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マンチェスター・バイ・ザ・シー

今月から思うところがあって、夜10時には寝るようにしてます。
それまでは12時に寝てたけど、起きてる時間が2時間短くなり、
その分、ブログ執筆時間にシワ寄せが来ています。
一日の執筆時間がこれまでの半分しか取れなくなったので、
最近は記事一本を二日がかりで書いています。
なので更新ペースは早くても隔日になると思います。
でも休み(不定休)の前日は一気に書き上げることもできるかな。

今日も映画の感想です。
この程度の感想記事、簡単に書けると思われそうですが、
私は筆が遅いので、やはり二日がかりになりました…。

マンチェスター・バイ・ザ・シー
Manchester by the Sea

2017年5月13日日本公開。

私は全米トップテンの映画はなるべく劇場に観に行こうと思っているものの、
最近は時間もなくて、公開規模が小さくて近所のシネコンで上映されないと、
「もうビデオレンタルを待てばいいかな」なんて思ってしまいます。
最近では『バーフバリ』や『潜入者』の劇場観賞をスルーしちゃいました。
本作も全米ボックスオフィス最高6位でしたが、関西では4館でしか上映されず、
近所のシネコンでの上映もないため、レンタル待ちにしようかとも考えましたが、
待てば本当にDVDレンタルされるのか不安になったため観に行くことに。
というのも、本作の提供はAmazonなんですよね。
なのでAmazonプライムビデオの独占配信になりそうな気がするので、
会員ではない私は劇場公開を逃したら観れない可能性が…。
本作はハリウッド・メジャー数社を含む争奪戦を経て、
Amazonが1000万ドルもの大枚叩いて配給権を捥ぎ取ったらしいです。
同映画祭では超問題作『バース・オブ・ネイション』に次ぐ高額購入だそうな。
Amazonは本作をそれだけ傑作で誘因力があると考えたのだろうから、
やっぱり独占配信することになると思います。
まぁ『バース・オブ・ネイション』は興行的に大失敗しているので、
配給権購入額の多寡と作品の人気は比例するとは限りませんが。

ただ本作は、DVDレンタルされないかもしれないという不安以外にも、
遠くの劇場にでも足を運ぶだけの理由があります。
なにしろ第89回アカデミー賞で、作品賞を含む6部門にノミネートされ、
主演男優賞、脚本賞の主要部門二冠を達成したオスカー作品ですから、
ハリウッド映画ファンなら何を置いても観に行くべき作品です。
明らかにホワイトオスカーの反動で黒人優遇だった前回のアカデミー賞で、
主要キャストがオール白人の中での二冠はバイアスなしの正統な評価でしょう。
大枚叩いたAmazonの見立てに狂いはなかったわけですが、
批評家の間でも「作品賞候補の中で最もよかった」という意見も多いです。
私は作品賞候補9作中、まだ6作しか観てませんが、暫定3位かな。
作品賞オスカー『ムーンライト』よりは楽しめたと思いましたが、
この内容で137分という上映時間はちょっと長すぎかなと思いました。
ワンシーン毎に時間を使って非常に丁寧に描かれている印象ですが、
展開が遅すぎて冗長感を覚え、二度ほど時計を見てしまいました。
この内容なら質を落とさず100分くらいで纏められそうな気がするけど、
間を十分すぎるほど取ってるからこそ細かい演技も出来るわけで、
主演ケイシー・アフレックの主演男優賞受賞は冗長な上映時間のお蔭かも?

ケイシー・アフレックは地味な印象があったので
人気者の兄ベン・アフレックよりも先にオスカー俳優になったのは意外です。
まぁベンはオスカー脚本家でオスカー製作者なので、オスカー兄弟ですね。
本作は友達マット・デイモンが製作していますが、
彼は当初、製作だけではなく監督、主演も務めるつもりだったようですが、
『オデッセイ』の出演を優先し、監督と主演は諦めることになったそうな。
で、幼馴染のベンの弟ケイシーに主演を譲ったわけですが、
オスカー受賞するとわかってれば無理してでも出演したかもしれませんね。
まぁデイモンも『オデッセイ』でオスカー候補(GG賞は受賞)になったので、
そんなに誤った選択だったとも言えませんけど。
それにこの役を演じるにはデイモンでは華がありすぎる気がするので、
ケイシーだからこそオスカー受賞できたのかもしれません。
監督はケネス・ロナーガンに譲りますが、彼は脚本も兼任しているため、
本作が主要部門二冠できたのはデイモンが多忙だったお蔭だったりして…。
以下、ネタバレ注意です。

ボストンのアパートで便利屋として働くリー・チャンドラー。
便利屋と聞くと、お金次第でなんでも請け負う万屋を思い浮かべたけど、
どうも特定のアパート四棟の住人からの頼み事しか受けない
アパートの管理人みたいな仕事みたいですね。
でも彼は仕事は出来るが無愛想で、住人からもクレームが多いみたいです。
バーで女性客から逆ナンされても無視するし、人間嫌いなのかも。
と思いきや、バーにいた男性客に声を掛けにいったので、ソッチ系の人か、
と思いきや、「何見てんだ?」といきなりぶん殴り…。
とにかく徹底的に社交性のない、簡単にいえば社会不適合者ですね。
そんな彼に故郷の病院から「お兄さんが倒れた」と電話があり、
約10年ぶりに故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーに行くことになります。
タイトルでもある「マンチェスター・バイ・ザ・シー」って町の名前なんですね。
マサチューセッツ州の港町で、もともとは単にマンチェスターでしたが、
ニューハンプシャー州の大都市マンチェスターとの混同を避けるために、
こんな長ったらしい町名に改名したらしいです。
私的にはマンチェスターといえばイギリスの都市を連想してしまうので、
初めてタイトルを聞いた時はイギリス映画なのかなと思っちゃいました。

兄の担ぎ込まれた病院に駆けつけるも、時すでに遅く兄は他界。
うっ血性心不全を患っていたらしく、いつ急死してもおかしくなかったそうです。
リーは兄の親友ジョージにその場は任せて、父親の訃報を知らせるため、
兄の16歳の息子パトリックに会いに高校へ行きます。
病院も普通は患者の弟よりもまず息子に報せそうなものですが…。
父の訃報を知ったパトリックは、ちょっと落胆したようにも見えたけど、
取り乱したり泣くわけでもなく冷静な反応だったのが意外でした。
父はいつ死んでもおかしくないと日頃から覚悟してたからかな?
でもリーが「病院で父(の遺体)に会うか?」と聞くと、パトリックはかなり悩み…。
そんなもん会いたいのが普通の人情だろと思うのですが…。
結局会うことにして遺体保管室に行くのですが、チラッと見て「もう結構」と…。
薄情すぎると思ったけど、悲しくて遺体を見れないのかも、
と好意的に思ったのも束の間、叔父リーと自宅に戻った彼は、
「今夜、友達と彼女が家に遊びに来る約束なんだけど、呼んでいい?」と。
そして宅配ピザ食べながら、友達と『スタートレック』談義をして、
更に彼女を自室に泊めてイチャコラし始めるのです。
もう薄情という次元ではなく、コイツに人間の感情はあるのかと疑いました。
翌日も普通に登校しホッケー部の監督から「暫く休め」と言われるほどで、
なんかもう大嫌いになりましたね。

リーは兄の遺言を確認するために弁護士のもとを訪れますが、
遺言には「弟を息子の後見人に指名する」と書かれており動揺します。
そりゃ甥とはいえこんなクソガキの世話したくないだろうから当然ですが、
リーが動揺したのはそんなことではなく、彼は10年ほど前に
想像を絶するような辛い経験をしていたことが影響しているようです。
彼がまだマンチェスター・バイ・ザ・シーに住んでいた頃、
妻ランディと3人の子供との5人暮らしでしたが、ある寒い冬の夜、
酒に酔った彼は暖炉のスクリーンを立て忘れたまま酒の買い出しに行き、
どうやら暖炉から薪が転げだして自宅が火事になり、妻は無事でしたが
二階で寝てた3人の幼い姉弟が焼死してしまったようで…。
警察で事情を聞かれますが罪に問われることはありませんでしたが、
自分を許せない彼は警官のピストルで自殺を謀るも取り押さえられ失敗。
妻も彼を責めて出て行き、彼も町にいるのが辛くてボストンに引っ越します。
かなり辛い出来事なので町から逃げ出したくなるのもよくわかるけど、
その割には引越し先が町から車で1時間15分のボストンなのは近すぎない?
町の人々も当時の事件を知ってるので、戻って来た彼に対して
「あれが例のリー・チャンドラーか」と後ろ指を指す人も多いけど、
たしかに彼の過失は大きいが、むしろ同情されてもいいと思うけどな。
特に今回は身内の不幸で帰ってきてるわけだし…。

リーはそんな故郷に墓参りに来るのも嫌なのか、
ヴィバリーにある墓場に兄を埋葬することを決めるのですが、
冬は寒くて墓穴掘ったりするのが大変なので、埋葬は春を待つことに。
それまで遺体は冷凍保存されるのですが、甥パトリックがやけに嫌がります。
「父を冷凍するなんて不気味すぎる」と…。
たしかに不気味とはまた違うけど、なんか嫌な気持ちもわかるかな。
後に彼は自宅冷凍庫のチキンを見てパニック発作を起こします。
埋葬する時期を考えないとダメなんて土葬は大変、火葬にしたらいいのに。
そんな話をした後で、パトリックは「今日はバンドの練習がある」と、
女の子の家に(主にエッチするために)遊びに行ってしまうのです。
暫く喪に服せよと神経を疑ってしまいますが、しかもその女の子は
父が死んだ夜に家に呼んだ子とは別の子で、彼は二股かけてるんですよね。
コイツはどこまで嫌いにさせてくれるんだと…。
葬式の後、パトリックがまた女の子を家に呼ぼうとするのですが、
ついにリーも甥のゲスさに呆れたのか「ダメだ」と拒否します。

リーは甥パトリックと住むためにボストンへ引っ越させようと考えますが、
甥は「女の子たちや友達と別れたくない、叔父さんがコッチで暮らせ」と拒否。
「便利屋なんてどこでも出来るだろ、こっちで働けよ」と言うのです。
まったく親の顔が見てみたいほどのクソガキですが、
彼の父であるリーの兄は近所では「素晴らしい父親」と評判で…。
いやいや素晴らしい父親は息子の二股を見て見ぬふりしないだろ。
一方パトリックの母はアル中で言葉遣いも汚い絵にかいたようなダメ母親で、
リーも彼女を軽蔑していましたが、パトリックは母親に似たのか。
母は息子がまだ幼い時に家を出て音信不通になっていましたが、
たまに息子とはメールのやり取りをしていたみたいで、
ボストンに引っ越したくないパトリックは「ママの所で暮らす」と言い出し…。
リーは仕方なく母に面会させるが、彼女の生活態度は改善されていたものの、
婚約者と同棲しており、その男がパトリックとの相性最悪で…。
パトリックは叔父リーと暮らすのが一番だと悟ったみたいです。

ある日リーは町でばったり元妻ランディと出会います。
ランディは再婚しており生まれたばかりの子供と散歩していました。
彼女は涙ながらに「当時は散々責めたがもう恨んでいない」
「私は心が壊れていた、あなたを愛してる」と言うのです。
動揺したリーは、その直後に酒場で見知らぬ男とケンカしたり…。
そんな荒れた叔父にパトリックが気を使って声を掛けますが、
このクソガキにもちゃんと人情はあったんだと思え、少し嫌悪感が和らぎました。
これまでのゲスな言動も父を亡くしたことの寂しさを埋めるためだと思えば
ちょっと納得できるような気がします。

リーは「7月にボストンに帰る」とパトリックに告げます。
パトリックは「いよいよ引越しか」と覚悟するが、リーは「帰るのは俺だけだ」
「お前をここに残すために(兄の親友)ジョージの養子にする」と言うのです。
さすがに今更養子は嫌だと思ったのかパトリックは
「叔父さんもここに住めば?」と言うのですが、リーは「乗り越えられない」と。
やはりリーにとって自分の過失で家族を失ったこの町は針の筵のようです。
それはそうだと思います。
それにしても結局最後まで過去から立ち直ることが出来ない物語なんて、
映画としては辛すぎるが、逆にリアルな展開だとも言えますね。
人間はそんな映画みたいになんでもかんでも乗り越えられないもんね。
ただ、そんなに町にいるのが辛かったなら、埋葬を春まで先延ばしにしないで、
さっさと埋葬して町を離れようと思うのが人情じゃないかな。
墓堀るには寒いから暖かくなるまで待てる程度の辛さであれば、
それほど鋭利な針の筵でもなさそうな気もするし…。

7月、ボストンに帰ったリーは少し大きめの部屋を借ります。
それはパトリックがいつでも遊びに来れるようにするためでしたが、
過去の経験から序盤の極度の人嫌いで社会不適合者だったリーからは
少し成長というか回復したような気がするので、
ちょっとだけハッピーエンドだったかもしれませんね。
でも完全克服には程遠く、たぶん恋は二度としないんだろうな…。
少し冗長感があった物語ですが、泣けるほどではないけど感動できたし、
なかなかいい人間ドラマだったと思います。
佳作なので劇場上映を見逃した非Amazon会員でもちゃんと観れるように、
出来るだけビデオリリースもした方がいいと思います。

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