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ジオストーム

もう少しで溜まっていた海外ドラマを全部消化できるので、
映画を観に行ける時間がもっと作れそうです。
最近週一だったブログ更新頻度も少し増やしたいと思います。
もっと楽に書けるように書き方も研究しよう。

今日も映画の感想です。

ジオストーム
Geostorm.jpg

2018年1月19日日本公開。

いやぁ、この映画は今年一番の駄作でした。
と言っても、2018年も始まってまだ間もなく、今年はまだ2本しか観てないので、
その2本で比較的ダメな方が本作だっただけということもありますが、
あと11か月少しの間に本作より不出来な映画に出会うことはない気がします。
評判が悪いのは知っていたので地雷を踏みに行ったようなものですが、
まさかここまで出来の悪い作品だったとは予想外です。
全米ボックスオフィスは初登場2位でしたが、順位だけ聞けば上出来だけど、
ディザスター映画で初週興収1300万ドルはかなり厳しいでしょう。
製作費1億2000万ドルなのに全米総興収は3300万ドルに留まり大赤字です。
ただ中国で全米興収を遥かに上回る大ヒットしたので、
海外興収で赤字は取り返せたみたいですが…。
中国に媚びる内容だったのが功を奏しましたね。

本作でメガホンを取ったのは、本作が初監督となるディーン・デヴリン。
彼は本作の製作と脚本も兼任しています。
新人監督なので全く知りませんが、経歴を観る限り、
ディザスター映画の巨匠ローランド・エメリッヒの弟子みたいな感じかな?
『インデペンデンス・デイ』やエメリッヒ版『GODZILLA』の脚本をはじめ、
多くのエメリッヒ映画に製作、脚本で参加しているみたいです。
そんな彼がメガホンを取ればディザスター映画になるのは必然ですが、
駄作になるのもある意味必然かもしれません。
エメリッヒも駄作を量産しがちな監督でしたからね。
ただエメリッヒ映画は物語は不出来ながらも映像がハイセンスでしたが、
デヴリンは映像センスもないみたいで、ただエメリッヒの真似をするだけ。
しかも質も低下している劣化版エメリッヒです。
こんな人に超大作を撮らせるなんて正気じゃないです。

本作はディザスター映画ですが、デヴリン監督が本当に描きたかったのは
災害に見舞われた人間模様などではないと思われます。
おそらくトランプ政権批判だったのではないかと思われます。
ハリウッドの業界人の多くは反トランプであり、彼も御多分に漏れずで、
得意分野(と思い込んでいる)ディザスター映画の体裁を取って
反トランプ映画を作ろうと考えたのだろうと思います。
しかし悲しいかなそれを実現する腕がなく、ディザスター映画としても
トランプ政権批判としても中途半端な仕上がりになってしまい、
一体何がしたいのか伝わり難い作品になってしまっています。
私も下手すると気付かなかったかもしれません。

物語の舞台は近未来、温暖化が進みまくった地球です。
今思えばこの世界設定自体が京都議定書を脱退したトランプ批判ですね。
ただ2019年時点で大災害が続発して生活が脅かされるほど
温暖化が進行しているのですが、いくらなんでも進行早すぎるでしょ。
今後アメリカが京都議定書無視して温室効果ガス排出しまくったとしても
来年に地球が滅亡一歩手前になるほど温暖化はしないかと…。
架空の災害が題材のディザスター映画はSFとはいえ、
ある程度の説得力というかリアリティは必要だと思うのですが…。
ここからのSF展開が更に荒唐無稽で、温暖化に切羽詰まった人間たちは
なんと気象を自由にコントロールできる人工衛星を開発しちゃいます。
そんな夢のマシーンが一朝一夕に作れるはずありませんが、
それを作ったのが米中をリーダーとした17カ国(日本含む)の国際チームで…。
温暖化の二大巨悪であるアメリカと中国が中心だなんて…。
しかもその衛星「ダッチボーイ」はアメリカが管理するんですよね。
そんなこと中国が容認するはずはなく、あり得ない設定です。
中国を中心に据えることで中国人客に媚びるためだけの設定ですね。
ちなみに「ダッチボーイ(オランダ少年)」というネーミングは
オランダの少年が堤防に指を突っ込んで決壊を防ぎ凍死したという
都市伝説が由来ですが、正直ちょっと微妙です。

ある日、アフガニスタンの砂漠の村が冷気に襲われ、
村人300人が瞬時に凍結するという謎の異常気象が発生します。
それはどうやらダッチボーイの異常が原因のようなのですが、
もはやそんな冷凍ビームのようなSF的現象は気象と呼べるものではなく、
気象を操るダッチボーイでも出来るわけないと思うのですが…。
(というか出来るように設計した奴は頭がおかしい。あ、主人公か。)
それ以前に、なぜアフガニスタンは砂漠のままなのか。
気象が操れるなら、砂漠も緑化されていそうなものだけどね。
更に香港でも地中から複数の火柱が立ち上り、地割れで都市が崩壊します。
どうもダッチボーイの異常で高温になってガス管破裂したそうですが、
地表にいた中国人たちは別に暑そうにしてなかったけど?
地中の中だけ高温になるなんてどんな気象現象なんだろう?
ただ色んな災害を詰め込みたくて、無理やり地割れを捻じ込んだだけでしょう。

ダッチボーイの異常を隠蔽したいアメリカ政府は
ダッチボーイを管理する国際宇宙ステーションに
ダッチボーイを製作したアメリカ人技術者ジェイクを修理に向かわせます。
しかし(中国に媚びを売るために登場した)賢い中国人研究者チェンが
香港での大災害はダッチボーイが原因だと突き止めるのですが、
謎の黒服に口封じのために暗殺されてしまうのです。
どうやらダッチボーイの異常は、何者かが意図的に起こしているようです。
この展開にはちょっと興醒めですね。(もともと大して興はないが…。)
ディザスター映画というのは天災だから怖いし興味深いのであって、
黒幕がいる人災だと、単なるSFアクション映画になってしまいます。

宇宙ステーションで故障の原因を調査していたジェイクも
ダッチボーイがウイルスに感染しているのを発見し、人為的なものだと確信。
彼はダッチボーイ異常の黒幕がアメリカ大統領に違いないと考え、
国務省に務める弟マックスに大統領を探るように伝えます。
アメリカ大統領が黒幕なんてハリウッド映画は珍しく、
ここで私も本作が反トランプ映画ではないかと勘付きました。
本作の主人公ジェイク役にジェラルド・バトラーをキャスティングしたのも、
彼が『エンド・オブ・ホワイトハウス』『エンド・オブ・キングダム』の主演だからで、
『エンド・オブ』シリーズでは大統領を助ける役だったバトラーに
大統領を敵視させ、もはや大統領は味方ではなく敵だと言いたいのでしょう。
そういえば今年観たもう一本の映画『キングスマン』でも
大統領が敵視されていましたが、反トランプ派が多いハリウッドでは
大統領を敵視(軽蔑)する物語がトレンドなのかもしれません。

都合がいいことに弟マックスの恋人サラは大統領のシークレットサービスで、
彼女の手引きで大統領が演説するオーランドの民主党全国大会に潜入します。
あれ?民主党?
反トランプなら共和党の大統領にすればいいのに妙だな?
…と思ったら、実は大統領は黒幕ではなかったのです。
真の黒幕は大統領の側近の警備担当デッコムでした。
彼はダッチボーイでオーランドを攻撃し、大統領を落雷で殺そうとします。
滅茶苦茶な殺害方法で当然失敗しますが、もっと滅茶苦茶なのは動機で、
なんと彼は民主党大会を攻撃すれば大統領や大統領候補者が全員死に、
自分が大統領になれると考えたみたいなのです。
デッコムが副大統領とか下院議長というならまだわかるが、
大統領の警備担当風情が大統領継承できるわけないだろ…。

それにアメリカ大統領になるためにダッチボーイで外国を攻撃する意味は?
香港以外にもリオ、ムンバイ、モスクワ、ドバイなどを異常気象で攻撃。
東京銀座にも巨大な雹を降らせて攻撃しますが、
世界一の親米国家で同盟国の日本を攻撃して何の得があるのか?
おそらく本作はそんな国際関係の考証などは全く度外視しており、
その世界の都市で異常気象が起こるシーンを撮りたいだけなのでしょう。
中国、ブラジル、インド、ロシア、UAE、そして日本は世界有数の映画消費国。
そこを舞台の一部にすることで海外興収を稼ごうと目論んだだけでしょう。
日本で流された予告編は銀座のシーンが沢山使われており、
それで日本人客を誘引するつもりなのは明白ですが、作中の日本シーンは
予告編で使われているもので全てなので騙されないように。
てか、震災も津波も乗り越えた日本が雹くらいで壊滅しないだろ。
てか、「1.17」の翌々日にディザスター映画を日本公開するかね?
(たぶん「119番」と掛けているのだろうとは思いますが。)

デッコムはあからさまに怪しい奴だったので、
こいつが黒幕というのは当たり前すぎる展開ではあるものの、
反トランプ映画のはずなので大統領が冤罪だったのは意外だったかも。
もしかしたら反トランプ映画じゃないのかもしれないな、とも思い始めますが、
終盤のあるシーンで、やっぱり反トランプ映画だと確信しました。
ジェイクはウイルスに感染したダッチボーイを正常に戻すため
再起動するのですが、ウイルス感染した宇宙ステーションが自爆モードに。
彼は間一髪ダッチボーイに乗り込んで爆発する宇宙ステーションから脱出し
宇宙を彷徨うことになるのですが、あるシャトルに救出してもらえます。
そのシャトルに乗っていた宇宙飛行士がメキシコ人で、
彼は感謝するジェイクに対して脈絡なく「メキシコに感謝しろ」と言うのです。
これは明らかにトランプのメキシコ政策に対するメッセージでしょ。
それならそれで、やっぱり大統領を黒幕にしておいた方が
反トランプのメッセージは伝わりやすいと思うのに、一体何がしたいのか…。

ダッチボーイも正常化してジオストーム(世界的壊滅的災害)の危機は去り、
主人公ジェイクも地球に帰還できてめでたしめでたし、で終わりますが、
地球温暖化は解消されたわけじゃなく、これからもアメリカ管理下での
ダッチボーイ頼が続くわけで、根本的には何も解決してません。
それに異常気象を阻止する過程で相当数のダッチボーイ(及び交換衛星)が
破壊されたはずなので、再起動しても元の状況に戻るはずありません。
他にもダッチボーイのメカニズムとか、チェンがなぜ真相に気付いたのかとか、
ジェイクとマックスの危機感ない兄弟ゲンカとかツッコミどころだらけで、
ここまで出来の悪い脚本はなかなかお目にかかれません。
これでデヴリン監督がハリウッドから干されるのは間違いないでしょう。

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