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パワーレンジャー

今日は先々週末公開になった『パワーレンジャー』の感想を書きます。
先々週末に観たのですが、なぜ感想を書くのが遅くなったのかといえば、
『メアリ』『トロールズ』『ポケモン』『カーズ』とアニメの感想が続いたので、
その流れで先に『怪盗グルー』の感想を書きたいと思って後回しにしました。
ところが『怪盗グルー』の感想執筆に時間がかかってしまい…。
こんなことなら先に本作の感想を書いておくべきでした。
アニメと特撮ヒーローは同じジャンルとして扱われることもあるしね。

パワーレンジャー
Power Rangers

2017年7月15日日本公開。

本作は日本の子供向け特撮ヒーロー番組「スーパー戦隊」シリーズを
アメリカ向けローカライズしたテレビドラマ『パワーレンジャー』の劇場版です。
私は日本の特撮ヒーロー番組を見る習慣が全くなかったため、
仮面ライダーもウルトラマンも、そしてスーパー戦隊もほとんど見てませんが、
特にスーパー戦隊は、過去に1作だけ見たことがあるだけです。
もう四半世紀くらい前になるけど『恐竜戦隊ジュウレンジャー』だけ見ました。
なぜそれだけ見たのか覚えてないけど、恐竜が好きだったからかな?
(幼かったので内容は曖昧ですが、エンディング曲だけははっきり覚えてる。)
奇しくも米テレビドラマ『パワーレンジャー』のファースト・シーズンが
『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のローカライズだったみたいで、
本作のベースもおそらく『恐竜戦隊ジュウレンジャー』だと思われます。
つまり本作は『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のハリウッド・リメイクですね。
40作以上あるらしいスーパー戦隊の中でたまたま見た1作が
大好きなハリウッド映画になるなんて、ちょっと運命を感じてしまいました。

スーパー戦隊をローカライズした『パワーレンジャー』という番組が
アメリカで放送されているというのは以前から知っていました。
けっこうヒットしているみたいで、日本人として誇らしく思いたいところだけど、
正直あまり気持ちのいい話ではないと思ってたんですよね。
実際に見てないのでわからないところは多いのだけど、
聞いたところによれば、どんなローカライズが施されていたのかというと、
特撮シーンだけを流用し、ドラマシーンは現地で撮り直していたらしく、
つまり日本人俳優が顔出ししているところをバッサリ落として、
現地の俳優を起用して新しく作り直しているわけです。
これは「日本人のドラマなんて誰が見るんだ」と言われているようなもので、
日本人としては不愉快極まりないです。
それならいっそ特撮シーンも自前で撮ってくれた方がマシです。
その点、本作は特撮シーンも含め全編ハリウッド製なので、
日本原作のハリウッド・リメイクとして観ることができます。
ただ本作のパワーレンジャーのひとりがアジア人なのですが、
中国人俳優を起用しており「そこまで日本人は使いたくないか」と思います。
日本原作でアジア人役があるなら日本人起用するのが礼儀だろ。
製作に加わっている東映もそこは譲るなよ。

と言いたいところですが、そんな義理立てしてもらわなくてよかったです。
本作は製作費1億ドルもかかっているのに、全米興収は8500万ドルで、
興収的には完全に失敗作なんですよね…。
『ゴースト・イン・ザ・シェル』に続いて日本原作のハリウッド映画が
また壮絶にコケしまって、日本人としてちょっと責任を感じてしまいます。
このところ日本原作のハリウッド映画が失敗が続きで申し訳ないです。
そろそろ「日本絡みは鬼門だ」とハリウッドも気付きそうですが、
ハリウッド映画好きの日本人としては、今後もお付き合い願いたいです。
せめて日本興収で報いることが出来れば、と思っていたのですが、
日本週末興行成績ランキング初登場9位という悲惨な結果で…。
スーパー戦隊の劇場版は、そんなにヒットしているイメージもないけど、
いつも5位くらいには喰い込んでる気がするのに…。
字幕版より吹替版の方が上映回も多かったと思われますが、
やはりスーパー戦隊ファンの子供たちには訴求できなかったのか。

それもそのはずで、本作はスーパー戦隊とは完全に別物です。
スーパー戦隊に疎い私でも、これは別物だと断言できます。
なぜなら本作は子供向けではないから、いや、より正確に言うなら、
子供には見せたくないような内容だからです。
本作の冒頭で高校生の主人公が、友達と牛を盗む謎の展開があるが、
そこでの会話はこんな感じです。
「牛の乳搾りしたぜ」「これは雄牛だ」「だから乳房がコチコチだったのか」
搾乳のつもりが手コキで違うミルク搾り取ってしまったという下ネタで、
冒頭からこれでは子供を連れてきた親御さんも後悔することでしょう。
スーパー戦隊ではあり得ない下品な下ネタですが、
アメリカの子供番組は日本よりも規制が厳しいはずなので、
レギュラー放送でもきっとあり得ない演出だと思うのだけど、
せっかく規制の緩い劇場版だからと羽目を外してしまったのか。
これでは日本でもアメリカでもファミリー層に受け入れられず、
ヒットできなくても当然だったと思います。

20年以上放送されながら今回が初の劇場版となる『パワーレンジャー』ですが、
ハリウッドではアメコミ映画が大旋風を巻き起こしているので、
アメコミの映画化権を持たないライオンズゲートも、
それに代わるヒーローものはないかと考え、本作が作られたのでしょう。
シリーズ化も予定し、5~7作くらい続編を作るつもりだったそうです。
しかしヒーローものなら何でも大ヒットすると思ったら大間違い。
正真正銘のアメコミ映画だって、内容次第ではコケることもあります。
近年のコケた代表例がリブート版『ファンタスティック・フォー(FF)』ですが、
本作は『FF』と全く同じミスをしているのです。
同じようなヒーローチームものであり、オリジンを描いた物語ですが、
どちらも結成するまでの過程に時間を使いすぎで、終盤にやっと結成します。
このパターンだと終盤まで盛り上がりに欠けてしまい、
それが『FF』が不評だった理由のひとつでもあったのですが、
本作は見事なまでに同じ轍を踏んじゃってますね。
シリーズ化を念頭に置けば、チーム結成までを丁寧に描きたいのはわかるが、
オリジン物語はウケが悪く、最近はアメコミ映画でも避けられています。
(『スパイダーマン/ホームカミング』はオリジンを避けた典型的な例ですね。)
結局オリジンに固執した1作目がコケ、シリーズ化が不可能になります。

もうひとつ『FF』で不評だった共通点は、ポリティカルコレクトネスの導入です。
FFはもともと白人4人組チームでしたが、リブートにあたり、ひとり黒人に改変。
これが原作ファンの怒りを買い、酷評の嵐が吹き荒れました。
本作の場合はレギュラー放送から人種、性別のバランスを取っており、
レギュラー放送のファンの怒りを買ったということはないでしょうが、
そもそもポリコレに否定的な感情を持ってる人はかなり多いです。
(レイシスト扱いされかねないので、なかなか表には出て来ませんが。)
しかも本作はポリコレの度が過ぎます。
レッドレンジャーは白人男性、ピンクレンジャーはインド系女性、
ブルーレンジャーは黒人男性、イエローレンジャーはヒスパニック系女性、
そして前述の通りブラックレンジャーは中国人男性です。
男女比、人種のバランスに異常に気を使ってるのがわかりますが、
現実世界でこんな多人種チームが結成されることはなかなかないです。

男女比、人種だけのポリコレならよくあることなのでまだいいが、
ブルーは自閉症のいじめられっ子、イエローは同性愛者のボッチ、
ブラックは貧しい母子家庭と、マイノリティにも配慮しまくりです。
こんな作為的すぎるチーム、あり得なさ過ぎて失笑ですよ。
ポリコレ自体はある程度尊重するべきものだとは思いますが、
劇中で黒人のブルーが「ブラックは僕じゃないの?」と言ったり、
女のイエローが子供たちから男だと間違われたりと、ポリコレを揶揄しており、
製作サイドのポリコレ意識が高いわけではないことが知れるので、
完全に悪ふざけでゴリゴリのポリコレ配役、設定にしているのでしょう。
結局そんな多様なチームを率いるリーダーのレッドはアメフト選手の人気者で、
典型的なアメリカ人だし、白人による上から目線のポリコレです。
以下、ネタバレ注意です。

新生代、レッドレンジャーこと異星人ゾードン率いるパワーレンジャーは、
地球と地球にあるジオ・クリスタルを守る任務に就いています。
なぜ異星人が地球を守ってくれてるのかよくわかりませんが、
凶悪な魔女リタ・レパルサがジオ・クリスタルを奪いに現れます。
というか、リタはもともとパワーレンジャーのひとりで、
仲間を裏切ってダークサイドに堕ちたみたいで、
結局チームの内輪もめが地球を危機に陥れているわけですね。
リタも当然異星人ですが、ほとんど地球人の姿をしており、
ゾードンたち他のパワーレンジャーとは種族が違う感じです。
リタによってパワーレンジャーは全滅させられるも、
ゾードンは最後の力を振り絞り、パワーレンジャーの力の源である
5つのパワーコインを隠し、自滅覚悟で隕石を落として、
リタを海底に沈めることに成功します。
地球を守ってるはずが内輪もめで最悪の敵を作り、隕石で恐竜も絶滅させ、
パワーレンジャーって有難迷惑な奴らです。

時は流れて現代、エンジェルグローブ高校アメフト部エースのジェイソンは
友達と牛を盗むという謎のイタズラの後、交通事故まで起こして保護観察処分に。
部活もクビになって、学校の問題児たちと一緒に補習を受けることに。
その補習のクラスで自閉症のいじめられっ子ビリーと、
元チアリーダーで学園のマドンナ的存在キンバリーと出会います。
彼女はもともと補習を受けるような問題児ではなかったのですが、
元カレ絡みでリベンジポルノ的なことを起こして孤立しているみたいです。
また子供向けにはそぐわないような無意味な設定です。
正義感の強いジェイソンは、ビリーをイジメっ子から助けますが、
それがキッカケで妙に懐かれてしまい、遊びに誘われます。
機械オタクのビリーが保護観察の発信機を外してくれるというので、
誘いに乗ったジェイソンですが、連れていかれたのは近所の金鉱山で…。
そこでビリーはなんと、自作ダイナマイトで発掘をはじめます。
その爆発音を聴きつけ、たまたま近くの滝で泳いでいたキンバリーと、
近くの崖でヨガしていたトリニー、近くでキャンプしていたザックも集まって来て、
(トリニーとザックも不登校ですがエンジェルグローブ高校の生徒みたい。)
爆破現場から5枚のコイン(もちろん例のパワーコイン)を拾います。
しかし当然警備員も駆け付け、彼ら5人は一緒にクルマで逃げるが、
その途中で列車に撥ねられてしまい…。
ところが気が付くと、何事もなかったかのように自宅のベットで目覚めて、
しかも超人的な身体能力を身に付けていたのです。
たぶん拾ったパワーコインの影響でパワーを授かり、体が頑丈になったので
列車に轢かれても無傷だったのでしょうが、どうやって家まで戻ったかは謎です。

体の異変に気付いた5人は、再び金鉱山に集まりますが、割れ目に転落。
そこには古代遺跡があり、アンドロイドのアルファ5に出迎えられます。
そこはパワーレンジャーの宇宙船内だったみたいで、
肉体が滅び意識だけの存在となったゾードンもいました。
ゾードンは5人に、リタが復活するので君たちがパワーレンジャーを引き継ぎ、
リタからジオ・クリスタルと地球を守ってほしいと頼みます。
急に「君らはパワーレンジャーだ」とか言われて、混乱する5人ですが、
ゾードンからリーダーに指名されたジェイソンが乗り気になって4人を説得。
とりあえずパワーレンジャーの訓練を受けてみることになります。
ところが彼らはパワーレンジャーに変身できないのです。
ゾードン曰く、雑念があるから変身できないそうですが、
そりゃこんな無茶苦茶な状況下で雑念がない方が異常ですよね。
ビリーが「僕たちはアイアンマン系?スパイダーマン系?」と言いますが、
明らかにスパイダ-マン系であり、スーツなしでもスーパーパワーはあるので、
そもそも変身する必要なんてないんじゃないかと思います。
ただ理由は不明ですが正体は明かしちゃダメという掟らしいので、
人前で戦う時にシークレットアイデンティティとしてのスーツが必要なのか。
まぁ多少は防御力も上がるかな?

ゾードンはイマイチ訓練に身の入らない5人のヤル気を引き出すため、
パワーレンジャーになったら乗れる乗り物「ゾード」を披露します。
レッド用はティラノサウルス型など恐竜を模した乗り物ですが、
私もこれを見て、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』がベースだと気付きました。
逆に言えば、このゾード以外で恐竜に絡めた設定は皆無でした。
ゾードン曰く、「地球の最強生物を模したデザイン」だそうだけど、
その最強生物を地上から屠ったのはゾードン自身なんですけどね。
ブラック用はマンモス、イエロー用はサーベルタイガーなので恐竜じゃないが、
最強生物という括りなら恐竜に限る必要はないのかな。
ただ、新生代に始めに活躍していたゾードンたち先代パワーレンジャーが
マンモスやサーベルタイガーを知ってるはずないんですけどね。
あと、模すなら模すでもっと原型を残して模した方がいいかも。
ピンク用のプテラノドン(これも翼竜で恐竜ではないですね)なんかも
羽ばたいたりしないからピンクのスペース戦闘機にしか見えないし。

一方、港では漁船の網にかかったリタが水揚げされます。
彼女は武器の杖を作るために金(きん)が必要みたいで、
貴金属店を襲うのですが、金歯なんかも集めるんですよね。
リタはまだ変身できない新パワーレンジャーを埠頭に呼び出しますが、
のこのこやって来た5人はあっさり捕まってしまうのです。
彼女は5人にジオ・クリスタルの所在を聞き出そうとします。
ビリーは独自の調査で所在を知っており、仲間を殺すと脅されて白状。
ジオ・クリスタルはクリスピークリームドーナツにあるらしいが、
なぜそんなところに…。タイアップか何かなのかな?
仲間を助けるために白状したビリーでしたが、約束通り仲間は助けられたが、
彼自身が殺害されてしまいます。
残された4人はビリーの遺体を宇宙船まで運び、
ゾードンに助けを求めるが、「出来ることはない」と言われてしまい…。
ところが4人がビリーの復讐のために命を賭してリタを倒すことを心に誓うと
なぜかビリーが生き返り、更に変身も可能になります。
子供騙しにもほどがあるご都合展開ですが、元が子供番組だし仕方ないか。

リタは金鉱山で金を集めて、巨人ゴルダーを作り出して街を襲うのですが、
スーパー戦隊って、レンジャーに倒された怪人が敵幹部の力で巨大化する、
というのがお決まりのパターンだと思ったけど、本作はいきなり巨人なんですね。
出動したパワーレンジャーもそんな巨人には敵わないため、
雑魚敵を少し倒したら、すぐにゾードに乗り込んで戦う羽目になるのですが、
それならやっぱりスーツ姿に変身する必要もないし、
戦いの訓練よりもゾードの運転訓練をするべきでしたね。
ゴルダーでクリスピークリームドーナツからジオ・クリスタルを回収したリタは
地割れのマグマにゾード5台を突き落とします。
しかしゾード5台は合体し、人型巨大ロボ「メガゾード」になって脱出。
地割れの中で合体したので合体シーンが描かれませんでしたが、
スーパー戦隊って合体シーンとかが子供に人気なんじゃないのか?
でも合体シーンが描かれないのも当然で、合体後のメガゾードは
元のゾード5台の原型を全く留めてないんですよね…。
きっと本作のゾードが玩具化されてもメガゾードに組み立てられないでしょうね。

リタはゴルダーと融合して応戦しますが、結局引き摺り出され、
メガゾードの裏拳で宇宙までぶっ飛ばされて凍死します。
滅茶苦茶すぎる決着でちょっと笑ってしまいました。
リタから地球を守ったパワーレンジャーは英雄として称賛されますが、
5人は正体を隠したまま学園生活に戻ります。
最後に補習クラスにトミー・オリバーという転校生が来ることが示唆され、
本作は終了しますが、トミーはおそらく6人目のパワーレンジャーでしょう。
たしかジュウレンジャーにも6人目の緑色のレンジャーがいたはず。
(本作ではリタが元グリーンレンジャーだったようですが。)
ただ本作は確実に続編不可能なので、無駄な布石になっちゃいましたね。
まぁ本作のシリーズ化や続編なんて誰も望んでないだろうけど、
『パワーレンジャー』のファンは劇場版がこんな出来でガッカリしただろうし、
リブートを望んでいる人は結構いるかもしれません。
スーパー戦隊のファンは来週末公開の『宇宙戦隊キュウレンジャー』の
最新劇場版を見て本作の留飲を下げましょう。

余談だけどキュウレンジャーの「キュウ」って何のことかと思ったら、
元祖ゴレンジャーに対するキュウレンジャーで、9人組ってことみたいですね。
今のスーパー戦隊は6人目どころか9人目までいるんですね。
メンバーは色んな惑星の宇宙人やアンドロイドらしいですが、
ある意味宇宙規模のポリコレで、やっぱりオリジナルは進んでるなぁ。(皮肉)

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