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ウッドローン

今日で11月も終わり、明日から12月です。
明日は年に一度の「映画の日」です。
毎月1日は映画が1100円均一のサービスデーですが、
「映画の日」の12月1日だけは、なんと1000円均一です。
是非みなさん映画館に映画を観に行きましょう。
木曜日ですが、映画の日なのでいくつか新作も公開されますよ。

ということで、今日は映画館に観に行かなかった映画の感想です。
もちろん明日は映画を観に行く予定です。

ウッドローン
Woodlawn.jpg

2016年11月2日リリース。

うっかり騙されました。
本作は実在の黒人アメフト選手の伝記映画ですが、
てっきり主人公が人種差別の中で奮闘し夢を掴む、
『タイタンズを忘れない』や『しあわせの隠れ場所』のような
公民権運動スポーツドラマ映画だと想像していたのだけど、
実際はキリスト教プロパガンダ映画でした…。
まぁ勝手に勘違いしただけで、騙されたは言い過ぎかもしれないけど、
少なくとも日本では、かなり宗教色を抑えて宣伝しており、
キャッチコピーも「この男の人生、ネバーギブアップ。」
「勝利を掴むため諦めなかった男のサクセスストーリー!」などと、
公民権運動色まで抑え、まるで単なるスポ根映画のような感じです。

アメリカではどんな宣伝がされたのかはわかりませんが、
そもそも実在のアメフト選手トニー・ネイサンの伝記映画という前提が嘘で、
実際は実在の牧師ハンク・アーウィンの伝記映画なのです。
なにしろ本作の監督は、そのアーウィン牧師の息子ですからね。
(エンドロールのキャストリストもハンクが先頭です。)
そんなマイナーな牧師の伝記映画なんて誰も観てくれないから、
人気アメフト選手の威を借りて、自分の父親を祀り上げている感じです。
そもそも私は無類の宗教嫌いですが、こんなステマみたいな真似されると、
更にキリスト教に不信感を抱いてしまいそうです。
そんな人も少なからずいるので、布教のためのプロパガンダのつもりが、
逆にアンチを増やすことにもなりかねないと思います。
クリスチャン映画自体は問題ないが、姑息なやり方が気に入らないです。

簡単に説明すると、シーズン2勝しか出来ないと言われた弱小アメフト部が、
黒人選手トニー・ネイサンの起用で快進撃を繰り広げる、というような内容です。
実話が基になっているので、それ自体は史実なのでしょうが、
本作はクリスチャン映画なので、このアメフト部の快進撃の立役者は、
その黒人選手ではなく主イエスのお蔭であるかのように描かれており、
イエスの教えをチームに広めたスポーツ専門牧師ハンク・アーウィンを、
まるで聖人のように描いていると感じました。
たしかにハンクの説教で部員のほぼ全員がキリスト教に入信し、
チームが団結したのは事実かもしれません。
しかし信仰だけで勝利できるはずはなく、選手たちも相当努力したはず。
その努力による勝利を、信仰による奇跡で片付けるなんて、選手に失礼です。

このアメフト部はスター選手トニーによるワンマンチームなので、
トニーが入部した時点で信仰なんて関係なく快進撃した気がします。
なのである意味、快進撃の最大の功労者は、トニーを起用した監督かも。
なんとなくハンクが部員を改心させて部内から差別が消えた印象を受けるが、
もともと彼らのウッドローン高校は1973年当時、人種分離の特に激しかった
アラバマ州バーニングハムにあって、積極的に人種統合の方針を取った
進歩的な学校で、アメフト部ももともと黒人選手を受け入れる人種統合チーム。
ただ生徒も保護者も白人が多いので、監督も黒人を起用しずらい状況でしたが、
勝利に拘るジェレルズ監督は思い切ってトニーを起用したのです。
牧師ハンクはトニー起用に何か貢献したわけでもないし、
トニーは始めからクリスチャンなのでハンクの説教でイエスを信じて、
強くなったわけでもなく、正直ハンクは「イエスのために勝て」と吠えるだけで、
チームの成長に何の貢献もしてない気がします。

それどころか、ハンクの説教によって部員の多くがキリスト教に目覚めますが、
信仰は自由なので当然改宗しない人もいるのだけど、
非クリスチャン部員は全員アメフト部を辞めることになるのです。
別に追い出したわけではないと思うけど、クリスチャン部員で一致団結されると、
マイノリティの非クリスチャンが疎外感を覚えて部を去るのも当然でしょう。
無神論者だったジェレルズ監督もハンクの影響でクリスチャンになりますが、
クリスチャン監督なら無意識にクリスチャン選手を厚遇するだろうしね。
結局、ハンクの布教により部内から人種差別は無くなったかもしれないが、
代わりに宗教差別が生まれたようなものです。
ミッション系ならまだしも公立校でこの状況は酷いんじゃないの?

しかし本作が事実だとすれば、たかだか一時間の説教で、
部員のほぼ全員を入信させてしまうハンクの伝道力は恐ろしいですね。
伝道力というか、もはや扇動力、いや洗脳力か。
牧師やるより怪しいセミナーの講師にでもなった方が儲かりそうです。
後に彼は上院議員になったそうだが、その異常なほどの伝道力を応用し、
有権者を見事に洗脳したんでしょうね。
でも劇中の彼の説教を聞く限りでは、全く入信したいと思わなかったけどね。
「お願いだから主イエスを選んでくれ」みたいな、情けない泣き落としだし。
まぁアメリカ人はトランプのスピーチに感銘を受けるような国民だから、
ハンク程度の泣き落としスピーチにも感銘を受けてしまうのかもな。

信仰や牧師ハンクとは関係なく、ジェレルズ監督の采配と、
トニーの大活躍で快進撃を続けるウッドローン高校アメフト部ですが、
最終的に宿敵バンクス高校に負け、優勝(プレーオフ進出)は叶いません。
史実だから仕方がないものの、最終的に負けて終わる展開は、
信仰の敗北も意味しており、クリスチャン映画としては大問題です。
ところが本作は宿敵バンクス高校もクリスチャンチームに仕立てることで、
クリスチャンチームの試合にすることで、信仰の敗北を回避します。
なんと試合の少し前にハンクがバンクス高校アメフト部にも説教し、
恐るべき伝道力で部員を洗脳してクリスチャンチームに変えてしまうのです。
無神論者のショーティ監督率いるバンクス高校アメフト部は、
ウッドローンに対して「神が勝たせてくれるわけがない(藁)」と挑発して、
信仰を馬鹿にしていたようなチームなのに、それを改宗させてしまうとは、
ハンクの折伏は悪魔的、いや神懸かってますね。
ただ本当に信仰で試合に勝てると思っているのなら、
その最大の武器を敵チームに与えるのは愚かにもほどがあるので、
実際は彼ら自身、信仰にそこまでの力がないことは自覚しているのでしょう。
実際にバンクス高校の勝利も、名選手ジェフ・ラトリッチの活躍のお陰だし。

NFLが大人気のアメリカでは、アメフト映画は大概ヒットするけど、
本作は全米ボックスオフィス最高9位という情けない成績で、
製作費を取り戻すのがやっとな興収だったみたいです。
私は完全に騙されてしまいましたが、アメリカ人客は本作が
アメフト映画を装ったクリスチャン映画なことを見透かしていたのでしょう。
素直にクリスチャン映画として堂々と発表してクリスチャンを動員した方が
もっとヒットできたかもしれませんね。
いや、実際はクリスチャン映画ですらなく、クリスチャン映画の皮を被った
身内万歳映画だからクリスチャン客も呆れて観ないか。

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