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20センチュリー・ウーマン

今日感想を書く映画で、今年劇場鑑賞した映画50本目になります。
鑑賞作品をかなり絞っているつもりでしたが、昨年とほぼ同じペースなので、
年間鑑賞本数も昨年同様130本前後になりそうです。

最近の気になる映画ニュース。

アメリカでは『ワンダーウーマン』が特大ヒットを飛ばしているみたいで、
オープニング成績だけで1億ドルを越えてしまったとか…。
まぁ腐ってもアメコミ映画だし、全米オープニング1位は予想してたけど、
ここまでの特大ヒットになるとは予想外でした。
これまで女性主人公のアメコミ映画もいくつかありましたが、
2004年の『キャットウーマン』の全米総興収4000万ドルが最高の成績でした。
やっぱりアメコミは男の子の文化で、女性キャラはウケないんだな、
と思っていたのですが、『ワンダーウーマン』は総興収3億狙えるスタートで、
どうやら『キャットウーマン』当時とは事情が違うみたいです。
たしかに『スターウォーズ』も二作連続女性主人公で成功してるし、
アメコミドラマでも『スーパーガール』が人気ですからね。
固定客の男性客に加え、女性主人公で女性客を取り込めたのが勝因か?
この流れで女性主人公アメコミ映画が増えそうな気がしますが、
男である私個人としてはアメコミ映画が女性向けに傾くことは歓迎できません。
フェミニスト映画ほど面白くないものはないので。

ということで、今日はフェミニスト映画の感想です。
このところずっと佳作が続いてたのに…。

20センチュリー・ウーマン
20th Century Women

2017年6月3日日本公開。

第89回アカデミー賞で脚本賞にノミネートされた本作。
脚本賞は主要5部門のひとつである重要な賞ですが、
私は作品賞よりも重視しているというか、信頼しています。
作品賞は脚本、映像、演技など総合的な視点から選ばれますが、
前回、黒人映画『ムーライト』がオスカー受賞したように、
「ホワイトオスカーと叩かれたくないから投票しよう」みたいな
政治的な視点も加味されるため、映画の面白さと結果が比例しません。
その点、脚本賞は脚本の出来、つまり物語だけで審査されているはずで、
脚本の出来がダイレクトに結果に繋がるため、面白さと結果が比例します。

…と思っていたのですが、本作を観て考えを改めました。
脚本賞候補の本作ですが、脚本が評価されるような内容ではなく、
明らかに出演者の演技で評価されている作品です。
脚本(物語)自体は盛り上がりもなく坦々として退屈極まりなく、
構成や展開に何の工夫もなく、お世辞にも出来がいいとは言えません。
80分すぎたあたりからあまりの退屈さに意識を失いかけました。
それでも何とか見れたのは、出演者の好演のお蔭であり、
実際に国内外の本作の批評も、物語を褒めているものはほとんどなく、
その大半が主演女優アネット・ベニングの演技に対する称賛です。
これでなぜ主演女優賞ではなく脚本賞にノミネートされたのか謎です。
ゴールデン・グローブ賞ではちゃんと主演女優賞にノミネートされ、
逆に脚本賞にはカスリもしていませんが、それが正しいです。
まぁ本作を降してアカデミー脚本賞を受賞した
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は素晴らしい脚本だったので、
受賞してはじめて信頼でき、ノミネート程度ではダメってことかな。

本作のプロット自体は悪くないと思うんですよ。
そのプロットに合うタッチで撮れば、かなり面白くなったはずです。
プロットをごく簡単に説明すると、高齢出産で子供を授かった母親が
世代が違いすぎるため思春期になった息子の行動が全く理解できず、
知人の若い2人の女性に子育ての手伝いを頼むのですが、
その2人というのが、ひとりは尻軽な女子高生で、
もうひとりはパンクなフェミニスト女で…、という話です。
こんなのどう考えてもコメディ向きの内容じゃないですか?
R指定ドタバタおバカコメディだと尚活きそうな内容です。
それをなぜかヒューマンドラマとして落ち着いたタッチで描いています。
まぁ一応本作もコメディドラマということになるのでしょうが、
もっとコメディ色を強めないと、こんな淡然たるノリでは笑うことも出来ません。
まぁもしおバカコメディだったらアカデミー賞にもノミネートされないし、
こういう緩いノリが好きな人もいるのはわかってるんですが、
本作の全米ボックスオフィス最高17位という微妙すぎる結果が、
本作が如何に万人受けしないかを物語ってます。
以下、ネタバレ注意です。

ドロシーは40歳で長男ジェイミーを出産します。
後に旦那とは離婚し、シングルマザーになるのですが、
彼女がなぜ離婚したかは明確に描かれていません。
でも本作の(脚本兼)監督であるマイク・ミルズは、
ドロシーは母親がモデルだと公言しているため、なんとなく予想できます。
彼の前作は父親をモデルにした『人生はビギナーズ』でしたが、
それは父親がゲイだとカミングアウトする物語だったんですよね。
本作の劇中でドロシーが「夫は左利きだったから別れた」と言いますが、
そういえば「左利き」はゲイの俗称のひとつなので、明確に描かれてたのかも。

1979年、息子ジェイミーは15歳になりますが、40も歳の離れた息子なので、
ドロシーは強烈なジェネレーションギャップを感じて悩みます。
ロックに嵌ったり、危険な遊び(失神ゲーム)したりと普通の少年ですが、
世代が三回り以上違うドロシーには彼の行動が全く理解できないようです。
まぁ普通の古風な母親ならそういうこともあるかもしれないけど、
ドロシーは若い頃に戦闘機のパイロットを目指して空軍学校に通ったり、
缶詰メーカーで女性初の製図係になったりと進歩的な女性なので、
たかが40離れた子供が理解できないというのも少し不思議かも。
そこで彼女は息子と歳が近い2人の女性に子育ての手伝いを頼みます。
ひとりはおそらく20代後半の同居人アビーで、まぁその人選はまだわかるが、
もうひとりは息子の幼馴染の17歳の少女ジュリーで…。
15歳の息子が理解できないのに、なぜ17歳の少女を信頼できるのか…。
まぁドロシーにとっては同性のジュリーの方が理解できるのかもしれないが、
それなら息子の世話も、息子と同性の同居人ウィリアムに頼めばいいのに。
結局、進歩的な女性であるドロシーはやはりフェミニストで、
男なんてアテにならないと男を卑下しているのでしょう。

ジェレミーの世話を任された同居人アビーは
自分の好きな音楽(パンク)や写真などを彼に仕込みますが、
医者から子宮頚管不全で出産は絶望的と診断されてからフィミニズムに目覚め、
女性本位の女性の扱い方を彼に仕込み始めます。
「女性のオーガズムについて」など15歳の童貞に教えるには刺激的すぎだけど、
こういう知識は女性にモテるためには役に立つかもしれませんね。
(年上女性の口説き方も教えて、ナンパした中年女性とキスさせたりも。)
そんな息子に対する刺激的な性教育やライブに連れ出すことに対して、
母ドロシーも如何なものかと思ってますが、任せた手前口出せないようです。
パンクな赤毛女に息子を任せること自体が常軌を逸してるし、自業自得か。
アビーはもうひとりの同居人ウィリアムと関係を持つようになり、
夜な夜なイメクラプレイを楽しんでいますが、喘ぎ声が家中に響いていて…。
多感な男子がいる家でよくそんなことが出来るものだと呆れますが、
そんな女を追い出さない母ドロシーにはもっと呆れます。
どうもアビーは監督の姉がモデルだそうですが、姉から怒られるぞ。

一方、もうひとりの世話係ジュリーは近所に住む女子高生で、
ちょっと複雑な家庭環境らしく、それが原因か性に対して奔放です。
どうも自宅にいるのが嫌なようで、夜な夜なジェレミーの部屋に忍び込み、
ベッドに潜り込んで一緒に寝ています。
彼氏もいるんだからソッチに行けばいいのにと思いますが、
幼馴染のジェレミーと一緒に寝るのが落ち着くみたいです。
寝ると言っても本当に添い寝するだけで一切関係を持ちません。
「セックスしたら友情が終わる」というのが彼女の持論みたいで、
思春期で性に目覚めたジェレミーにとっては生殺しのような添い寝です。
ジェレミーは彼氏に中出しされたジュリーのために
わざわざ妊娠検査薬を買いに行きますが、彼女のことが好きなので、
本当は中出しされた話とか聞きたくもないでしょうね。
ただジェレミーはアビーのこともデートに誘ったりするので、
初エッチできたら相手は誰でもいいのかも。

ある日の夕食で、「アビーが生理だから食欲ない」みたいなことを言い、
今まで我慢していた母ドロシーも「食事中にする話じゃない」と注意。
ちょっとケンカみたいになりますが、それに巻き込まれるような形で
ジュリーも「14歳で好きでもない男相手に処女喪失した」とカミングアウト。
それを聞いたジェレミーはショックを受け、
「寝るだけなら泊まるな!」とジュリーに怒鳴ります。
一瞬ピュアだと思ったが、「泊まりたいならエッチさせろ!」って意味ですね。
ジュリーは覚悟を決め、ジェレミーと海辺のモーテルに行きますが、
「あなたとは親しすぎてやっぱり無理!」と土壇場で拒否。
お預け食らったジェレミーはモーテルから飛び出して行方不明に…。
ジュリーはドロシーに連絡して、アビーも含めて皆でジェレミーを探しますが、
所詮は子供、結局ひとりでどこにも行けずモーテルに戻って来ます。
エッチ出来なくて拗ねて行方不明になるような迷惑なエロガキには
母親として説教するべきではないかと思いましたが、ドロシーは逆に謝罪。
息子の世話を他人に任せたのは申し訳なかった、と。
別にジェレミーはアビーやジュリーと楽しそうにしてたし、
なんかトンチンカンな謝罪だと思いましたが、
彼は「僕は母さんがいれば大丈夫だ」とちゃっかり謝罪に乗っかり和解。
アビーとジュリーを帰し、母子水入らずでモーテルに泊まり、めでたしめでたし。
うーん、結局何を伝えたいのかイマイチわからない物語でした。
最後にジェレミーが金髪に染めた理由も全くわからなかったな…。

関連作の感想
人生はビギナーズ
マンチェスター・バイ・ザ・シー
ラ・ラ・ランド
最後の追跡

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