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打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

今日の気になる映画ニュース。

米ワインスタイン・カンパニーがアニメ部門を設立したそうです。
「ミズチーフ」というレーベル名で、ミズチーフ第一作目となるのが
日本でも公開中のフレンチアニメ『フェリシーと夢のトウシューズ』。
つまり海外で製作されたアニメをアメリカで公開するという部門かな?
ミズチーフ二作目は中国製作のアニメ映画になるみたい。
大好きなハリウッド・アニメの制作会社が増えるかと期待したんだけど、
ちょっと思ってたのと違うかもしれませんね。
まぁ独立系映画会社のアニメ映画では、どうせ日本公開も難しいし、
日本人にはあまり関係ないニュースなのかな。

ということで、今日はアニメ映画の感想です。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

2017年8月18日公開。

岩井俊二原作ということで気になっていた本作ですが、
なんだか狙いすぎで滑ったラノベみたいなタイトルで、
なぜこんなタイトル付けたのだろうと不思議に思ってたのですが、
もともと『if もしも』の中の一話をアニメ映画化したものだったんですね。
どうりで劇中の地名を「茂下神社」とか「茂下灯台」とかにしてるわけだ。
『if もしも』はフジテレビで90年代に放送されていたテレビドラマで、
タモリがストーリーテラーとして登場していたことからもわかるように
『世にも奇妙な物語』の流れを汲むオムニバスドラマでした。
当時私は小学校高学年か中学生だったと思いますが、
『世にも』が好きだったこともあり、けっこう見ていたテレビドラマです。
それほど熱心に見てなかったのか、内容はほとんど覚えてなくて、
本作の原作となったエピソードも全く覚えてないですが、
物語が主人公の選択により分岐する斬新な構成だったのは覚えてます。
『if もしも』の各エピソードのタイトルが「○○か?××か?」というような
主人公の選択肢を示すものだったので、本作も原作をそのまま踏襲し、
こんな珍妙なタイトルになったわけですね。
珍妙でインパクトはあるが、いまいちピンと来ないタイトルなので、
改題した方がよかったのではないかと思いますが…。
まさか四半世紀も前のドラマのファンにアピールしたいわけじゃないだろうし。

昨年記録的ダイヒットしたアニメ映画『君の名は。』の公開から、
ほぼ丸一年で公開された本作ですが、配給する東宝としては、
本作で『君の名は。』の二匹目のドジョウを狙っていたのは間違いありません。
ジャンルとしても『君の名は。』同様、青春SF映画だし、
キャストも菅田将暉、広瀬すず、そして『アナ雪』の松たか子まで起用し、
超本気のキャスティングで、大ヒットを狙っているのは確実です。
東宝は「興収40億円も視野に」なんて豪語してたみたいですが、
初週末のランキングは3位、週末興収は3億円に届かず、
最終興収はせいぜい15億円くらいになりそうな見込みです。
私はTOHOシネマズで観賞しましたが、大きなスクリーンが宛がわれているのに
客はまばらで、寒々しい印象を受けてしまいました。
(実際に大きい劇場で客が少ないと空調が利きすぎて本当に寒い。)
なぜ出だしで躓いたかと言えば、宣伝に失敗で期待を煽れなかったからでしょう。
もちろん、このピンとこないタイトルも問題アリだと思いますが、
最大の失敗は予告編の出来だと思います。

どんな予告編なのか簡単に言えば、超ヒロイン推しです。
ヒロインの女子中学生のスク水シーンとかをふんだんに使って、
「この可愛い女の子をもっと見たいでしょ?」的な印象を受けました。
なんというか、まるで萌えアニメの番宣みたいな予告編なんですよね。
こんなのに釣られるのはせいぜい男子中学生か二次元オタクだけで、
(イケメン男子の水着シーンもあるので腐女子も釣られるかな?)
内容を重視する大人からは敬遠されそうな予告編です。
実際、私が観た劇場でも、まばらな客はほぼ学生で、
岩井俊二に釣られた30代の私はかなり場違いな感じでした。
もっと広い世代に訴求できる予告編にしたらいいのに、
なんでこんな萌えアニメみたいな映像にしちゃったんだろう、
と思ったのですが、本作を観て納得しました。
本当に単なる萌えアニメだったんですよね…。

『傷物語』『魔法少女まどかマギカ』の製作会社と総監督による作品で、
この布陣であればオタク向けアニメになるのはわかり切っていたのに、
私は如何せん日本のアニメ業界に疎いので気付けませんでした。
というか、原作の岩井俊二と脚本の大根仁しか意識してなくて、
この2人が関わったアニメ映画なら間違いないものになるはずだと思い込み…。
しかも岩井俊二は原作者というだけで、本作にはほとんど関わってないみたい。
原作の『if もしも』のエピソードをほぼ覚えてないので何とも言い難いが、
内容もかなり改変されてしまっているみたいです。
もともと奇抜な構成のドラマが原作だから、それを映画化するためには
ある程度改変する必要があるのはわかりますが、本作の改変は
映画化のための手段ではなく萌えアニメ化のための手段です。

伝え聞いた大きな改変ポイントとして、
原作では小学生だった主人公やヒロインを中学生に改変しているそうです。
ところが彼らの行動や考え方は小学生のままなんですよね。
例えば劇中で頻出する「打ち上げ花火を横から見ると丸いか平べったいか」
なんていう討論は、小学生ならまだしも中学生はしないでしょ。
打ち上げ花火が平べったいなんて思ってる中学生がいるのか?
他にもヒロインは引っ越しが嫌で主人公と駆け落ちしようと考えるのですが、
そんなことを中学生が本気で考えてたらかなり痛い子です。
これらは小学生だから成立する発想だと思うんですよね。

ではなぜ違和感を生むのにわざわざ中学生に改変したか、ですが、
これは単純に萌えアニメにするためにヒロインに成長してもらう必要があった、
もっと直接的に言えば発育させてエロくする必要があったからです。
まぁ女子小学生のスク水の方が興奮できるロリコンも多いでしょうが、
仮にも一般向け作品なので小学生を性的対象として扱うことは出来ず、
中身は小学生のまま中学生の設定にしてしまったのでしょう。
萌えアニメお決まりのセクシーハプニングもけっこう描かれてるしね。
私は別に萌えやエロがダメだと言っているわけではなく、
それに走ることで物語に違和感が生じるのが問題だと言いたいのです。
設定を小学生のままにして、エロを排して描いた方が面白くなると思うし、
もっと広い世代に観てもらえるようになると思います。

ただ萌えアニメであることを度外視しても、決して褒められた脚本ではなく、
これでは『君の名は。』のようなバイラル効果も望むべくもないです。
脚本のどこがダメなのか端的に言えば、古くて時代錯誤なところです。
四半世紀も前のドラマのアニメ化なので古くて当然だと思われるかもしれないが、
そうではなく、わざわざ時代錯誤な改変を行っているのです。
原作ドラマは前述の通り、主人公の選択によって物語が分岐し、
分岐した2つのルート、バッドエンドとハッピーエンドのルートが
別々に描かれるという構成でした。
しかし本作はバッドエンドになった主人公が分岐地点まで戻るという構成で、
所謂「ループもの」と呼ばれる物語の類型に属します。
「ループもの」は一昔前(ゼロ年代)に流行り、飽きるほどやり尽くされたもので、
2017年にもなってまだこんなことをやってるなんて時代錯誤で正直ダサいです。
タイトルも『時をかける少年』にでもしたらいいと思うほど既視感が強いです。

「ループもの」は古いとはいえ、実際は『君の名は。』でも一部使われており、
本作も大ヒットを狙ってそれに肖ろうとしたのかもしれませんが、
隕石で何百人も死ぬことをループで回避した『君の名は。』に比べ、
本作は駆け落ちを計画したヒロインが母親に連れ戻されるのを回避するため
何度もループするという内容で、後発なのにスケールが小さすぎるというか、
そもそも子供の駆け落ちなんて成功しない、連れ戻されて当然だと思うので、
ループして回避しようと頑張る主人公に対して全く応援できません。
というか、心底どうでもいい物語だと思えちゃうんですよね。
ループで改変された世界は現実ではないというような演出もあるので、
どうせ(不毛の極みである)夢オチみたいなものだろうと思えてしまうしね。
あとループに使う謎のビー玉(もしも玉というらしい)の由来なんかも
最後まで謎のままで、なぜループできるのかわからないし…。

中学生化やループものなど、本作を台無しにしているのは改変であり、
これは脚本を務めた大根仁の責任です。
岩井俊二の原作がいくら優れていても、こうも脚色がクソでは…。
自身の実写作品を基にしたアニメ映画『花とアリス殺人事件』のように、
本作も岩井俊二自身にメガホンを取ってもらったらよかったのに…。
興収40億円は無理でも、本作よりはマシな作品になったはずです。

あと『君の名は。』の大ヒットを受けて突貫で作られたからかもしれないが、
CGIをトゥーンレンダリングしたセルルックによるキャラの動きがキモいです。
まるで人形のようで、不気味の谷に完全に嵌っています。
『ゴジラ 怪獣惑星』なんかでも使われているセルルック技術ですが、
はじめは面白いと思ったけどちょっと苦手かも…。
セルルックよりも普通にセルアニメかCGIアニメの方が楽しめます。
きっと簡単に作れるからセルルックアニメが増えてるのでしょうが、
つまり安易に作れるセルルックアニメは地雷率が高いということか。
これは『ゴジラ 怪獣惑星』も期待できなさそうだ…。
大ヒット作『シン・ゴジラ』の二匹目のドジョウを狙った東宝アニメだし…。

コメント

予告は萌アニメというよりエロゲのPVのようです
内容もエロゲみたいでした

  • 2017/08/25(金) 13:35:34 |
  • URL |
  • 茂下氏 #-
  • [ 編集 ]

茂下氏さんへ。

エロゲかどうかはわかりませんが、
分岐で正しいルートを選択してトゥルーエンドを目指す内容が
アドベンチャーゲーム的な印象はありますね。

  • 2017/08/25(金) 22:40:43 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

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