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SING シング

先日『チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話』を
なりゆきで鑑賞しましたが、久々の実写邦画だったけど、わりとよかったです。
副題で壮絶にネタバレしていなければ更によかった気もしますが、
その副題に興味をそそられて観たのも事実なので難しいところです。
ただ「女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃった」のは事実でしょうが、
「ホントの話」と言うには脚色されすぎているような気もしますね。
おそらく全米制覇という結果以外は全てフィクションじゃないかな?
女子高生のチアダンスもそれほど素晴らしかったとも思えなかったし、
これで全米制覇できるとしたら、かなりレベルが低い大会なんですね。
アメリカはチアリーディングの本場だからチアダンスはマイナー競技なのかも?
以上、邦画のプチ感想でした。

ということで、今日も洋画の長文感想です。

SING シング
Sing.jpg

2017年3月17日日本公開。

『怪盗グルー』でお馴染みイルミネーション・エンタテインメントの最新作。
『ローグ・ワン』に敗れ全米ボックスオフィス2位デビューながら、
約2億7000万ドルの全米興収で大ヒットを記録し、すでに続編も決定してます。
でもイルミネーションの前作『ペット』に比べると1億ドルも落ちてるんですよね。
既存の楽曲で構成されたジュークボックス・ミュージカルの性質上、
楽曲を知ってる人の方が楽しめるのは間違いないため、
どうしても敷居が高くなるのは仕方ないことかもしれません。

私は書き下ろされた新曲ばかりのミュージカル映画よりも
馴染みのある曲が使われたジュークボックス・ミュージカルの方が好きです。
なので『モアナ 伝説の海』は日本語吹替版で観た私も、
本作はオリジナル音声の字幕版を選択しました。
吹替版だとせっかく馴染みのある曲が馴染みのない日本語歌詞で唄われ、
ジュークボックス・ミュージカルの醍醐味が台無しになる気がしたので。
でもいざ観てみると、ほとんど既存の楽曲ではあるものの、
そもそも私が洋楽にそれほど馴染みがないため、
知らない曲がけっこうあって、これなら書き下ろしの新曲と同じかも。
もちろん知ってる曲が使われたシーンはテンションが上がりましたが、
そもそも本作は思っていたよりも音楽シーンが少なかったです。
85曲も使われてるらしいけど、ほとんどの曲はサビの一小節か二小節。
ちゃんと味わえる曲は10曲もないんじゃないかという感じ。
これなら日本語吹替版でもよかったかもと思いました。
最近のミュージカル映画は日本語吹替版の出来も良くなっていて、
字幕版で観た本作の終了後にも「吹替版でも観てね」的な宣伝が入り、
配給会社は吹替版の出来に自信があるみたいです。
ただ本作には日本の歌手きゃりーぱみゅぱみゅの楽曲が3曲も使用されますが、
(「きらきらキラー」「にんじゃりばんばん」「こいこいこい」)
そこはオリジナル音声で楽しんでほしいかなと思いますね。

主人公の劇場支配人バスター・ムーンはコアラなのですが、
本作のキャラクターは擬人化された動物たちです。
『ズートピア』とか『カンフーパンダ』とかハリウッドアニメではよくある手法だが、
個人的には安易な印象を受けてあまり好きではないかな。
特に本作は動物である必然性がほとんど感じられません。
せっかく動物にするなら『ズートピア』のように各動物の特性を活かすべきだが、
劇場支配人がコアラである理由なんて全くありませんからね。
たしかにバスターを演じたマシュー・マコノヒーは鼻が大きくてコアラっぽいけど。
(日本語吹替版キャストの内村光良は完全に鼻で選ばれてますね。)
バスターは一応主人公ですが、本作はほぼアンサンブル・キャストで、
バスターと他5人の歌手のエピソードが並行して描かれている感じです。
アンサンブル・キャストを使うと、どうしても各エピソードが薄くなりがちなので、
個人的にはあまり好きではないが、本作も例に漏れず、かなり薄いです。
正直、脚本が全体的にシンプルすぎると思いました。
これも楽曲が最大の売りのュークボックス・ミュージカルが陥りやすいことですが、
使用楽曲を知らない、或いは興味ない客にとっては単なる薄い物語でしかなく、
全米興収が『ペット』から1億ドルも下がった原因のひとつな気がします。
要するに客を選ぶ作品なんですね。
以下、ネタバレ注意です。

幼い頃に観たミュージカルに感銘を受け、
ムーン劇場を建てた劇場支配人バスター・ムーンでしたが、
全く客が入らず、銀行からの借金も返せないほどに困窮します。
彼が感銘を受けたのはミュージカル自体ではなく劇場の方だったので、
立派な劇場は作れても演目の目利きがダメだったんでしょうね。
彼は演目のテコ入れを考え、素人参加型の歌のコンテストを企画します。
やっぱりミュージカル自体にはコダワリがないんですね。
私は素人の歌のコンテストなんて金払って見たいとは思わないけど、
アポロ・シアターのアマチュアナイトとか人気あるみたいだし、
未来のスターを発掘したいと思ってる人は多いのかもしれません。
しかし貧乏なので、賞金は1000ドル(約10万円)しか用意できませんでしたが、
出場者募集チラシを作った秘書のトカゲ婆さんミス・クローリーがタイプミスし、
賞金額のゼロを2つも多く記載してしまい、そのまま配布。
バスターも気付かぬまま出場者オーディション当日を迎えてしまい、
劇場には朝から出場希望者の長蛇の列が出来るのです。
場末の劇場のコンテストの賞金が10万ドル(約1000万円)なんて、
出場希望者も「変だな?」と思いそうなものだけど…。

オーディションの結果、ヤマアラシのロック少女アッシュ、
ギャング家業から足を洗いたいゴリラの青年ジョニー、
ネズミのジャズ・ミュージシャンのマイク、ブタの専業主婦ロジータ、
あとラクダの歌手とカエルのグループが合格します。
後にラクダは事故に遭い、カエルグループは解散して辞退しますが、
そもそもバスターの選考もけっこういい加減な気がしました。
なんか「絡みにくそう」みたいな理由で才能ある候補者を何人か落としてるし、
本気で劇場再建のための演目にしたいのか疑わしいです。
前述のきゃりーぱみゅぱみゅの楽曲を歌うレッサーパンダの女の子5人組を
落としたのも個人的にはガッカリだったし…。
彼女たちは楽曲と違って見た目は原宿系ではなく、日本のアイドルグループ。
日本のアイドルに憧れる米国の少女みたいな感じなのかなと思ったら、
どうも英語は通じないみたいで、本当に日本の子だったみたいです。
(ただ日本語台詞は完全にカタコトで…。)
英語さえ通じたら繰り上げ合格になったかもしれないのに残念ですが、
彼女たちの存在はイルミネーション作品(というかミニオン)の人気が高い
日本に対するサービスに違いないので有難く楽しみましょう。

バスターは音楽も素人だと思いますが、合格者に色々注文を付けます。
まず恋人と一緒にオーディションを受けたアッシュをソロで合格させ、
ロック少女なのに可愛い衣装着せてポップスを歌うように指示します。
結果その判断は失敗で、彼女の魅力を引き出せず、
結局彼女自ら作曲したロックナンバーを歌うことになるので、
やはりバスターの音楽の目利きも全くダメだろうと思いそうになりますが、
ロジータとジョニーに対する注文は的中するんですよね。
専業主婦のロジータは歌は上手いが見た目は地味なため、
他の候補者の派手なブタダンサーのグンターとコンビを組ませます。
グンターはダンスが苦手なロジータにもダンスを強要し、
そのせいで一度辞退するので、やはりバスターの判断ミスかと思いきや、
結局ダンスも出来るようになり、復帰してパワーアップするんですよね。
ジョニーにもピアノの弾き語りをしろなんて無茶振りをしますが、
彼は猛特訓して短期間でピアノをマスターしてしまうのです。
ジョニーにピアノを指導するのはミス・クローリーでしたが、
まるで孫のように優しく教える彼女に、ちょっとホッコリさせられました。
正直耄碌したボケ老婆かと思ってたけど意外な才能ですね。
バスターもアッシュのポップス転向こそ判断ミスでしたが、
ソロ起用は正しかったし、ロジータのダンス、ジョニーのピアノなど、
隠れた才能を見抜く目利き能力は高いのかもしれません。

ただ、バスターの最大の判断ミスはマイクを合格させたことでしょう。
こいつはチビのくせに自己中心的で強欲で自意識過剰なオヤジで、
他の合格者を見て優勝は自分だと確信し、コンテスト本選の前から
賞金を当てにして豪遊しまくるのです。
更にクマのヤクザ者たち相手にポーカーでイカサマをして追われる身となり、
クマがマイクのツケをバスターに払わせようと乗り込んで来たことが発端で、
ムーン劇場は崩壊してしまうのです。
しかしマイクは悪びれることもなく、賞金額が嘘だったことを批難する始末…。
踏み潰したいくらいの自己中なクソ野郎で、ムカムカしました。
しかし本作はコイツに罰が下るような結末にはならないんですよね。
後述しますが、むしろコイツにとってはハッピーエンドみたいな幕引きで…。
まぁ劇場が崩壊するような欠陥工事をしたバスターにも非はあるけど…。

劇場が物理的に潰れ、土地も銀行に差し押さえられたバスターは、
マスコミからも「史上最悪のショーマン」などと叩かれて、
友達のヒツジのNEETエディの部屋に引き籠ります。
そこにマイク以外の合格者が来て「コンテストを続けよう」と励ましてくれます。
賞金は嘘だったとわかったはずなのに優しい人たちですね。
もともと歌手になるのが夢だった人たちなので金は関係なかったのかも。
ムーン劇場で裏方をしていたゾウの少女ミーナも歌手に憧れるひとりですが、
彼女は天性の歌の才能があるのに極度のあがり症で歌うことができず、
オーディションにも来てましたが(クソ野郎マイクに邪魔され)やはり歌えず、
後日その巨体をバスターに見込まれて裏方としてスカウトされたのでした。
でもバスターは彼女の歌を聴いてないのに才能を見抜いていたふしがあり、
何度か彼女に本選に出場してもいいようなことを言ってましたね。

バスターが初めてミーナの歌声を聴いたのは、壊れた劇場の跡地で
彼女がひとりで歌っているところにたまたま出くわした時で、
彼女の歌に感動したバスターは、彼女の歌をみんなに聴かせたいと考え、
劇場跡地に仮設の青空劇場を建て、コンテスト続行を決意するのです。
いや、もう賞金はないし、コンテストではなく単なるコンサートですね。
コンテストが続行されると思ってマイクも性懲りもなくやって来て
賞金が出ないとわかって去りますが、ホントに救い難いクソ野郎です。
バスターはコンサートの開催資金稼ぎのために、ビキニ洗車を始めるのですが、
セクシー美女のビキニ洗車なら稼げそうだけど男がやって需要があるのか…。
でもコアラだから毛皮がいいブラシになるのかもしれませんね。
いずれにせよ子供も観るんだしもう少し健全な稼ぎ方はなかったものか…。

コンサート当日、入場無料なのに客は出演者の家族とご近所さんだけ…。
でも彼らを笑いものにしようと地元テレビ局が取材に来ていたため、
図らずもテレビでライブ中継されることになります。
トップバッターはロジータ&グンターで「Shake It Off」を歌って踊ります。
アゲアゲのダンスナンバーだし、コメディ要素もある衣装や演出で大ウケ。
掴みはOKといった感じですが、私的にはここがピークだった気も…。
続く2番手はジョニーが「I'm Still Standing」をピアノ弾き語りで歌いますが、
たしかに上手いんだろうなとは思うけど、如何せん私の知らない曲なので
いまいち気持ちが盛り上がらなかったんですよね。
製作サイドもこの歌だけでは盛り上がりに欠けると考えたのか、
ジョニーが歌ってる最中に、刑務所に入っていた彼の父親が、
テレビで歌う息子の姿を見て、会うために脱走するというシーンが入ります。
ピアノ弾きながら歌うシーンだけでは絵的にも動きがないですもんね。
その点ではやはりロジータのダンスナンバーの方がミュージカル向きです。

3番手はアッシュがギターを手に「Set It All Free」を熱唱しますが、
この曲は知ってる知らない以前に彼女が作曲したオリジナル曲です。
やはり知らない曲だと盛り上がりに欠けるのもあるけど、
メロディも歌詞もあまり面白味のない凡庸なロックナンバーだと思いました。
更にヤマアラシの彼女がヘッドバンギングしてトゲを撒き散らし、
せっかく盛り上がっていた客を引かせるという演出も疑問だったかも。
その間にもライブ中継を見た人たちが続々と劇場に訪れ、客席は満員に。
その盛り上がりを見て羨ましくなったマイクが戻って来て、
自分にも歌わせろと4番手として出場してしまうのです。
劇場を潰した張本人でコンサートの準備も手伝わなかったカス野郎に
出場する権利はないと憤りましたが、バスターはなぜかウエルカムで、
普通に紹介してコイツをステージに上げてしまうんですよね。
マイクが歌った「My Way」はさすがに私でも知ってる有名な曲なので、
普通なら楽しめるところだけど、彼に対する嫌悪感が上回り楽しめませんでした。
ステージで何かドジって大恥かけばいいと思ったけど普通に拍手喝采で、
なんでこんな自己中野郎が美味しいところだけ持っていくのか…。
でも世の中そんなものかもしれませんね。

トリを務めるのは初めて人前で歌うことになるミーナ。
マイクも驚愕するほどの美声で「Don't You Worry 'bout a Thing」を歌いますが、
正直、この選曲には疑問を感じてしまいました。
まぁ歌詞がミーナの心境にマッチしているから選ばれたのでしょうが、
スティーヴィー・ワンダーの曲で男性シンガー向きのR&Bだと思うんですよね。
ミーナの歌唱力を魅せるなら歌姫的な楽曲の方がよかった気がします。
しかし劇中では大盛り上がりで、コンサートは見事大成功となり、
バスターの友人エディの祖母である大女優ナナが気に入ってくれて、
スポンサーになってくれたお蔭でムーン劇場を再建でき、めでたしめでたし。
ロジータたち出演者は今後も劇場で歌い続けることになりそうですが、
そこにマイクの姿がなかったことだけはホントによかったです。
コイツが続編に出演しないことを切に祈ります。
あとNEETだったエディも劇場の音響係として働くようなのでよかったですね。
彼の祖母ナナも金を出した甲斐があったというものです。

続編はどうやら2020年全米公開になりそうなので、まだまだ先の話ですが、
イルミネーションの次回作である看板シリーズの第三弾
『怪盗グルーのミニオン大脱走』は早くも今年7月に日本公開となります。
本作の冒頭にもグルーとミニオンたちによる宣伝のオマケ映像がありましたが、
なかなか面白そうな印象で期待が高まります。
続いて来年はクリスマス映画『グリンチ』のアニメ版が公開されるみたいで
どんな出来になるのか楽しみです。

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