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アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

米ワーナー・ブラザーズが漫画『進撃の巨人』をハリウッド映画化するため
映画化権獲得交渉中という情報を米オンライン雑誌Deadlineが報じました。
…が、講談社が即座に誤報だと発表したみたいです。
『進撃の巨人』は海外でも人気があると聞いたことがあるので、
ハリウッド映画化の噂もあり得る話だと思っていた反面、
どうも漫画の実写化ではなく、樋口真嗣監督による日本実写版2部作の
ハリウッド・リメイクになるという噂だったので、それはあり得ないな、と確信。
漫画と全く違うあの駄作を、好き好んでリメイクするアホなんていません。
もし映画化権獲得を狙っていたハリウッド・スタジオがあったとしても、
あの日本実写版2部作を観たら、間違いなく手を引くでしょう。
でも今年公開予定のハリウッド実写版『攻殻機動隊(Ghost in the Shell)』が
もし大ヒットするようなことがあれば、『進撃の巨人』のハリウッド版の話も
また浮上する可能性もあるかもしれませんね。
そもそも『攻殻機動隊』の大ヒットの可能性が困難でしょうけど…。

今日も映画の感想です。

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
Eye in the Sky

2016年12月23日日本公開。

本作は全米ボックスオフィス最高9位になったイギリス映画です。
昨年末に有楽町のTOHOシネマズシャンテで先行公開され、
ここ関西では先週末に漸く公開が始まりましたが、
地方の公開が遅れるのは慣れっこだけど、年を跨がれるのはちょっとね…。
「昨年の映画」という印象を持ってしまうので、ちょっと今更感が湧きます。
でもそんな日本の公開スケジュールの都合は作品の出来とは関係なく、
今年観た中ではブッチギリの暫定1位、昨年公開作の中でも
かなり上位に食い込みそうな面白い作品で大満足です。
もっと全米でもヒットしてもよさそうなものですが、
アメリカ人にとってはちょっと耳が痛い内容だから避けられたかな?
しかし全米でも観た人の評価は相当高いです。
以下、ネタバレ注意です。

ソマリアのイスラム過激派組織アル・シャバブに所属する
最重要指名手配犯第四番の英国人女性ダンフォードが、ソマリア人夫と共に、
英国人1人と米国人1人を仲間に勧誘するという情報を得た英国軍は、
勧誘が行われるナイロビのある民家にケニア特殊部隊を突入させ、
ダンフォードらを一網打尽にする捕獲作戦「E作戦」を立案し、
ホワイトホールに控える国防大臣ベンソン中将率いる内閣「コブラ」のもと、
英国で作戦の指揮を執る女性情報将校パウエル大佐は、
現場を空から監視するため米軍に無人機リーパーの出動を要請します。
リーパーはネバダ州の米軍基地から遠隔操作され、
その画像はハワイの基地で画像解析されます。
ナイロビで行われる作戦なのに、米国にいながら実行できるなんて、
ドローン時代の戦争というのは凄いというか卑怯というか…。
アメリカは二度と敵に回したくないなと思ってしまいますね。
なお、英国人女性指名手配犯ダンフォードのモデルは
「白い未亡人」の異名を持つサマンサ・ルースウェイトというテロリストですが、
モデルがいるということはつまり、本作は実話ではないってことですね。

その勧誘が行われるナイロビの家にダンフォードが到着し次第、
ケニア特殊部隊を突入させて拘束する手筈でしたが、
家の中からまだ到着してないはずのダンフォードらしき人物が出てきて、
勧誘した英米人2人と共に車に乗り込み、ソマリア人商人の家に移動します。
そこはアル・シャバブ支配地域なので突入作戦は危険すぎるため、
パウエル大佐は捕獲作戦を諦め、リーパーからの爆撃に変更します。
ところがそのダンフォードらしき人物が本当に本人か確認できず…。
上空のリーパーに搭載されたカメラからの映像が頼りなので、
ヒジャブを被られてたら顔なんてなかなか確認できませんからね。

そこでパウエル大佐はケニア人工作員ファラを家の近くまで行かせて、
そこからスカラベを模した超小型ドローンを飛ばして家に潜入させ、
その女性の顔を確認し、ダンフォードで間違いないと判明します。
この超小型ドローンはどう見ても虫にしか見えませんが、
本当にこんな精巧なドローンがあるんですかね。
スマホみたいなコントローラーで正確に動くし、超高性能です。
その前に使っていたハチドリ型の小型ドローンは微妙な出来でしたが…。
ただ小さいだけにバッテリーの持ちが悪いみたいで改良の余地ありですね。
それにしても上官はみんな安全な海外にいるのに、
超小型ドローンを飛ばすために危険な現場に送られたファラは気の毒ですね。
やっぱり完全に海外からだけではドローン作戦も上手くいかないわけか。

ダンフォードだと確認できてもパウエル大佐の一存では爆撃できず、
コブラに承認を要請しますが、コブラのメンバー内で意見が割れ…。
国防大臣ベンソン中将は爆撃に賛成ですが、議会顧問が猛反対します。
テロリストとはいえ自国民を標的にしていいのか、しかも米国人までいるのに。
友好国のケニアで爆撃するなんて前代未聞で許されない、と…。
自国民だろうが米国人だろうが、テロリストなんて爆殺していいと思うけど、
たしかに友好国内での軍事行動は外交的にいろいろ問題がありそうですね。
ベンソン中将はコブラメンバーの閣外大臣に承認を求めますが、
閣外大臣は外務大臣のシンガポール外遊中の承認がないと無理だと言い、
外務大臣に連絡を取るが、外務大臣は標的に米国人が含まれるので、
北京外遊中の米国務長官の許可がないと承認できないと言い…。
見事な事なかれ主義のたらい回しで、これぞお役所仕事ですね。

でも米国務長官は「テロリストに市民権はない」とアッサリ爆撃を承認し、
それを受けて閣外大臣も承認し、承認を待ちわびていたパウエル大佐は、
すぐにネバダからリーパーを操縦する米軍中尉にヘルファイア発射を命令。
発射準備をする中尉でしたが、標的の家に幼い女の子がテクテク近づいてきて、
家の外壁のすぐ外で自家製パンの露店を始めてしまい…。
女の子が爆撃に巻き込まれることを懸念した中尉はヘルファイア発射を躊躇い、
パウエル大佐に付随的損害について調べるように要請します。
付随的損害とは爆撃により標的以外に与えてしまう損害のことらしいですが、
家には自爆用爆弾ベストを着たテロリストたちがいるため、
ヘルファイアの爆撃で爆弾ベストが誘爆し、大爆発になる懸念が高く、
外壁でパンを売る女の子をタダでは済まないことは明白です。
テロリストの支配地域なのに女の子がパンの露店を開くなんて意外と平和だね。

パウエル大佐は女の子なんかどうでもいいから爆撃するべきと考えます。
自爆テロで80人死ぬより女の子1人死ぬ方が被害は少ないという主張ですが、
それは建前で、何が何でもこの機にダンフォードを殺したいみたいです。
私も普段なら犠牲が1人で済むなら爆撃もやむを得ないと思いますが、
序盤でこの女の子の可愛い日常が描かれていたため親身になってしまい、
爆撃を強行したがるパウエル大佐を鬼畜の所業かと思ってしまいました。
なんとなく子供が死ぬことは女性の方が嫌がりそうな気がするけど…。

もちろんコブラの女性メンバーの議会顧問は猛烈に反対。
同じくメンバーの法務長官も法的に問題があるかもと懸念を表明します。
しかし米法律顧問がコブラに対し、法的に問題はないと即時行動を要請。
ベンソン中将も同調し、閣外大臣に爆撃承認を求めますが、
彼はイスタンブール外遊中の首相に判断を仰ごうと言い、
首相は爆撃の是非には触れず「付随的被害を出来るだけ小さくしろ」とだけ指示。
それにしても英国の閣僚は優柔不断で判断を他人に丸投げするのに、
米国務長官といい米法律顧問といい、爆撃に積極的ですよね。
やっぱりアメリカ人の方がテロリストに厳しいのかもしれませんね。
あ、でもヘルファイア躊躇した米軍中尉もアメリカ人か。

パウエル大佐は女の子が去れば問題なく爆撃できると考え、
現地工作員ファレに、女の子のパンを全部買うように指示。
なるほど、いい案でしたが、パンを爆買いするファレを見た見張りが、
彼を怪しんで襲って来たので、彼は買ったパンを投げつけて逃げ出し…。
すると商魂逞しい女の子は、投げ捨てられたパンを拾って再販売するのです。
うーん、賢い子だけど賢さが裏目に出ちゃいましたね…。

買占め作戦失敗したパウエル大佐は、とにかく付随的被害を抑えて、
女の子が巻き込まれる可能性を低くすれば承認されると考えます。
首相も「付随的被害を出来るだけ小さく」と言っていたので、
コブラのベンソン中将も50%以下に抑えれば承認すると約束。
パウエル大佐はヘルファイアの着弾点を女の子から少し遠ざけることで、
なんとか付随的被害50%以下を達成しようとします。
しかし付随的被害の推測をする軍曹の計算では65%に下げるのが限界で…。
パウエル大佐は軍曹を強引に説き伏せ、半ば改竄して45%にさせます。
そもそもこの爆撃の被害は、ヘルファイアそのものの破壊力よりも
標的のテロリストの着る爆弾ベストが誘爆した時の破壊力が影響するんだから、
ヘルファイアの着弾点を遠ざけたところで抑えられるはずない気がします。
そもそも爆弾ベストの破壊力は未知数なので推測なんて無意味だし。

パウエル大佐から付随的被害45%との報告を受け、閣外大臣は承認し、
リーパーからヘルファイアを発射する米軍中尉も覚悟を決めます。
この中尉も、最も女の子を気に掛けているのに損な役回りですよね。
ヘルファイアの発射トリガーはパウエル大佐かベンソン中将が握るべきです。
中尉が発射準備を進める間に、現地工作員ファラが地元の男の子に金を渡し、
お小遣いあげるから女の子のパンを買ってこいと頼みます。
自分なら怪しまれるから地元の子供に買いに行かせるとはいい案ですが、
ファラは女の子がパンを再販売してるなんて知らないはずだけど…。
中尉はファラがそんなことしてるなんて知らないので、
ヘルファイアを発射してしまい、着弾までは僅か50秒で…。
その間に男の子はパンを買い、女の子も店じまいをして立ち去ろうとした瞬間、
ヘルファイアが着弾し大爆発、女の子は爆風で飛ばされてしまいます。
発射があと数秒遅ければ女の子も軽症で済んだと思われますが、
下手すると男の子まで巻き添えになってたかもしれませんね。
ファラと米軍中尉の情報伝達さえちゃんとしていれば避けられたのに…。
これも遠くから指示するドローン作戦の限界なのかもしれません。

女の子は駆け付けた父親によって病院に担ぎ込まれるも亡くなりますが、
なんと標的だったダンフォードは生存していて…。
あんな着弾地点のほぼ真下でも死なないなんて、どんな怪物だ…。
パウエル大佐の指示で、すぐさま二発目のヘルファイアが撃ち込まれ、
ダンフォードは耳しか残らないほど木端微塵になりますが、
やはり二発目の爆発はけっこう小規模だったので、
女の子を巻き込んだのは爆弾ベストの誘爆だったようですね。
パウエル大佐は付随的被害を算出した軍曹に、報告書には45%と書けと命令。
女の子を死なせた責任逃れをするつもりで、最後まで鬼畜生です。
コブラの爆撃反対派の議会顧問も爆撃賛成派だったベンソン中将を、
「安全な場所から行った恥ずべき作戦だ」と非難します。
ベンソン中将は反論しますが、彼もパウエル大佐も内心は悔やんでそうです。
でも一番悔やんでいるのはヘルファイア発射した米軍中尉でしょうね。

標的ダンフォード殺害には成功しましたが、これは勝利とは言えないです。
本作では描かれませんでしたが「英米軍が女の子を誤爆した」という事実は
テロリストにとっては恰好の宣伝材料だし、きっとテロへの賛同者も増えます。
女の子を1人殺すことによって被害者80人規模の自爆テロを防いだけど、
増えたテロリストによって80人では済まない自爆テロが起きるでしょう。
女の子の父親は狂信的な信者ではなかったけど、愛娘を殺された報復で、
きっと狂信的なテロ活動に参加すると思うしね。
本作の製作人にその意図があるかどうかはわかりませんが、
本作によって非人道的なドローン作戦に対する批判も高まるかも。
いや、付随的被害を抑えようという努力も描かれているから、
パウエル大佐とベンソン中将が悪者扱いされるだけか。
ベンソン中将演じるアラン・リックマンはこれが遺作なのに…。

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