポスト紙社主グラハム女史はと言えば、同社の株式上場のために奔走するのです。本作は当然、文書を巡る話がメインプロットになるため、株式上場の話はどうでもよく、彼女のシーンは退屈でした。正直これはトム・ハンクスの主演作だろと思ったし、オスカー狙いのフェミニズム演出のために、無理やりメリル・ストリープを主演扱いにしてグラハム女史の登場シーンを増やしているのではないかと勘繰ったくらいです。まぁ終盤になると、今度はグラハム女史の独壇場になるので、W主演扱いには納得しましたが…。
それにしてもワシントン・ポスト紙が女性社主だったなんてかなり意外でした。マスコミって特に男社会な気がするので尚更ですが、家族経営で社主だった父や夫が死んだので、仕方なく彼女が継いだみたいですね。それはそれで新聞社が世襲だっていうのも驚いたし、世界的に注目されるポスト紙が地方紙だったというのも知らなかった。

ポスト編集局次長バグディキアンが漏洩犯エルズバーグとたまたま知り合いだったため、文書のコピーを入手することに成功。さっそく記事にしたいところですが、4000ページある文書はバラバラで、ページ番号も切り取られており…。これを内容に合わせて並べ直さなくてはいけないので相当大変ですが、こういう作業はなんだか楽しそうです。
しかし本当に大変なのは並べ直しなんかじゃなく、ニクソン政権が文書の暴露記事を掲載したタイムズ紙に対して記事の差し止め命令を求める訴訟を起こしていて、もし政権が勝てば同じ情報源から文書を入手したポスト紙も掲載したら法廷侮辱罪に問われることになります。政権がマスコミに圧力を掛けるなんて民主主義としてとんでもない話です。(都合の悪い記事には「フェイクニュースだ」と喚くだけのトランプは可愛いものですね。)でも「機密情報の漏洩を見過ごすような国家は信用されなくなる」という政権側の言い分もわからないでもないかな。ベトナム戦争を泥沼化させたのも別にニクソン大統領のせいではなく、前政権であるケネディ大統領やジョンソン大統領の責任も大きいしね。
ブラッドリー編集主幹やバグディキアン編集局次長は意地でも掲載したいと考えますが、ビーブ取締役会長や顧問弁護士らは起訴を恐れて猛反対し、社主であるグラハム女史に最終判断を仰ぐことになります。普段はお飾り同然の彼女に、こんな究極の選択を迫るのは酷ですね。罪に問われるかどうかも悩みどころですが、なんと彼女は文書を作ったマクナマラ元国防長官と友達で、もし掲載したら友達を叩くことになるので、友情を取るか仕事を取るかでも悩みます。友達だから叩かないとか、マスコミはそんな個人的感情で動いたらダメですよね。グラハム女史も心を鬼にして掲載する決断を下すのです。いくら悩んだところで史実だからオチがわかってしまうのが伝記映画の辛いところですね。

文書の暴露記事がポスト紙に掲載され、ニクソン政権は報復のために法的処置に出て、ポスト紙もタイムズ紙と肩を並べて裁判所に出廷することになります。最高裁判所の判事は「報道の自由は民主主事の基本である」と述べ、ニクソン政権は敗訴するのです。史実なのでこの結末もわかりきっていましたが、そうでなくても当然の判決だったと言えるでしょう。
ニクソン大統領は更なる報復、というか嫌がらせのためにポスト紙をホワイトハウス出禁にしますが、そんな折、ウォーターゲート・ビルの警備員が不審者の侵入を通報し、本作は幕を下ろします。これが前述のウォーターゲート事件オチです。私も詳しい方ではありませんが、簡単に説明するとニクソン大統領が政敵を盗聴していたという政治スキャンダルで、これがキッカケで彼は大統領辞任に追い込まれることになります。任期中に辞任したアメリカ大統領は後にも先にも彼だけで不名誉極まりないです。
ただ結局、マクナマラ文書暴露記事で仕留めたわけではないので、グラハム女史やブラッドリーらポスト紙がニクソンを討伐したとは言い難く、物語としてはちょっとお茶を濁された感があります。だからこそ本作ではウォーターゲート事件について全く深堀しなかったのでしょうが、ウォーターゲート事件の真相究明にもポスト紙は大きく貢献しているはずなので、それは強調するべきだったかも。

オチもわかりきってるし勧善懲悪で単純な物語でしたが、とにかくメリル・ストリープとトム・ハンクスの共演は一見の価値ありで、なかなかオススメの映画でした。個人的にはオスカー作品賞『シェイプ・オブ・ウォーター』よりも好きです。(単に『シェイプ・オブ・ウォーター』が嫌いなだけなのかもしれませんが。)そういえば本作、東宝東和配給だったのでユニバーサル映画かと思ったけど、20世紀フォックス製作だったんですね。『シェイプ・オブ・ウォーター』と『スリー・ビルボード』はフォックス・サーチライト製作でしたが、フォックスは勢いがありますね。なのになぜ身売りしなきゃいけないのか…。
さて、今月スピルバーグ監督作がもう一本公開されます。SFアクション映画『レディ・プレイヤー1』です。機動戦士ガンダムなんかも登場する超大作らしく、なんだか面白そうですが、社会派な伝記映画撮ったかと思えば娯楽SF超大作撮ったり、あいかわらずむちゃくちゃな守備範囲だな。

関連作の感想
シェイプ・オブ・ウォーター
ダンケルク
ゲット・アウト
スリー・ビルボード

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