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ムーンライト

今日の気になる海外ニュース。

人気ドラマ『ウォーキング・デッド』のダニエル役ダニエル・ニューマンが、
同性愛者であることをカミングアウトしたようです。
シーズン6から出演している彼ですが、私もシーズン6まで見てるけど、
ダニエルがどんなキャラだったかはちょっと覚えてませんが…。
カミングアウトするのは勇気がいることだとは思いますが、
あまりメリットを感じないというか、個人的にはやめてほしいかも。
彼自身、関係者から「カミングアウトするべきじゃない。」
「ゲイが主役のヒーロー作品なんてない、俳優のキャリアが終わるぞ」
と言われたそうですが、その関係者の助言は適切だと思います。
男性客が女性主人公に感情移入し難くいのと同様に、
異性愛者はゲイの主人公に感情移入しにくいのは当然のことです。
俳優は人気商売なんだからマジョリティに迎合する方が得に違いない。
ゲイ俳優が異性愛者を演じていても嘘くさく感じてシラケてしまうけど、
何故か逆に異性愛者の俳優がゲイ役を演じると高く評価されるので、
ゲイ俳優はゲイであることを隠してゲイ役を演じたら、
リアルな演技でめちゃめちゃ評価されてキャリアアップできるかも。

ということで、今日はゲイ映画の感想です。

ムーンライト
Moonlight.jpg

2017年3月31日日本公開。

第89回アカデミー賞で大本命と言われていた『ラ・ラ・ランド』を降し、
見事作品賞オスカーを受賞した本作ですが、まさかの逆転劇で私も驚きました。
まぁ前哨戦ゴールデングローブ賞でも『ラ・ラ・ランド』はミュージカル部門、
本作はドラマ部門を受賞していたので、最有力対抗馬ではありましたが、
他の前哨戦はほぼ『ラ・ラ・ランド』が総なめにしていたのもあり、
『ラ・ラ・ランド』のオスカー受賞は揺るぎないと確信したので意外な結果でした。

ただよくよく考えてみれば、本作のオスカー受賞は当然だったかも。
世相のあらゆる事柄が本作の追い風になる状況でしたからね。
まず、アカデミー会員は偏屈者というか天邪鬼が多いようで、
前哨戦の結果をなぞるようなことを嫌う傾向にあります。
最有力なんて言われている作品には、あえて投票しないようです。
第82回アカデミー賞で絶対的最有力だった『アバター』を降し、
『ハート・ロッカー』がオスカー受賞した不可解すぎる結果が最たる例ですが、
昨年のオスカー『スポットライト』、一昨年の『バードマン』なんかも
前哨戦ゴールデングローブ賞の作品賞を逃したダークホースで、
近年アカデミー会員の天邪鬼っぷりはますます強くなっています。
オスカーが欲しければ、あまり「本年度最有力」なんて謳わない方がいいかも。
まぁ謳った方が集客にはプラスなので、名を捨てて実を取るのもいいけど。

更に昨年、一昨年のアカデミー賞で、俳優部門の候補計40人が、
全員白人俳優だったことで、世間から「白いオスカー」と批判されたのを受け、
批判回避の意識が投票行動に反映されたのも間違いなく、
今年の俳優部門候補は20人中5人が黒人俳優で、うち2人がオスカー受賞。
あからさまな逆差別だと思うが、その黒人受賞者は共に助演賞で、
主演賞受賞者2人が白人だったのは、アカデミー会員のせめてもの抵抗か。
(アカデミー会員はその大多数が白人だと言われています。)
作品賞でも主要キャスト全員黒人の本作に票が集まったわけですが、
会員ひとりひとりも、『ラ・ラ・ランド』の受賞を確信したうえで、
批判を避けるために接戦に持ち込もうと本作に投票したら、
同じことを考えていた人が多すぎて本作に予想以上に票が集まったのかも。
一種のアンダードッグ効果ですね。

更に極めつけは、昨年末の米国大統領選の結果です。
マイノリティなどに対する差別主義者ドナルド・トランプが逆転勝利し、
トランプ政権が誕生しましたが、偽善者が多いハリウッドは猛反発し、
今年の授賞式は反トランプ一色の政治集会まがいの様相でした。
前述の白いオスカー批判回避の投票行動からもわかるように、
偽善者が多いアカデミー会員の多くもトランプに批判的で、
黒人でゲイのマイノリティーの塊のような人物が主人公の本作に
反トランプ票が投じられたのではないかと思います。
外国語映画賞ではトランプが入国拒否したイランの映画が受賞したし、
今年のアカデミー賞はもはや作品の出来なんて関係なく、
ただただ政治によって結果が決まったような印象です。
奇しくも本作の逆転受賞はトランプの逆転勝利に似た印象を持ちました。

政治でオスカー受賞してしまったため、その受賞歴はアテになりません。
ではどの指標が本作の出来不出来を正確に表しているかですが、
批評家連中もほぼほぼ偽善者なので彼らの支持率もアテにはなりません。
やはり注目すべきは全米ボックスオフィスでしょう。
本作の全米興行収入は作品賞候補の中では二番目に低い約2770万ドル。
最低の興収の『最後の追跡』とは僅か70万ドル差の接戦でしたが、
仮にも本作はオスカー受賞作で、授賞式の時もまだ公開中だったのに、
オスカー受賞効果を受けているにも関わらず、この悲惨な成績です。
授賞式があった週末でも、まさかのベストテン圏外でした。
ちなみに『最後の追跡』はノミネートが発表された時点で上映終了していて、
授賞式前では本作が候補中最低興収の作品でした。
まぁ映画通気取りのアカデミー会員は、ヒット作よりもマイナー作を好むので、
その最低興収すらもオスカー受賞の追い風になったのかもしれません。
ちなみに大本命『ラ・ラ・ランド』は全米興収約1億5000万ドルの大ヒットです。

しかし興収と出来が比例すると決め付けるのは乱暴すぎるかもしれません。
日本で公開済の候補作は本作と『ラ・ラ・ランド』、『最後の追跡』の3本で、
たしかに『ラ・ラ・ランド』よりは楽しめないと思ったし、
『最後の追跡』よりは退屈しないと思ったものの、まだ比較対象が少なくて…。
実際に観た印象では「これがオスカー?」と思った反面、
ショボい全米興収のわりには面白かったと感じました。
候補の中では『ヒドゥン・フィギュアズ(原題)』『フェンス』も黒人映画ですが、
白いオスカー回避のためならどれでもいいはずなのに、
本作に票が集中したのにはそれなりの理由がありそうな気もします。
ただ他人にオススメできるほどではないし、オスカー受賞も納得してませんが。
以下、ネタバレ注意です。

マイアミに住む黒人児童シャロンは同級生にイジメられて、
危険な地区の廃屋に逃げ込み、そこでヤクの売人フアンに出会います。
フアンは売人のくせに気のいい奴で、警戒するシャロンを飯に誘います。
シャロンは御馳走になりますが、ずっとダンマリを決め込んでいて…。
口が利けない子なのかなと思ったけどそういうわけでもないみたいで、
単に御馳走されてもお礼も言えない無礼な子供ですね。
困ったフアンは彼を恋人テレサと暮らす自宅に連れて行きます。
女性なら安心して喋ってくれると思ったみたいですが、彼はダンマリを続け…。
でも夕飯も御馳走したら、やっと名前と住所を教えてくれて、
なぜか家に帰りたくないらしいので一晩だけ泊めてあげます。
知らない大人の家に泊まるシャロンも警戒心が強いんだか無いんだかですが、
知らない子供を泊めたら下手したら誘拐犯にされるかもしれないのに…。
あ、売人はすでに犯罪者だから犯罪者になってもお構いなしか。

翌朝、フアンはシャロンを自宅まで送り届けますが、
彼の母親から礼を言われるものの、明らかに迷惑そうで…。
まぁ母親なら息子が知らない男を連れて来たら警戒して当然か。
シャロンは母子家庭ですが、一見するとなんだか優しそうな母親で、
なぜ帰りたがらなかったのか不思議でしたが、やはり問題のあり、
自宅に男を連れ込んだり、ハッパを吸っていたりと最低な母親です。
ちなみにハッパはフアンの手下から買ってるみたいで、
フアンにも罪悪感があるみたいです。
フアンはシャロンを気に掛け海水浴などちょくちょく遊びに誘いますが、
なぜ売人の彼がこんな不愛想なガキの世話を焼くのか不思議。
少年性愛者なのかなとも思ったけど、そうでもないみたいだし、
単に子供好きならテレサと子作りしたらいいのにと思うが、
危険な仕事だから子作りできず、シャロンを息子代わりに可愛がるのかも?
ちなみにフアンを演じるマハーシャラ・アリは助演男優賞オスカー受賞しました。

ある日シャロンは親友のケヴィンらとチンコを見せ合います。
アホな小学生ならそんな遊びもしそうですが、彼は同性愛に気付いたようで、
フアンに「僕はファゴットかもしれない」と相談するのです。
ファゴットはゲイの蔑称ですが、日本語では大概オカマと訳されますよね。
でもオカマにはファゴットほどの侮蔑は込められてない気がするので、
もっといい日本語訳はないものかな?(あっても自主規制されるか。)
フアンは「ゲイでも大丈夫だ」と励ましますが、更にシャロンから
「仕事は売人だよね、ママにも売ってるでしょ」と言われ、ショックを受けます。
やっぱり子供に堂々と言えないような仕事はダメですね。

高校生になったシャロンは番長テレルから「カマ野郎」とイジメられます。
別にシャロンの性癖が公になっているわけではなくて、
服装とか素振りがナヨナヨしてるから揶揄われてるみたいです。
親友ケヴィンとは今でも仲良しで、シャロンは片想いしてますが、
ケヴィンは学校の階段で女子とヤッちゃうくらいの女好きで敵わぬ恋。
ある日、シャロンが帰宅すると男を連れ込もうとする母親に追い出され、
テレサの家に泊めてもらうことにしますが、フアンはすでに亡くなったみたい。
フアンの死因は語られませんが、やはり売人なんてしてたら早死にするんだな。
でも小学生時代にあんなことがあったのに、まだ交流してたのは意外ですね。
しかもフアンの葬式には母親も参列していたっぽくて…。
死んだ恋人が可愛がっていた他人の子供を気に掛けるなんてテレサも優しい。
しかも小遣いまで持たせてあげるんだから奇特な人です。
しかしテレサに貰った小遣いは母親に取り上げられて、
母親がヤクを買うための資金になってしまいます。
母親のダメさも更に酷くなってますね…。

母親の酷さにショックを受けたシャロンは、親友ケヴィンに会いに行きます。
2人で夜の浜辺で話しているうちに、なんとなく妙な雰囲気になって、
シャロンがキスしようと迫りますが、意外にもケヴィンは受け入れ、
さらにシャロンを手淫するのです。
ケヴィンは女好きだと思ったけど、バイセクシャルだったのか。
シャロンは愛しのケヴィンと一線を越えられたことを喜びますが、
翌日ケヴィンは番長テレルの命令でシャロンを殴らされて…。
まさに幸せの絶頂から地獄へ真っ逆さまですね。
ケヴィンもヤンチャな印象なのでテレルの言いなりになるのは意外ですが、
これがジョックには誰も逆らえないアメリカのスクールカーストか。

ボコボコにされたシャロンは先生から告発するように言われますが、
愛しの親友を売ることは出来ず、泣き寝入り…。
と思いきや、翌日の授業中にいきなり椅子でテレルをぶん殴ります。
いやー、キレたイジメられっ子ほど怖いものはないけど、
この予想外の復讐はけっこう痛快でしたね。
しかしシャロンは傷害罪で警察に逮捕され少年院送りになり…。
こんなの例えテレルを撲殺したとしても情状酌量で無罪でいいのに。

少年院から出たシャロンは、ジョージアに引越しフアンのような売人になります。
小学校時代は「リトル」というニックネームが付くほど小柄だったし、
高校時代はカマ野郎扱いされるほどのモヤシっ子だったのに、
売人になった彼はマッチョな強面で、まるで別人のようです。
そんな彼にあの時以来会ってない親友ケヴィンから電話があります。
ケヴィンも逮捕歴があるみたいですが、刑務所での調理実習で料理に目覚め、
今は堅気の料理人としてマイアミで働いているみたいです。
彼から当時のことを謝られ、「こっちに来たら店に顔出してくれ」と言われます。
シャロンは翌日さっそくマイアミに戻るのです。
売人のくせに素直な奴だ思いましたが、ケヴィンに会いたいからではなく、
薬物更生施設に入所している母親に面会するついでに寄ろうと思ったようです。

シャロンは母親との面会後にケヴィンの働く店に立ち寄りますが、
ダイナーって感じの店だけど、どうもケヴィンが経営しているみたいです。
雇われ料理人かと思ったけど、ムショあがりを雇う店なんてないか。
しかもテーブル席が十席以上ありそうなのにワンオペしてるみたい。
まぁ客もシャロン以外に2組しかいなかったし、それほど流行ってなさそうかな。
ケヴィンはすぐにシャロンだと気付くが、ほとんど別人なのによくわかったね。
ケヴィンは同級生の女子と結婚し、幼い息子もいるみたいで、
シャロンはちょっと残念そうだが、もうすでに離婚して今は独身らしく、
シャロンはちょっと嬉しそうだが、「仕事は?」と聞かれて困ります。
悩んだ挙句、正直に売人と答えると、ケヴィンは少し怒ったような感じで、
「嘘だ、お前に限って…」と言いますが、今のシャロンの風貌は、
どう見ても売人かギャング、良くてラッパーですよね。
マッチョだし金歯だしブリンブリンだし、こんな堅気はいませんよ。
呆れて絶交するかと思いきや「責めてない意外だっただけだ」と…。
まぁケヴィンも未だ保護観察中の身だし、偉そうに説教は出来ないよね。

店仕舞い後、ケヴィンのアパートに泊めてもらうことになりますが、
シャロンは「俺に触れたのはお前だけだ」と純潔を守ったことを告白し、
その夜また結ばれて、めでたしめでたしです。
うーん、正直「なんだこのオチは?」と思いましたが、
アカデミー賞受賞作だからアカデミックな作品だと思って観てしまうと、
何が伝えたいのかわからないオチで困惑してしまうが、
単にゲイのロマンス映画だと思えば結ばれてハッピーエンドは納得か。
残念ながら私は異性愛者なので共感はできませんが…。

それにしても黒人の主人公が結局売人になる話で、
ちょっと黒人をネガティブなステレオタイプに描きすぎな気がします。
白いオスカー批判回避でオスカー受賞させるのはいいけど、
批判してる黒人たちは本作にいい印象は持たないんじゃないかな?
現に黒人客も集客できないから、候補中ブービーの悲惨な興収だったわけだし。
候補中最高興収だったのは大本命だった『ラ・ラ・ランド』ではなく、
アメリカ初の有人宇宙飛行計画に貢献したインテリ黒人女性3人の物語である
『ヒドゥン・フィギュアズ』で、こっちは黒人客の指示で大ヒットしたわけだし。
黒人とゲイの合わせ技の本作に投票した気持ちもわからないでもないが、
『ヒドゥン・フィギュアズ』も黒人とフェミニズムの合わせ技だし、
どうせならそちらをオスカーにした方が支持される結果になったかもね。
それにしてもなぜ未だに『ヒドゥン・フィギュアズ』の日本公開が決まらないのか。
まさか黒人映画すぎて日本人に観せる価値なしと判断されたのでは…。

関連作の感想
ラ・ラ・ランド
最後の追跡

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