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モアナと伝説の海

1966年から続いくテレ朝の映画枠『日曜洋画劇場』が終了したそうな。
2013年から不定期放送になったので、近々こうなるとは思っていたが、
日本人の洋画離れを象徴する出来事のようで、
洋画ファンとしては残念というか、危機感を覚えてしまいます。
まぁ洋画ファンはビデオレンタルやNetflixを利用すればいいだけですが、
無料で気軽に洋画を見られる機会が減り新規ファン獲得が難しくなったかも。
まぁ最近の『日曜洋画劇場』は邦画ばかり放送している印象だったので、
終了するまでもなく有名無実化してましたけどね。
『金曜洋画劇場』としての最後の放送も『相棒』の劇場版になりそうだし、
どうせ今後もテレ朝製作の邦画はこの枠で流すでしょう。

一方、フジテレビの一応映画枠『土曜プレミアム』では
『アナと雪の女王』を地上波初放送し、平均19.7%の高視聴率を記録しました。
本編はノーカットだったけど、エンディングで番宣まがいの演出をしたため、
かなり叩かれているみたいで、せっかくの高視聴率も喜べない状況です。
結局、日本のテレビ局風情に取り扱うのは荷が重いのでしょう。

今日も映画の感想です。

モアナと伝説の海
Moana.jpg

2017年3月10日日本公開。

ディズニー長編アニメーションの56作目となる本作ですが、
全米では昨年11月に公開され、昨年3月公開の55作目『ズートピア』と
同年公開となったため、昨年度の賞レースで何度も同門対決となり、
第44回アニー賞の作品賞、第74回ゴールデングローブ賞の長編アニメ部門、
第89回アカデミー賞の長編アニメ部門など全てで『ズートピア』に敗れました。
私は『ズートピア』をそこまで高く評価していなかったので、
それに連戦連敗する本作に対する期待が薄れてしまいました。
特にアカデミー賞は「白いオスカー」批判の真っ只中にあったので、
非白人がヒロインである本作には有利に働くと思っていたのですが…。
まぁ『ズートピア』も人種問題を風刺した内容でしたけどね。
今年は黒人映画や黒人俳優が大量受賞したアカデミー賞ですが、
まだまだ黒人以外の非白人に対しては厳しいみたいです。
私としては過剰なポリコレにウンザリなので、ちゃんと出来で評価していれば、
結果的に「白いオスカー」になってもいいと思ってますけどね。

おっと話を元に戻しますが、本作のヒロインであるモアナはポリネシア人です。
ポリネシア人は台湾にルーツを持つ黄色人種ですが、
アメリカ先住民の33作『ポカホンタス』、中国人の36作『ムーラン』に次ぐ、
3人目の黄色人種のディズニープリンセスということになるかな。
でもモアナが劇中で「私はプリンセスじゃなく村長(むらおさ)の娘」と
わざわざ言っているので、ディズニープリンセスにはカウントしないのかも。
村長の娘だろうとプリンセスだろうと立場に大して違いはないのに、
わざわざそんな発言をさせるところに、非白人プリンセスはもう要らない、
というディズニーサイドの思惑が感じ取れます。
まぁ非白人プリンセスは人気がないから仕方ないか。
しかしディズニーはポリコレをかなり意識していると思われ、
前々作『ベイマックス』の主人公も黄色人種(日系人)でしたね。

モアナはハワイが舞台の42作『リロ・アンド・スティッチ』のリロに次ぐ、
2人目のポリネシア人ヒロインですが、本作はなぜ南太平洋のポリネシア人が
ハワイまで及ぶ広範囲に分布拡大したのかを描いた物語であるため、
モアナはリロの祖先にあたるかもしれませんね。
結局はハワイ人誕生の物語で、一部のアメリカ人の祖先の物語です。
台湾あたりに住んでいたポリネシア人の祖先は、4500年前頃に海を渡り、
3000年前頃には南太平洋サモアあたりまで到達するのですが、
なぜかそこで航海を止めてしまい、再開するまでに約1000年の空白があり、
その間に何があって、なぜ航海を再開したのかが本作で描かれます。
といっても、本作は空白の1000年があったのは史実ですが本作は創作で、
ポリネシア神話に着想を得たファンタジーです。
私は神話が好きですが、ポリネシア神話は初めてで興味深かったです。
不思議と世界中どこの神話も似たようなエピソードが多くて、
人間の普遍性みたいなものを感じるし、親しみも感じられる物語です。
賞レースの結果などであまり期待していなかった本作でしたが、
いざ観てみると『ズートピア』以上に楽しめる作品で大満足でした。
以下、ネタバレ注意です。

海だけしかない世界に母なる女神テ・フィティ(島)が現れます。
彼女の力で植物や動物など生命が生み出され、人間も誕生しますが、
女神の力を欲する人々の願いを聞き入れた半人半神の英雄マウイは、
神に与えられた釣り針で、女神の力を司る石「テ・フィティの心」を盗むが、
同時に世界に闇が生まれ、炎の悪魔テ・カァなど海の魔物も現れます。
「心」を奪おうとするテ・カァに襲われたマウイは行方不明になり、
「心」と釣り針の所在もわからなくなったことで、闇は広がり続け、
人々は闇のせいで海を渡ることが出来なくなります。
これがポリネシア人が急に航海をやめてしまった理由というわけですね。

それから約1000年たったある日、南の島モトゥヌイで、
村長の娘モアナが浜辺で「テ・フィティの心」を拾います。
拾うというか海に与えられた感じですが、まだ幼い彼女はすぐ落とします。
それを祖母が拾い、来る日のために大切に保管します。
幼いモアナはとても可愛かったのですが、すぐ成長してしまうので、
もうちょっと幼少期のエピソードを描いてほしかった気も…。
宣材などの静止画の成長したモアナは、ポリネシア人の特徴を強調しすぎで、
正直あまり可愛いとは思えなかったので、すぐ成長して残念でしたが、
動いている彼女は普通に可愛く、魅力的に描かれています。
この感覚は『リロ・アンド・スティッチ』のリロの時も感じました。
余談だけど、幼いモアナが助けたウミガメは絶対恩返しに来ると思ったけど、
そんな展開はなく、伏線でも何でもなかったのは意外でした。

成長したモアナは島の外に強い関心を抱いていますが、
村には島を取り囲むサンゴ礁を越えてはいけないという掟があり、
特に村長の父から厳しく禁じられています。
なんでも父も若かりし頃、親友と2人でサンゴ礁を越えようとしたのですが、
嵐に遭い、親友を溺死させてしまった苦い経験があるそうです。
父は海の魔物を恐れているというわけでもないんですね。
そんな折、島のココナツが疫病にかかり、サンゴ礁内で魚も獲れなくなります。
どうやら闇がこの島にも達し、島の命を吸い取り始めているようです。
古い言い伝えを信じる祖母は、モアナに「テ・フィティの心」を渡し、
サンゴ礁を越えて英雄マウイを探し、女神に「心」を返却させるよう告げます。
モアナは洞窟に隠されていた先祖のカヌーを使い、大海原に漕ぎ出します。
ひとりで漕ぎ出したはずでしたが、なぜか船底に雄鶏ヘイヘイがいて…。
てっきりモアナのお供をするのはペットの仔豚プアかなと思ったので意外です。
プアはかなり可愛いく売店でもプアのグッツが圧倒的に多かったので…。
ヘイヘイはそんなに可愛くないけど、低能すぎて面白いです。
カヌーにもうっかり乗り込んでしまっただけのようだし。

モアナはサンゴ礁を越えて早々、父と同じように嵐に巻き込まれます。
大波で転覆し、カヌーごと岩場の島に漂着するのですが、
なんとそこはマウイが住む島だったのです。
テ・カァに負けて漂着して以来、舟がなくて島から出られなかったようです。
こんな岩だらけの無人島に1000年も独り暮らしなんて悲惨ですが、
1000年も孤独だったとは思えないほどマウイは陽気でした。
「海と風の神」なんて言うからどんな威厳のある人物かと思ったら、
チャラいサーファーの兄ちゃんって感じで面白かったです。
まぁチャラいサーファーなら、若い女の子が流れ着いたら喜びそうだけど、
マウイは彼女からカヌーだけ奪って、島を脱出しようとします。
しかし抜け駆けに失敗して、2人(と1羽)で海に出ることになります。

そこに海の魔物カカモラの海賊団が襲撃してくるのです。
魔物なんて言うからどんな怖い奴らかと思えば、サッカーボールくらい小柄で、
ココナツをスッポリ被っていて、見た目はかなりキュートな奴らです。
(はじめはココナツのバケモノかと思ったけど、被ってるだけですね。)
見た目とは違いかなり凶暴で、危うく拿捕され「心」を奪われかけるも、
モアナの奮闘でなんとか危機を脱します。
マウイは英雄のくせに逃げるのに必死で…。

モアナは女神に「心」を返しに行こうとマウイを説得しますが彼は及び腰。
テ・フィティに行けば、悪魔テ・カァと戦うことは避けられないが、
1000年前の戦いで神の釣り針を失くしたので絶対に勝てないと…。
釣り針には神の力が宿っていて、動物に変身することが出来ます。
それ以外にもマウイは釣り針の力で島を作ったり、昼を長くしたり、
ココナツや火を人間に与えたりして、英雄と崇められていたそうです。
マウイはポリネシアで実際に信仰されている神様らしいです。
が、本作のマウイは生まれは人間で、釣り針によって神の力を得ただけ。
釣り針がなければ何の力もない単なる人間です。
いや、釣り針なしでも1000年も生きているので単なる人間とは言えないか。
モアナに「再び英雄になれる」と説得された彼は、
先に釣り針を見つけることを条件にテ・フィティ行きを了承します。
その道中、モアナはマウイから航海術を教わるのです。
釣り針があれば鳥になって空を飛べたり、魚になって海を泳げるから、
マウイは舟で航海なんてしたことないと思うけど…。

釣り針は魔物の国ラロタイの化け蟹タマトアが持っているようです。
モアナがタマトアの注意を惹き、その隙にマウイが釣り針を盗みますが、
彼は1000年ぶりの釣り針を上手く使いこなすことが出来ず、
タマトアに見つかってピンチになるも、モアナの機転でラロタイから脱出します。
その後、変身の練習をして再び使いこなせるようになりますが、
釣り針さえ持てば誰でも神の力を使えるわけでもなさそうですね。
タマトアもコレクションしているだけで使えるわけではなかったようだし。
しかし金製品とか光り物を集めるのが好きなタマトアが
なぜ光らない釣り針なんて1000年も大切に持ち続けていたのか?
1000年前にマウイに脚を一本取られた恨みからかな?
このタマトアも敵ながらなかなかお茶目な面白いキャラクターで、
同じカニである『リトル・マーメイド』のセバスチャンのことを揶揄したりします。
私はセバスチャンをエビだと思っていたので意外な真実でした。

釣り針を使いこなせるようになったので、いよいよテ・フィティを目指しますが、
案の定、テ・フィティを目前に巨大な炎の悪魔テ・カァが行く手を阻みます。
マウイは釣り針の力で挑みますが、すぐに敵わないと悟り退却を要求。
しかしモアナは強行突破をはかり、テ・カァにぶん殴られます。
咄嗟にマウイが釣り針で防御したため、命は助かりましたが、
釣り針にはヒビが入り、もう一度ダメージを受けたら壊れる状態に…。
せっかく取り戻した釣り針を失いたくないマウイは、テ・フィティ行きを諦め、
鳥に変身してどこかへ飛び去ってしまうのです。
テ・カァは溶岩で出来た怪物なので海水には浸かれないため、
テ・フィティの前の島に陣取って、近づく舟を攻撃してくるのですが、
テ・カァの正面から接近しないで反対側からテ・フィティ上陸すればいい気が…。
それともテ・カァの島はテ・フィティを囲っているのかな?

自分の軽率な行動を反省したモアナは「心」を海に返します。
すると光るマンタがやってきて、なんと祖母の姿になるのです。
祖母は「私は死んだらマンタになる」と言っていたけど、
本当に死んでマンタになり、孫に会いに来たみたいです。
モトゥヌイを出発しサンゴ礁を越える時も光るマンタが現れたけど、
祖母はモアナが出発した直後に他界したのでしょうね。
てっきり「諦めずに頑張りなさい」とでも言いに来たのかと思いきや、
祖母は優しく「あなたには荷が重かったわね」と労います。
意外な言葉でしたが、逆にモアナの闘志に火を付けたみたいで、
彼女は海底から「心」を回収し、単身テ・フィティを目指すのです。

モアナはマウイから教わったカヌー捌きで見事テ・カァの攻撃を掻い潜り、
テ・フィティに接近するも、テ・カァの溶岩投石に直撃しそうになり…。
しかしそこにマウイが飛んで来て、モアナを援護します。
マウイがテ・カァと戦い、釣り針は壊れてしまうものの、
その隙にモアナはテ・フィティに上陸成功しますが、そこに女神の姿はなく…。
なんと悪魔テ・カァこそが「心」を失った女神テ・フィティだったのです。
モアナがテ・カァに「心」を返すと、悪魔は女神に戻って闇が消滅します。
マウイも1000年前に「心」を盗んだことを女神に謝罪すると、
女神は彼を赦し、新しい釣り針をプレゼントしてくれます。
それにしても盗んだ張本人マウイが女神に「心」を返さないとダメだから、
わざわざマウイを探してテ・フィティに向かったのだと思っていたけど、
「心」を返したのはモアナだし、返しさえすれば別に誰でもよかったんですね。

モトゥヌイに帰ったモアナは村長となります。
海から闇や魔物がいなくなり航海できるようになったため、
モアナはマウイから教わった航海術で村人を率いて未知の海へと漕ぎ出します。
これによりポリネシア人が航海をやめた空白の1000年が終わり、
彼らは東進してハワイまで進出することになるのでしょう。
でも闇が消えて闇に侵されたモトゥヌイも元通りになったんだから、
あえて住みやすいモトゥヌイを捨てて移住する意味があるのか…。
まぁ好奇心旺盛なモアナが村長になったら移住したがるか。

ロマンスも全くないし、やはりモアナはディズニープリンセスではないかも。
なかなか面白い海洋冒険ファンタジーで満足です。
エンドロールで『シュガー・ラッシュ』の主人公ラルフの姿が見れますが、
次作57作目は『シュガー・ラッシュ』の続編になります。
ディズニー長編アニメーションで続編が製作されるのは初めてかも。
(OVAや短編として製作されることはよくあるけど。)
続編にも登場する『シュガー・ラッシュ』のヒロインであるヴァネロペは、
日本の女の子がモデルとも言われていて、たしかに東洋系の顔ですが、
『ベイマックス』から黄色人種の主人公が続きますね。
(動物が主人公の『ズートピア』を挟んで3作連続かな。)
ポリコレもあるでしょうが、ディズニーには黄色人種のクリエイターが多いのかも。
本作と同時上映された短編『インナー・ワーキング』の主人公も、
どう見ても東洋人(というか日系人)で、どうも日系人監督の作品らしいです。
こちらも秀逸な短編で、少し似ている『インサイド・ヘッド』より面白いと思ったけど、
なぜアカデミー賞短編アニメ部門にノミネートすらされなかったのか…。
やはり非白人に厳しいのかもなあ…。

関連作の感想
ボルト
プリンセスと魔法のキス
塔の上のラプンツェル
くまのプーさん
シュガー・ラッシュ
アナと雪の女王
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