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西遊記2 妖怪の逆襲

京都アニメーションの『映画 聲の形』の中国公開が始まったそうです。
日本では昨年、約120館で公開され約23億円の興収をあげたそうですが、
中国の映画市場は凄まじく大きく、約3000館で公開されるらしく、
日本映画なのに日本とは比じゃないほどの興収を叩き出すでしょう。
昨今では『STAND BY ME ドラえもん』なんかも日本でも大ヒットしたのに
中国興収の方が圧倒的に高かったですからね。
外貨稼ぐのはいいけど、今後の日本映画、特に日本のアニメ映画が
中国でのヒットを狙って中国贔屓の内容になりそうなのが心配です。
ただ、中国は外国映画の公開本数を制限している(たしか年30本くらい)ため、
ハリウッド映画と競って日本映画がその枠を取るのは厳しいはずで、
奇しくも規制のおかげで日本映画を中国贔屓になり難いかも。
しかし『映画 聲の形』みたいな駄作に貴重な枠を使ってしまうなんて…。

ということで、今日は中国映画の感想です。

西遊記2 妖怪の逆襲
Journey to the West The Demons Strike Back

2017年9月8日日本公開。

前回の『カンフー・パンダ3』の感想記事でも「中国嫌い」と明言しておきながら、
中国映画を観に行ってしまいました…。

というのも、前作がそれなりに面白かった記憶があるんですよね。
前作『西遊記 はじまりのはじまり』は当時、中国歴代興収第1位の作品で、
『ドラゴンボール』の作者・鳥山明が絶賛していたので観に行きました。
余談ですが、2013年に公開された前作の中国興収は約200億円でしたが、
それから中国の映画市場は急成長し、現在の中国歴代興収1位の作品は
なんと800億円を超えているみたいで凄まじいです。
ハリウッドが日本を無視して中国に媚び売るのも仕方ないな。
本作も前作越えの中国興収を叩き出してますが歴代10位にも入らなそう。

話は戻って、前作がなかなか面白かったので本作も観たわけですが、
いざ観てみると「あれ?ほんとに前作観たっけ?」と思ってしまいました。
それもそのはず、なんとキャストが大幅に変更されてるんですよね。
玄奘(三蔵法師)、孫悟空、猪八戒、沙悟浄の主要4人までも総取っ換えです。
前作から3年しか経ってないのに、こんなにキャストが変わるなんて驚きですが、
中国映画では普通にあることなのかな?
中国俳優のことは全く詳しくないので降板劇の原因は全くわかりませんが、
玄奘役が韓流アイドルグループの中国人メンバーらしいので、
売り出し中の若手俳優に変えたってことなのかも。
オリジナルキャラの段を演じる女優だけ続投していますが、
段は前作で死んでいるため、本作では回想などで少し出てくるだけでした。
『西遊記2』と言っても西遊記映画は他にもいくつかあるので、
『西遊記 はじまりのはじまり』の続編とは知らずに観る人もいるかも。

キャスト変更による違和感で出足を挫かれながら観始めたのも影響してか、
なんだかあまり面白いとは思えませんでした。
前作ほどの勢いを感じないというか何というか…。
前作は妖怪ハンターの玄奘が、孫悟空ら妖怪を退治して仲間にし、
天竺に旅立つところで終わる物語でしたが、原作を大胆にアレンジしていて、
そこが興味深かったのに、本作は玄奘一行が天竺の旅の途中で
妖怪を退治するという、ありきたりな西遊記の物語で退屈でした。
孫悟空も前作では禿げ散らかした小さいオッサンで斬新でしたが、
本作では普通に猿の妖怪になって面白味がなくなったし…。
(玄奘も前作でボサボサな髪を孫悟空に毟られて坊主になってるし。)
猪八戒と沙悟浄はキャストは変わっても概ね個性的だった前作のままで、
そこはよかったですが、孫悟空が強すぎて活躍の場がなく…。
もっと風変わりな西遊記を期待したのでガッカリです。
以下、ネタバレ注意です。

孫悟空、猪八戒、沙悟浄を弟子にして天竺を目指す玄奘一行は、
どういうわけかサーカス一座になっており、
玄奘は弟子の妖怪たちを見世物にして小銭を稼いでいました。
ところが孫悟空が反抗的で大暴れし、一座に大迷惑を掛けます。
そんな時は玄奘が孫悟空を強制的に躍らせる歌を歌います。
そういえば彼はわらべ歌で妖怪を改心させる妖怪ハンターでしたね。
原作のように呪文で緊箍児を締め付けることは出来ないみたいです。
というか緊箍児は孫悟空本人でも簡単に着脱できるようで…。
歌で踊らされるのは緊箍児の能力だと思われ、それを脱げば解放されるけど、
それならどのように玄奘が弟子たちの暴走を食い止めているかといえば、
大日如来の掌底「如来ゴッドハンド」をいつでも使えるふりをして、
大日如来を恐れる弟子たちに自重を促しているのです。
もちろん大日如来を召喚しなくてはならない「如来ゴッドハンド」は
玄奘が自由に使えるような技ではなく、弟子たちを騙しているわけですね。
緊箍児含め、いろいろな妖怪退治グッツは持ってるみたいですが、
玄奘自身には何の力もないみたいです。

サーカス一座から抜けて旅を続ける玄奘一行は、
山奥である屋敷を見つけ、屋敷の女主人に夕飯を御馳走になります。
その屋敷は若い美女ばかりで明らかに怪しいですが、
案の定、妖怪・絡新婦で、玄奘が逆に彼女たちの夕飯になりかけます。
あ、絡新婦は日本の妖怪だから、彼女たちは単に蜘蛛女と呼ぶべきか。
孫悟空は始めから彼女たちが妖怪だと見抜いており、
蜘蛛女をブッ倒して玄奘を助けます。
面白いのは猪八戒が倒した蜘蛛女をレイプしようとするところですね。
好色の彼ですが女だったらブスでも妖怪でも見境ないみたいです。
沙悟浄は蜘蛛女の毒で妖怪の姿に戻ってしまうのですが、
日本では河童として描かれることが多いけど河童も日本の妖怪。
本来は水妖で、本作では巨大な怪魚として描かれています。
人間モードは不細工なオッサンですが怪魚モードはちょっとかわいい。

蜘蛛女を倒した玄奘一行は比丘国に到着します。
彼らは比丘国の女大臣・九宮真人の歓迎を受け、国王に謁見することに。
国王は若返りの薬を飲んだらしいのですが、若返ったというよりも
中身が子供に退行したみたいで、ワガママ放題です。
国王は玄奘に「芸を見せないと首刎ねる」と無茶振り。
芸がない玄奘は困りますが、「服従シール」なるアイテムを使って、
孫悟空が玄奘の体を操って演舞を披露します。
演舞なんて子供が喜ぶわけないだろ、と思いきや国王は大喜び。
しかしそんな国王に孫悟空に操られた玄奘は日野皓正なみの往復ビンタ。
すると国王は火を吹き、正体を現して妖怪・紅孩児になります。
原作では牛魔王と羅刹女の息子として有名な紅孩児ですが、
本作ではそんな設定はなく、機械の体を持った子供人形って感じです。
見た目は紅孩児というよりもナタ太子っぽい印象を受けますね。
なかなか強い紅孩児でしたがそれでも孫悟空の敵ではなく、
倒されて玄奘のアイテムに封じ込められ、九宮真人が管理することに。
本物の国王も発見され、玄奘は褒美として宮中の女3000人が与えられます。
玄奘は天竺への旅に女は邪魔だと丁重にお断りするのですが、
全員ブスなので断りたくもなりますよね。
彼女たちは国王の側室なのですが、別に国王もブス専なわけではなく、
ブスな側室は要らないから玄奘に押し付けようとしたのかも。
ブスな側室ばかりで不満が溜まる国王ですが、
なぜ美人すぎる大臣・九宮真人には手を出さないのか不思議です。

ところが3000人のブスの側室の中にひとりだけ美女がいて、
玄奘は彼女に段の面影を見て、その美女・小善だけ引き取ることにします。
比丘国を旅立った後、道中イチャつく玄奘と小善が気に入らない孫悟空は、
小善が玄奘を喰うために近づいた妖怪ではないかと疑うのです。
妖怪退治アイテム「魔映し鏡」で確かめるも彼女が妖怪という証拠は出ず、
「妖怪なら家族はいないはずだ」と実家に連れて行くように要求します。
小善は一行を故郷の河口村に案内し、両親や兄弟を紹介します。
それでも納得せず、彼女を妖怪だと罵る孫悟空に痺れを切らした玄奘は、
孫悟空を破門してしまうのです。
玄奘を心配して小善を疑ってるのに破門された孫悟空はブチギレ、
彼女の家族を含む河口村の住民を皆殺しにしてしまいます。
玄奘は悪い妖怪だった時の孫悟空に段を殺されているのを根に持ち、
また小善が孫悟空に殺されるのではないかと懸念したみたいです。
原作でもそうだけど、玄奘と孫悟空の意見が分かれた時は
だいたい孫悟空の方が正しく、やはり小善も妖怪でした。
小善は白骨夫人という妖怪ですが、昨年公開された別の三国志映画
『西遊記 孫悟空vs白骨夫人』ではボス敵として登場した有名な妖怪です。
ところが本作の白骨夫人こと小善は、山賊にレイプされて死んだ女の霊で、
ただ単に玄奘に恋をして付いてきただけで敵意はないようです。
孫悟空の読み通り妖怪ではあったものの悪い妖怪ではなかったわけですね。

怒りが収まらない孫悟空は『ドラゴンボール』の孫悟空のように大猿化し、
玄奘を飲み込みます。
そこに紅孩児を引き連れて九宮真人が現れるのです。
案の定、九宮真人も妖怪で、彼女は妖怪解放運動をしており、
妖怪の孫悟空が人間の玄奘に反旗を翻すように玄奘に小善を与えたようで、
孫悟空が玄奘を丸飲みしたことを喜びます。
しかしその直後、孫悟空は玄奘を吐き出すのです。
玄奘と孫悟空の仲違いは九宮真人を誘き出すための狂言芝居だったのです。
玄奘は単なるエロ坊主かと思ったけど、なかなか知恵者ですね。
ただ何も知らずに双方から利用された小善はちょっと気の毒ですね。
あとで玄奘に成仏させてもらいますが。

大猿化したフルパワーの孫悟空は紅孩児を瞬殺しますが、
九宮真人は大猿化した孫悟空以上に巨大な如来呼び出して対抗。
しかもそんな巨大如来を三体も呼び出すんだから堪りません。
しかし玄奘も負けじと宇宙規模の大日如来を呼び出すのです。
「如来ゴッドハンド」に捕まった九宮真人は正体を現します。
その姿は九頭のイヌワシで、原作の九頭駙馬がモデルでしょうね。
これぞ他力本願でボス敵を倒して一件落着。
玄奘一行は再び天竺目指して旅立ち、めでたしめでたしです。

前作に比べると評価はイマイチですが、中国で200億円越えのヒット作だし、
更なる続編が作られるかもしれませんね。
牛魔王とか金閣・銀閣とか有名妖怪も温存しているように思えるし…。
でも本作同様、妖怪を倒しながら旅をする話では退屈なので、
続編で天竺に着いて完結するのであれば観てもいいかな。
またキャストも変わって違和感を覚えるかもしれないけど…。

関連作の感想
西遊記 はじまりのはじまり

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