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バーニング・オーシャン

今日の気になる映画ニュース。

毎年12月に公開されていた『スター・ウォーズ』シリーズですが、
エピソード9およびハン・ソロのスピンオフが5月全米公開になるとか。
これにはちょっと驚いてしまいました。
どうやらサマーシーズンを狙っているそうなのですが、
歴代全米興収1位から3位の映画は全て12月公開だったので、
たぶん12月公開の方が稼げる気がするんですよね。
それになにより5月公開だと、ハンソロのスピンオフは『アベンジャーズ3』と、
エピソード9は『アベンジャーズ4』とバッティングすることになるんです。
ディズニーの大人気シリーズ同士で客を奪い合ってどうするんだ、と…。
『アベンジャーズ』の公開日を年末に移動させるつもりなのかな?

今日も映画の感想です。

バーニング・オーシャン
Deepwater Horizon

2017年4月21日日本公開。

2010年のメキシコ湾原油流出事故を映画化した本作ですが、
2005年のレッド・ウィング作戦を実写化した『ローン・サバイバー』の
ピーター・バーグ監督と主演マーク・ウォールバーグの再タッグとなり、
このタッグが2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件を映画化した
『パトリオット・デイ』も再来月に日本公開となります。
この3本合わせて「バーグ・ウォ-ルバーグ・トリロジー」なんて呼ばれてます。
どれも高い評価を受けており、トリロジーと言わず続けてほしいですが、
本作はアカデミー賞で音響編集賞、視覚効果賞の候補になるなど、
特に技術面で高評価を受けているみたいです。
全米ボックスオフィスは2位デビューなので上々のスタートな気がしますが、
製作費1億ドルを超える超大作だったため、製作サイドは落胆したそうです。
でもそのくらい予算かけたからこそ凄い音響や視覚効果が出来たんだから
無駄ではないし、それだけの価値がある素晴らしい映像だったと思います。

ただ映像には大満足でしたが物語には少し不満が残りました。
実話が元になっているので、展開に文句を言っても仕方がないのですが、
もうちょっと社会派な描き方をしてもよかったのではないかと思うんですよね。
アメリカ史上最大の石油事故であるメキシコ湾原油流出事故を描いてますが、
本作で描かれているのはその事故の発端となる油田爆発です。
しかし「メキシコ湾"原油流出"事故」と称されている通り、
この事故で最も悲惨だったのは大量の原油が海に流出したことで、
この甚大なる環境汚染に比べたら発端の油田爆発なんて些末なこと。
本作は油田爆発の顛末だけで、原油流出の悪影響や対策など全く描かれず、
言わば福島第一原発事故を描く時に津波被害だけが描かれて、
放射性物質による汚染は無視されているようなものです。
なので事故の本質が描かれていないように思うんですよね。

本作は主に油田の石油掘削施設の技師マイクの脱出劇で、
彼のヒロイックな大活躍が描かれていますが、正直原油流出させた非は、
彼を含む作業員たちにもあると思ってしまうんですよね。
まぁ上の指示通りに働くしかない末端作業員まで責任は問えないけど、
マイクは電気設備技師のチーフなので、人災であれば責任を負うべき立場。
彼は実在の人物ですが、何を主人公として映画化してもらい、
英雄気取りでエンドロールに顔晒してるんだと思ってしまいました。
まぁ諸悪の根源は他にいて、そいつに比べたら相対的にマシではあるけど。
以下、ネタバレ注意です。

メキシコ湾沖の石油掘削施設ディープウォーター・ホライゾン(DWH)は
石油スーパーメジャーであるBP(ブリティッシュ・ペトロリアム)社から
トランスオーシャン社が石油掘削を請け負っています。
DWHで掘削作業が始まるので、その準備作業のために
トランスオーシャン社のチーフ技師のマイクは、DWHの責任者ジミーと共に
港のヘリポートからヘリで45分かけてDWHに向かいます。
DWHは固定式ではなく半潜水式で、まるで人工島のように大きいけど船です。
海上油田は全て固定されているものだと思っていたので驚きました。

まずはセメントで固定しセメント・テストで杭井のセメントの強度を確認してから、
掘削泥水を抜くのが通常の工程ですが、セメント・テストには50日かかるらしく、
早く石油採掘したいBP社の役員ドナルド・ヴィドリンとロバート・カルーザが
セメント・テストを請け負う会社を勝手に帰してしまい、工程を省略します。
マイクとジミーは憤りますが、元請けのBP社の意向に逆らうことは出来ず…。
仕方なく次の工程であるドリルパイプによる負圧テストを行いますが、
セメント・テストを疎かにしたためか、危険な圧力の上昇が検出されます。
このままでは石油掘削できませんが、またしてもBP社役員ヴィドリンが、
「高圧力でドリルパイプから泥水が漏れてないのはおかしい」とイチャモン、
「ドリルパイプの故障だから抑圧パイプで負圧テストしろ」と要求します。
指示通り抑圧パイプでテストすると圧力は問題ない数値で、
ジミーは不安を感じながらも強引なヴィドリンに押し切られ、
次の工程である泥水抜きにGOサインを出します。

如何せん私には石油掘削の仕組みがよくわからないので、
セメント・テストの重要性とか、なぜドリルパイプと抑圧パイプで
負圧テストの結果が違うのかとかよくわかりません。
とりあえずヴィドリンがテストを軽視しているのはわかりますが、
それがどれほどリスキーなことかイマイチ伝わらないんですよね。
工程の省略しても問題が起きなければ表面化しないことだし、
意外と他の油田でも日常的に行われていることなのかも?
マイクも懸念しながらも「理論上は正しい」と言ってるし、
ジミーも本当に危険だと思ったらGOサインは出さないと思うので、
結局マイクもジミーもヴィドリンと同罪だと思うんですよね。
いや同罪は言い過ぎだけど、非がないとは言い切れません。

不安を抱えたまま掘削泥水を抜く作業に取り掛かりますが、
やはりパイプ内に高圧力がかかっていたようで、逆流防止装置を開くと、
ドリルパイプから恐ろしい勢いで泥水が噴出し、
ドリル監視室の作業員をぶっ飛ばして殺します。
更に油田内のガスも噴出し引火、DWHは大爆発、炎上するのです。
船位保持操縦士アンドレアはすぐに沿岸警備隊に救助を求めようとしますが、
クフタ船長が「一時的な爆発だ、勝手に救助呼ぶな」と止めるのです。
更にアンドレアがガス供給を断つためパイプを切ろうとすると、
「お前に権限はない、何もするな」と命令するのです。
この状況でも保身を図ろうとするなんて、この船長はヴィドリンに次ぐ元凶、
…というか、自分も死ぬかもしれないのにアホなのかと思います。
しかし彼らのいる操縦室もそうだけど、爆発の規模の割には被害が少なそうで、
もしかするとこの映像はちょっと盛り過ぎなのかもとも思っちゃいますね。
この爆発を目撃したらいくらアホな船長でも絶対救助呼ぶはずだし…。

呑気にシャワーを浴びていたジミーは爆発の衝撃で重傷を負いますが、
彼を探しに来たマイクに助けられてアンドレアのいる操縦室に向かいます。
ジミーは船位を安定させ鎮火しようと考えますが、停電でDWHが動かないため、
マイクが発電室に向かい再点灯させることに成功するのです。
しかし船位を安定させたところで鎮火することはなく、
もう事態の収拾は不可能と悟り、みんなで救命ボートで脱出することに。
マイクが命懸けで発電するくだりは全く無駄な展開でしたね…。

元凶であるヴィドリンはすでに救命ボートに乗り込んでいますが、
ボートは満員ということを理由にマイクたちを待たずに出発。
残された人たちはゴムボートで脱出しますが、
マイクとアンドレアはゴムボートにも乗り込めず取り残され…。
海に飛び込もうにもDWHの周りは流出した石油で火の海なので無理。
そこでマイクとアンドレアは高台に登り、そこからジャンプするのです。
高い所からなら火の海も飛び越えられると考えたみたいです。
実際に成功しますが、そんなにうまくいくとは思えないし、
この展開はマイクを英雄的に描くための創作っぽいですね。
脱出した人々は泥水を運ぶために待機していたバンクストン号に救助され、
甲板でジミーが作業員の点呼を取りますが、あんな大爆発だったのに
亡くなったのはドリル監視室で泥水に殺された数人含む11人のみ。
全作業員120余人のうち半分は死んだだろうと思ったので、
正直そんなバカなと思ってしまいましたが、
やっぱり爆発の規模とか映画用にかなり盛られてるんじゃないかな?

マイクは陸に戻り、妻子と再会してめでたしめでたしですが、
元凶であるヴィドリンはなぜか起訴も取り下げられたみたいで、
史実なので仕方ないが、全く責任を取らせられなかったのが悔しいです。
しかしこうして映画になって永遠に残ることで社会的制裁にはなるか。
エンドロールで亡くなった11人の顔写真を流すよりも、
ドナルド・ヴィドリン本人の顔写真を流してやればよかったのに。
BP社にとっても本作は大きなネガティブ・キャンペーンになるけど、
11人殺した油田爆発はまだしも、原油流出による甚大な環境破壊を起こして
まだ潰れないんだからスーパーメジャーというのは恐ろしいです。
BP社の総賠償額は何百億ドルになるでしょうが、
劇中ではBP社の資産は1860億ドルらしいので潰れるほどではないし…。
むしろ金の亡者のBP社にあまり賠償させたら、
また節約のために手抜きテストして、第二、第三のDWHが生まれそうです。

正直、メキシコ湾原油流出事故のことはあまり覚えてませんが、
ボストンマラソン爆弾テロ事件は印象深く覚えているので、
次の『パトリオット・デイ』の公開が楽しみです。

関連作の感想
ローン・サバイバー

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