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フェリシーと夢のトウシューズ

最近の気になる映画ニュース。

アニメ映画『この世界の片隅に』の全米公開が始まったそうです。
昨年公開の日本映画の中でもトップクラスの良作なのは間違いないが、
太平洋戦争下の広島を舞台にした反戦映画で、当然原爆も描かれるし、
アメリカ人感情としてはあまり気持ちのいい内容ではないのではと思い、
日米友好のためにも全米公開するべきではないと思いましたが、
高い評価を得ているようで、とりあえず安心しました。
公開館数も少ないし、映画通が観ているだけだからかもしれないけど。

ということで、今日は全米公開もされるアニメーション映画の感想です。

フェリシーと夢のトウシューズ
Ballerina.jpg

2017年8月12日日本公開。

本作は仏加合作のCGIアニメーション映画です。
『イリュージョニスト』や『リトルプリンス 星の王子様と私』など
フランスのアニメーション映画はクオリティが高いですが、
そもそもアニメ大国の自負からハリウッドアニメ以外に排他的な日本で、
(ハリウッドアニメでもけっこうビデオスルーになるのに、)
劇場公開されること自体が質の高さを物語っていると思います。
フランス語ではなく英語映画として製作されており、
ヒロインの声のキャストは人気ハリウッド女優エル・ファニングを起用し、
世界各国で上映されていて、来週末からは全米公開も始まるようです。
ワインスタイン配給でそこそこ大規模公開されるみたいなので、
全米チャートを賑わせる可能性もあると思います。

しかし全米公開版はなぜかヒロインの相手役の声のキャストが
ディン・デハーンからナット・ウルフに変更されるみたいなんですよね。
ウルフはハリウッド版『デスノート』で主演するなど勢いのある若手ですが、
デハーンの方が知名度ある気がするので何故変えるのか不思議。
演技派で注目された彼ですが、出演作『アメイジング・スパイダーマン2』など
出演作が立て続けにコケたのでアメリカでは干されてしまったのかも…。
まぁ日本では日本語吹替版しか上映されてないので関係ありませんが。
ちなみにオリジナルではファニングが演じているヒロイン役は
朝ドラ女優の土屋太鳳が声を当て、主題歌の歌と作詞も担当してます。
最近の女優・俳優は本当に声の演技が上手いですね。
重要キャラである大物バレエ振付師メラントゥの声を当てているのは、
なんと熊川哲也ですが、最近はバレエダンサーまで声の演技が上手いのか。

『アナと雪の女王』とか『モアナと伝説の海』に倣ったような邦題なので、
ファンタジーなのかなと予想しましたが全然違いました。
もちろんアニメーションならではの非現実的な表現もありますが、
魔法とかは全く出てこないスポ根アニメ映画です。
邦題でもわかると思うけど、原題は『バレリーナ』で、そのタイトル通り
バレリーナを目指す女の子の物語で、どちらかといえば女児向けかな。
客層も女の子のいる家族連れが多かったような印象ですが、
でも登場キャラにとても人間味があり魅力的に描かれているため、
年齢問わず性別問わず、老若男女楽しめる佳作になっています。
正直序盤は駆け足すぎて滅茶苦茶すぎる展開に感じられたので、
「退屈そうな作品だな」と懸念を覚えてしまいましたが、
中盤からはサクセスあり挫折ありの熱い展開で、かなり楽しめました。
『怪盗グルー』『ポケモン』『メアリ』『カーズ』『打ち上げ花火』などなど、
群雄割拠の夏休みアニメ映画戦線ですが、本作も選択肢に加えてもいいかも。
個人的には『怪盗グルー』に次ぐオススメ作品です。
以下、ネタバレ注意です。

フランス、ブルターニュ地方の孤児院で暮らす女の子フェリシーは、
たびたび孤児院を脱走しようとします。
強面の監督官のルターウが厳しかったりもしますが、
そんな酷い環境の孤児院でもないのに何が不満なんだと思っちゃいますが、
彼女はバレリーナが夢で、パリのオペラ座でバレエを学びたいみたいです。
ただオペラ座の存在を知る前から脱走を謀ってましたが、
何のアテもなく脱走してどうするつもりだったのかと思うし、
世話になってる孤児院への恩はないのかと、ちょっと傲慢に思えました。
ビジュアル的に中高生(15~16歳)かなと思ったけど、
設定では小学生(11歳)だったみたいで、ちょっとビックリ。
バレエはそれくらいには始めてないとダメなんだろうけど、
小学生の女の子の物語と思うと、かなり無理があるような気がします。

ある日、フェリシーは友達の男子ヴィクターと一緒に孤児院を脱出します。
ヴィクターも発明家になる夢があり、パリで勉強したいと思っていて、
彼がニワトリを参考に作ったグライダーで空から孤児院を抜け出します。
(上のポスター画像でも確認できるけど、グライダーの素材に日本国旗が?)
でもニワトリは飛べないので案の定すぐに墜落してしまい、
監督官ルターウに鬼の形相で追いかけられますが、貨物列車に飛び乗り、
なんとか撒くことに成功し、2人はパリに到着するのです。
まるで『ALLWAYS』の東京タワーのように、エッフェル塔が建設中だったので、
この物語は現代ではなくちょっと昔が舞台になってるみたいです。
パリ万博の少し前ってことになるから19世紀後半ですね。

パリに到着した2人はイエナ橋の上で逸れてしまいます。
ひとりになったフェリシーは運よくオペラ座を発見して忍び込み、
舞台袖から観た「白鳥の湖」を踊るエトワール(オペラ座のトップダンサー)
ロジータの大技グラン・ジュテに感動し、バレリーナへの憧れが強まります。
しかし警備員に捕まるが、オペラ座の掃除婦オデットに解放してもらいます。
フェリシーは「泊まるとこがない」と宿の世話もお願いするのですが、
オデットは「私は子供は嫌いなのよ」と冷たくあしらいます。
たしかにフェリシーは厚かましいけど、まだ小学生の女の子なんだから
もっと優しくしてあげてもよさそうな気もするし、それならなぜ助けたのか。
オデットは金持ちのル・オー夫人の御屋敷でも住み込みで掃除婦をしており、
人使いの荒い夫人から徹夜で階段の雑巾掛けをするように命令されます。
足が悪く杖で生活しているオデットにとっては大変すぎる作業で、
フェリシーはこれは好機とばかりにお手伝いを申し出て、
彼女の部屋に居候させてもらうことになるのです。
もちろん彼女の部屋は御屋敷にあるけど、よくル・オー夫人が認めたものです。

ル・オー夫人の娘カミーユもバレリーナを志望しており、
母の得意客であるオペラ座学長のコネで入学が許可されたらしく、
入学許可証が自宅に届くのを今か今かと待っている状況です。
仕事中、郵便配達員からカミーユの入学許可証を受け取ったフェリシーは、
なんとカミーユを騙って彼女の代わりにオペラ座に入学してしまうのです。
たしかにカミーユはフェリシーの母親の形見であるオルゴールを
故意に破壊したりと正確にかなり難がある女の子ですが、
バレエに対しては真剣だし、練習熱心で技術も高いので、
いくら仕返しでも彼女を詐称して入学するなんてちょっとヤリスギだし、
あまりに現実的ではない展開だと思ってしまいました。
フェリシーはバレリーナに憧れてるわりにはバレエの知識は全くなく、
基礎中の基礎である五大基本ポジションも知りません。
そもそも粗末な服装で、金持ちのお嬢様には全く見えず、
学長が彼女をカミーユだと誤認してしまうなんて考えられません。
彼女がオペラ座に入らないと物語が進まないのはわかりますが、
この展開はちょっと強引すぎて、リアリティがなさすぎる気がします。

一方、逸れたヴィクターの方にも超展開が訪れます。
彼はパリを徘徊している時に、シルクハットの少年マティーと意気投合。
マティーはエッフェル塔を設計した建築家ギュスターヴ・エッフェルの助手で、
ヴィクターもマティーの口利きでエッフェルに雇ってもらうのです。
大物建築家が10歳そこそこの孤児を雇うなんてあり得ない展開ですが、
ヴィクターもエッフェルのアトリエで新しいグライダーを作っているみたいで、
ロクに助手としての仕事もしてないみたいなんですよね。
フェリシーとは毎日イエナ橋で会って近況報告し合っていますが、
そもそも建築家エッフェル自体、ヴィクターの話の中で出て来るだけで、
その姿は全く描かれなかったのも、ちょっと不思議な感じがしました。
そんな歴史的有名人なら是非登場させたいと思いそうなものだけど…。
ちなみにこの時エッフェルは後にNYへ贈られる自由の女神像も建設中です。
女神像がパリ生まれなのは知ってたけど、エッフェル作だったのか。
そういえば女神像がエッフェル塔と姉妹という話を聞いたことがあるような…。

フェリシーは世界的振付師メラントゥのクラスに所属します。
メラントゥは彼女を努力もせずコネ入学したお嬢様だと思って毛嫌いします。
まぁド素人のフェリシーのダンスを見たらそう思うのも当然でしょうね。
メラントゥは今度エトワールが出演する「くるみ割り人形」のクララ役を
このクラスから選ぶため、毎日ひとりずつ脱落させるルールを作ります。
早くコネお嬢様を追放するために作ったルールだと思われますが、
他の子にしてみたらいい迷惑ですね。
ド素人のフェリシーが最初の脱落者になるのは間違いないと思われましたが、
初日の課題であるスプリッツ(前後の開脚)から自力で立てない生徒がおり、
まずはその子が脱落させられ、フェリシーは首の皮一枚繋がります。
スプリッツなんて(私は出来ないが)バレエの基礎だと思うけど、
それが出来ない子がこのエリートクラスにいるなんて、彼女もコネ入学か。
フェリシーも隣の子の肩を借りて立ち上がってたので自力じゃないが、
ド素人のくせにいきなりスプリッツできるだけでもセンスがあるのかも。

なんとか初日は乗り切ったフェリシーでしたが、ここはオデットの職場。
廊下で鉢合わせしてしまい、成り済まし入学がオデットにバレてしまいます。
自分が世話をしている子が雇用主の御令嬢を騙っているわけで、
オデットにとっては宿と仕事を失いかねない事態。
しかし実はというか予想通りというか、元バレリーナだった彼女は、
バレリーナを夢見るフェリシーの気持ちを理解し、ル・オー夫人に隠したまま、
フェリシーが脱落しないようにバレエの稽古を付けてくれることにします。
朝5時から特訓し、その日の課題をクリアしてしまうのですが、
いくら何でも教えるの上手すぎるだろと思ってしまいます。
なんでもオデットは舞台中の火災事故で怪我をして引退しますが、
元エトワール、いや同世代で最高のダンサーだったそうです。
なので教えるのも上手いのでしょうが、それなら指導者になればいいのに。
職業に貴賤はないし掃除婦を軽んじているわけではないですが、
足が不自由なら尚さら肉体労働の掃除婦より指導者の方が向いてるでしょ。

オデットの指導で出来すぎなくらいメキメキ上達するフェリシー。
本当に僅か数日で何年も練習してきた子たちを凌駕するほど成長し、
他の子は毎日ひとりずつ脱落し、ついにクラスは彼女とノラという子だけに。
それにしても展開上しかたがないけど、あまりに上達が早すぎるので、
バレエはそんな一朝一夕に出来るものじゃない、バレエ舐めすぎだろ、
なんて思ってしまいますが、アニメなので許せるかな。
メラントゥ先生も上達目覚ましいフェリシーの才能を認めており、
内心では「もうこの子がクララ役だろう」くらいの感じです。
ところが、街中でヴィクターが面白がってフェリシーを「カミーユ」と呼ぶと、
そこにたまたまル・オー夫人がいて、彼女は学園に猛抗議します。
身元がバレたフェリシーは当然退学、本物のカミーユが入学することになるが、
フェリシーを手放すのが惜しいメラントゥ先生は、
カミーユとフェリシーにクララ役のオーディションを受けさせ、
もしフェリシーが落ちたら退学させることを提案します。
普通なら問答無用で退学だけど、意外にも夫人はその案を飲みます。
おそらくカミーユはいきなり最終選考から参加できてラッキーだし、
ド素人のフェリシーに負けるはずないから合格間違いなし、と思ったのかな。
もうひとりのクラスメート、ノラのことは誰も眼中にないみたいですが、
案の定彼女は次で脱落し、最終選考はフェリシーとカミーユの一騎打ちに。
カミーユも自主練習なのに技術は誰よりも高いんだから凄いですね。
結局オペラ座に入ったばかりの2人が残るなんて、
このバレエ学校は生徒に何を教えているんだか…。

最終選考を翌日に控えた日の夕方、オデットはフェリシーに
自分の大切なトウシューズをプレゼントするのですが、
フェリシーは喜ぶのもそこそこに、これからデートに行くと言い出し…。
お相手はヴィクターではなく、オペラ座のロシアン男子ルディ。
女子たちから「王子様」と持て囃されるイケメン金髪少年ですが、
フェリシーがこんな男子が好みだったとは意外な気がします。
オデットは大事なオーディションの前日は、練習して早く寝るべきだと説教。
ところがフェリシーは「ママでもないくせに」とデートに出掛けてしまうのです。
なんか急に抱いていたフェリシー像が崩れたような印象でした。
デートは建設中のエッフェル塔で行いますが、そこにヴィクターもいて、
ルディとヴィクターはフェリシーを巡って大ケンカになってしまいます。
ヴィクターとフェリシーは同じ日に孤児院に入所した友達だったので、
兄弟みたいな感じかなと思ってたけど、彼は彼女が好きだったのか。

デートはめちゃめちゃになり、フェリシーは落ち込んで帰りますが、
モヤモヤしてロクに眠れず、寝不足のまま最終選考に挑むことに。
当然結果は散々で、フェリシー贔屓のメラントゥもさすがに庇えず、
カミーユがクララ役に合格し、フェリシーは退学させられます。
ル・オー夫人は大喜びしますが、それだけでは飽き足らず、
オデットを解雇し、フェリシーをブルターニュの孤児院に強制送還します。
オデットはメラントゥの口利きでオペラ座で住み込みで働けるようになるが、
なんかこの2人の関係って怪しいですよね。

孤児院に戻ったフェリシーですが、すっかり元気を無くしており、
そんな彼女を心配したのが、意外にもルターウ監督官。
強面で厳しい男だけど、ちゃんと子供たちを気にかけてるんですね。
ある夜、フェリシーは死んだ母親と一緒に踊る夢を見ます。
母は彼女が幼い時に死んでるはずなので彼女が知るはずないけど、
どうも母はバレリーナだったような演出ですね。
遺伝と思えば驚異的な上達の早さにもちょっと納得できるかな。
その夢を見たフェリシーは、やっぱりバレリーナになりたいと決意し、
再び孤児院脱走を謀りますが、案の定ルターウに見つかってしまい…。
ところがルターウは脱走に協力してくれ、彼女を自分のバイクに乗せて、
パリまで送り届けてくれるんですよね。
斜視で強面だった彼ですが、いつの間にか斜視も治っていて、
優しそうなオジサンの顔になってました。
始めとのギャップもあって、ちょっと感動してしまったな。
本作の大人キャラは総じて初登場時は冷たい感じですが、
実はけっこう優しくて、けっこうツンデレなんですよね。
ル・オー夫人以外は…。

オペラ座に戻ったフェリシーは、オデットと再会して謝って仲直り。
その後、成り行きでカミーユとダンスバトルすることになります。
バレエでダンスバトルって、なんだか不釣り合いでちょっと面白いですね。
技術面では及ばないフェリシーですが、ガッツで何とか食らいつき、
最後は大階段からの命知らずのグラン・ジュテを決めて圧倒します。
そこにメラントゥ先生が現れ、2人に「なぜバレエを踊るのか?」と哲学的質問。
「ママがやれっていうから…」と答えたカミーユに対し、
フェリシーは「バレエが私の人生だから」と言い放ち、
メラントゥ先生はカミーユを降ろしてフェリシーをクララ役に抜擢します。
カミーユもそんなネガティブなことを言ったら落とされて当然だろと思うけど、
好きじゃないとあんなに上達しないし、本当はフェリシーと同じ気持ちでしょう。
カミーユは意外にも泣き言ひとつ言わず、負けを認めてフェリシーを祝福します。
彼女もまたツンデレでしたね。

しかしこれに納得できないのがカミーユの母ル・オー夫人です。
「くるみ割り人形」舞台本番前、フェリシーはヴィクターを招待するために、
エッフェルのアトリエに行くのですが、そこにル・オー夫人が現れて、
工事用ハンマーでフェリシーを撲殺しようとします。
夫人の怒りは理解できるけど小学生を殺そうとするなんて恐ろしい女です。
フェリシーは逃げますが、自由の女神像の頭頂部に追い詰められ…。
しかしグライダーを付けたヴィクターが飛んで来て、彼女を救出し、
そのまま空を飛んでフェリシーをオペラ座まで届けてくれます。
新型グライダーはニワトリではなくハトを参考に作ったので飛べるんですね。
ライト兄弟よりも早く有人飛行に成功し、発明家冥利に尽きますね。
フェリシーは憧れのエトワールと共演でき、めでたしめでたし。

展開が早すぎて無理があるところも散見されましたが、
なかなか熱いスポ根映画でとても楽しめました。
ハリウッド以外の海外アニメーション映画もどんどん公開してほしいです。

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