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パッセンジャー

学生たちは春休みなのでしょうが、今年の春休み映画は熱いですね。
特に『キングコング/髑髏島の巨神』、『LEGOバットマン THE MOVIE』、
そして『ゴースト・イン・ザ・シェル』に期待しています。
あ、『ゴースト・イン・ザ・シェル』は春休み映画というかGW映画になるのかな?
GW映画も『美女と野獣』や『ワイルド・スピード ICE BREAK』など超熱いです。
今から夏休みまでが、最も映画が盛り上がる時期だと思いますが、
今年の春夏の洋画ラインナップは凄まじく、暑い夏になりそうです。

今日も映画の感想です。

パッセンジャー
Passengers.jpg

2017年3月24日日本公開。

本作は昨年末に全米公開され、第89回アカデミー賞で美術賞と作曲賞候補に。
明らかに作品賞も狙っていますが、残念ながら作品賞候補のSF枠を
『メッセージ』に譲ってしまったため、ノミネートには至りませんでした。
(宣伝でも当初は「アカデミー賞最有力」を謳ってましたね。)
残念だけど、あんな政治まみれの映画賞では面白さは測れません。
約1億ドルの全米興収こそが本作の面白さを示しています。
期待していた私も、期待以上の面白さで大満足でした。
以下、ネタバレ注意です。

人口増加と物価高騰で住みにくくなった地球、人々は宇宙に移住し始めます。
地球から移住を希望する5000人の乗客と258名の乗務員を乗せた
宇宙船アヴァロン号は、植民地惑星ホーム・ステッド2に向けて出航。
その行程は120年にもなるため、乗員乗客は冬眠ポッドに入り、
到着の4カ月前まで冬眠状態で旅をします。
ところが30年ほど経った時に、アヴァロン号のシステムにエラーが発生し、
乗客のひとり、ジムが90年も早く目覚めてしまうのです。
ジムの職業が技術者なので、自動修復できないエラーを修理してもらうために、
システムが彼を選んで起こしたのかなと思いましたが、どうも違うみたいで、
彼の冬眠ポッドだけが運悪く故障して、たまたま目覚めてしまったようです。
冬眠するには地球にある入眠装置が必要で、再び冬眠するのは不可能。
彼は生涯を船内で終えることが決定的になります。

一生孤独な状況はかなり辛いと思いますが、何だか少し羨ましい気も…。
何せハイテクな広い宇宙船を独り占めできる状況ですからね。
衣食住には事欠かないし、ハイテクな娯楽も沢山用意されています。
バーテンダーのアーサーなど人工知能アンドロイドもいるので
そんなに寂しくなさそうな気もしますからね。
ただ乗客にはランクがあり、彼はそれほど高いランクではないため、
個室は狭いし、食事など提供されるサービスも微妙なんですよね。
ドリンクバーには美味しそうな飲み物が沢山あるのに
ほとんどがゴールドクラス用だからコーヒーしか注文できず、生殺しです。
順調に航行しても船内で活動する期間は4カ月もあるのに、
カスカスの宇宙食とコーヒーしか提供されないのは酷いでしょ。
でもアーサーのバーではクラス問わず酒が飲み放題なんですよね。
酒以外の注文も受けるみたいだし、ドリンクバーでクラス分けする意味が…。

初めは少し羨ましいなんて思ったけど、やっぱり独りは辛いかな。
地球と通信する手段もありますが、なんと返信に55年かかるらしいし、
ネットで社会と繋がれるヒキコモリよりも孤独な状況ですね。
ジムは気晴らしに宇宙服を着て宇宙遊泳を楽しもうとしますが、
あまりの寂しさに号泣し、宇宙服を着ずに生身で宇宙空間に出ようとします。
つまり自殺を謀るのですが決心が付かず結局諦めます。
こんな絶望的状況なら自殺もしたくなるでしょうが、
生身で宇宙空間に出る自殺方法は苦しいのか楽なのか少し気になりますね。
意外と一瞬であっさり死ねそうかも?

孤独な生活が一年続いた頃、ジムはついに禁じ手に出ます。
以前から目を付けていた好みの女性の冬眠ポッドを手動で解除するのです。
人道的に酷すぎる悪魔の所業だけど、むしろ一年も我慢できたのが凄いかも。
私なら一カ月ともたず、十人くらい起こしちゃってる気がします。
起こされたのはオーロラという名前の女性ですが、
アーサーが「スリーピング・ビューティですね」と言ったので、
なるほど『眠れる森の美女』のオーロラ姫に肖っているのか、と気付きました。
ジムは自分が彼女を故意に起こしたことをアーサーに口止めし、
あたかも自分同様、冬眠ポッドの故障で起きたかのように振る舞います。
それに彼女が全く疑いを持たなかったのはちょっと不思議な気がしました。
ジムはオーロラが目覚める前に無精髭を剃ったりしていましたが、
日常会話で「独りの時はパンツも穿かず汚い恰好していた」と言ってたし、
「なぜ初対面の時に小奇麗だったのだろう?」と疑問に思わないのか。
彼女は職業が作家のわりにはあまり観察力がないのかも…。
そもそも彼女は植民地惑星に移住する気もなく、一年滞在して地球に帰り、
植民地惑星から戻って来た初の作家として活動するのが目的です。
そんな話題性だけが売りでは才能は疑わしいですね。
もし地球に戻っても250年経ってるわけだし、原始人扱いされるだけでしょ。

ラッキーなことにオーロラはゴールドクラスの乗客だったため、
ジムも彼女の好意に甘えて、上質なサービスを受けられるようになります。
朝食も固形の宇宙食ではなく、ベーコンとか生ものを食べられますが、
食料を120年も保存できる技術も凄いですよね。
5258人が4カ月食べられる量なので、莫大な貯蔵量だと思うし。
そんなゴールドクラスの彼女でも、操縦席や機関室、
乗務員の冬眠ポッドルームなど、乗務員専用の管理エリアには立入禁止です。
ジムも管理エリアに何度も押し入ろうとしましたが、扉が硬く閉ざされていて…。
もし管理エリアに入れたら、乗務員全員起こしてやるだろうな。

ジムとオーロラの共同生活が始まりますが、男と女が二人きりなので、
やはりそういう関係になってしまいます。
誰もいない食堂でしたり、サルのようにヤリまくるのですが、
こんな環境ではセックスは最高の娯楽でしょうね。
もしジムがイケメンじゃなくても、やはりそうなっちゃうだろうな。
初めは絶望していたオーロラも、ジムとの生活に幸せを感じ始めるのです。
一年が経った頃、彼女はアーサーに「私たちに秘密はないわ」と惚気ますが、
なんとアーサーはジムから口止めされていたにも関わらず、
「彼は一年前、あなたを起こすかどうか悩んでいた」とチクるのです。
アンドロイドが人間の命令を無視するとも、惚気に嫉妬するとは思えないが、
彼のシステムにもエラーが発生していたのでしょうか?
ロボット掃除機なども次々とエラーを起こしていましたが…。

真実を知ったオーロラは強いショックを受け、ジムを無視するように。
会わずに済むようにアーサーのバーを使う時間も曜日で分けるようになるけど、
なぜアーサーに裏切られたジムがまだアーサーのバーに通いたいのか…。
私だったらボコボコに破壊してやろうとか思っちゃいそうだけど、
それだけ話し相手が必要なのかもしれませんね。
アーサーではなく、ジムがオーロラに寝込みを襲われボコボコに殴られますが、
怒れる彼女もやはり独りになるのは怖いのか、鈍器で殴るのは躊躇します。
彼女が話を聞いてくれないので、ジムは艦内放送を使って謝罪、というか弁解。
しかし「あなたは私の人生を奪った」と火に油を注ぐだけで…。
ジムは少しでも彼女の癒しになればと、コンコースに木を植えます。
種からではなく、そこそこ大きな木を植林するのですが、
そんなものまで運送していたんですね…。

するとある日、艦内放送から「木を植えたのは誰だ」と知らない男の声が…。
なんと宇宙船の甲板長ガスが冬眠から目を覚ましたのでした。
どうやら彼の冬眠ポッドも故障したらしいです。
2人と会い、88年も早く目覚めてしまったことを知ったガスは、
起きてしまった3人の冬眠ポッドのエラーの原因を調べることにします。
そうすると当然オーロラだけが人為的に起こされたことに気付きます。
ガスはジムに「同情するが許されることではない」と説教しますが、
オーロラがジムを批難するのは当然だけど、乗務員にその権利はないでしょ。
逆に宇宙船がエラーを起こした責任を取らされる立場だと思います。
しかし事態はそんな責任のなすりつけ合いをしていられる状況ではなく、
アーサーや自動ドア、エレベーターなど宇宙船の設備が次々エラーを起こし、
ついには重力装置までエラーを起こして、このままでは全システム停止する
かなり末期な危機的状態になってしまうのです。

ところが末期なのは宇宙船だけではなく、ガスも全器官が壊死する末期状態。
どうも冬眠ポッドの故障で正常に目覚められず重大な後遺症が残ったようです。
すぐに医療室のオート・ドクター(治療カプセル)で診察しますが、
オート・ドクターも匙を投げる重症で、もはや助かる道はありません。
ガスはジムにIDを譲り「2人で力を合わせろ」と言い残して死んでしまいます。
せっかくの3人目だったのにすぐ死んじゃうなんて残念ですね。
ガスは甲板長なので、彼のIDを使えば宇宙船中どこでも入れます。
ジムとオーロラは協力してエラーの原因を見つけるため機関室に向かいます。
管理エリアに入れるなら、まず他の乗務員を起こすべきだと思うけど…。
乗務員なら自分たちよりも宇宙船の構造に詳しいはずだし、
エラーの原因探すにしても人手が多い方がいいに決まってるのに。

機関室に入ると、隕石で船体に穴が開いているのが判明します。
本作の冒頭で宇宙船が隕石群と衝突するシーンが描かれていたので、
エラーの原因はそれだろうとは予想できたけど、もし冒頭のシーンがなければ、
ジムたちと一緒に原因は何だろうとハラハラできたのに…。
船体を突き破った隕石が動力の核融合リアクターの制御装置に直撃し、
修復システムに高負荷が掛かっていたのがエラーの原因です。
ジムは制御装置の部品を交換しますが、炉内の温度を下げないとダメで、
船外から手動でハッチを開けて、炉内の熱を放出する必要があります。
ジムが宇宙服を着てハッチを開けに行くが、十中八九死ぬ超危険な作業で、
あれほど彼を恨んでいたオーロラも、いざ彼を失うとなると辛くなり…。
ジムはハッチを開けて熱を放出することに成功しますが、
その衝撃で命綱も切れ、宇宙空間に投げ出されてしまうのです。
オーロラは慌てて宇宙服を着て船外に飛び出し、ジムを回収しますが、
彼の宇宙服は破れていて酸欠でピクリとも動かず…。
本作は「宇宙版タイタニック」なんて言われてたけど、どこがだろうと思ったら、
最後に男が死ぬところだったんだな、と納得した矢先、
なんとオート・ドクターに一度は死亡と診断されるも、
ありとあらゆる蘇生措置を同時に受け、ジムは生き返るのです。
死ななかったのはよかったけど、これでは『タイタニック』的要素はゼロですね。
意識を取り戻したジムにオーロラがキスすると、
彼は「君がキスで蘇らせてくれたのか」と言いますが、
「宇宙版タイタニック」ではなく「宇宙版眠れる森の美女」の間違いでは?
まぁ『眠れる森の美女』とは姫と王子が逆ですけどね。

宇宙船は正常に戻り、順調に航行を続けます。
そんな折、ジムはオート・ドクターで代謝活動を停止できることに気付くのです。
代謝活動を停止させれば、事実上冬眠と同じ効果が得られるみたいですが、
オート・ドクターに入れるのはひとりだけなので、ジムはオーロラに勧めます。
彼女は「二度と会えなくなるわ」と言いますが、冬眠ポッドではないので
いつでも入眠できるし、たまに起こして会えばいいんじゃないかな?
オーロラはオート・ドクターを使わず、ジムと船内で一生を終えることを選びます。
88年後、植民地惑星到着を4カ月後に控えて目を覚ました乗員乗客は、
コンコースに作られた大自然の庭園を目にします。
あのジムが植えた一本の木から2人で植物を増やしていったんでしょうね。
なぜか鳥も飛んでましたが、鳥も冬眠ポッドに入ってたのかな?
もちろん2人は死んでるでしょうが、自然に囲まれ幸せな人生だったでしょう。

どことなく『ゼロ・グラビティ』と『オッデセイ』を合わせた印象の良質なSFでした。
冬眠ポッドがあってもワープ航法が開発されるまでは宇宙旅行は控えよう。

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