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マグニフィセント・セブン

最近の気になる映画ニュース。

ソニー・ピクチャーズが買収されるかもしれないそうです。
なんでもソニー・エンタテインメントのCEOが辞職したことで新体制となり、
映画部門であるソニー・ピクチャーズを売却する可能性があると…。
私としては、これはいいことだと思いました。
ソニー・ピクチャーズは、コロムビア映画をソニーが買収して設立しましたが、
当時バブル景気だった日本企業は外国資本を買い漁っていて、
その一例がこれで、アメリカの映画ファンからのバッシングされました。
というか、今でも遺恨があるアメリカ人はけっこういると思うんですよね。
今では中国資本がレジェンダリー・ピクチャーズを買収したりだとか、
当時のソニーのような真似をしているが、やはり見苦しいと思ってしまうし…。
ただ、有力な売却先はアメリカの大手メディアCBSのですが、
同社の映画部門製作の『最後の追跡』が本年度オスカー作品賞候補になったりと、
勢いのある会社ではありますが、その『最後の追跡』はNetflix独占なので、
もしそういうスタンスだと劇場観賞派としては辛いものがあります。
でもCBSが買わなければ、また中国資本に掻っ攫われそうだし、
やっぱりソニーが手放さない方がいいかな?

ということで、今日はソニー・ピクチャーズ作品の感想です。

マグニフィセント・セブン
The Magnificent Seven

2017年1月27日日本公開。

名作西部劇『荒野の七人』のリメイクである本作ですが、
黒澤明監督の日本映画『七人の侍』の再ハリウッド・リメイクでもあるそうです。
(ご存じの通り『荒野の七人』は『七人の侍』のハリウッド・リメイクです。)
たしかに本作を撮るにあたって『七人の侍』も参考にはしているでしょうが、
再ハリウッド・リメイクというのは言い過ぎかもしれませんね。
もし『七人の侍』に敬意を払うなら、東洋人役に韓国人俳優は使わないはず。
単純に『荒野の七人』をポリティカル・コレクトネスしてリメイクした作品です。

流行りのポリティカル・コレクトネス、略してポリコレですが、
「人種などで差別・偏見を受けることがないような表現」のことです。
昨今ハリウッド映画でも盛んに取り入れられている概念ですが、
例えばアベンジャーズ初期メンバー7人全て白人だと人種差別だと叩かれるし、
原作では白人だけどニック・フューリーを黒人にしよう、という配慮です。
もちろんタイトル通り本作の主人公チームも7人ですが、
『荒野の七人』のように全員白人にするとポリコレに引っかかります。
そこで主人公格の男を黒人にして、残るメンバーも様々な人種にしています。
これは政治的に正しいことかもしれませんが、リアリティに欠けますよね。
南北戦争は終わったとはいえ人種差別が根強く残る西部開拓時代で、
黒人のもとに白人、東洋人、ヒスパニック、ネイティブ・アメリカンまで集まり、
仲良く一緒に悪者と戦うなんてどんな理想郷ですか。
そもそも人種ありきで配役していること自体が中立性を欠く逆差別でしょう。

結局配慮したところで7人中3人が白人で、白人の厚遇は否めないし、
ポリコレを強調することで逆に人種的不均衡が際立ちます。
ポリコレは人種だけではなく、宗教や性別でも問われることなので、
なぜクリスチャンはいるのにムスリムはいないのかとか、
なぜ全員男なのかとか、あえて批判の種を巻いている気がします。
全員白人ならば、人種差別と叩かれても、オリジナルに準拠したと言えるし、
そもそも西部劇は白人の文化なので、叩くのは痛い人権派くらいでしょ。
少なくとも東洋人の私は、ひとりが東洋人に改変されたところで、
違和感があるだけで全く嬉しくありませんからね。
まぁもしその東洋人役が日本人俳優だったら少しは嬉しかったかもだけど、
よりによって韓国人俳優はあり得ない選択です。
イ・ビョンホンはアジア圏で知名度が高いから起用したのでしょうが、
日韓合意反故問題で嫌韓が広がる日本では初登場10位と低迷したし、
限韓令が布かれる中国でも上映できず、世界興収もガタ落ちになるのに…。
(中国は第二位、日本は第三位の映画消費国ですからね。)

そんなわけでどうにも釈然としないポリコレ・リメイクですが、
本作の売りはポリコレだけで、それを差し引くと古典的すぎる西部劇で…。
オリジナルの『荒野の七人』が古典になるほどの名作なので、
それをリメイクすれば古典的な作品になるのは当然ですが、
ポリコレ以外にももっと新鮮な独自要素を加えてリメイクするべきでした。
以下、ネタバレ注意です。

1879年、悪徳実業家ボーグは金鉱の町ローズ・クリークの住民を脅し、
土地を二束三文で譲れと迫り、反抗する住民を見せしめに殺します。
夫を殺されたエマは、ボーグから町を救ってくれる用心棒を探す旅に。
ある町で黒人ガンマンのサムと出会い、助けを求めます。
はじめは賞金稼ぎかなと思ったけど、州の委任執行官らしいです。
委任執行官が何かは知らないが、そんな公職に黒人が就けたのかな?
南北戦争には言及されるけど、黒人差別は存在しないかのような世界観です。
ちなみにサムは北軍の騎兵隊だったみたいです。
サムは依頼を渋るが、なぜか急に引き受け、仲間集めを始めます。
なぜ引き受けたのか謎でしたが、終盤でボーグが母と妹の仇だとわかります。
でもそんな重要な動機はもっと早く教えて欲しかったです。
大した報酬も出ない命懸けの依頼に彼が執着する気持ちが理解できず、
終盤まで主人公に感情移入できませんでしたからね。

サムはまず、酒場で出会った賭博師ジョシュを強制的にスカウトします。
こいつが強いかどうかもわからないのに適当だなと思いましたが、
本当にとにかく頭数が欲しかっただけかもしれません。
なにしろボーグの手下は数百人らしいので、猫の手も借りたいしね。
でも運よくジョシュは凄腕のガンマンで、サムの相棒になります。
ジョシュは愛馬をサムに人質(馬質)に取られて従うことになりますが、
彼もたかが馬のために命を張るのは不思議な気がしました。
イカサマも凄腕なので賭博でいくらでも儲けられそうだし…。

そこからは二手に分かれて仲間探し。
サム組はたまたま出会った賞金首のメキシコ人ヴァスケスをスカウトします。
彼は7人の中では最も影が薄く、活躍も住民と大差なく、ほぼ空気。
ポリコレに拘るなら活躍機会ももう少し均等に割り振ればいいのに。
こんな扱いじゃヒスパニック系観客が怒るよ?
ジョシュ組はサムの知人のフランス系カナダ人ロビショーに会いに行きます。
彼は南北戦争で「死の天使」と恐れられた南軍の凄腕狙撃手ですが、
敗戦で捕虜になった時、なぜか北軍のサムから逃がしてもらったらしいです。
彼は東洋人の早撃ちガンマン、ビリーを連れています。
西部劇に先住民以外のモンゴロイドが出るなんて違和感がありますが、
西部開拓時代には中国人移民が沢山いたらしいので、韓国人ではないかな。
でもビリー・ロックスなんて名前だし中国系アメリカ人か?
早撃ちも得意ですがナイフ投げの名人でもあり、
髪に挿したカンザシを投げて早撃ち勝負に勝利する必殺仕事人です。

二組は合流し、老罠猟師ジャックをスカウトします。
ジャックはその昔、先住民狩りで恐れられた男で、数百人の先住民の皮を剥ぎ、
金に換えていたらしいのですが、反面、敬虔なクリスチャンみたいで…。
クリスチャンは異教徒を人間とも思ってないんでしょうね…。
最後にコマンチ族「赤い狩人」が仲間に加わります。
先住民狩りのジャックと先住民が仲間になるなんてあり得ない状況ですが、
彼がなぜ仲間に加わろうと思ったのかもイマイチわかりません。
どうも部族と逸れて、やることもないから加わった感じだけど…。
彼はさすがに先住民だけあって、弓矢など原始的な武器を用いるので、
ビリー含め銃器使いが多い中でかなりキャラ立ちしています。

以上7人の用心棒を引き連れて、エマは町に戻ります。
しかしボーグの手下は数百人なのに、7人で満足しているのが不思議。
とはいえ用心棒たちはたしかに凄腕揃いで、
町で待機していたボーグの手下22人をあっさり始末し、町を奪還します。
ただ、なぜかロビショーだけは引き金を引くことが出来ず、
ただ見ているだけで、ひとりも始末することができませんでした。
「死の天使」なんて異名はコケ脅しでホントは腰抜けじゃないかと思いましたが、
射撃練習での腕は間違いなく、どうも南北戦争のPTSDで人が撃てないみたい。
それならなぜわざわざ恥を晒しにサムの誘いに乗るのか…。

ボーグは町から馬で3日離れたサクラメントにいましたが、
買収した悪徳保安官から町が奪還されたという報を聞き、
大勢の手下を引き連れて町まで急ぎます。
なぜボーグ御自ら出撃するのかはちょっと謎ですけどね。
その間にサムら7人は塹壕を掘ったり、ダイナマイトを仕掛けたり、
住民たちに射撃訓練したりと、ボーグ襲来に備えて準備します。
勘違いしてたけど、別に7人だけで大軍を迎え撃つ物語ではないのですね。
まぁ住民を合わせても多勢に無勢なのは変わりないです。
襲撃が怖くて逃げるように引っ越した住民も多かったですから。
決戦前夜には、なんとロビショーまで逃げ出してしまいます。
なぜか相棒のビリーは残りますが、この二人はどんな関係なんだ?

朝、ボーグ率いる大軍が町に襲い掛かりますが、
6人の用心棒と住民有志は見事な連携と地の利を活かし、戦況は優勢。
ロビショーも心変わりして戻り、その狙撃の腕を発揮します。
しかしボーグは秘密兵器ガトリング砲を持ち出し、町に掃射。
ガトリング砲の激しい連射で多くの死傷者が出て、防戦一方となります。
ガトリング砲は当時最新の驚異的な兵器だったのは間違いないのでしょうが、
たった一門で戦況を覆せるほどだったかはちょっと疑問です。
しかもかなり遠方から町に撃ち込んでいましたが、射程が長すぎません?
ガトリング砲は守りでこそ真価を発揮できる兵器なはずなので、
攻めでこれほどの威力があるのはちょっと違和感があるかな?
かなり急いで来たはずなのに、こんな重い兵器をわざわざ運んできたの?
第二射でロビショーとビリーも撃ち殺されてしまいますが、
ジョシュが特攻して自爆し、ガトリング砲を破壊するのです。

ボーグの右腕的手下との一騎打ちで老罠猟師ジャックも殺されます。
この手下ですが、なんとコマンチ族なんですよね。
まさか敵サイドにまでポリコレしているなんて徹底してますね。
さすがに東洋人らしき手下までは見受けられませんでしたが…。
敵コマンチは味方コマンチ「赤い狩人」が同族対決で倒しますが、
町はすでに壊滅状態で、そこにボーグ本人が乗り込んで来ます。
町の生き残りを始末しに来たのでしょうが、別に本人は強いわけでもないのに、
なぜ手下に任せず、自分で危険な前線まで来るのか謎です。
案の定、待ち伏せしていたサムに追い詰められて命乞いするも、
彼が母と妹を殺した自分を赦すはずもなく、首を絞めつけられます。
しかしボーグは小型銃を隠し持っていて、首を絞められながら撃とうとするが、
そこに駆け付けたエマがそれに気付き、すかさず彼を射殺するのです。
用心棒7人以外の人物がラスボスを倒すなんて意外な展開ですね。
自ら夫の仇を討てたからよかったかな。

用心棒7人も生き残ったのは主人公サムと「赤い狩人」と空気なヴァスケス。
結局白人は3人全員死んだわけですね。(東洋人も死んだが…。)
死んだ4人は埋葬され、生き残った3人は英雄として住民から感謝され、
町を去って、めでたしめでたしです。
でも金で雇った用心棒死ぬのは別にいいけど、住民も相当死んでるし、
戦う前に逃げた住民も考えれば、町の人口は激減してるし、建物もほぼ壊滅。
ここから復興することを考えれば、町をボーグに売ってしまっていた方が、
死人も被害も少なくて、現状よりもマシだったかもしれません。
私は金や土地より人命の方が尊いだろと思ってしまうので…。

ポリコレだけが売りの古典的西部劇でしたが、
ある意味王道なので、全く楽しめなかったわけでもないかな?
他にもっと面白い映画が数本公開中なので、あえてオススメはしませんが。

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