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ひるね姫 -知らないワタシの物語-

今日はプレミアムフライデーですね。
政府と経済界が勝手に毎月末金曜日をプレミアムフライデーに定め、
国民に普段よりもプレミアムな生活をしろと言って、
午後三時に仕事を終えることを推奨しています。
でも私の職場はそんなことお構いなしで、普段通りに仕事させられます。
いや、むしろ月末なので普段よりもちょっと忙しいくらいですが、
月末に忙しくなる職場って多いと思うけど、なぜわざわざ月末に定めたのか。
特に今日なんて、月末どころか年度末ですよ。
やっぱり政治家とか経済界のトップのようなセレブリティな連中は、
一般労働者とか現場のことなんて全く理解してないんでしょうね。

そんなわけで私にはプレミアムフライデーなんて縁がない、
と思ってましたが、どうやらMOVIXなど松竹系シネコンでは、
プレミアムフライデーの午後三時から映画が1100円になるそうで、
映画ファンとして安い期間が増えることは有難いことです。
でも現在、近所のMOVIXでは観たい映画が上映されておらず…。
今日公開の『ムーンライト』か『ジャッキー』でも上映されていたらよかったのに。
残念ながら今回のプレミアムフライデーは活かせそうにありませんが、
MOVIX以外のシネコンもこのサービスを導入してくれたらいいのに…。
そんなことをしたらシネコン従業員がプレミアムな生活できないけどね。
うーん、やっぱり矛盾をはらんだ制度ですね…。

今日も映画の感想です。

ひるね姫 -知らないワタシの物語-
ひるね姫 知らないワタシの物語

2017年3月18日公開。

本作は神山健治監督によるオリジナル長編アニメです。
私はたぶん神山監督の作品を観たことがありませんでしたが、
このご時世にオリジナル脚本で勝負しようという気概に感心し観に行きました。
昨年歴史的大ヒットを記録した『君の名は。』もオリジナル長編アニメですが、
昨今、日本映画でヒットするのはアニメ映画だけだなんてことも囁かれており、
もしかしたら本作も大ヒットするかもしれないと思っていました。
しかし蓋を開けてみたら、全国週末興行ランキング初登場9位、
翌週にはベスト10圏外に沈むというかなり期待ハズレの結果で…。
やはり『君の名は。』の超ヒットは巡り合わせというか偶然の産物で、
オリジナル脚本作品がヒットするのは相当厳しいのかもしれません。
それに日本映画でヒットするのはアニメ映画だけ、という説も間違いで、
実際は日本映画でヒットするのは東宝アニメ映画だけなので、
ワーナー配給でオリジナルの本作にヒットの見込みなんて端からないのかも。

でも昨年、オリジナルではないが非東宝配給なのにスリーパー・ヒットした
『この世界の片隅に』のような例もあり、はじめの注目度は低くても、
内容がよければバイラル・ヒットすることは出来ます。
しかし本作はヒットするのに最も重要なポピュラリティが欠けており、
アニメオタクの若者しか楽しめないような内容になっています。
『君の名は。』も『この世界の片隅に』も、老若男女問わず、
非オタクも楽しめる内容だったのでバイラル・ヒットしましたが、
本作は例え楽しめた客でも、他人には勧めにくい、人を選ぶ内容です。
その一方で、主演の高畑充希をはじめ、江口洋介、満島真之介、高橋英樹など
キャストをタレントで固めてポピュラリティを出そうとしていますが、
逆に人気声優で固めてアニメオタクにアピールした方が動員は上がったかも。
ヒットは無理だが最高9位なんて無残なことにはならなかったはず。
以下、ネタバレ注意です。

ヒロインの女子高生ココネは自動車整備工場を営む父と2人暮らししています。
父のモモタローなんて変な名前だと思ったら、岡山が舞台だからか。
彼らが暮らす本作の舞台は瀬戸大橋のたもとの街だったので、
四国側の香川県かなと思ったら、本土側の岡山県倉敷市でした。
でもモモタローを演じるのは桃太郎侍こと高橋英樹ではなく江口洋介です。
ココネは田舎の平凡な女子高生という設定でしょうが、
キャラデザがまるでギャルで、可愛いとは思うけど違和感がありました。

昼寝ばかりしているココネでしたが、いつも同じ夢を見ます。
なんか夢が題材という時点で『君の名は。』と丸被りになっちゃってますが、
あえて真似したわけではないだろうけど、客にとっては二番煎じ感があります。
夢の中でのココネはハートランド王国の姫エンシェンで、
機械に心を与える魔法を使えるが、父王は魔法使いの娘を塔に幽閉します。
全国民が自動車製造に従事する科学の国ハートランドの王として、
非科学的な身内がいるのはマズいのかな?
エンシャンは自動車製造マシーンを魔法で自動で動かすことが出来るので
便利だとも思うけど、全ての機械がオートメーション化されてしまったら、
全国民が失業してしまうので、民想いの王が危険視したのかも。
ただエンシャンは魔法のタブレットがないと魔法は使えません。
なので魔法は彼女ではなくタブレットの能力な気もしますが…。
杖とかではなくタブレットで魔法を使うなんてイマドキな設定ですが、
年配の客にはちょっと馴染みにくいかもしれませんね。
私もタブレットは持ってないので、あまりピンと来ませんでした。
タブレットじゃなくてスマートフォンではダメだったのかな?

王国にはエンシャンを狙って巨大な怪物「鬼」が度々現れるため、
国王は対鬼用有人機械兵エンジンヘッドを開発し、王国を守っています。
いわゆる巨大ロボですが、未知の巨大生物と巨大ロボが戦うなんて、
『エヴァ』以降ありがちすぎる設定で、芸がないなと思ってしまいます。
鬼のデザインも、宮崎アニメの巨神兵とデイダラボッチを合わせた感じで、
全くオリジナリティを感じられないし…。
それ以前に、なぜ鬼がエンシャンを狙っているのか全く説明がないし。
まぁ夢なんてそんなものかもしれないけど…。
魔法で動くロボットじゃないと鬼は倒せないと思ったエンシャンは
塔から抜け出し、海賊ピーチに鬼退治の協力を求めます。
ピーチは父モモタローの若い頃の姿をしていますが、夢の中の父である
国王がモモタローならわかるけど、なんか違和感のある夢だと思いました。
彼らは鬼退治に向けて潜伏しますが、大臣ベワンに発見され、
ピーチの仲間のウッキーとタキージの助力も虚しく、ピーチは捕まります。
サルとキジは桃太郎の仲間なのに犬は敵なんですね。

現実世界は2020年東京オリンピックの3日前です。
1学期の終業式が終わり、帰宅したココネですが、夢と同じように
父モモタローが警察に逮捕され、東京に連行されたようで…。
その夜、家にベワンそっくりの怪しい男がやって来て、
勝手に家探しし、父のタブレットが盗まれてしまいます。
父から「悪い奴にタブレットを渡すな」とメールが来ていたので、
ココネは大学生の幼馴染モリオに父のサイドカーを運転してもらい、
怪しい男を追いかけ、高松空港で隙を突いて盗み返して逃走します。
男はなぜ東京に向かうのに、岡山から香川の空港まで行ったのか…。
持ち物から男の正体が大手自動車メーカー志島自動車の渡辺専務と判明。
彼はモモタローに会社のプログラムを盗まれたと警察に訴えて、
そのプログラムが入ったタブレットを追っていたみたいです。

ココネとモリオはサイドカーに乗ったまま高松で野宿するが、
夢の中でまたエンシャンになり、逮捕されたピーチを助けに行くため、
サイドカーに変身できるロボ「ハーツ」に乗り、瀬戸大橋っぽい橋を渡ります。
ロボモードのハーツはどう見てもベイマックスのパクリですね…。
橋を渡ったところでハーツがガス欠となり、目を覚ますのですが、
なんとそこは大阪道頓堀で、高松で野宿したはずの2人はビックリ。
夢の中での移動が現実になったのではと驚くのです。
しかし実際は父がサイドカーに取り付けた自動車運転制御プログラムが起動、
つまり完全自動運転で寝ている間に道頓堀まで走っていたのです。
2020年とはいえ、そんな完全な自動運転が実現しているなんてあり得ず、
もう夢の中だけじゃなくて現実世界までもSFですね…。
どうも高速に乗ったらしいけど、通行料はETCでなんとかなるとして、
岡山から東京に向かうのに道頓堀を通るはずないんだけど…。

サイドカーを乗り捨てた彼らは新大阪から新幹線で東京に向かおうとするが、
お金がなくて切符が買えずに困ります。
ところがココネが父のタブレットにインストールされていた謎のアプリに、
「新幹線で東京に行きたい」と打ち込むと、なぜか駅員さんから切符を渡され、
更に新幹線の中で「弁当食べたい」と打ち込むと、売り子さんから弁当渡され、
これは夢の中で見た魔法のタブレットではないかと思うのです。
実際はアプリのコメントを見た父の知人が手配してくれてるだけで、
やっぱり現実世界には魔法はないのでしょう。

新幹線の中で寝たココネはまた夢を見ます。
エンシャンはピーチと巨大機械兵器エンジンヘッドに侵入し、
魔法のタブレットで心を与えようと試みます。
なぜ彼女がベワンに捕まったはずのピーチと行動しているのか…。
現実世界でもモモタローはまだ拘留されているはずなのに…。
エンジンヘッドに心を与えて鬼と戦わせようとしますが、
操縦士たちがブレーキをかけて強制停止してしまうのです。
そのまま自由に戦わせていれば鬼を倒せそうだったのに、
彼らには鬼を倒すことよりもエンジンヘッドを操縦する方が重要なのか。
エンシャンは甲板に出て再起動しようとするが、甲板から転落し死亡します。
そこでココネはエンシャンが自分ではなく死んだ母イクミだと気付くのです。
女子高生が見るにはレトロフューチャーな世界観の夢だと思ったら、
もともとは父モモタローが妻イクミの人生をSF風にアレンジして娘に聞かせた
ベッドタイム・ストーリーだったみたいです。

イクミは志島自動車会長の娘で元重役でしたが、
20年ちかく前から自動車の完全自動運転化の実現を計画していて、
「自動車はソフトよりハードだ」と考える父と対立し退社し、
ソフト部門に勤めるモモタローと出会って駆け落ちしてココネを授かるが、
その後すぐに交通事故で死んでしまったようです。
イクミは退社時に自分が開発した完全自動運転を実現する制御プログラムを
タブレットに入れて持ち出したみたいです。
現在、志島自動車は東京オリンピックの開会式で選手団の乗るデモカーで、
完全自動運転を世界にお披露目しようと考えていますが、
そのためにイクミの開発したプログラムの入ったタブレットが必要なのです。
夢はそんなイクミの人生のメタファーになるのですが、
つまりハートランド王国は志島自動車、国王は会長(ココネの祖父)で、
機械兵器エンジンヘッドは同社の製造した自動車になるわけですね。
機械に心を与える魔法は制御プログラムのメタファーでしょうが、
それでは鬼が何のメタファーになるのかが問題です。
制御プログラムを搭載した自動車がないと困ることといえば、
東京オリンピックで完全自動運転をお披露目できないことになるので、
鬼は開会式で失敗することのメタファーになると思うんだけど、
別に物語を創作したモモタローもココネも失敗しても困らないし、
それが倒すべき存在としてココネの夢に登場するのは違和感があります。
それ以前に創作した時には東京オリンピック開催も決まってないし…。

東京に着いたココネは志島自動車に行き、祖父に会おうとしますが、
女子高生がアポなしで大企業の会長に会えるはずもなく門前払い。
ところが散歩中の会長にたまたま遭遇し、話が出来るのです。
会長は孫だと気付いてませんが、たまたま出会った女の子と話し込むなんて
よっぽど暇なんでしょうね…。
そういえば渡辺専務もわざわざ岡山まで来るほど暇そうだし、
大企業の取締役というのはこんなに仕事がないのか。
ココネは会長から彼の娘、つまり自分の母親の思い出を聞きますが、
その話の途中で、夢の世界に入ります。
まさか彼女は失礼にも人の話を聞きながら寝てしまったのか?

王国は鬼から襲撃を受け、魔法で動かないエンジンヘッドが破壊されます。
ベワン大臣は自分が開発した新エンジンヘッドを持ち出し、
それをココネから奪った魔法のタブレットで起動させようとします。
どうも彼は自分の魔法で動く新エンジンヘッドで鬼を倒すことで、
国王を失脚させるつもりだったみたいです。
しかしその前にピーチが新エンジンヘッドに乗り込み、手動で鬼と対決。
魔法なしでも勝てるんじゃないかと思うほど圧倒しますが、
なんとベワンが自分の魔法のスマホで呪いの魔法を発動させ、鬼が暴走。
ベワンも魔法を使えるということは、やはり魔法は魔法使いの力ではなく、
魔法のアイテムによるもので、エンシャンも魔法使いではないのでしょう。
しかもタブレットじゃなくて自分のスマホで魔法が使えるなんて…。
ココネはタブレットで心を与えると、覚醒した新エンジンヘッドは
暴走した鬼を引き連れて宇宙に飛び出し、王国を鬼から守ります。
しかし新エンジンヘッドと共に飛び出したピーチも自力では戻ってこれず、
ココネは駆け付けたハートに乗って助けに行こうと飛び立ちます。

しかしそこで目が覚めたココネは、
志島自動車本社の30階から吹き抜けを転落している最中で…。
寝た時は会長と話していたのに、目が覚めたらなぜ落下中なのか。
しかも警察に拘束されているはずの父モモタローが助けに来ていて…。
その経緯が全く説明されず、意味不明な状況です。
夢が現実世界に干渉していると言ってしまえばそれまでだけど、
寝ている間に道頓堀に移動したのはサイドカーの自動運転によるもの、
魔法のタブレットで切符や弁当が手に入ったのは知人が手配したからと、
現実で起こった魔法のような事態には夢とは関係ない説明があったのに、
なぜクライマックスになって夢の干渉なんて展開を持ち出すのか。
こんなものはご都合主義以外の何物でもありません。
結局ココネもモモタローも転落するが、サイドカーが巨大バルーンでキャッチし、
事無きを得ますが、人助けをするなんて自動運転の域を超え、
完全に自立した人工知能に進化しちゃってますよ。
ココネに「どうなっとん?」と言われ、モリオが「こっちの台詞だ」と返すが、
それこそ「こっちの台詞だ」と突っ込みたくなる荒唐無稽なオチでした。
マスコミも集まり大騒動になるが、マスコミの関心は東京オリンピックで、
そんなんことよりも今目の前で起こった超常現象を取材しろよ。
イクミのシステムを使って東京オリンピックも成功し、めでたしめでたし。

私がこの物語に全く共感できなかったのは、
ご都合主義にもほどがある脚本の出来の悪さもさることながら、
自動車の完全自動運転に対して否定的だからかもしれません。
私もイクミと対立した時の会長と同様、自動車は人間が運転するもので、
そこが自動車の面白味だと思っているので、自動運転なんて要らない。
今盛んに開発されている自動ブレーキとかアシスト機能だって、
ドライバーの白痴化を招きそうな気がして怖いです。
しかし本作は鬼を完全自動運転を実現しないことのメタファーとし、
手動運転は倒すべき悪だというような描き方がなされていて不愉快。
もしかしたら監督は無免許なんじゃないのかとも勘繰ってしまいます。
免許持ってたら普通免許でサイドカー乗れないことを知ってるはずだし。

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