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パトリオット・デイ

最近の気になる映画ニュース。

先月、韓国の巨匠ポン・ジュノ監督のNetflix作品『オクジャ』が
カンヌ映画祭のコンペ部門にノミネートされておきながら、
国内の映画館で上映されてないことを理由に選考除外されましたが、
(事実上、来年からNetflix作品はノミネートもされない。)
今度は韓国の映画館からも締め出しを受けているみたいです。
正直私はカンヌ映画祭も韓国も好きではありませんが、
このNetflix問題についてはカンヌと韓国が正しいと思います。
Netflixはストリーミング配信を何よりも優先するNetflixファーストで、
劇場公開は最悪でも配信と同時じゃないと認めないという方針。
しかしやはり映画は映画館で上映されるからこそ映画なのであって、
ネットで配信されたものは単なるネットドラマだと思うんですよね。
ネットで同時配信が普及してしまえば映画館にとっては死活問題だし、
それで映画館が潰れたら映画文化にとってもマイナスだと思うので、
映画ファンとしてはNetflix作品を映画と認めないカンヌや韓国の姿勢は
支持したいし、今後アカデミー賞や日本もそうするべきだと考えます。
でも私も近々Netflixに加入するつもりです。

今日も映画の感想です。

パトリオット・デイ
Patriots Day

2017年6月9日日本公開。

本作は『ローン・サバイバー』『バーニング・オーシャン』に続く
通称「バーグ・ウォ-ルバーグ・トリロジー」の三作目です。
通称の通り、ピーター・バーグ監督、マーク・ウォールバーグ主演の三部作で、
全て実際に起こった出来事を映画化した作品となっています。
本作の題材は、2013年に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件です。
このテロ事件は日本でも大きく報じられ、私もまだ記憶に新しい出来事ですが、
もう映画化されるなんて、ちょっとビックリです。
テロ事件発生から4年未満で全米公開されていますが、
事件解決と同時くらいに企画スタートしてないと無理じゃないかな?

事件が起きたことはニュースで知り、実際の映像に衝撃を受けた私でしたが、
正直、外国のテロ事件は対岸の火事というか他人事なので、
事件のその後のことなんて全く気にもしていなかったため、
事件解決までの経緯はもちろん、解決したことすら知りませんでした。
映画館で流れた予告編を観て「あの事件、解決したのか」と初めて知りますが、
その予告編で「犯人逮捕までの緊迫の100日間」というナレーションを聞いて、
「え、たった3カ月ちょっとで解決したのか」と驚き、感心したのですが、
実はこれも空耳で「100日間」ではなく「102時間」だったんですよね。
「3カ月ちょっとじゃなくて、4日ちょっとで解決したのか!?」と再び驚き、
その異常にスピーディな事件解決の経緯に関心が沸き上がりました。
でも今聞いても予告編は「100日間」に聞こえるな…。

まぁ事件への関心は関係なく、マーク・ウォールバーグは好きなので、
彼の主演作というだけでも観に行ったと思います。
その点でいえば、本作はちょっと不満が残る内容です。
というのもウォールバーグ演じる主人公トミーがあまり活躍しないんですよね。
正直、狂言回し的な役割で、彼がいなくても事件は解決しています。
登場人物のほとんどには実在のモデルがいるのですが、
おそらくトミーは本作の主人公として作られたオリジナルキャラなので、
事件解決の経緯にあまり絡まないのも仕方ないのかもしれません。
けっこう最近の出来事だし犠牲者もいる事件なので、
あまり脚色するべきじゃないと考えたのかもしれませんが、
ただ単純に、映画化を急ぎ過ぎて、脚本を練る時間が十分に取れず、
主人公を活躍させる上手い脚色が出来なかったのかもしれません。
ただトミーを主人公とは考えず、アンサンブルキャストだと考えたら、
なかなか興味深い物語だったと思います。
以下、ネタバレ注意です。

ボストン市警の殺人課刑事トミーは、仕事で何がやらかしたみたいで、
殺人課から外され、ケチな事件を担当させられています。
ある日、バーで女性に暴行した男のアパートに乗り込みますが、
(実は男の方が先に女性にアイロンで殴られていて大怪我している。)
トミーは無理やりドアを蹴破って足を痛めてしまいます。
それ以降、作中はずっとびっこ引きながら歩くことになるのですが、
凄腕の刑事なのかと思ったら、けっこうドジっ子ですね。
彼が足の負傷したことが物語の布石になっているのかなと思ったら、
特に活かされることもなく、何のための展開だったのか謎ですが、
もしかしたら彼をあまり活躍させないために怪我させたのかも。
翌日、トミーはボストンマラソンの警備を命じられますが、
殺人課の刑事が制服着せられて、イベントの警備やらされるなんて、
彼は一体何をやらかしてこんな罰を受けているのか気になります。
まぁ大方、何かの事件でドジっ子を発揮したのでしょうが。

2013年4月15日、第117回ボストンマラソンが開催され、
トミーはゴール地点のボイルストン通りを警備し、
ロブスターのコスプレをしたお調子者ランナーを捕まえたりします。
警備中に足が痛くなって、妻にサポーターを持って来てもらいますが、
その直後の14時45分頃、観客のいる沿道で二度の爆発が起きるのです。
私は「これは妻も巻き込まれたかも」と思いましたが、彼女は無傷で…。
妻が殺された主人公が犯人逮捕を誓うという展開になると思ったけど、
オリジナルキャラの主人公の妻なので彼女も当然オリジナルキャラですが、
やはり存在しない犠牲者を作るのは、本当の犠牲者に申し訳ないという
製作サイドの判断があったのかもしれませんね。
現場には多くの犠牲者が倒れ、血や肉片が散乱し、かなり悲惨な状況です。
しかし負傷者は多いけど死者は3人しかいなかったというのが意外でした。
あの爆発の規模で3人で済むはずない、と思いましたが、
当時ニュースで観た実際の爆発も相当激しかった印象があるので、
映画化に際して威力を盛っているというわけではなさそうです。
そういえば当時も死者の少なさに驚いたような記憶が…。
この爆発時、トミーはランナーを止めたり、救急車を呼んだりしますが、
それは普通に警備員の仕事なので、まだ主人公らしいことはしません。

爆発から約45分後、FBIがやって来て現場を仕切ります。
FBI特別捜査官リックは、この爆発をテロを断定するのを渋りますが、
どうやらテロ事件だと株価が下がるのを懸念しているみたいで…。
この惨状を見ながらも株価の心配するなんて神経を疑うカス野郎ですが、
テロなのは誰の目にも明らかなので、仕方なくテロと断定し、
港のターミナルに大規模な捜査本部を設営して現場を再現します。
この爆弾テロは自爆テロではなくリモコンで起爆するタイプだと考えられ、
トミーたちボストン市警の警官は聞き込みに駆り出されます。
ここでトミーが重要な目撃証言でも得るのかと思いきや、
FBIの分析官が現場の防犯カメラの映像から、人混みとは逆方向に向かう
怪しい白い帽子の男を発見し、聞き込みや目撃情報は必要なくなります。
しかしその映像では白帽の顔が不鮮明で特定できないため、
FBIは現場を警備していたトミーを呼び出すのです。
やっとトミーの活躍が見られるのか、と期待しました。
きっと彼は記憶力が良くて、白帽のことを覚えているのだろうと。
しかしFBIは遡って白帽を追跡し、顔が鮮明に映っている映像を探そうと、
トミーに白帽がこの映像に映った数分前にどの辺を歩いていたか
予想してほしいと依頼しただけでした。
そんなもの白帽の歩行速度とかを逆算したら誰でも予想できるし、
予想しなくても全ての映像をチェックして白帽を探せばいいだけの話で、
わざわざトミーが呼び出された意味は全くないと思うんですよね。
なんとか主人公に活躍の場を与えたいという意図は理解できますが、
やはり存在しない人物には意味のある役割は与えられないのか。

白帽の行動を遡ると、白帽が仲間らしき黒い帽子の男と一緒にいる映像を発見。
その映像だと白帽の顔も誰か特定できるくらいに鮮明に映ってますが、
その映像でもFBIの顔認識システムは機能しないみたいで…。
知り合いなら気付けるレベルの映像でも使い物にならないなんて、
よくハリウッド映画でも活躍する顔認識システムだけど、
ホントは映画で見るほど高性能でもないのかもしれません。
トミーたちボストン市警はその映像を公開して情報提供を募れと言いますが、
FBI特別捜査官リックはまたしても渋り、公開を拒否します。
「彼らがムスリムで、もし犯人じゃなかったら大変なことになる」と…。
たしかにそうならFBIは宗教的差別で叩かれるかもしれませんが、
保身よりも事件解決が最優先だろと思ってしまいますね。
こんな奴は捜査の責任者なのによく102時間で解決できたものです。
結局FBIの事なかれ主義に憤った警官が、その映像をマスコミにリークし、
(リークした正義感の強い警官もトミーではないと思われます。)
マスコミに先んじられることを恐れたFBIリックは急きょ映像公開を決めるのです。
本作を見る限りこのリックという男はどうしようもない保身カス野郎ですが、
本作のエンドロール前に実際のリックことリチャード・デローリエ捜査官が
この事件についてドヤ顔で語ってるんですよね。
こんなカス野郎として描かれている作品に、よく顔出しできるものです。

結局、公開された映像に映っていた白帽と黒帽は
実際に爆弾テロを起こしたムスリムの兄弟、タメルランとジョハルでした。
彼らは特にどこのイスラムテロ組織に属しているわけでもないようですが、
911同時多発テロをアメリカ政府の陰謀だと考えて復讐を企て、
アルカイダのネット動画で爆弾の作り方を学び、テロを実行したようです。
花火や釘で作るアルカイダ直伝の自作爆弾ですが、
あの人込みで起爆させても3人しか殺せないなんて微妙な威力だな。
まぁ釘爆弾は殺すより負傷させることが目的の対人爆弾だからあんなものか。
兄弟は自分たちの顔写真が公開されたのを受けて、自宅アパートを出ます。
捕まるのを恐れて逃げ出したのかと思いきや、車に自作爆弾を積み込み、
NYを目指し、今度はタイムズスクエアで爆弾テロするつもりのようです。
うーん、兄弟がなぜ顔写真公開まで動かなかったのか不思議です。
事件後3日間以上、自宅でのんびり過ごしていた彼らですが、
顔バレする前の方が次のテロも成功させやすいはずなのに…。
FBIは写真公開しても2人の身元に繋がる情報は得られなかったようですが…。

そんな兄弟でしたが、弟ジョハルが拳銃が欲しいというので、
マサチューセッツ工科大学の警備警官を殺害し拳銃を奪います。
それを目撃したMITの職員が警察に通報するのです。
更に兄弟は車を乗り換えるため、中国人ダンの乗るベンツをカージャックし、
彼を人質にしてNYに向かいますが、なぜか兄弟は人質に
自分たちが爆弾事件とMIT警官殺しの犯人だと教えるんですよね。
しかし補給で寄ったウォータータウンのガソリンスタンドで人質に逃げられ、
また通報されてしまい、兄弟は慌ててベンツでその場を離れますが、
MIT警官殺しの犯人が爆弾事件と同一犯だと当局に知られてしまいます。
結局、102時間というスピード逮捕も、爆弾事件の捜査の賜物ではなく、
その後に犯人が起こした警官殺しと車盗難を追った結果だったんですね。
犯人が軽率な行動を取ってなければ、逮捕までにもっと時間がかかった、
或はもしかしたら逮捕に至らなかったかもしれませんね。

盗まれたベンツに乗っている兄弟を警邏中の警官が発見し、
駆け付けた警官たちと兄弟の激しい銃撃戦になります。
兄弟はNYテロのために用意した自作の手投げ爆弾も使って必死の抵抗し、
苦戦する警官たちはマシンガンを投入し、兄タルメランを撃ちます。
弟ジョハルは兄が撃たれた隙にベンツに乗り込み逃走しますが、
なんと逃げる途中に兄を轢き殺すんですよね。
口封じとかではなく、たぶんたまたま轢いちゃっただけでしょうが…。
この警官たちと兄弟の激しい銃撃戦は本作の最大の山場でしょうが、
なんとそこに主人公トミーは不在なんですよね…。
彼はジョハルが逃げた後に漸く駆け付けて…。
これで漸く私も「ああ、主人公は活躍させないつもりか」と悟りました。

逃げたジョハルはベンツを乗り捨て、身ひとつでどこかに隠れたみたいで、
当局はウォータータウンとその周辺を封鎖します。
その地域の住民は外出禁止となり、なんと商売活動まで禁止されます。
FBIは銃撃戦で(弟に轢き殺されて)死んだ犯人・黒帽が
FBIの注意人物リストにも乗っているタメルランだと確認し、
逃げた相棒・白帽もタルメランの弟ジョハルに違いないと判断します。
やはりテロ起こす奴は前々から目を付けられリストアップされてるんですね。
ただリストアップしてもテロが防げてないんでは意味ないけど…。
FBIは死んだタルメランの妻キャロルを探し出して尋問しますが、
彼女もムスリムなので(たぶん似非)ムスリムの女性尋問官を投入します。
FBIは妻も事件に関わり、爆弾の隠し場所を知ってると考えたようですが、
彼女を拘束する時にミランダ警告を行わず弁護士を呼ぶ権利を与えなかったり、
夫の死体の写真を突き付けたりと、明らかに違法な尋問を行います。
まぁテロリストが相手ならそんな扱いも仕方がないとも思いますが、
あまりに不当な扱いで可哀想になり、彼女を応援したくなりました。
結局彼女は「結婚とは戦いと服従よ」と言って夫のことは何ひとつ話さず、
その意志の強さにかっこいいと思っちゃいましたね。
実際の事件でも未だ妻の関与は真偽不明のままみたいです。
本作の描き方だと、兄弟は妻に内緒でテロを計画していたので、
彼女は事件に関与してなさそう(でも事件には肯定的)です。

事件発生から約100時間。
封鎖地区の住人が庭に停めてあるボートに誰かが潜んでいると通報します。
案の定ジョハルが隠れており、駆け付けた警官とSWATによって確保されます。
もちろん彼を捕らえたのもトミーではありません。
ホントにトミーは主人公なのに事件解決に何ひとつ貢献してませんね…。
これにて一件落着し、ジョハルは死刑判決を受けたみたいです。
現在、実際のジョハルは死刑判決を不服として控訴するつもりのようです。
まぁたしかに本作の描き方だとジョハルは横暴な兄タルメランに逆らえず、
無理やり爆弾テロ計画に参加させられてような印象を受けたので、
これが事実なら情状酌量の余地もあるのかもしれませんが、
なぜ本作がそんな犯人を庇うような描き方をしているのかは不思議かも。

事件が解決してボストン市民は大喜びで、ボストンレッドソックスの試合前に
フェンウェイパークで市長や警察関係者を招待してセレモニーが開かれます。
そこにあの保身野郎リックも功労者として招待されていて、なんだか違和感…。
あとレッドソックスのデビッド・オルティーズ選手による
「偉大なボストン市民の勇気と団結がテロに打ち勝った」みたいなスピーチも
なんだかちょっとズレてる気がしてしまいました。
テロは成功したのに、犯人はその後の軽率な行動で自滅しただけだし…。
そういえば劇中で被害者夫婦が言い争ってましたが、
レッドソックスの現地での正しい発音はレッドソークスなんですね。

ウォールバーグ演じる主人公の活躍には不満でしたが、なかなか楽しめました。
いや、犠牲者もいる事件なので楽しめたというのは語弊があるかな?

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