ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

ラ・ラ・ランド

今日の気になる映画ニュース。

現地時間の昨日、第89回アカデミー賞の授賞式が行われ、
作品賞は大本命『ラ・ラ・ランド』を降し『ムーライト』がオスカーに輝きました。
たしかに『ムーンライト』は対抗馬の中では最右翼だったものの、
前哨戦総なめの大本命『ラ・ラ・ランド』が順当に受賞すると思ってました。
ただ、投票するアカデミー会員は天邪鬼というか変なプライドがあって、
前哨戦の追従を嫌うので、『ラ・ラ・ランド』は前哨戦で勝ちすぎたのかも。
まるで昨年の大統領選のような、まさかの逆転劇でしたが、
人種差別、同性愛差別主義者のトランプ大統領誕生への反感から、
黒人映画かつゲイ映画の『ムーンライト』に票が集まったのかも。
更に近年囁かれる、同賞の白人偏重の批判を払拭したかったのかも。
トランプ大統領の移民政策に反対して授賞式をボイコットしたイラン人監督の
イラン映画『セールスマン』が外国語映画賞を受賞していますし、
演技部門に過去最多6人の黒人俳優がノミネートされ、うち2人が受賞しました。
(しかしどちらも助演どまりだったのは白人会員の本音の表れでしょう。)
アメリカの世相が結果に顕著に表れるのも同賞の面白味ではあるけども、
純粋に作品の出来で結果が決まらないのは困ったものです。
まぁ私は本作と『最後の追跡』しか作品賞候補を観てないので、
純粋に作品の出来で比べることもまだ出来ないですけどね。

ということで、今日は敗れた大本命の感想です。

ラ・ラ・ランド
La La Land

2017年2月24日日本公開。

本作は前述のように作品賞のオスカー争いには敗れはしたものの、
最多14部門ノミネートで、うち主要部門2つ含む6部門を受賞しています。
受賞した主要部門は監督賞と主演女優賞でしたが、
オスカー女優になれた主演女優エマ・ストーンはラッキーでした。
というのも本作はもともとエマ・ワトソンを起用するつもりでしたが、
彼女は実写版『美女と野獣』の主演を優先して本作のオファーを断り、
代わりに(エマ繋がりで?)起用されたのがエマ・ストーンでした。
今頃エマ・ワトソンは地団太踏んでるかもしれませんね。
まぁエマ・ワトソンは美人すぎるので、本作の役柄には合わない気がするし、
実写版『美女と野獣』の記録的ヒットは確実視されているので、
そんなに間違った選択ではなかったと思いますけど。
面白いのは本作の相手役であるライアン・ゴズリングは、
逆に本作に出演するため『美女と野獣』の野獣役を断ったらしいです。
彼はオスカーも取れなかったので、その判断が正しいかは微妙ですが、
野獣役で取れるはずもないし、ちゃんと顔が出る役の方がいいか。

作品賞オスカーを逃した本作ですが、トロント映画祭、NY映画批評家協会賞、
ワシントンDC映画批評家協会賞、ボストン映画批評家協会賞、
放送映画批評家協会賞、ゴールデングローブ賞、ロンドン映画批評家協会賞、
全米プロデューサー協会賞、英国アカデミー賞、サテライト賞と、
主だったオスカー前哨戦をほぼ総なめにしています。
しかしそんな数々の受賞歴よりも、本作の面白さを如実に示している記録は、
2016年の実写オリジナル作品の中で最もヒットしたということでしょう。
全米ボックスオフィス最高2位で、アカデミー賞ノミネート効果もあり、
昨年末の全米拡大公開から現在に至るまで、10州以上ベスト10に留まり続け、
1億4000万ドルを超える大ヒットを記録しています。
映画関係者が政治で決める映画賞よりも観客の支持を示すこの成績こそ、
本作が如何に面白いかを示し、信頼できる指標です。
比較して申し訳ないが、オスカー受賞作『ムーンライト』なんて、
興収は候補中最も低い約2000万ドルな不人気作品ですが、
天邪鬼なアカデミー会員はヒット作を冷遇し、マイナー作を推す傾向があるので、
スマッシュ・ヒットしてしまったこともオスカー争いでは不利に働きましたね。
今更だけどアカデミー会員の天邪鬼な投票行動を鑑みたら、
大ヒットした大本命娯楽映画がオスカー受賞できるはずありませんでしたね。

ただ、斯く言う私も、本作の評価は不当に高すぎる気もします。
不作の昨年全米公開作の中では上位になる佳作だと思いますが、
前哨戦総なめ出来るほどかと言われると、そこまでではない気が…。
近年のオスカー作品でも『アーティスト』『アルゴ』『バードマン』など、
映画絡みが多いですが、やはり映画賞を決めるのは映画関係者なので、
映画絡みの映画が有利なのは間違いなく、本作も御多分に漏れず、
映画関係者に特にウケがよく、評価が高くなりがちな気がします。
はっきり言ってストーリー自体は大したことないです。
売れない役者と売れないミュージシャンのよくある話で、
ミュージカルシーンがなければ退屈な内容だった気がします。

とはいえ、このミュージカルシーンの出来が素晴らしいです。
冒頭の渋滞中のハイウェイを舞台にした超大規模ミュージカルシーンから、
楽しすぎてもうワクワクが止まらなくなってしまいます。
ミュージカルシーンはほぼワンカットで撮られていますが、
けっこう長回しなのにキャスト全員完璧に調和が取れており、
これは相当リハーサルを積んだんじゃないかと感心します。
特に主演2人はタップやワルツなどダンスを披露してますが、
いつまでも観ていたくなるような洗練された素晴らしい出来栄えです。
更にピアニスト役のゴズリングに関しては当然ピアノ演奏シーンも多いけど、
それも当然ワンカットなので、ボディダブルは使えず自分で演奏しています。
(もちろん音はプロの演奏に差し替えられていると思いますが、)
見事な指さばきで、相当トレーニングを積んだことは想像に難くないです。
正直オスカー女優エマ・ストーンよりも、ゴズリングの方が頑張ってたかも。
ぶっちゃけ主演女優賞は対抗馬に恵まれていた気がします。
主演女優賞候補で作品賞候補だったのは本作だけですからね。
以下、ネタバレ注意です。

女優志望ミアはハリウッドで色々なオーディションを受けながら、
ワーナーの撮影スタジオ内のカフェでバイトしています。
有名セレブがコーヒー買いに来たりするので、楽しそうな職場ですね。
ある冬の日、彼女はルームメイトたちと一緒にパーティに行くも、
駐車違反で車がレッカーされ、徒歩で部屋まで帰るはめに…。
その途中、なんとなく立ち寄ったレストランで、ピアノを弾くセブを見ます。
セブはジャズピアニストですが、レストランのオーナーからジャズを禁止され、
指示されたクリスマス曲を弾いていたが、我慢できずに即興でジャズを弾き、
オーナーからクビを告げられてしまいます。
別にクリスマスにそぐわないような曲でもなかったし、客にとっては単にBGMで、
誰も真剣に聴いてないから、クビにするほどのことでもないと思うけど…。
しかしその場にいたミアはその曲に聴き惚れ、セブに話しかけようとしますが、
クビになったばかりの彼は不機嫌で、エマを無視して退店し…。

春、ミアがプールサイドのパーティに行くと、コピーバンドが演奏していて、
そのキーボード担当がセブなことに気付きます。
たぶんレストランを解雇されてしまい、背に腹は代えられず、
ポップス専門のコピーバンドに助っ人で雇われているんでしょうね。
エマは面白がって「I Ran (So Far Away)」をリクエスト。
ジャズピアニストであるセブにはニューウェーヴは屈辱の選曲で、
演奏後に彼女を捕まえて文句いいますが、なんだかんだで気が合い友達に。
お互い小馬鹿にして罵りあってた印象なのに、急に仲良くなりましたね。

セブは「ジャズ嫌い」というミアをジャズの店に連れて行き、
伝統的な本物のジャズを聴かせ、ジャズの歴史と魅力を熱く語ります。
でも彼曰く、本物のジャズは死にかけているらしく、
自分で本物のジャズを演奏する店を持つことが夢らしいです。
私もジャズは苦手で、苦手なものを熱く語られることほどウザいことはないけど、
意外にもミアは彼の情熱に絆されて、彼のこともジャズのことも好きになります。
セブから『理由なき反抗』のリバイバル上映に誘われたミアは、
恋人とのクソつまらない食事会を抜け出し、彼と映画鑑賞に行きます。
しかし途中でフィルムが焼けてしまい…。
今はほとんどデジタル上映なので、そんなトラブルはなくなりましたね。
でも本作の舞台は現代みたいです。ミアの愛車もプリウスだし。
後にこの映画館は潰れますが、映写技師が全部フィルム燃やしちゃったのか。
映画館を出たセブとミアは『理由なき反抗』のロケ地グリフィス天文台に行き、
プラネタリウムで盛り上がってキスし、付き合うことになります。
恋人とは揉めなかったのか気になりますが、何も描かれず自然消滅か?

夏、オーディションに落ちまくるミアにセブは脚本家転向を助言します。
役者より脚本家の方が狭き門だと思うけど…。
そこでミアは自分が出演する独り舞台の脚本を書き始めるのです。
欲張りにも脚本家にも女優にもなろうってことですね。
一方、ミアの母親は娘の恋人が定職についてないことを懸念しており、
本物のジャズしか弾きたくないセブでしたが、安定した収入を得るため、
信念を曲げてジャジーなポップスのメジャーバンドにシンセで参加します。
電子音楽を取り入れたジャズを何というんでしたっけ?フュージョンかな?
そのバンドは人気を博し、ミアもライブを観に行くのですが、
セブが愛する本物のジャズとは程遠い音楽だとわかり複雑な気持ちに…。
まぁ本物のジャズの店を開くにも先立つものは必要なんだし、
金のためと割り切ることも大事ですが、その金で店を開いたとしても、
元ポップスのミュージシャンのジャズの店なんて馬鹿にされそうだな。

秋、セブはバンドのツアーで全国を飛び回り、
カフェも辞めて自宅で独り芝居の準備をするミアとはすれ違いの日々。
ミアは舞台に立つ不安から、夢を捨てて魂を売ったセブを批難してケンカに。
セブからすれば彼女のために安定した仕事を選んだのにね。
「男は夢を追い、女は現実を見る」というイメージがあるけど、
このカップルは逆パターンのようですね。
いや「女は夢を追う男が好き」というイメージもあるし、ミアはそのタイプか。
ミアはセブに「夢を追え」という前に、もっと自分の現実にも目を向けるべき。
場末の劇場の無名女優による独り芝居なんて誰が観に来るというのか。
案の定、舞台本番当日、客はルームメイト3人を含め10人ほどで、
当然劇場の使用料も払えず、更に客から「大根だ」と笑われてしまい…。
ミアはセブに八つ当たりして、女優を諦め、実家に帰ってしまいます。
うーん、初舞台の緊張もあってか演技は大根だったみたいだけど、
脚本にも問題があったみたいなので、脚本家転向を勧めたセブに当たるのは
あながち八つ当たりでもないかもしれませんね。
まぁもし素晴らしい脚本で好演したとしても、無名女優の舞台に客は入らないし、
始めから計画が甘かったということでしょうね。

ところがある日、セブのところに配役事務所からミア宛ての電話が。
なんと独り芝居を見たキャスティング・ディレクターが、彼女の演技を気に入り、
大作映画のオーディションへの参加を依頼されるのです。
「大根だ」という評価は見る目のない客の戯言だったのかな?
まぁ脚本が酷いと演技も酷く見えちゃうものですからね。
セブはミアの実家まで行き、今度落ちたら立ち直れないと嫌がる彼女を、
半ば強引に連れ帰り、オーディションを受けさせるのです。
オーディションの内容は何でもいいから物語をひとつ話せというもので…。
これは演技力よりも脚本力を試されているような気がしますが、
女優としてキャスティングするんだから演技を見なくて大丈夫かな?
独り芝居で十分に見たから演技はもういいってことかな?
即興で物語を語るなんて台詞を上手く読むより難しそうですが、
パリが舞台の映画なので、セーヌ川で泳いだ叔母の話をします。
なんだかわかったようなわからないような話でしたが、手応えはあったようで、
オーディション後、ミアとセブは和解し互いに愛し合っていると再確認し、
「お互いの道を進もう」ということになるのです。
これはお互い夢に向かって精進しよう、という意味かと思ったのですが…。

5年後、初出演作が当たったのか有名女優として活躍するミアですが、
なんとセブではない旦那がいて、しかも子供まで儲けていました。
あれはお互いの道を別々に進もうということだったんですね。
しかしやっと売れ出した頃に結婚どころか出産するなんて、
仕事に支障が出るのは間違いなく、女優としての意識が低い気がします。
この状況だと旦那がハリウッドの大物で、そのコネで売れてるような印象だし。
ミアは旦那と自分の主演作のプレミアに出席するため家を出ますが、
ハイウェイが大渋滞で間に合わないため、諦めて食事することに。
その時たまたま入ったジャズのかかる店の名前が「セブズ」…。
なんとセブも夢を叶え、自分の店を持っていたのでした。
セブが弾くピアノを聴いたミアは、セブとの関係が続いたらという妄想をして、
旦那と共に店を出る時に、セブと軽く微笑み合って本作は幕を閉じます。

うーん、ミアとセブ双方とも夢が叶ってハッピーエンドなのかもしれないけど、
本作はサクセスストーリーというより、やはりロマンス映画の側面が強いので、
2人が別々になる幕引きはロマンスとしてはバッドエンドな気がしちゃうな。
そもそも5年前に和解した2人が別れなきゃいけない明確な理由がないし…。
ミアが7カ月もパリで撮影するからセブが遠距離恋愛に耐えられなかったとか?
なんかもう、和解したところで終わってほしかったとすら思います。
ミアの妄想のミュージカルシーンは本作の大きな魅せ場ですが、
セブとの「もしも」を未練がましく妄想するなんて、旦那と子供が気の毒で…。
ミュージカル映画としては最高でしたが、やはり脚本はイマイチかも。
もしオスカー受賞してたらもっと酷評してたかもしれません。

関連作の感想
最後の追跡

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1782-1199c49b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad