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きみの声をとどけたい

24時間テレビが始まったみたいですね。
ちゃんと見たことはないんですが、これが始まると、
「もう夏休みも終わりかー」という気持ちになり、憂鬱になります。
そもそも私に夏休みなんてないんですが、子供時代の刷り込みか。
サザエさん症候群ならぬ24時間テレビ症候群です。
あー、憂鬱だ。

ということで、今日は夏休みが舞台の映画の感想です。

きみの声をとどけたい
きみの声をとどけたい

2017年8月25日公開。

本作は『時をかける少女』や『サマーウォーズ』でお馴染みの
マッドハウス製作のアニメ映画ですが、あまり宣伝もされてないのか、
予告編も観たことがなく、ほとんど情報が得られませんでしたが、
原作がないオリジナル作品なのに惹かれて観に行きました。
ちょうど一年前に公開されて記録的大ヒットした『君の名は。』もそうですが、
オリジナル作品は比較的佳作率が高い気がするんですよね。
でも原作がないから知名度も低く、ちゃんと宣伝しないと集客は難しく、
私が観た劇場では夏休みで公開初日だというのに9割以上が空席で…。

配給の東北新社にはアニメ映画を配給する印象がありませんでしたが、
アニメ映画の宣伝のノウハウがなかったのかな?
巷では声優ブームなんて言われてますが、東北新社もそれに肖ろうと、
女性声優ユニット育成プロジェクト「キミコエ・プロジェクト」なるものを立ち上げ、
若手女性声優を対象にオーディションを行い、それを勝ち抜いた合格者6人に
アイドル声優ユニット「ON AIR」を組ませて、本作に主要キャストに起用してます。
声優ブームなんて言われている反面、昨今の日本のアニメ映画は
タレントや俳優を主要キャストに起用することが多いけど、本作は声優、
しかも知名度ゼロの新人声優を起用するという時代に逆行する方針です。
私は声優に疎いので、キャラに合ってさえいればタレント起用の方が好きですが、
やっぱり宣伝的にも若手声優起用はかなりマイナスだったと思います。
主要キャラは7人いて、そのうち6人が「ON AIR」ということでしょうが、
誰がそうなのかはわからないけど、やはり若手で経験不足なのか、
似たり寄ったりで個性がない声だなという印象を受けました。
「ON AIR」は歌手活動など様々なメディアでの活動を想定しているそうですが、
初主演作の本作のヒットが見込めなさそうなので、これで解散かな。
声優育成、アニメ映画配給とか、東北新社も慣れないことをするもんじゃないな。

ただ、アイドル声優映画のわりにはけっこうちゃんとした物語で、
誰が観てもそれなりに楽しめそうな作品に仕上がっています。
人気俳優を起用してゴリゴリに宣伝してる東宝の『打ち上げ花火』なんかより、
よっぽどオススメできる良質な作品ではないかと思います。
企画の出発点が声優育成なので、やはり声がテーマになりますが、
ミニFMというのが今までありそうでなかった題材で興味深かったです。
ミニFMとはいえ仲間とラジオ局を開局するなんて展開はワクワクします。
主要キャラが全員女の子で、変に恋愛を持ち込まず、
友情物語として仕上げていることも好感が持てました。
以下、ネタバレ注意です。

日ノ坂という架空の港町が舞台の本作ですが、
「日ノ電」なる路面電車が走ってたりと、モデルは江の島っぽいです。
それなら観光宣伝にもなるし江の島が舞台でいい気がしますが、
わざわざ架空の町にした理由がちょっと気になりますね。
その町の日ノ坂高校に通う高校2年生ナギサは、幼い頃に祖母から
「言葉には魂が宿っていて、それを言霊という」
「願いは口にすれば必ず叶うし、悪口は必ず自分に返ってくる」と教えられ、
それ以来、言霊がオーブのような球状の光体として見えるようになります。
こんなことが出来るなんて完全に特殊能力者でファンタジーな設定ですが、
ただ言霊を信じているというだけでも成立する物語だったので、
こんなファンタジーはリアリティを削ぐだけの余計な設定だと思いました。

夏休み、ラクロス部の部活の帰りに雨に降られたナギサは、
閉店した喫茶店「アクアマリン」の軒下で雨宿りするのですが、
そこにアマガエルが来て、ナギサを誘うかのように店内へ。
店内には大量のレコードとラジオの放送機材が置いてあり、
ナギサは雨宿りの暇潰しにラジオDJの真似事をするのですが、
なんとそれが電波に乗っていて放送されてしまうのです。
更に調子に乗ってリスナーからメールの募集までします。
まぁ所詮ミニFMなので半径100メートくらいにしか届いてないし、
そこに周波数を合わすリスナーも皆無だと思われましたが、
ひとりだけたまたま聴いてた人がいて、その唯一のリスナーからメールが。
そこには「それは死んだ母のラジオ局だ、不法侵入で訴えるぞ」的な文面で、
どうやらこのリスナーはこのミニFMを開局したラジオDJの娘のようです。
こんなメールが来たら普通はビビッて、もう関わらないでおこうと思うものだが、
ナギサは逆に興味が沸いて、このリスナー探しを始めるのです。
ちょっと考え難い展開ですが、なにしろ言霊が見える変な子だしな。

近所の商店街で聞き込みしたところ、昔放送していたラジオDJは朱音といい、
12年前に交通事故に遭って今も意識不明で近所のリハビリセンターに入院中。
ナギサはお見舞いに行きますが、朱音の病室に置いてあったラジオから、
アクアマリンからの放送が流れてくるのです。
その放送は朱音の娘が母に向けて呼びかける内容で、
ラジオから言霊が現れるのを見たナギサはアクアマリンにダッシュ。
娘に「お母さん生きてるのに、死んだなんて言っちゃダメ」と泣きながら説教。
ナギサは言霊を信じているのでネガティブな言葉を忌み嫌う反面、
ポジティブな言葉は叶うと思っているので、朱音に向けて放送することで、
意識を取り戻す可能性があると力説して娘の紫音を説得し、
二人で朱音のためのラジオ番組を放送することになります。
そんな私的なことに公共の電波を使っていいのかと思ってしまうけど、
ミニFMは無許可で放送でき、私的利用してもいいみたいですね。
もしかしたらウチの近所でもやってる人いるのかも?

二人はラジオ番組「言霊ラジオ」(なんか怖いタイトル)を始めますが、
友達のことなどを話すナギサに対し、紫音は「何も話題がない」と…。
なんでも彼女は友達がいないらしく、ナギサは「それなら作ればいい」と、
自分の親友のカエデと雫を紹介し、4人でラジオをすることになります。
紫音があっさり2人を受け入れたのは意外でした。
女子高生4人のトークなので、学校のお喋りの延長線上のようなものだし、
どうせ誰も聴いてないだろうと思われましたが、またリスナーからメールが。
しかも「あなた達はラジオがどういうメディアかわかってない」という苦情です。
ナギサたちは無視しますが、そのリスナーはアクアマリンまで乗り込んで来て、
4人にラジオの何たるかを強引にレクチャーするのです。
そのリスナーはたまたま放送を聴いた同じ学校のアヤメという女の子ですが、
たぶんラジオ好きで、要は仲間に入りたかったみたいですね。
ラジオでは身振り手振りは伝わらないとか既存曲には使用料が発生するとか
けっこうガチのレクチャーをしてくれ、彼女も仲間になってもらうことに。
それにしてもせっかく沢山レコードがあるのに流せないなんて勿体ないですね。
クラシックなんだし、ミニFMなんだから別にいいじゃないかと思っちゃうけど、
あの著作権ヤクザのJASRACは許してくれないんだろうな。
既存曲は使えないため、アヤメの提案でオリジナルのジングルと
著作権ヤクザの管理下にない自分たちで唄うオリジナル曲を作ることになり、
彼女の知人のミュージシャン乙葉に作曲を依頼します。
ごく私的なミニFMにそこまでする必要ないとも思うけど、
どんどんラジオ局として形になっていく過程はウキウキしますね。

更にアヤメは、せっかくならリスナーを増やすべきだと提案し、
ポスターを制作して商店街に配ったり、取材して町の情報を集めたりして、
コミニティFMのような放送になっていきます。
朱音のファンだった電気屋のオジサンも協力してくれて、
FMトランスミッターを設置することで放送圏も広がります。
ただそうしてしまうと公共性が高まり、私的な放送がやり辛くなりそうで、
朱音に言霊を届けるという当初の目的から遠ざかってしまう気もするけど、
単純に多くの人に聴いてもらえる方が楽しいのは間違いないか。
本当に目的のためだけなら電波に乗せる必要なんかなく、
病室でラジオごっこしてればいいだけだしね。

リスナーが増え、公共性が増して私的な放送が出来なくなった、と思いきや、
彼女たちは依然として特定の友達に対する指針なんかにも放送を使います。
ナギサとカエデと雫には、幼稚園からの付き合いの幼馴染・夕がいますが、
夕は地元の名士の孫娘で、七光りでチヤホヤされています。
更に彼女はお嬢様学校・鶴ヶ丘女子のラクロス部に入ったので、
日ノ坂高校ラクロス部のナギサとカエデにとってはライバルとなり、
特にカエデが夕を強烈にライバル視し、嫌うようになりました。
ナギサはカエデも夕も友達なのでみんなで仲良くしたいと思っていますが、
やっぱり七光りのお嬢様なんて不愉快だし、カエデに共感するな。
そんな夕を不愉快に思うのはカエデだけじゃなく、鶴ヶ丘女子のラクロス部員も
彼女が七光りの依怙贔屓でキャプテンになったことが気に入らず、
全員で抗議のために退部届を提出したみたいです。
私としては痛快な展開でしたが、腐っても幼馴染のカエデもこれには同情し、
ナギサと一緒にラジオを通じて夕に「遊びに来いよ」とエールを送ります。
で、実際に会いに来るのですが、案の定カエデと夕はケンカし、
今度は夕とナギサがラジオを通じてカエデにエールを送るのです。
他のリスナーも聴いてるだろうに、そんな身内の恥を晒すなんて…。
そんなことはLINEででもすればいいのにと思っちゃいますね。
それにしても、夕のことはどうにも気に入りません。
ナギサは「夕ちゃんはちゃんと努力もしている」と彼女を庇いますが、
努力が認められるのは名士の孫娘だからですよね。
私としては部活もしながらバイトもしてるカエデの方が努力してる気がします。
七光りのくせに悪びれずに「お爺様を尊敬している」なんて言っちゃうところが、
どこぞの二世タレントみたいで不愉快です。
カエデと和解したところで部員は戻って来ないと思うけど、
鶴ヶ丘女子ラクロス部がどの後どうなったのか気になります。

夏休みもあと一週間くらいになったある日、
ナギサは喫茶アクアマリンがすぐに取り壊されることを知るのです。
なんでも夕のジジイがアクアマリンを買収してコンビニにするそうで…。
ナギサたちは夏休みの間だけでもラジオを続けられないかと夕に頼むが、
紫音は「ラジオごっこは今日で終わり、どうせ母には届いてない」と…。
そしてそのままアクアマリンは解体されてしまうのです。
夏休みの最終日に朱音は別の町に転院することになり、
紫音の父の車でリハビリセンターを発ちますが、車窓を見ていた紫音は、
空に言霊が飛んでいることに気付き、慌ててカーステを入れると、
なんとナギサたちの放送が流れてくるのです。
アクアマリンはなくなりましたが機材は電気屋のオッサンが引き取ったらしく、
ナギサたちはそれを借りて近所の神社の境内にリスナー(ご近所さん)を集め、
ラジオの公開生放送をしていたのでした。
もちろん紫音と朱音に届くことを願っての最後の放送で、
乙葉が作曲したみんなで唄うオリジナル曲を初披露します。
それを聴いた紫音がその曲を口遊むと、言霊が現れて朱音に吸い込まれ、
なんと朱音が意識を取り戻し、めでたしめでたしです。
ただ、これだと朱音が意識を取り戻したのは紫音の生声の影響で、
ラジオはあまり関係なくなっちゃいますね。
テーマとしては「ラジオ放送が起こした奇跡」的なオチの方がよかったかも。
あとナギサたちが神社でオリジナル曲を唄うところに夕も飛び入りしたのも微妙。
この曲はこの時初オンエアだったので、ラジオのメンバーではない夕が
この曲の歌詞を知っているはずないのに、なぜ混ざって唄えてるのか…?
感動的なシーンのはずですが、ちょっと冷めました。

エピローグでは、将来ナギサが本物のラジオDJになったことが描かれます。
ミニFMではなくTFMという局の列記としたラジオDJみたいですが、
東北新社(TFC)製作だからTFMなのか、それともTokyo FMなのか。
もし後者ならエフエム東京で番組できるなんてけっこう凄いですね。
そんなに期待してなかったこともあり、予想外に楽しめた作品でよかったです。
ただやはり映画は観てもらってナンボなので、宣伝とかキャスティングとか、
もっと注目されるように頑張った方がよかったな。

コメント

東北新社は映画の配給より海外ドラマ、アニメの吹替や字幕担当の大手というイメージが強いですね

  • 2017/08/27(日) 07:05:12 |
  • URL |
  • 名無し #-
  • [ 編集 ]

名無しさんへ。

私は東北新社には洋画配給のイメージしかありませんでしたが、
アニメの吹替えなんてこともやってたんですね。
それなら声優育成もあながち畑違いではないのかも?

  • 2017/08/28(月) 21:40:49 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

海外アニメの吹替は基本レベルが高いんですよ。 カートゥーンネットワークとか作品の大半は担当してましたね

  • 2017/08/29(火) 08:35:05 |
  • URL |
  • 名無し #-
  • [ 編集 ]

名無しさんへ。

その高レベルな吹替え制作技術を本作にも活かしてほしかったです。
野沢雅子以外、本当に没個性的でした。
あまり詳しくないけど最近の若手声優は声も演技も画一的に思えるので、
吹替えキャストにタレントが重宝されるのも仕方ないのかも。

  • 2017/08/29(火) 20:40:07 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

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