ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

ジャッキー ファーストレディ最後の使命

今日の気になる映画ニュース。

シルベスター・スタローンが『エクスペンダブルズ』シリーズから降板するとか。
どうもプロデューサーと意見が合わなかったみたいですが、
同シリーズはスタローンが立ち上げたものだし、彼の物だと思ってたので、
ブルース・ウィリスのように、彼と衝突したら相手が去るしかなさそうだけど、
やっぱりプロデューサーって偉い人なんですね。
私としてはジェイソン・ステイサムがいる限り同シリーズは見続けるので、
これでシリーズ終了なんて事態は避けてほしいと思います。
いっそシュワちゃんにも卒業してもらって、若返りをはかればいいです。
まぁ新旧アクションスター総主演が売りのシリーズなので、
若返りなんてはかったら人気急落するかもしれないけど…。

今日も映画の感想です。

ジャッキー ファーストレディ最後の使命
Jackie.jpg

2017年3月31日日本公開。

本作は第89回アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされた作品です。
主演女優賞候補作5本中、4本目の日本公開作になります。
私はハリウッド映画ファンとしてアカデミー賞主要部門候補作は
全て劇場観賞しようと思っていたのですが、3本目『ラビング』を鑑賞できず…。
『ラビング』は関西では京都のミニシアターでのみの超小規模公開で、
兵庫県民の私は時間や距離的な問題で観に行けなかったんですよね。
アカデミー賞候補作なんだからせめて梅田で公開してほしいです。
おっと、話は逸れてしまいましたが、本作も『ラビング』ほどではないが、
公開規模がかなり小さく、上映回数も少ないので、観に行くのが少し困難でした。
今週末には更に公開規模が縮小されるため、慌てて観に行きましたが、
話題作ラッシュの春休みに公開するからスクリーンが確保できないんですよ。
別に学生が好んで観るような映画じゃないから春休みは避ければいいのに。

まぁ本作の公開規模が小さいのは競合が多いからだけではないでしょう。
単純に退屈な作品なので、集客が見込めないと判断されたに違いないです。
本作は主演女優賞にノミネートされながら作品賞からは漏れましたが、
作品賞に無視され演技賞だけノミネートされるような作品は
演技しか見るべきものがない退屈な作品と相場が決まっています。
凡庸な内容の作品でも演技が素晴らしければ佳作になりえるけど、
演技が高く評価されながらも作品賞からは無視されるということは、
元の内容は凡庸以下だということです。
興味深いことに第89回アカデミー賞の主演女優賞候補作は、
『ラ・ラ・ランド』以外、全て作品賞から無視されています。
結果はご存知のように『ラ・ラ・ランド』が主演女優賞受賞しましたが、
やはり作品が面白さと演技の評価は比例するのでしょうね。

そもそも本作がアカデミー賞に注目されることになったのも、
作品の出来云々ではなく、アメリカ情勢が大きく影響している気がします。
昨年末にドナルド・トランプが大統領選に勝利し、第45代米国大統領になるが、
差別主義者の彼に対し、ハリウッド関係者の多くが批判的です。
トランプ大統領への反発から、人権派のケネディ大統領を題材にした本作が
注目されてノミネートに至ったような気がします。
なにしろ第89回アカデミー賞は反トランプ一色でしたからね。
しかしそんな追い風の中でも作品賞候補には選ばれないんだから、
本作の内容が如何に残念だったかは推して知れるというものです。

ケネディ大統領を題材にした、と書きましたが、
実際はケネディ大統領夫人ジャクリーン・ケネディの伝記映画です。
彼女は当時、歴代3番目に若いファーストレディで、
その活動に注目が集まっていましたが、奇しくも日本でも今、
日本のファーストレディ安倍総理夫人・安倍昭恵の活動が注目されており、
ちょっとタイムリーなネタだとも言えますね。
まぁジャクリーン女史とは全く違う注目のされ方ではあるが、本作を観て思うのは、
米国大統領夫人でも日本国総理夫人でも、ファーストレディはやはり公人。
安倍総理がいくら「妻は私人だから」と彼女を庇ったところで、
公人とみなすのが世界の常識だし、証人喚問にも応じるべきだと思います。
たとえ制度上、本当に私人でも、周りは忖度して公人扱いされてるんだから、
安倍昭恵女史も国民の気持ちを忖度して、堂々と出てきてほしいです。
おっと、また話が逸れてしまいましたね。

ジョッキーことジャクリーン・ケネディの伝記映画である本作ですが、
そもそも本作が何を意図して作られているのかが謎です。
伝記とは主に個人の事績を記録したものであり、
有名な人物の偉業や悪行を描く場合が多いです。
私は本作の邦題の副題「ファーストレディ最後の使命」から、
この作品はジャッキーの知られざる偉業を描いた伝記だと思いました。
きっと彼女が亡き夫ケネディ大統領の意志を継ぎ、重大な務めを果たし、
何か社会にポジティブな影響をもたらす感動の秘話だろうと…。
ところがいざ観てみると、本作には偉業らしきものは何も描かれず、
ただジャッキーが亡き夫の葬式の段取りをするだけの物語です。
こんなものは使命でも何でもなく、妻として当たり前のこと。
しかも彼女の場合は故人を悼むためや、故人を慕う国民のためではなく、
自分の虚栄心を満たすために、他人の迷惑を顧みず、
豪華で盛大なセレモニーを行おうと奮闘しているだけなので、
偉業どころか、どちらかと言えば悪行を描いた伝記と言えるかもしれません。
その上で、今更ジャッキーを叩くような伝記を撮る意義がどこにあるのか。
遠回しにケネディ大統領のことも軽んじているような内容にも取れるし…。
かといって、批判的伝記と言えるほど痛烈でもなく、
実際に製作サイドもそのつもりはなかったようですが、
では彼らは一体何を描きたくて本作を製作したのか疑問に思います。
結局テーマなんて何もない、ケネディ大統領の葬式の再現VTRなのでしょう。
以下、ネタバレ注意です。

1963年11月22日、ケネディ大統領が妻ジャッキーを伴ってテキサスで遊説し、
ダラス市内でのパレード中に銃撃される暗殺事件が発生します。
その瞬間も再現されますが、脳漿や頭蓋骨が飛び散り、結構グロいです。
隣に座っていたジャッキーもグチャグチャになった夫の頭を抱え血塗れです。
ケネディ大統領の遺体はエアフォースワンに積み込まれワシントンに向かうが、
なんとその機内でリンドン・ジョンソン副大統領が大統領就任宣誓を行い、
ジャッキーも血塗れのまま、そこに同席するのです。
大統領不在期間を少しでも短くするための速やかな処理でしょうが、
何も遺体や遺族も乗ってる機内でしなくてもいいのにと思っちゃいますね。

皆の前では気丈に振る舞うジャッキーでしたが、
実際夫の死をそれほど悼んでないような気もするんですよね。
夫の遺体を車で病院に移送する時に、彼女は運転手に対して
「ジェームズ・ガーフィールドとウィリアム・マッキンリーを知ってる?」と尋ね、
彼が知らないと答えると「リンカーンの葬儀について調べなきゃ」と言います。
リンカーンもガーフィールドもマッキンリーも暗殺された大統領ですが、
庶民の記憶に残っているのはリンカーンだけだと認識し、
暗殺された夫もリンカーンのように皆の記憶に残したいと思い、
リンカーンの葬儀の真似をすればいいのだと考えたわけですが、
本当に夫の死を嘆いているなら、この時点でそんな冷静なはずないです。
いや、そもそもリンカーンの真似をすれば記憶に残るなんてズレた発想、
正気だったらしてないかもしれませんね。
私もリンカーンのことは知ってますが、それは彼が暗殺されたからでも、
立派な葬儀が行われたからでもなく、南北戦争に勝利し奴隷解放したという
彼の偉業を知っているからで、どんな葬儀だったかなんて全く知らないし…。
裏を返せば、ジャッキーも夫の業績をイマイチだと思っているから、
せめて葬儀だけでもリンカーンに肖ろうと考えたのかもしれません。
私もなんとなくケネディは偉大な大統領だという印象があったけど、
劇中で彼の弟ボビーが言うように業績はキューバ危機回避しかないかも。
それもソ連からの提案にケネディ大統領が乗っただけなので、
彼の偉業と言えるかは微妙で、やっぱり彼を有名たらしめているのは、
その壮絶な最期によるものなのかもしれませんね。

夫が偉大な大統領として皆の記憶に残れば、ファーストレディである自分も
悲劇のヒロインとして注目され続けるので安泰と考えているようです。
暗殺の実行犯オズワルドが共産主義者だと知り、
「どうせなら公民権運動で殺されたかった」という彼女の発言も、
その方がより悲劇として語られるという思いがあったからでしょうが、
ちょっとドン引きしてしまう身勝手な考え方ですよね。
悲劇のヒロイン気取りのジャッキーは偉大な大統領リンカーンの葬儀を真似て、
棺を国会議事堂からセントマシューズ教会大聖堂を運ぶ際に、
豪華で壮大な葬送行進を行うことを決めます。
もちろん皆の記憶に焼き付けようと派手なセレモニーにしたいわけですが、
当然費用は税金だし、自分の虚栄心のために税金の無駄遣いをするのか。
彼女はケネディ大統領の生前も、税金をジャブジャブ使って
ホワイトハウスの改修をしまくり、テレビでお宅拝見番組までしたとか…。
そんなことをすれば日本では悪女として叩かれそうだけど…。

世界中の要人を参列させての行進は費用の問題以前に安全面が懸念され、
閣僚やシークレットサービスから反対されますが、ジャッキーは聞く耳持たず…。
現大統領のジョンソンも参列させられることになるわけですが、
元ファーストレディにそんな権限があるんですかね。
ただでさえ暗殺された大統領の葬儀なんてテロの標的になりやすそうなのに、
世界の要人を議事堂から大聖堂まで8ブロックも歩かせるなんて、
参列者にしてみたら迷惑以外の何物でもありませんよ。
しかも更に正気とは思えないのは、彼女は自分の幼い子供2人にも
行進に参加させるつもりだったということです。
父親を失った幼い子供たちの姿が報じられたら悲劇感が増すからという
下衆な虚栄心のために、自分の子を危険に晒すなんて母親としてどうなの?
しかも後に行進中に撃たれたかったみたいなことも語っており、
行進が危険だという認識はちゃんとあったみたいだから性質が悪いです。

しかし警察署内で暗殺犯オズワルドが暗殺されたという報道を知り、
「やっぱり行進は危険かも」と思い直し「全員車で行くことにしよう」と、
行進前日にドタキャンするのですが、振り回される周りの身にもなれよ…。
自分が国民から選ばれたわけでもなく夫の威を借るだけの小娘風情が。
しかもその舌の根も乾かぬうちに、また「やっぱり行進する」と言い出し、
「みんながやらなくても私ひとりで行進する」と発表します。
参列者も彼女の気持ちを忖度し、行進に付き合うことになりますが、
ジョンソン大統領含め参列者の何人かは本当は嫌だったでしょうね。
子供たちだけは車に乗せての行進にしたのはよかったと思うけど…。
葬儀は滞りなく終わり、めでたしめでたしでしたが、
やはりこの盛大な葬儀に意味があったのかは甚だ疑問だし、
それを映画化することに意味があったのかはもっと疑問です。

本作では描かれませんが、その後ジャッキーは大富豪オシナスと再婚します。
今まで彼女があっさり再婚したことには違和感があったけど、
本作を観てなんだか腑に落ちました。
彼女の虚栄心を満たし続けるにはカネが必要だったんですね。
いやー、ケネディ夫人のことはどちらかといえば好意的に思ってたけど、
本作一本で急激に大嫌いになっちゃいました。
ついでにケネディ大統領のことも大した人物ではないような気になったし…。
そもそも本作にも登場するケネディ大統領とジャッキーの娘キャロラインも、
現在駐日アメリカ大使ですが、けっこう思想的に合わないと思ってたし、
自分がケネディ・ファミリーをあまり好きじゃないことに気付いちゃいました。
そもそも私はリンカーンですら嫌いだし、好きな米国大統領なんてひとりもないや。
ジャッキーを演じるナタリー・ポートマンの演技は素晴らしかったかもしれないが、
やっぱり嫌いな人物を演じられるとあまり評価する気にもなりませんね。
下手するとナタリー・ポートマン自体を嫌いになりかねない…。

関連作の感想
ラ・ラ・ランド
マダム・フローレンス! 夢見るふたり

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1799-b99590ef
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad