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アメリカン・レポーター

彼女に誘われたので福山雅治主演の『SCOOP!』観に行きました。
私は芸能マスコミは嫌いなので、写真週刊誌のカメラマンの物語だから
楽しめるか不安でしたが、これがなかなか面白かったです。
(終盤の超展開は「うーん…」と思いましたが、意外性はありました。)
「俺たちの仕事はゴキブリかドブネズミ以下なんだよ」と、
ちゃんと芸能マスコミを卑下する内容だったのがよかったのかも。
ワイドショーなんかでドヤ顔であることないこと話す芸能レポーターを見ると、
ほんとにゴキブリ以下、いや寄生虫以下の仕事だなと思ってしまいます。
職業に貴賎なしとは思うが、好き嫌いは否めない。

ということで、今日はレポーターの物語の感想です。
芸能レポーターではなく戦場レポーターですが。

アメリカン・レポーター
Whiskey Tango Foxtrot

2016年9月28日リリース。

「全米初登場4位の映画」程度の予備知識がない状態で観た本作ですが、
邦題からおバカロマコメなのかなと思い込んでいたけど、
戦場レポーターを題材にした、けっこう真面目な伝記映画でした。
「アメリカン・○○」というタイトルのコメディ映画が多いですからね。
たぶん邦題を付けた人も、真面目な戦争伝記映画では売れないだろうから、
あえてコメディと誤認させるような命名をしたのかもしれません。
いや、単に真面目な戦争伝記映画『アメリカン・スナイパー』に肖ったのかな?
それにしては日本版のジャケットはコメディ色が出過ぎてますが…。
まぁ原題も『ウィスキー・タンゴ・フォックストロット』で、「酒・踊り・踊り」な、
あまり戦争伝記映画ぽくないタイトルだし、実際にコメディぽい内容も含みます。
ジャンル的にはコメディに分類されるのかもしれません。

伝記映画ですが、題材の女性記者キム・ベイカーのことは知りませんでした。
彼女の回顧録が原作のようですが、そんなに有名人でもないのかな。
特に何か有名な事件が描かれているわけでもなく、
女性記者のアフガンでの日常を描いたような内容です。
日常とはいえ戦場なので、普通の日常とは全く違い、
どことなく狂乱的で面白く、こうして映画化までされたのでしょう。
以下、ネタバレ注意です。

2003年、NYの報道局でデスクワークしていたキムでしたが、
急に特派員としてアフガニスタン、カブールに行くことになります。
戦争地帯なので家族持ちの記者は行かせられず、
未婚の彼女が選ばれたのですが、局もせめて男にすればいいのに。
でもテレビ中継で戦場レポートもするので、華のある女性がいいのかも。
ただキムはアラフォーでそれほど美人でもない設定なので華は関係ないか。
「君はターバン巻けば男前だ」なんて言われるくらいで女性的魅力がないのかも。
でもカブール・マジックでNYでは4点の女性でも現地では10点に見られるとか。
いくら現地でモテても、中継を見るのはNY市民なので関係ないけど。
まぁ本作では女優が演じているので、普通に美人ですけどね。
キムには家族はいなくても恋人クリスもいるので、断固拒否すればいいのに、
彼女自身も今の日常に嫌気が差して、自ら志願した感じです。
戦場の方がマシだと思える日常って…。
結局3カ月のはずが何年も帰らず、恋人クリスも浮気して破局します。

カブールに到着したキムは現地ガイドのファヒム、
警備担当のニック、カメラマンのブライアンと合流。
更に英国の美人戦場レポーター、ターニャとも女同士仲良くなります。
彼女と夜の街に遊びに行きます、カブールは治安が悪くないみたいですね。
彼女がインタビューした海兵隊員コフリン上等兵も
「戦死よりも暴発が怖いからライフルに弾も装填してない」と言ってたけど、
イラク戦争が勃発したので、アメリカもタリバンよりもイラクを警戒し、
アフガンの海兵隊は井戸掘りと修繕くらいの任務しかないみたいです。
安全な場所に派遣されてラッキーじゃないかと思いましたが、
キムもジャーナリストの端くれなので、ネタがないことに不満みたいです。
それでも従軍取材中にタリバン兵の待ち伏せを受けたりしますが、
彼女は車から飛び出して戦闘を激写するので、意外と記者魂があります。
ジャーナリストってカメラ持ったら無茶しますね。

2004年、近隣の村の井戸が爆破されて、修繕に行く海兵隊にキムも同行。
これまで何度も爆破されており、海兵隊はタリバン兵の仕業と考えますが、
キムは村の女性たちから「私たちの仕業だ」と聞かされます。
女性たちが川に水汲みに行かなくて済むように海兵隊が井戸を作ったが、
女性たちは川に水汲みに行ってガールズトークするのが楽しみだったようです。
イスラム法で女性は立場が弱いので、男たちのいる窮屈な村を抜け出し、
たまには女性だけで楽しく過ごしたいみたいです。
キムはそれを報道して、女性の人権問題として少し注目されます。
こういう記事は女性記者しか報じられないかもしれないです。
野外でヒジャブを巻いてないと怒られるし、女性にとっては面倒な社会ですね。
キムが司法長官にインタビューに行った時なんかは枕営業を要求されるし、
そんな政府高官まで女性への人権侵害を平然とするんですね。
ただ、カブール近郊なんかの女性人権侵害はまだマシな方で、
タリバンの影響が根強いカンダハールでは、全身を覆うブルカが必需品。
キムはファヒムらと共にカンダハールに女性問題の取材に行くのですが、
記者魂が高じて女人禁制の場所にズカズカ入ってしまい、かなり危険な目に。
家庭を持ったばかりのファヒムは「もう一緒に仕事できない」と辞めてしまいます。
やっぱりイスラムでの取材は女性向じゃないですね。

そんな危険な目にまで遭って取材したアフガンの記事ですが、
NYの局長はあっさりボツにしてしまいます。
アフガンのネタはもう需要がなく、視聴率も取れないと…。
2005年当時はイラク戦争真っ只中だし、それも仕方ないですね。
それでもキムはスクープをものにしようと必死にネタ捜し。
そんなある日、ターニャから紹介されたフリーカメラマンのイアンから、
バダフィシャンでのある出来事を教えてもらうのです。
なんでもアフガンの金の採掘権を得て道路や空港を作る中国を
米軍が警備しているらしく、中国の対外投資を米軍が守っているらしいです。
それは米国人にしてみたら腹立たしいことで、スクープです。
しかしパダフィシャンへは雪が解けるまで行くことが出来ず…。
そうこうしているうちに、ターニャが大スクープをものにするのです。
キムとの共通の知人でもあるジャウィードがタリバン幹部とコネがあり、
ターニャは彼に頼んで幹部を取材することになるのですが、
取材中に米軍がドローンでヘルファイアミサイルを撃ち込んできて、
ジャウィード諸共タリバン幹部は爆死、ターニャも怪我しますが、
その瞬間をビデオカメラで撮っていて、それが大々的に報じられます。
キムはそんなターニャに嫉妬してしまうのです。
たしかに映像的には凄いけど、どういう報じられ方だったのかな?
米軍の攻撃がやりすぎだという報道なのかな?
米軍も何も取材中を攻撃しなくてもいいのに…。

2006年、たまたま爆弾テロを目撃したキムは、すぐNYへ生中継しようとするが、
NYからはそんな生中継に時間を割けないと言われてしまい…。
憤ったキムは帰国し局長に「もっとアフガンネタを報道すべき」と直談判。
しかし局長は「アフガン取材はもっとコスト削減する」と…。
まぁ需要がないんだから仕方ないですよね。
しかも他社のターニャを引き抜き、ロンドンの駐在員にしたと…。
これはキャリアアップしたいキムにとっては悔しかったでしょう。
ジャウィードを殺してまでスクープが欲しいのか、とターニャを批判。
しかしターニャも、海兵隊員コフリン上等兵がキムのインタビューで
「弾を装填してない」と答えたため、激戦地に送られて両足を失った、と反撃。
知らなかったキムは罪悪感に襲われて…。
うーん、まぁ従軍記者なんてのは人の不幸をメシの種にしてるんだから、
多かれ少なかれ犠牲は付き物で、いちいち気にしてたらやってられないかな。

そんな折、イアンの乗ったバスがテロリストに襲われ拉致されます。
キムはカブールに戻り、イアンの救出を海兵隊に要請します。
イアンはスコットランドのカメラマンだし、米国海兵隊が動く義理はないが、
キムは自分が従軍記者として随行し、活躍を取材すると約束。
海兵隊は海軍に吸収されかねない危うい立場だったらしく、
海兵隊大将はその要請を受けることにするのです。
不勉強で知らなかったけど、海軍と海兵隊って全く別の組織なんですね。
なんでも従軍記者を作戦に同行させられるのは海兵隊だけらしいです。
海兵隊の方が海軍よりも危ない任務している印象があるけど…。
海兵隊はテロリストのアジトを襲撃しイアンを保護。
その一部始終を取材したキムは大スクープを得ます。
結局バダフィシャンの中国ネタは報じられたのかな?
ある意味、テロリストから人質奪還よりも大スクープだと思うけど。

凱旋帰国したキムは、退役した義足のコフリン上等兵と再会。
インタビューの件を謝罪しますが、彼は「君の責任ではない」と。
そう言ってもらえたことでキムの罪悪感は薄れたみたいですが、
まぁ実際にキムの責任じゃないですよね。
コフリン自身もインタビューで「ここにいるべきじゃない」と
もっと危険な場所に派遣されたかったようなことを言ってたし。
なにしろ義足になっても陸軍として戦場に戻ろうとしたくらいなので、
よっぽど戦場が好きな人なのでしょう。
せっかく帰国しても戦場に戻りたがる兵士って多いみたいですね。
キムも戦場にいる時はそこから離れたがらなかったけど、
帰国後はNYでキャスターとして働いているみたいです。

コメディだと思ったら意外と真面目な内容で拍子抜けしたけど、
それはそれで面白い作品だったので満足しました。

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