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カーズ/クロスロード

今週木曜日に発売される漫画『エンジェル・ハート』はこれが最終巻だそうで、
かなり好きな漫画だったので寂しいです。
私は漫画も大好きですが、部屋が狭くて小さな本棚しかないので、
あまり収集することが出来ず、現在購読しているのは5作だけ。
そのひとつが『エンジェル・ハート』だったので4作になってしまいます。
残る4作は『ONE PIECE』『ジョジョリオン』『HUNTER×HUNTER』
『ベルセルク』ですが、うち2作はほとんど休載状態なので2作も同然。
『エンジェル・ハート』が終わったら、代わりに何か集めようかな。
バトル漫画やファンタジー漫画は疲れるからギャグ漫画がいいな。
ちなみに『ジョジョリオン』の最新刊は明日発売、
『ONE PIECE』の最新刊は来月初めに発売されます。
久しぶりに漫画いっぱい買えるなー。

今日もアニメ映画の感想です。
お、4作連続アニメ映画の感想だ。夏休み前だもんね。

カーズ/クロスロード
Cars 3

2017年7月15日日本公開。

ディズニー・ピクサー長編アニメーション映画18作目の本作は、
『カーズ』シリーズの3作目となります。
ピクサー映画で3作目まで作られたのは『トイストーリー』と本作だけで、
それだけCCOジョン・ラセターの思い入れのあるシリーズということです。
しかしラセター自身が監督した前作『カーズ2』はお世辞にも評判がよくない、
いや、「ピクサー初の失敗作」とまで言われるほどの大不評だったので、
正直、もう続編はないだろうと思っていました。
『カーズ』シリーズのスピンオフである『プレーンズ』(ディズニートゥーン)も、
三部作の予定が2作目で打ち切られているし、今や不人気シリーズです。
私自身は前作『カーズ2』も大好きなんですけどね。
まぁ前作は舞台の一部が日本だったり、和風キャラが登場したりと、
ジャパンフレンドリーな内容だったので贔屓目に見てるのは否めませんが…。

そんな不人気作の続編となる本作ですが、やはり不人気なようで、
全米ボックスオフィス初登場1位という最低限の面子は保てたものの、
全米興収は前作を下回るシリーズ最低を記録しています。
(ピクサー作品全体としても駄作『アーロと少年』に次ぐワースト2位です。)
評価も前作よりかはマシですが、歴代ピクサー作品としてはワースト2位。
(信じ難いことに駄作『アーロと少年』よりも低い評価です。)
これほどとは思わなかったけど、ヒットが難しいのは目に見えていたので、
なぜ不人気シリーズの続編を強行してしまったのかと思いますが、
それこそラセターの愛ゆえで、彼の本作に掛ける格別な想いが伝わります。
前2作はラセター自身が監督したけど、本作は製作総指揮に下がり、
メガホンは本作が監督デビューのブライアン・フィーに任せています。
そんなに愛するシリーズなら本作も自らメガホンを取るはずですが、
本作を観れば、なぜ彼がメガホンを後進に譲ったのかも納得できます。
おそらく本作の主人公と自分の姿を重ね合わせたのでしょう。

シリーズ1作目では若手レーサーだった主人公マックィーンですが、
2作目では世界を股に掛ける一流レーサーとして活躍し、
ベテランレーサーとなった本作は、若手レーサーの台頭によって
引退に追い込まれそうになり、現役続行のために頑張るという物語です。
『ロッキー・ザ・ファイナル』など再起を賭けたロートルの物語は、
ハリウッドのスポ根映画でも人気の展開ですが、本作は少し違います。
ネタバレになりますが、本作のラストで主人公マックィーンは
世代交代を受け入れ、指導者として再スタートを切るのです。
『ロッキー・ザ・ファイナル』かと思ったら『クリード』だったという驚きの展開。
…と言いたいところですが、実際は予想通りの展開で全く驚けませんでした。
なぜなら本作の邦題の副題が「クロスロード」ですからね。
クロスロードとは岐路のことで、現役続行か引退かの岐路に立つことになる
本作にはピッタリの副題のように思われるかもしれませんが、
わざわざ岐路を強調するということは別の道を選ぶと言ってるようなもの。
つまりは引退で、もし現役続行する内容ならこんな副題は絶対付けません。
原題は単純に『Cars 3』なので、邦題を付けたアホの致命的なミスですが、
きっとアホは「内容を端的に表したピッタリの邦題だ」とドヤ顔してるでしょう。
邦題で引退を示唆され、引退オチと予想出来てしまう状況で本作を観ると、
本作の大部分を占める主人公の再起に向けた頑張りも全て無意味だと思え、
応援する気も起きないし、感情移入も出来ません。
ネタバレ邦題付けて楽しみを半減させたアホには切腹してほしいです。

話は逸れましたが、そんな内容だったので、ラセターもマックィーン同様、
世代交代を図って後継者にメガホンを譲ったのだろうと思います。
その意図はわかるのですが、そんな内容に共感できるのは
ラセターのように引退を見据えるベテラン世代だけです。
正直私も含めてシリーズのファン層はまだそんな歳じゃないはず。
2006年の1作目でマックィーンに感情移入できた若者や学生世代も、
あれから11年経った今もせいぜい中堅世代なので共感は難しそうです。
まぁマックィーンはスポーツ選手なので引退が早いのはわかるけど、
客のほとんどはスポーツ選手ではないし、自分の状況に重ね合わせて、
マックィーンに共感するにはあと20~30年待たねばならない気がします。
そんなテーマだと当然子供客は置いてけ堀になりますし、
家族層や若者層に訴求できないアニメ映画なんて不人気で当たり前です。
そんなこともわからなくなったラセターは、たしかに世代交代するべきかも。

あと引退して別の道に進むというテーマが、
先行したスピンオフ第2弾『プレーンズ2』と同じなのも問題かも。
『プレーンズ2』の主人公ダスティも世界的な飛行機レーサーですが、
老朽化で第一線で活躍できなくなり、別の道を模索することになります。
マックィーンは指導者になるので比較的ソフトな転向ですが、
ダスティは全くレースとは関係のない消防士に転職しています。
それだけダスティの方がレーサーとして致命的な状況だったわけで、
ダスティに比べたらマックィーンは岐路に立てるだけ恵まれています。
つまり後発のくせにテーマ性が弱まっているのです。
というかなぜ失敗作と同じ轍をわざわざ踏みに行くのか理解に苦しみます。

言うまでもなく本作は擬人化されたクルマたちの世界なわけですが、
つまり台頭する若手レーサーというのは新型のクルマということです。
後発の新型の方が高性能になるのは当たり前のことですが、
『頭文字D』のように、ハチロクが性能で優るGT-Rやランエボを運転技術で倒す、
というような番狂わせがカーレース作品の醍醐味だと思うが、
本作は結局のところ、旧型は新型には勝てない、性能が全てというオチで、
努力や経験というものを否定しているようにも思えます。
それが現実だとしても、受け入れ難い現実だと思うし、
後進に道を譲るとか引き際の美学と言えば聞こえはいいが、
結局は諦めたわけで、そんな映画がヒットするわけありません。

では本作の若手レーサーたちとマックィーンらベテランとの差は何なのか?
これも擬人化されたクルマがゆえにかなり曖昧なんですよね。
「積んでるエンジンが違う」とか車体の性能の差が謳われることはありません。
それを謳ってしまえば、『頭文字D』でハチロクがエンジンを積みかえたように、
マックィーンも高性能エンジンを搭載しちゃえばいい、という話になるが、
擬人化されたクルマにとってエンジン交換は臓器移植を意味するわけで、
ぞっとしない設定になるため、あえて性能の差は伏せられているのでしょう。
そのため「若手は最新のトレーニングを積んでいる」と説明されますが、
それならマックィーンも最新トレーニングを始めればいいだけです。
実際にそうする展開になるが、彼は最新トレーニングに順応できません。
それは現実社会で言えば、上司よりも部下の方がパソコンが使える、
程度のことでヤル気と努力次第で覆せる差です。
学習能力も衰えた年配者なら努力も無駄かもしれませんが、
マックィーンはレーサーとしてはベテランだけどこの世界でも十分若者。
擬人化されたクルマという設定で、人間のような肉体的衰えも
普通のクルマのような性能差もないのであれば、若手とは同条件でしょ。
つまり引退と言うテーマを描くのに擬人化したクルマは適した題材ではないです。

私自身、本作はちょっと微妙だと思ってしまったわけですが、
それはネタバレ邦題や引退というテーマに共感し難いこと以上に、
マックィーンの相棒メーターの雑な扱いに不満を覚えたからです。
例えるなら、主人公マックィーンがウッディならメーターはバズ、
またはマックィーンがサリーならメーターはマイク、
マックィーンがマーリンならメーターはドリーで、唯一無二の相棒なはず。
それどころか、メーターは前作の実質的主人公であり、
(ピクサー作品は二作目は相棒と主人公交代する傾向があります。)
マックィーンと並ぶシリーズの二枚看板だったはずなのです。
そんな彼が本作で冷遇を受けるのは、明らかに前作が失敗したことが原因で、
前作の主人公として責任を負わされた、言うなれば懲罰的な待遇です。
たしかにメーターは主人公向きではないですが、優秀なスーパーサブで、
私自身も大好きなピクサーキャラのひとりなので気の毒で気の毒で…。

メーターが相棒から友人に降格され、本作は新しい相棒が迎えられます。
その新相棒が、後にマックィーンの後継者となるクルーズ・ラミレスです。
好感が持てるキャラではあるが、メーターと比べると如何せん個性が弱く、
なにより女の子キャラなのが微妙だと思ってしまいました。
現実的にモータースポーツは男社会だし、あえて相棒を女の子にする理由が
ポリコレ以外には考えられず、ハリウッドに蔓延するポリコレ風潮というか、
フェミニズム風潮に嫌気が差している私としては残念な構成です。
『トイ・ストーリー』でウッディの相棒がバズからジェシーに変わるようなもので、
普通に考えて、そんな展開でファンが納得するはずありません。
それに本シリーズはピクサー作品の中でも男子ファンの比率が高いので、
感情移入し難い女の子キャラのメイン起用したのは興行的にも間違いかも。
結果論ですが、実際にメーター相棒時代より興収は激減してるしね。

もっと言えば、本作は1作目のセルフ・オマージュであることが明言されており、
マックィーンとクルーズの師弟関係は一作目の師匠ドックと若きマックィーンに
相当するものですが、マックィーンの代わりが女の子なのにも違和感があります。
ちなみにマックィーンの師匠ドックは、二作目の時点ですでに他界してますが、
これは声のキャストであるポール・ニューマンが亡くなったためです。
本作では回想シーンでドックが再登場するのですが、なんと新しい台詞は
ポール・ニューマンの生前のアーカイブから流用されているらしいです。
もっとも私は日本語吹替版しか選べない環境だったため関係ないけど…。
まぁドック含め吹替キャストも皆わりと嵌ってるので吹替版も悪くないです。
『モンスターホテル』でも好演するオリラジ藤森は本作では新キャラである
若手レーサーの筆頭格ジャクソン・ストームを演じてますが、
チャラ男キャラを封印してもなかなかいけますね。
ただ吹替版で微妙だったのは奥田民生の日本版エンドソング「エンジン」かな。
曲の良し悪しは別として、「夢の続きに行ってみよう」的な歌詞で、
書き下ろし曲のくせに本作のテーマからはズレている気がします。
まぁ「夢の続きは諦めよう」なんて曲は作りたくも歌いたくもないだろうしな。

もう本作に対して言いたいこと(主に不満)はだいたい書きましたが、
以下、ストーリーを追いながらのネタバレ感想です。

かつては生意気なルーキーだったマックィーンも、
田舎町ラジエーター・スプリングスの親友メーターや恋人サリーらとの出会いで、
今や仲間を大切にして、レース界を牽引するベテランレーサーです。
ピストン・カップも何度も優勝している世界的天才レーサーでもありますが、
ある日のレースで、無名の新人ストームに敗れてしまいます。
ストームはデータ重視の走行をする次世代ハイテクレーサーの筆頭で、
そこから9連勝の快進撃を見せますが、次世代レーサーは彼だけじゃなく、
レースを重ねるごとにどんどん増え、その分マックィーンと同期のベテランが
出場枠を奪われて次々と引退に追い込まれてしまいます。
マックィーンにとっては寂しい状況だと思いますが、若手が台頭する前、
ベテランたちはレース中だというのに和気藹々とお喋りしたりして、
馴れ合いとも言える緩い雰囲気だったので、それに迎合しない若手の台頭は
レースが真剣勝負に戻り、面白くなるだろうから良いことだと思ってしまいます。

マスコミもストームに連敗するマックィーンを過去の遺物扱いしだし、
プライドを傷付いた彼は次のレースで無理してピットワークを焦りすぎ、
オーバーロールクラッシュを起こして大怪我し、シーズン途中でリタイヤ。
ラジエーター・スプリングスで療養し、4カ月後に完治しますが、
準備不足のまま新シーズン開幕があと2週間にまで迫るのです。
そんな彼の脳裏に過るのは、亡き師匠ドックのことでした。
その昔、伝説的レーサーだったドックもクラッシュ事故を起こしてしまい、
全快して復帰しようとするも、若手の台頭で無理やり引退させられたのです。
ドックは自分で引退時期を決められなかったことを悔いており、
マックィーンは師匠の二の舞だけは避けたいと思うも、弱気になっていて…。
でも恋人サリーから「新しいことに挑戦したら?」と励まされ、
若手レーサーが行っている最新トレーニングに挑むことにするのです。
最新トレーニングだって一朝一夕に出来たわけじゃないだろうし、
今まで挑戦しなかったのはベテランの怠慢でしょう。

そんなマックィーンのためにスポンサーのラスティーズ社の社長兄弟は、
最新トレーニング施設「ラスティーズ・レーシング・センター」を用意。
しかし中小企業の社長に、そんな施設を作る予算はなく、
なんと会社を身売りしてまで建ててくれていたのです。
なのでラスティーズ・レーシング・センターの現所有者は、
兄弟から買収した大手錆取り用クリーム会社の社長スターリング。
彼もマックィーンの大ファンなので施設建設に出資したみたいです。
買収しても施設に「ラスティーズ」の名称を残してくれてるし、
悪いクルマではなさそうで、マックィーンは恵まれてるなと思いました。
施設にはストーム御用達のハイテクレーシングシミュレーターもあり、
マックィーンは喜びますが、彼の専属トレーナーになった女の子クルーズは、
基礎トレーニングやメンタルトレーニングばかり課して、
シミュレーターを使わしてくれず、焦るマックイーンは苛立ちます。
クルーズは新人のモチベーションを上げることに関しては天才ですが、
ベテランの指導は初めてらしく、ベテランの扱い方を心得てないようです。
新人と同様に扱われたらイラッとする気持ちはわかるけど、
郷に入らば郷に従うのも大切で、ベテランの我儘でしょう。

我慢できずに勝手にシミュレーターを使うマックィーンですが、
クルーズの予想通り彼にはまだ早かったようで全く使いこなせず、
こともあろうに超高価なシミュレーターを大破させてしまいます。
スターリング社長はマックィーンを社長室に呼び出し、引退を勧告します。
「これからは君のグッツを売って稼ごう」と引退後の生活まで考えてくれており、
やっぱりいい人だ、と思ったのですが、どうもそうとも言い切れず、
これ以上マックィーンが失態を犯せばグッツが売れなくなると考え、
まだ商品価値があるうちに引退させようと画策したみたいです。
ファンならもっと活躍を見たいと思うのが人情なので、
彼はマックィーンの活躍よりも儲けが優先みたいですね。
ただ引退したスポーツ選手のグッツなんて売れるかは疑問ですが。
あと守銭奴なのに高価なシミュレーター壊されたことは怒らないんだね。
ドックのように他人に引退を押し付けられることは避けたいマックィーンは、
フロリダの開幕戦で優勝したら現役続行させてほしいと懇願。
負けたら引退することを条件に社長も了承します。

シミュレーターも壊れたので、マックィーンは従来の練習方法に戻ります。
主にダートコースをひたすら走るのですが、本番はオフロードなのに…。
昔ドックが練習に使ったファイヤボール・ビーチに行きますが、
社長命令でトレーナーとしてクルーズも同行します。
砂浜でタイムを計測したいというクルーズですが、
なぜか彼女も並走しなければタイムが計測できないらしく、一緒に走ることに。
ところがダートコース未経験の彼女は砂にタイヤを取られマトモに走れず、
まずは彼女がちゃんと走れるようにマックィーンが特訓してやることに。
それだけで夜までかかり、全く自分の練習が出来ず…。
クルーズは主にメンタル面の強化が仕事なのはわかってますが、
仮にもトレーナーが、こんなに走れないなんて大丈夫なのか?

練習不足に焦るマックィーンはビーチからの帰りに、近くの村のダートコースで
昔ドックも出場したことがある草レースが開催されると知り、
自分がマックィーンであることを隠して出場してみることにします。
ところがそのレース「クレイジー8」の様相は昔とは大きく変わっており、
8の字のコースを爆走し最後までクラッシュしなかったクルマが勝利という
超過激なデモリション・ダービーだったのです。
コースが8の字なので、その中心は奇しくもクロスロード(交差路)ですが、
そこを何台ものクルマが全速力で行きかうんだから超デンジャラスです。
出場車も破壊に特化した改造一般車両で、中でもチャンピオンのフリッターは、
電動カッターまで搭載した重武装巨大スクールバスです。
そんな殺傷武器まで持ち込みOKなんて、完全に違法レースだと思うけど、
出場車の中にはパトカーまでいるんですよね…。
ちなみにチャンピオンのフリッターも女性(オバサン)キャラなのですが、
こんなデスマッチの王者が女性というのも違和感があり、
これも女性キャラ比率を上げるためのポリコレかな…。
ミス・フリッターの猛攻をなんとか凌ぎ切ったマックィーンでしたが、
優勝したのは選手と間違われて出場したクルーズでした。
彼女はビーチでの特訓やレース中にドリフトを習得したことで、
ダートコースにも慣れてきたみたいです。

生涯初優勝に喜ぶクルーズを見て、マックィーンの苛立ちは限界に。
「トレーナーの面倒見るのに忙しくて自分の練習ができない」
「君にはレーサーの気持ちはわからない」と暴言を吐きます。
しかしクルーズも、初めからトレーナー志望だったわけではなく、
マックィーンに憧れてレーサーを目指すも挫折した過去があり…。
故郷の小さな町では一番速かった彼女はレーサーになろうと上京するも、
初戦で他のレーサーを見て「世界が違う」と井の中の蛙だったことを思い知り、
トレーナーに転向したらしく、マックィーンの言葉にショックを受けます。
彼女の過去を知り、マックィーンも反省するのですが、
自分自身が他のレーサー見て怖気づくようなメンタルなのに、
よく新人のヤル気を出させるのが得意なトレーナーになれたものです。
更に言えば故郷で一番速かったならダートコースも走れるだろ。
彼女の故郷の道路は全て舗装されているのか。

何をやっても上手くいかないマックィーンは親友メーターに電話で相談。
何も助言できないメーターは「師匠ドックならどうするかな?」と答えます。
それを聞いたマックィーンは師匠の師匠に相談することを思いつくのです。
さすがは真の相棒メーター、ここぞという時は頼りになりますが、
本作のメーターの活躍はこれだけと言っても過言ではなく…。
師匠ドックの師匠スモーキーは存命で、往年のレーサーたちが住む村
トーマスビルで余生を送っており、マックィーンとクルーズは会いに行きます。
彼らはスモーキーやドックの昔馴染みから歓迎され、
ドックの昔話や晩年の想いなどを聞かせてもらいます。
ドックも現役時代に、有能な若手レーサーと勝負することになったが、
経験を活かした型破りな走りで勝利したことがあるそうです。
身体能力で劣るベテランが経験で若手に勝つというのは熱い展開で、
本作のマックィーンもそうするべきと思ったが、彼とドックでは器が違うのか。
クラッシュ事故で引退を余儀なくされてからは現役時代の面影は失せ、
田舎町ラジエーター・スプリングスでしがない医師兼判事として働くが、
ルーキーだったマックィーンと出会い、流れで指導することになってからは、
指導者としての喜びに目覚め、何よりも愛弟子を大切に思っていた、と。
なかなか感動的な逸話ですが、目下ドックと同じ道を辿りつつあるマックィーンが
ドックと同じ指導者に進むという展開を示唆しているのは明白で、
ネタバレ邦題から受けたオチ予想が確信に変わりました。
この後彼は現役続行を賭けてスモーキーから特訓を受けるわけですが、
「どうせ引退するんだろ」と思っちゃうので、無駄な頑張りに思えてしまい…。

スモーキーの特訓は、おそらくドックも受けていたメニューでしょうが、
暴走する牛の間や真っ暗な雑木林を走り抜けるという奇抜なものです。
若手レーサーの最新ハイテクトレーニングに対して、全くその逆な
前時代的なローテクトレーニングで挑むという構図は面白いです。
ただ牛や雑木林のトレーニングは最適なライン取りを養うもので、
目的は例のハイテクシミュレーターも同じなんですよね。
しかもおそらくシミュレーターの方がより最適な気がします。
マックィーンのトレーニングパートナーとしてクルーズも特訓に参加します。
最終メニューは仮想ストームとして先行するクルーズを3周で追い抜く訓練。
レーサーではない彼女が若手筆頭の代役なんて荷が重いだろう、
と思いきや、これがなかなか手強く、開幕当日まで達成できません。
レーススタート数時間前まで粘るマックィーンでしたが、
時間的に最後の訓練で、ついにクルーズを追い抜くことが出来ます。
ところがその直後に抜き返されてしまって、自信を喪失したままフロリダに。
クルーズにはそこは空気読んで負けてやれよと思いましたが、
腐っても現役レーサーのマックィーンを抜き返すなんて凄い実力です。

クルーズに抜き返されたことで、現役続行は難しいと諦め、
彼女の実力を認めて彼女を代わりにレースに出場させるのかな?
と思ったのですが、マックィーンは落ち込みながらも普通に出場し、
最後方からスタートして、なんだかんだでグングン追い上げます。
トップを走るストームまではまだ遠いが、出場車はほぼ次世代レーサーなので、
全く若手に引けを取らない快走を見せるのです。
そんな彼をクルーズも応援しますが、それを見た上司スターリング社長は、
「君はレーサーじゃないトレーナーだ、帰って仕事しろ」と命令するのです。
コース上からそのやり取りを聞いていたマックィーンは、
ピットクルーに彼女を呼び戻すように指示してピットイン。
自分ではなく彼女のタイヤを交換するように指示し、彼女にナンバーを渡し、
「君はレーサーだ、君にチャンスをあげる最後のチャンスだ」と
自分の代わりにレースの続きを走るように言い、送り出します。
このタイミングでのバトンタッチは意外、というか、そんなのアリかと驚きました。
モータースポーツには詳しくないのでレース途中のクルマの変更が
認められているのかは知りませんが、本作ではルール上問題ないようです。
とはいえ、なんだか卑怯な印象を受けてしまうんですよね。
クルマはスタミナは関係ないので乗り換えも問題ないかもしれないが、
彼らは擬人化されたクルマなのである程度人間のように見てしまうため、
人間ならこれはマラソンを一組だけ駅伝にしているようなものでアンフェア。
それで勝てたとしても納得できるものではないです。

それになにより、マックィーンがクルーズにバトンタッチした理由が納得できない。
彼はスタートから快調に順位を上げており、レース終盤には十分
トップのストームに追いつけるだけの勢いはあったはず。
しかし社長に追い返されたクルーズを見兼ねてバトンタッチするなんて、
そんなの一時的な同情心でしかなく、自分の限界を悟ったわけでもなければ、
彼女の実力を認めていたとも言い難い、玉虫色の動機でモヤモヤします。
例えるならラセターが、監督する機会に恵まれない部下を可哀想に思い、
自分の監督作を譲ってあげたような感じで、あまり前向きな印象は受けません。
バトンを受け取ったクルーズは期待通りグングン順位を上げ、
ついにトップのストームと並びますが、ストームのラフ攻撃を受け、
なんとかつてドックが若手レーサーとの勝負で使った型破り走行でかわし、
チェッカーフラッグを受けて見事に優勝します。
でもドックの型破り走行は、ベテランとしての経験から繰り出されたものなはずで、
今回が初レースで、レースの訓練も数日しか受けてない超ルーキーの彼女に
使えるはずがない、というか、使ってほしくない技でした。
もし使ったのがドックの直弟子マックィーンだったら感動も出来たでしょうが…。

まぁそれ以前にバトンタッチして実質2台で走っているのが納得できてないしね。
優勝したのもクルーズではなく、クルーズ&マックィーン組という結果になり、
社長との負ければ強制引退の約束もなかったことになります。
つまりマックィーンは現役続行することも可能になったわけです。
ここまでマックィーンが引退するような感じで書いていましたが、
実は彼は完全に引退するわけではなく、現役を続ける傍ら
指導者としてクルーズら若手育成もする二足の草鞋を選ぶのです。
一線からは退いており、引退したも同然だとは思いますが、
これもなんだか中途半端な玉虫色の決着でモヤモヤします。
やめるならやめるでキッパリやめるのが引き際の美学だろ。
実は本作の監督を後進に譲ったラセターも監督業を完全に引退しておらず、
『トイ・ストーリー4』では新人監督と連名でメガホンを取るみたいです。
だからマックィーンに引導を渡すのはやめた、というわけではなく、
念のために更なる続編が作れる幕引きにしたのでしょう。
いくらラセターの寵愛を受けていたとしてもこの評価と興収では続編は無理か。

ピクサーの次回作『リメンバー・ミー』はメキシコ人少年が主人公なので、
あからさまなポリコレ映画のため、期待は出来ないと思われます。
まぁディズニーのポリコレ映画『モアナと伝説の海』はそこそこ面白かったので、
ポリコレだからダメだというのは短絡的すぎるかもしれませんが…。
その次は続編もの『Mr.インクレディブル2』で、前作が好きなので期待したいが、
シリーズ2作目は相棒と主人公を交代するピクサー・メソッドに則り、
Mr.インクレディブルの妻イラスティガールが主人公になるらしい。
これも『カーズ』同様、男子ファンが多いシリーズなので女性主人公で大丈夫か。
更に昨年末に『トイ・ストーリー4』と公開日が入れ替えられたことで、
公開が一年も早まったため、クオリティ面も心配しています。
逆に延期された『トイ・ストーリー4』は、クオリティ面には大いに期待できるが、
ウッディとボー・ピープのラブストーリーになるらしいので、
本作のメーター同様、相棒であるバズが蔑ろにされそうな懸念があります。
総じてピクサーは女の子キャラの比重を上げることに躍起になってるようですが、
物語よりキャラを先行させることは、あまり好ましい傾向ではないかも。

関連作の感想
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WALL・E/ウォーリー
カールじいさんの空飛ぶ家
トイ・ストーリー/トイ・ストーリー2 3D
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ファインディング・ドリー

コメント

同じ時間経過でもトイストーリーと比べるとうまく利用できてませんね.... まあ、トイストーリー完璧すぎたのだろうけど

  • 2017/07/19(水) 17:20:14 |
  • URL |
  • 名無し #-
  • [ 編集 ]

名無しさんへ。

本当にその通りだと思います。
現実の月日の経過に合わせて劇中も時間経過させているわけだけど、
スポーツ選手の選手寿命だとちょうど合うのかもしれないですが。

  • 2017/07/24(月) 18:40:19 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

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