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PK

今日は久しぶりに映画館に行きました。
久しぶりといっても十数日空いただけですが、私的にはかなり久しぶり。
やっぱり映画館は素晴らしいところで、とても落ち着きます。
家で映画のビデオを見るよりも没入感があって嫌なことも忘れられるし。
明日は行けないけど明後日はまた行こうかな。

今日も映画の感想です。
今日観た作品ではありませんが…。

PK
PK.jpg

2016年10月29日日本公開。

名作『きっと、うまくいく』のアーミル・カーン主演の本作は、
2014年の公開当時、世界興収が1億2000万ドルを超え、
インド映画の歴代最高興収を記録した作品だったそうです。
『きっと、うまくいく』も2009年公開当時は全世界歴代最高興収でしたが、
2013年に『チェイス!』に越えられてしまいます。
『チェイス!』も傑作でしたが、なんとその主演もアーミル・カーンでした。
更にその記録を越えた本作ですが、昨年『ダンガル』という作品に越えられるも、
なんと『ダンガル』もアーミル・カーン主演なんですよね。
自分の打ち立てた歴代最高記録を次々と更新してしまうなんて、
アーミル・カーンは凄すぎる俳優ですが、記録を更新するだけじゃなくて、
どの作品もそれに見合うだけの面白い内容なのが素晴らしいです。
(もっとも、まだ『ダンガル』は観ていないのですが…。)
今年に入り、インド映画の全世界歴代最高興収は、
現在日本で公開中の『バーフバリ 伝説誕生』の続編『バーフバリ2』により
更に更新されましたが、残念ながら主演はアーミル・カーンではありません。
でもその記録もそう遠くないうちに彼がまた更新する気がします。
世界中でヒットした本作は、もちろん全米公開もされて、
全米ボックスオフィス初登場9位になり、私も本作の存在を知りました。
全世界成績に比べると些か物足りない全米成績でしたが、
外国語映画がトップ10に入れるだけでも奇跡的なことですからね。
コメディだけど、少々センシティブな題材なので大規模公開されてないし。
(劇場アベレージでは1位の『ホビット』に迫る成績でした。)

本作の冒頭で「フィクションであり、いかなる宗教も傷付ける意図はない」と
注意書きが流れるのですが、要は宗教を揶揄する内容になっています。
その宗教には当然キリスト教も含まれているので、
キリスト教国家のアメリカではなかなか受け入れ難いところもあるのかも。
でもアメリカの某有名批評サイトの支持率は9割を超えており、
たぶん信仰を問わず、共感できる内容なのだろうと思われます。
私は無神論者で反宗教主義だと自認していましたが、本作に共感し、
反宗教主義に変わりはないが無神論ではないと再認できました。
信仰の有無を問わず、多くの人に観てほしい作品です。
私も昨年、本作が日本公開された時にはスルーしてしまいましたが、
こんな素晴らしい作品だったなら観に行けばよかったと悔やんでいます。
やっぱり「インド映画は長い」という印象があるので躊躇しちゃうんですよね。
本作の上映時間は2時間半強なので、そこまで長いわけでもないけど…。
以下、ネタバレ注意です。

インド、ラジャスタンの荒野にUFOが飛来し、あるひとりの男が降りてきます。
男は宇宙人で、真っ裸で首からUFOを呼ぶリモコンを下げています。
彼を演じるのがアーミル・カーンですが、ギョロ目でデカ耳で宇宙人ぽいです。
まだ地球のことを何も知らない彼は、荒野にいたひとりの男と
ファーストコンタクトをはかろうと近づきますが、その男はロクでもない野郎で、
彼が首に掛けている光るリモコンを宝石だと思い、引っ手繰って逃げ去ります。
泥棒なんて最低だけど、こんな真っ裸の怪しい男が近づいてきたら、
普通なら盗むどころか逃げ出しそうなのに、なかなか根性ありますね。

宇宙人は故郷の星に帰るために盗まれたリモコンを探すことになります。
地球人は服を着るものだと学習し、カーセックス中のカップルから服を失敬し、
街に行きますが、言葉も文化も全くわからず、周りから見れば奇行を繰り返し、
みんなから酔っ払いを意味する「PK」と呼ばれるようになります。
PKは街でトラックに撥ねられますが、宇宙人だからか無傷で…。
しかしトラックの運転手バイロンは喋ることが出来ない彼を、
事故のせいで記憶喪失になったと思い込み、暫く世話をしてくれることに。
バイロンはやたらと女性の手を握りたがるPKを風俗に連れていてあげます。
別にPKは女性の肌を求めているのではなく、人間の手を握ることで、
相手の記憶を読み、言語を学習しようとしていたのでした。
言語を学習するには6時間かかるみたいですが、
たったの6時間でヒンディ語をマスターできるなんて便利な能力だけど、
6時間も手を握りっぱなしじゃないとダメというのは不便な能力ですね。

バイロンから「泥棒は盗品を売りにデリーに行くはず」と聞き、
デリーを訪れたPKは、警察官や住人にリモコン探しの助力を求めますが、
「そんなの神様しかわからない」「神様にでも頼め」とあしらわれ、
「地球人は困ったことがあると創造主である神様に助けてもらうのか」と学習し、
寺院、教会、モスクをまわり、神様にリモコン探しをお願いしますが、
どの神様に祈ってもリモコンが見つかるはずもなく…。
そして宗教ごとに作法も違い、PKは神様はひとりではないと学習するのです。
神様は沢山いて、それぞれが別々の会社を運営していて、
その会社が宗教と呼ばれ、それぞれに代理人(指導者)がいる。
宗教はそれぞれ社業規則が違い、地球人はどれかの宗教に属し、
自分の属する宗教の神だけを信じている、と。
宗教を会社に見立てるなんて発想がユニークですよね。
たしかに宇宙人からすると宗教は奇異なものに思えるでしょうね。
PKは「神様に助けてもらえるなんて便利なシステムだ」と思ったようですが。
PKは自分がどの宗教に属しているかわからないので、
とりあえず全ての神様に頼ることにし、色々な宗教的儀式に参加します。
ヒンドゥ教の沐浴した直後にキリスト教の浸礼したりと無茶苦茶です。
他にも何教だか知らないけど、煉瓦に牛乳をかけたり、地べたを転がったり、
黄色い粉を被る、鞭で自傷行為を行うなど、意味不明な儀式に参加し続け、
神様が本当にこんなことを望んでいるのか?と疑問を持ちます。
彼の疑問はもっともで、本当に宗教的儀式って不条理なものが多いです。

一方でPKは「神様が行方不明」と書かれた捜索ビラを作り、配り始めます。
それを受け取ったテレビ局の女性記者ジャグーが
「彼はニュースのネタになるかも」と関心を示すのです。
PKは神様捜索中にヒンドゥ教のカリスマ導師の催す集会に迷い込みますが、
なんと壇上の導師が彼のリモコンを持っており…。
導師は「これはヒマラヤで瞑想中に拾ったシヴァ神の宝玉だ」と信者に説明。
PKは「それは私のものだ」と言いますが、警備員につまみ出されてしまいます。
後日たまたま再会したジャグーはPKを取材しますが、
「私は宇宙人だ」と言われ、単なる嘘つきの危ない人だと思い…。
しかしひょんなことから手を握っただけで記憶が読める彼の能力が証明され、
彼の話を信じ、導師からリモコンを取り返すのを手伝うと約束します。

PKはリモコンを「シヴァ神の宝玉だ」と言う導師の主張は、
間違い電話のように、神様との交信を「かけ間違った」のが原因ではないか、
違う偽の神様と交信してしまいイタズラされているだけではないかと分析します。
普通なら「あの嘘つきのペテン師め」と思いそうなところなのに、
なんとも好意的な解釈ですよね。
その導師だけではなく、どの宗教の代理人たちも全員かけ間違っていて、
だからかけ間違って繋がった偽の神様にイタズラされて、
無意味な儀式をやらされているに違いないと考えるのです。
この分析には私も強く共感してしまいました。
偽の神様云々は別として、どの宗教も神様の意志とは繋がっておらず、
代理人が勝手に神様の代理を名乗っているだけだというのは真理です。
こんな考え方を理神論というそうで、私の宗教観にかなり近く、
私は無神論ではなく理神論だったのだと気付かされました。

この「あの導師は神様と交信をかけ間違っている」というPKの分析を
面白いと思ったジャグーは、PKと導師の討論番組を企画します。
ジャグーはヒンドゥ教徒で、彼女の家族は導師を崇めているのですが、
彼女は導師に個人的な恨みがあるのです。
彼女はベルギー留学中に大学院生サラファラーズと恋に落ちますが、
彼はパキスタン人のイスラム教徒だったため、家族が交際を反対。
父親から相談を持ち掛けられた導師は神様と交信して、
「その男は裏切るとお告げにある」と反対を後押しします。
反発を覚えたジャグーは、そのお告げは間違いだと証明するために
翌日に教会で結婚式を行うのですが、当日ある少年から手紙を渡され、
そこには「宗教が違うから結婚は無理、もう会わない」と書かれていて…。
うーん、破局は導師のせいで結婚を急いだせいもあるかもしれないけど、
ドタキャンしたサラファラーズが悪いわけで、導師を恨むのは筋違いな気も…。
ただ交際相手がイスラム教徒というのは家族の不安もわかるかな。
もちろんインドとパキスタンの対立関係もあるだろうけどね。

PKはジャグーと導師の集会に乗り込んで問答を吹っ掛け、
導師が神様と交信できてないことを理論的に証明して恥をかかせ、
その様子を盗み撮りしてテレビ放送します。
まぁ神様と交信できることを証明するなんて所謂「悪魔の証明」なので
導師に勝ち目はなく、ちょっと気の毒な気もしますが、
こいつは別のマスコミに対して「奴はイスラム教徒だ」と批判したりと、
かなり不愉快なインチキ導師なので同情心も薄れますね。
ちなみにPKを演じるアーミル・カーンはイスラム教徒らしいです。
本作が「いかなる宗教も傷付ける意図はない」としながらも
特にヒンドゥ教に手厳しいのはそのせいかもしれませんね。

その放送は大評判で、視聴者からもいろいろな宗教に対する
かけ間違いの代理人や戒律を指摘する投稿がどんどん送られてきます。
どの指摘も至極もっともなものばかりでした。
視聴者の反応は上々でしたが、ジャグーは父親から「お前は恥だ」と…。
PKも「地獄に落ちる」と言われますが、宗教の実態はそんな脅迫であり、
恐怖ビジネスであるということが証明されます。
これはホントにそうで、理神論者の私ですら、宗教を批判することを書くと
バチが当たるんじゃないかとか少し恐怖を感じますもんね。
放送によって信者が離れ、献金が集まらなくなった導師は、
一発逆転を狙ってPKとのテレビ討論に出演することを決めます。
彼に論破できる見込みはないと思うんだけど…。

一方、ラジャスタンではバイロンが泥棒を捕まえ、デリーのPKに電話します。
バイロンから「泥棒がリモコンをデリーで4万ルピーで売ったと言っている」と
聞いたPKは、導師がかけ間違いで偽の神様にイタズラされているのではなく、
自ら嘘を付いているのだと漸く気付くのです。
それにしても、たかが4万ルピー(約7万円)程度で買った盗品を
「シヴァ神の宝玉」なんて大々的に公表できる導師の根性も凄いですね。
バイロンが泥棒を討論会に連れてきてくれることになり、
これで導師の嘘も暴け、リモコンを確実に取り戻せると考えますが、
なんとバイロンと泥棒が乗った電車がデリーの駅で大爆発し…。
口封じのためにそこまでするのかと導師を疑ってしまいましたが、
後から「我が国を冒すものはこうなる、我々は神を守る」と
テロ組織から声明が出され、どうもイスラム過激派の仕業のようです。
いや、イスラム過激派に見せかけた導師の企みの可能性も捨てきれないか。
PKはバイロンが殺されたのもさることながら
神の名を騙る残虐なテロ行為に愕然とします。

そしてテレビ討論本番。
導師はPKを「神様のいない世界を望む者だ」と批判し、
宗教によって希望を持ち、救われる人もいることを主張します。
これは事実だし正論でしょうね。
更に導師は「かけ間違いと言うなら正しい番号を教えろ」と迫ります。
それに対しPKは「それは正しい、僕も神様を信じると希望が湧く」と賛同するが、
「我々の創造主かあなたの作った神か、どちらの神様を信じるかが問題」と言い、
「正しい番号は、創造主の神様をただ信じればいい」と主張します。
うんうん、神様を信じることに宗教の有無は関係ありませんね。
導師は「神様を侮辱する気か、我々は神様を守ってみせる」と言うが、
PKは「神様は人に守ってもらわなくても自分で自分を守れる」
「神様を守るのはやめろ」と反論するのです。
これはバイロンを殺した爆破テロを示唆しているのでしょう。
更にこれにはイスラム教徒であるアーミン・カーンの
イスラムテロに対する遺憾の意が込められていそうです。

討論は続き、宗教で人々を分断したのは神様ではなく人間だという話から、
宗教の違いで別れたジャグーとサラファラーズの話になります。
PKは導師に「サラファラーズが裏切ると嘘の預言をした」と批判。
導師は「実際にサラファラーズは裏切ったじゃないか」と反論し、
「預言が嘘だと言うなら証明しろ」と迫るのです。
私もサラファラーズが結婚に怖気づいてドタキャンしたと思ったので、
これまでPK優勢だったのに、一気に形勢逆転されたように思いました。
しかしPKは私が想像もしなかったような推理を披露するのです。
式場でジャグーが少年から渡された別れを告げる手紙は、
サラファラーズが書いたものではないかもしれない、
式場にいたもうひとり花嫁宛ての手紙を間違って受け取ったかも、と。
番組プロデューサーは事実を確かめるために、
サラファラーズが働いていたベルギーのパキスタン大使館に電話し、
彼に取り次いでもらい、PKの推理が事実であると判明するのです。
いやー、この予想外の展開には鳥肌が立ちました。

預言が嘘だと証明されてしまった導師は観念し、リモコンをPKに返します。
これを機に、導師に心酔していたジャグーの父親も我に返り、親子和解。
誤解が解けたジャグーとサラファラーズもヨリを戻します。
リモコンを取り戻したPKはUFOを呼び、故郷の星へ帰ることになりますが、
なぜか単一電池を大量に持って帰ろうとしていて…。
PK曰く、パナソニックのカジカセでテープに録音した地球のいろいろな音を
故郷でも聴くためらしいのですが、ジャグーがこっそりテープを聴いてみると
録音されていたのは全て自分(ジャグー)の声で…。
その時彼女は初めてPKの気持ちに気付くのです。
本当は自分もジャグーに恋してるのに、彼女と元カレの復縁を手伝うなんて、
PKは本当にお人好しなくらい優しい男ですね。
PKが地球を去った後、ジャグーは二度と会えない彼のことを思い出して、
本を執筆、出版するのです。

ところが一年後、PKは仲間を連れてまた地球にやってきて…。
なんだか今生の別れだと思って感動してたのに、
たったの一年で戻って来るのは早すぎないか?
まぁもともとPKの故郷の星は滅亡しかけていて、地球に来たのも、
移住のための調査だったわけだから、戻って来るのは当然だけど…。
戻って来たもののジャグーと再会したかには触れられてないしね。
でも一年であの大量の電池は使い切れないでしょうね。
どうも本作は世界的大ヒットを受けて続編も計画されているみたいです。
またPKが宗教の疑問をバシバシ指摘してくれるかと思うと楽しみですが、
続編は本作ではあまり触れられてなかった仏教なんかも切ってほしいです。
ただ本作の全世界歴代最高興収は中国で大ヒットした影響が大きいので、
仏教国である中国を敵に回すようなことは出来ないかもしれませんね。
それならヒンドゥ教のカースト制度なんかを掘り下げても面白いかも。

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