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グースバンプス/モンスターと秘密の書

毎年恒例となった企画「未体験ゾーンの映画たち」が、
先週末からシネ・リーブル梅田でもスタートしました。
「日本未公開作品ばかりが結集する劇場発信型映画祭」らしいですが、
第6回となる今回は過去最多本数の映画がラインナップされています。
第1回(2012年)の17本から始まり、年を追うごとに21本、28本、49本、
50本と右肩上がりに増え、今回はなんと63本にもなります。
でも本数と反比例して映画の質は落ちてきているような気がします。
昨年の第5回も50本も公開されたのに、観たいと思えるものが1本もなくて…。
まぁ今は映画祭とは名ばかりのビデオスルー作品の有料お披露目会なので、
運営がちゃんと厳選することもなく垂れ流しているからでしょう。

とはいえ今回は観たい映画が2本だけ見つかりました。
玉石混交(ほぼ石)の63本から観たいものを探すのは大変でしたが、
今日はそのうちの1本の感想になります。
ちなみにもう1本『マザーズ・デイ』は未鑑賞です。

グースバンプス/モンスターと秘密の書
Goosebumps.jpg

2017年1月7日日本公開。

本作は「未体験ゾーンの映画たち2017」のラインナップ63本の中の1本ですが、
こんなビデオスルー作品のお披露目会の中の1本などではなく、
本来ならちゃんと全国劇場公開されるべき作品です。
なぜなら、全米ボックスオフィス初登場1位の大ヒット作だからです。
すでにシリーズ化が決定しており、続編も2018年に全米公開予定ですが、
本作をこんな形で上映してしまっては続編の劇場公開も不可能になります。
たしかにこの内容では日本でのヒットは見込めませんが、続編もそうとは限らず、
今後のシリーズの日本公開まで不意にする、残念すぎる扱いです。
もし世界的大人気シリーズに成長しても、日本だけはマイナー映画扱いで、
日本の映画ファンは世界から取り残されるんだろうな。

「未体験ゾーン」作品の多くはインデペンデント映画ですが、
本作は6大メジャーのひとつソニー・ピクチャーズが製作しています。
しかしソニーが日本配給を諦めたようで、それをTSUTAYAの配給部門が拾い、
ビデオスルーお披露目会企画に持ち込んだのだと思われます。
ソニーが本作の自社配給を見送る気持ちも理解は出来ます。
本作はR・L・スタイン著の子供向けホラーアンソロジー小説シリーズ
「グースバンプス」が原作で、当然子供向け映画になるわけですが、
日本ではアニメ以外の子供向け洋画がヒットするのはかなり困難です。
実写映画だけどソニー・ピクチャーズ・アニメーションが製作しているのですが、
やはり同様にSPAが製作した子供向け実写映画『スマーフ』シリーズも
日本劇場公開したものの全くヒットしませんでしたからね。
その上、本作の原作小説の日本での知名度は「スマーフ」よりも低いしね。
まぁ邦訳版も出版されているみたいですが、アメリカでは全62巻なのに対し、
邦訳版は十数巻しか出版されてないみたいだし…。

ただ主演ジャック・ブラックは日本でも根強い人気があると思うし、
本作を劇場公開することで知名度を上げ、続編がヒットする可能性もあるし、
やっぱり安易に劇場公開を見送ってしまったのは勿体ないです。
内容もすごく面白い、とまでは言いませんが、子供が喜びそうな物語で、
大人も童心を思い出すような、どこかノスタルジックな作品で楽しめます。
ただ単に原作小説を映像化したわけではなく、
ちょっと捻ったメタな演出も大人の観客を楽しませてくれると思います。
少々子供騙しなところもあるけど、親子で楽しめる良質な映画です。
日本語吹替版も作って全国ロードショーしたらよかったのに…。
以下、ネタバレ注意です。

高校生ザックは母と2人で叔母の住む田舎町マディソンに引っ越してきます。
ザックは地元の高校に通いますが、母もそこの教頭に採用されます。
ザックが本作の主人公ですが、子供向けだし中学生くらいの方がいい気も…。
でもシリーズ化を考えるとすぐに大きくなる子役は使い難いか。
彼らの新しい家の隣にはハンナという高校生くらいの女子が父と住んでいて、
ザックは彼女に一目惚れしますが、彼女の父から「娘に近づくな」と言われ…。
ハンナは父から高校にも通わせてもらえず、自宅学習しているみたいです。
娘に悪い虫が付くことが心配なのか、かなり偏屈な父親だと思いました。
このジャック・ブラック演じる父の名はR・L・スタイン、本作の原作者ですね。
前述のように本作はスタイン著の「グースバンプス」の映画化ではなく、
「グースバンプス」を書いたスタインが巻き起こす物語です。
もちろん伝記とかではなく、完全なフィクションですけどね。
原作は全62巻もあるアンソロジーなので、そのまま映画化できないしね。
ちなみに原作者スタインも本作にカメオ出演しています。
ジャック・ブラックがスタインを演じていることのお返しなのか、
スタインが演じる高校教師の役名は「Mr.ブラック」になっていますね。

ある夜、隣の家からスタインの怒鳴り声とハンナの悲鳴が聴こえ、
虐待を疑ったザックは監禁されているであろうハンナを助け出そうと考え、
友達チャンプと共にスタインが外出したのを見計らって家に侵入します。
彼らはスタインの書斎の本棚で「グースバンプス」の原稿を発見しますが、
原稿には一冊ずつ鍵が取り付けられており読めません。
チャンプがどうしても読みたがるので、ザックは鍵を見つけて、その中の一冊
『The Abominable Snowman of Pasadena』を開錠し、原稿を開いてしまいます。
すると原稿から巨大な雪男が飛び出し、家の外に逃げ出してしまうのです。
それを見たハンナは慌てて雪男を追い掛け、ザックとチャンプも後を追います。
てっきり「グースバンプス」という化物が登場する物語かと思ってましたが、
「グースバンプス」とは「鳥肌ものの怪物たち」みたいな意味らしく、
本作には雪男とかいろいろな怪物が登場するようです。

さすが雪男、寒い場所が好きなのか、アイスホッケー場に逃げ込みます。
ハンナたちは雪男を再び原稿に閉じ込めようと奮闘しますが、
凶暴な雪男に反撃され、逆に追い詰められて絶体絶命に。
そこにスタインが駆け付け、雪男の隙を突いて原稿に閉じ込めます。
スタインが小説に書いた怪物は、原稿を開くことで現実に具現化されるらしく、
原稿に鍵を掛けて怪物の具現化を防いでいるみたいです。
なぜ具現化するのかはスタイン自身はっきりとわかってないようです。
でも書いた原稿を開けないのに、どうやって出版してるんでしょうね。
あのスティーヴン・キングより売れてる作家らしいですが…。
雪男を回収した彼らは家に戻りますが、原稿から出た雪男だけではなく、
『Night of the Living Dummy』の生きる腹話術人形スラッピーもでした。
スラッピーは原稿を焼き払って再び閉じ込められないようにし、
他の原稿も次々と開き、怪物を解放して原稿を焼きます。
原稿が焼かれたことで怪物を閉じ込める手段を失い悩むスタインに、
ザックは「怪物を閉じ込める小説を書けばいい」と提案します。
つまり小説に書かれた怪物が具現化するわけではなく、
小説に書かれたことが現実になるということなのかな?
しかしただ書けばいいというものでもなく、愛用のタイプライターで書かないと、
具現化(現実化)できないらしく、彼らはタイプライターのある高校を目指します。
なぜスタイン愛用のタイプライターが学校で保管されているのか謎ですが。

学校に向かう途中、「My Best Friend Is Invisible」の透明人間や、
「Attack of The Graveyard Ghouls」のゾンビの群れ、
「The Werewolf of Fever Swamp」の狼男などの襲撃を受けますが、
スタインは有名な怪物を題材に小説を書いているのかなと思ったら、
「Revenge of the Lawn Gnomes」のノーム人形とか、
「A Shocker on Shock Street」の巨大カマキリとか斬新な怪物にも襲われます。
中でもナニコレと思ったのは空飛ぶプードルですね。
しかしなぜ怪物たちはスラッピーに従うんでしょうね。
スラッピーなんて動いたり喋ったり出来るだけのただの腹話術人形だし、
狼男や巨大カマキリの方が圧倒的に強いと思うんだけど…。

そんなスラッピーは冷凍ガンを持つエイリアンを引き連れて街を制圧し、
スタインを追って高校を目指します。
高校ではダンスパーティが催され、参加者たちは街の様子を知りません。
ザックの母も教頭としてパーティに参加しています。
タイプライターを手に入れたスタインはさっそく執筆にかかりますが、
その時間稼ぎのためにザックたちはパーティ参加者に協力を呼びかけ、
学校にバリケードを作りスラッピーの怪物軍団を迎え撃ちます。
しかし神出鬼没のスラッピーは難なくバリケードを掻い潜り、
執筆中のスタインを襲撃し、指を負傷させ、執筆できなくし、
更に「The Blob that Aone Everyone」の巨大ブロブを解き放ち、彼を拘束。
そこでスタインの代わりにザックが逃げながら代筆することになるのです。
つまり怪物を具現化しちゃうのは、スタインが書くからではなく、
そのタイプライターで書けば誰でもいいのか…。

全ての怪物を閉じ込める小説を書きあげたザックでしたが、
その原稿を開くことを躊躇います。
なぜなら彼は好きなハンナも実は怪物だと気付いていたからです。
どうやらスタインが孤独を癒すために書いて具現化した少女だったのです。
それに気付いていたなら「全ての怪物」なんて書かずに、
「ハンナ以外の怪物」と書いておけばよかったのにね。
ザックはハンナに怪物の自覚はないと思っていましたが、
実は彼女は自覚しており、それを彼に告げ、原稿を開きます。
すると原稿はハンナ諸共スラッピーたち怪物を次々と吸い込み、
怪物騒動は一件落着です。

後日、スタインはザックらの高校で国語教師として働き始めます。
今回の騒動に懲りて作家活動はやめたのかな?
別にあのタイプライターさえ使わなければ大丈夫そうですが…。
最後にスタインはあのタイプライターを使い、ある小説を書き、
なんとハンナを再び具現化させ、ザックと再会し、めでたしめでたしです。
でもザックは彼女が人間ではないとわかっているのに、それでいいのかな?
別に構わないのかもしれないけど、スラッピーらと閉じ込められたハンナと、
新しく具現化したハンナは似て非なる者のような気もするんだけど…。
エンドロール前のシーンでは、学校に再び保管されたタイプライターが
ひとりでに動き始め、「The Invisible Boy's Revenge」という小説を書き…。
どうやら透明人間が書いているみたいですが、
なぜか透明人間だけは原稿に吸収されるのを免れたようです。
きっと原稿が閉じられるまでどこかにしがみついて耐えたのでしょう。
ただそれだと小説の内容が現実化するという設定も疑わしくなりますね。
前述のように本作は続編の製作が決まっていますが、
透明人間の小説が引き金になってまた怪物騒動が起きる話になるのかな?

小説を書くことで怪物が具現化したり、内容が現実化するシステムや、
なぜそんな現象が起きるのかの理屈などを、もう少し明確にしてくれると
もっと納得できる物語になったでしょうが、それを差し引いても十分面白いです。
続編もぜひ劇場で観たいと思いますが、「第8回未体験ゾーンの映画たち」で
ちゃんと上映してくれることを期待しています。
…いや、願わくばちゃんと全国ロードショーしてほしいですけどね。

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