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ジョイ

昨日の気になる映画ニュース。

現地時間の一昨日、第67回ベルリン国際映画祭コンペ部門の結果が発表され、
金熊賞をハンガリー映画『On Body and Soul(英題)』が受賞したそうです。
当然まだ観てませんが、畜殺場舞台の奇妙なロマンス映画らしく面白そうかも。
日本からはSABU監督の『ミスター・ロン』が出品されていたが受賞を逃しました。
日本を舞台にした料理上手な台湾人殺し屋の物語らしくて、
ある意味面白そうですが、社会派が多いベルリン映画祭では場違いで、
端から受賞はありえないと確信できてしまいました。
どういう基準でコンペ部門出品作が決まるのか知らないけど、
金熊賞を狙えそうな社会派な日本映画を送り込めないものかな?
ここ暫く、日本映画は三大映画祭のグランプリから遠のいてますよね。
日本では日本映画の昨年の興収が、前年比123.5%と絶好調ですが、
それを牽引した『君の名は。』と『シン・ゴジラ』も海外では見向きされず、
日本映画が内向きになっているのが浮き彫りになっています。
ハンガリー映画は二年前に『サウルの息子』でパルムドールも獲ってるし、
数年前は『ニーチェの馬』も銀熊賞だったし、勢いがあって羨ましいです。

今日も映画の感想です。

ジョイ
Joy.jpg

2016年2月22日ビデオリリース。

第88回アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされている本作。
しかし日本ではビデオスルーになってしまいました。
昨年は邦画の大ヒットで過去最高益となった映画市場ですが、
反面アカデミー賞主要5部門の候補作すら劇場公開されなくなるなんて、
日本の洋画市場は危機的状況で、洋画ファンとしては残念です。
ゴールデングローブ賞ではきっちり主演女優賞受賞してるのに…。
ただオスカー候補でありゴールデングローブ賞を受賞した本作の主演女優
ジェニファー・ローレンスのことは、個人的にあまり好きではなく、
それほど優れた役者だとも思えず、過大評価な気はします。
たしかに若手女優の中では頭ひとつ抜けてるようにも思いますが、
全ハリウッド女優の中で最優秀と言えるほどではないです。
結局オスカー争いでは『ルーム』のブリー・ラーソンに敗れましたが妥当です。
本作での彼女も、それほど評価できる演技をしているとも思えませんでした。

それ以前に、彼女をキャスティングするという判断に疑問を覚えます。
本作の主人公は小学生くらいの長女がいる二児の母ですが、
その役を二十代前半の彼女にやらせるなんてミスキャストでしょう。
まぁ若くに出産したヤンママならあり得ない設定でもないかもしれないけど、
本作は伝記映画であり、彼女が演じる実在の女性発明家ジョイ・マンガーノは、
本作の舞台となる1990年には三十半ばなので、完全なミスキャストです。
それに主人公はごく普通の主婦じゃないと成立しない物語のはずなのに、
ローレンスでは綺麗すぎて、全く普通の主婦には見えません。
(あと彼女は今風すぎるので、時代が1990年にも感じられません。)
史実に沿わなくても、若くて美人な人気女優使えばヒットするだろうという
製作サイドの浅ましい考えが透けて見えます。
その製作サイドにマンガーノ女史本人も加わっているのですが、
もし彼女が自分役に若い美人女優を指名したとすれば図々しいですね。
実物がブスというわけでもないけど…。
以下、ネタバレ注意です。

ジョイは少女時代から発明が好きだったこと以外は、ごく普通の二児の母です。
いや、彼女の家族構成はちょっと普通とは言えないかもしれません。
優しい祖母と引き籠りの母と同居していますが、なんとその家の地下に、
2年前に別れた元夫トニーも同居してるんですよね。
まぁトニーは娘たちの父なわけだから、無下にも出来ないかもしれないけど、
別れた男と一緒に生活するなんて、ちょっと異常です。
例え彼女が許しても祖母や母も容認するなんてあり得ない気がしますが、
その母も2年前に夫(ジョイの父)と離婚しているのですが、
なんと彼まで家に戻って来て、地下室でトニーとルームシェアします。
しかし父と母もヨリを戻すわけでもなく、母はウチに出入りする配管工と、
父は実業家の女性トルーディと交際するんですよね。
父は母とも再婚で、前妻との間に娘(ジョイの腹違いの姉)ペギーもいて、
シットコムかと思うような複雑な家庭環境です。
ジョイの周りでまともなのは幼馴染の親友ジャッキーくらいかな。

父が出会い系で出会ったトルーディとセーリングヨットでデートすることになり、
なぜかそこにジョイたち家族も招待されるのです。
家族だけならまだわかるが、なぜか娘の元夫トニーまで参加し、
ヨットに赤ワインを持ち込み、揺れる船内で飲み、グラスを落としてしまいます。
ジョイは慌ててモップで零れた赤ワインを拭き取ろうとしますが、
モップを絞る時にグラスの破片で手を切ってしまい…。
その経験から発明好きのジョイは手を汚すことなく絞れるモップが作ろうと考え、
「ミラクルモップ」を考案するのです。
スライドする持ち手を捻ると先端が回って絞れるという単純な仕組みですが、
こんなの誰にでも思い付きそうだと思ってしまうが、コロンブスの卵なのかな?
商品化も考え特許について調べてみると、似た特許を持つ香港の会社が…。
やっぱりこんな単純な仕組み、誰かが先に思いついてて当たり前か。

ジョイは商品化のため、父の恋人の実業家トルーディに出資してもらい、
父の車修理工場の一画で、メキシコ系移民を雇って生産することになります。
特許については、香港の会社に代理人を通じてロイヤリティを払えば、
ミラクルモップを商品化できると、トルーディの弁護士から助言されます。
トルーディから、ついでに部品も代理人が経営する部品工場で製造してもらえば
安く済むはずだと提案され、ジョイはその通りにします。
元夫トニーは「特許が工場にあるのはマズいのでは?」と懸念しますが、
トルーディに「ビジネスの素人は黙ってろ」と一蹴されてしまい…。
私も特許のことはよくわからないけど、トニーの懸念はわかる気がしました。
なんというか、このトルーディという実業家女性はなんか胡散臭いので。
父も恋人である彼女の言いなりだしね。
案の定、代理人の工場からは超過請求されたりするし…。

ジョイは商品化できたミラクルモップを小売店に置いてもらおうと営業に。
ミラクルモップは手を汚さずに絞れるだけではなく、モップの先端が取り外し出来、
洗濯機で丸洗いできるので長持ちすると売り込むのですが、
小売店からは「長持ちされたら沢山売れなくなる」と追い返されてしまうのです。
なるほど、長持ちは消費者には有難いけど小売店には迷惑なのか。
長期的に考えればあまり長持ちするのは生産者のジョイにも不都合かもね。
しかし私としては汚れたモップの先端を洗濯機で洗うなんて抵抗があるな…。
そもそも日本の家庭事情だとモップはあまり使わないから必要ないかも。
ただ、一本19.95ドルという価格はかなり良心的だと思いました。
便利グッツの値段は品質のわりに高いイメージがあるので。

親友ジャッキーとサクラを使った路上実演販売するも警察に摘発され失敗。
(ホームセンターの駐車場でやるから怒られるだけで、別の場所ならいい気が。)
しかし元夫トニーから24時間テレビ通販番組「QVC」の幹部ニールを紹介され、
番組で扱ってもらえるようにプレゼンするチャンスを与えられます。
たしかQVCって千葉ロッテマリーンズの球場の命名権を買った会社ですよね。
ところがモップの持ち手がプラスチックなことをニールに「安っぽい」と言われ…。
でもジョイは「プラスチックなのは軽くするため」と反論し彼を納得させ、
売り上げナンバー1のキャストに番組で出品してもらえることになり、
ニールの指示で放送までに5万本用意することになり、
家を二重抵当に入れて資金を調達して生産します。
私もテレビ通販番組は見ないけど、日本では視聴率1%もなさそうなのに、
一回の放送で何万本も売れるものなんですかね?
たしかにアメリカの主婦が熱心に見ているイメージはあるけどね。
ちなみにQVC幹部ニール役はブラッドリー・クーパーです。
ローレンスとクーパーの共演作は過去に二度オスカーに絡んでいるので、
本作もオスカー狙いで起用したであろうことが透けて見えます。
で、狙い通りオスカーに絡んでるんだから凄いというか安直というか…。

バカ売れを期待して家で番組を見ていたジョイでしたが、
キャストのハゲがモップの取り扱い方を把握しておらずグダグダな放送に…。
当然視聴者には何も伝わらず、全く売れませんでした。
扱う商品の使い方もわからずブッツケ本番なんて、いい加減なもんですね。
リハーサルくらいするだろと思うが、通販番組が生放送というのも意外です。
QVCは放送中に視聴者と電話を繋ぐから生放送しか無理なのかな。
しかしこんなハゲが売り上げナンバー1キャストなんて信じられません。
そもそも主婦向けのモップの紹介にハゲ中年なんて使ってどうする。
5万本作らされた挙句、放送事故で全く売れなかったことにジョイは愕然。
苦情を入れるとニールは「商品の責任だ」と一蹴するのです。
激怒した彼女はQVCに「もう一度出品させろ」と怒鳴り込み、
「オタクのキャストは信じられないから私に出演させろ」と…。
素人は使わない方針のQVCですが、彼女の剣幕に押し切られます。
ジョイは主婦がターゲットなので、あえてジーパンとシャツの地味な恰好で出演。
とはいえローレンスですからね、恰好は地味でも華がありすぎて違和感が…。

初めてのテレビ出演にド緊張で固まるジョイでしたが、
親友ジャッキーが機転を利かして視聴者として番組に電話し、彼女をリード。
親友のお蔭でジョイも緊張がほぐれ、見事にミラクルモップを紹介し、
僅かな放送時間で5万本ちかくの注文が殺到し大成功です。
ジャッキーのお手柄ですが、路上販売の時もサクラしてたしお手のものか。
というかQVCに電話出演する視聴者なんて、彼女同様ほぼサクラじゃないの?
生放送で何言い出すかわからない素人を出すなんてリスクありすぎるもんね。

それ以降もジョイはQVCに出演してモップを売りまくりますが、
部品工場が突然、一方的に部品の値上げを通達してくるのです。
すると腹違いの姉ペギーが、勝手に代理人として工場と交渉に行き、
言いくるめられて追加の値上げに同意して帰って来ます。
ペギーもビジネスに参加したかっただけで悪気はないのでしょうが、
お節介にもほどがあり、ジョイは激怒して姉を叱責し、
値上げ撤回させるために自ら部品工場に怒鳴り込みますが、
工場がモップを自社オリジナル商品と謳い販売していることに気付きます。
やはりトニーの懸念通り、部品工場が特許も持っていれば勝手に作りますね。

特許専門の弁護士に相談するも、以前にトルーディの弁護士の助言で
ジョイが特許を持つ香港の代理人に特許実施料を払ってしまっており、
ミラクルモップの権利は工場にあるという既成事実が出来ているみたいで…。
特許は発明者の権利を守るはずが、実際は申請者の権利を守るためのもので、
申請する時にきちんとしておかないと、こんなことになっちゃうんですね。
いくら凄い発明しても金も法的知識もない人は守られないわけだし、
だから特許って不公平でイマイチ納得できないんですよね。
モップを生産できなくなったジョイは、借金50万ドル抱えて自己破産します。
素人が安易に発明で大儲けしようなんて考えてはダメという教訓です。

しかしジョイは次は工場経営者の代理人のところへ怒鳴り込みます。
やはりかなり胡散臭い男で、彼女は逆に脅されますが、
彼女は自分が払った実施料を代理人が香港の会社に渡さず、
横領していた事実を突き止めており、詐欺で訴えると脅し返します。
そもそも香港の会社の特許とジョイのモップは全く類似点がなかったようで、
そもそも実施料を払う必要もなかったみたいなのです。
泣きが入った代理人は、実施料5万ドルに更に5万ドル上乗せし返却すると約束。
今後金銭的権利を主張しないと一筆書かせ、ジョイは勝利します。
でも借金50万ドルなのに実施料10万ドル返却では割りが合わない気が…。
あ、でも自己破産してるから10万ドルは丸々儲けになるのか。
それはそれで自己破産で踏み倒された債権者が気の毒な気がしますね。

ミラクルモップの特許で儲けて億万長者に名を連ねたジョイは、
主婦など若い発明家を支援するビジネスを起こします。
ジョイは後に100件以上の特許を持つことになるのですが、
そんなに発明できるなんて何か裏があるんじゃないかと思ってしまいます。
彼らに法的知識がないことをいいことに、支援している発明家の特許を、
自分の権利にしてしまってるんじゃないのか、なんて勘繰ってしまいます。
特許は出願にも維持にもけっこう多額の費用がかかるため、
ある程度金持ちじゃないと特許が自分のものにならないことも…。
ジョイが支援する発明家の発明も、職務発明扱いになって、
特許はジョイの会社に帰属するのかもしれませんね。
事実はわからないけど、ローレンスって権利関係にうるさいイメージだから、
彼女が演じるジョイも権利乞食に見えてしまうんだろうな。

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