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高慢と偏見とゾンビ

今日で9月も終わり、明日から10月、2016年もあと3カ月しかないなんて…。
映画の公開スケジュールを確認してみると、来月からの3カ月間、
観たい映画の公開本数がめちゃめちゃ少ないです。
今月はTOHOのフリーパスを作ったこともあって、月に20本以上観ましたが、
来月からの3カ月間で観たい映画は20本にも満たなくて…。
なんだか寂しい第四四半期になりそうです。
ちょっと鑑賞ハードル下げて、普段なら見送る映画も観に行こうかな。
未視聴の海外ドラマも相当溜まっているので、ちょうどいいかも。

ということで、今日は第三四半期最後に観た映画の感想です。

高慢と偏見とゾンビ
Pride and Prejudice and Zombies

2016年9月30日日本公開。

…迂闊でした。
単なるゾンビ・コメディだろうと思い、何も下調べせずに観に行ってしまいました。
なんでも本作はジェーン・オースティンによる古典小説『高慢と偏見』に
ゾンビを取り入れる大胆すぎるアレンジをしたパロディ映画だったみたいです。
パロディ映画は元ネタを知らなければ楽しめないものですが、
『高慢と偏見』なんて200年も前の恋愛小説、読んだことなくて…。
まぁ古典小説なので通常知っておくべき知識なのでしょうが、
如何せん本を読まないので文学史の教養が全くなくて、
恥ずかしながら『高慢と偏見』という小説があることも知りませんでした。
「狙いまくって滑ってる邦題だな」なんて思ってしまいました。
この邦題になるまで紆余曲折あり、はじめに付けられた邦題は
『プライドと偏見とゾンビ』だったみたいです。
『高慢と偏見』が2005年にキーラ・ナイトレイ主演で映画化された時の邦題が
『プライドと偏見』で、オスカー主演女優賞にもノミネートされましたが、
はじめはそれに肖ろうとしたけど、ライツ的な問題でダメになったのかも。
もし『プライドと偏見とゾンビ』のまま公開されていたら、
映画『プライドと偏見』のパロディだと気付けたかもしれず残念です。
まぁロマンスが苦手で『プライドと偏見』も観てないのですけど、
元ネタとわかれば、予習して本作に臨むことも可能だったし、
元ネタ知らないからスルーするという選択肢もあったのに…。

本作は小説『高慢と偏見』にゾンビネタをブッ込んで執筆され、
ベストセラーになったパロディ小説の実写映画化になるのですが、
ベストセラーな原作とは違い、全米ボックスオフィス初登場6位、
全米興収たったの1000万ドルと全く鳴かず飛ばずだったみたいです。
やはりゾンビ映画を観るような客層は、恋愛古典小説なんて読まないから、
元ネタを知らず、敷居が高くなってしまっていたのだと思います。
原作は小説ですから、読んでるのも読書好きだろうから、
元ネタも知ってて、ベストセラーになれたのでしょうけどね。
本作の製作サイドは完全に客層を見誤ってしまったのだと思います。
本国でのヒットは難しいと考えて海外興収に賭けたのか、
ヒロインたちが少林寺拳法を使うという中国ネタもブッ込んで中国に媚び売り、
チャイナマネーを稼ごうとしていますが、中国はオカルト映画禁止なので、
ゾンビ映画なんて検閲に引っかかるに決まってるのにね。
そんなこともわからないようでは、客層なんて見極められるわけないです。
超巨大市場の中国で公開できず、海外興収も500万ドルに止まり、
製作費2800万ドルを回収することが出来ず、興行は大失敗でした。

まぁ教養がないのが災いし、うっかり観てしまった私ですが、
元ネタがわからないからといって、内容が全くわからないわけでもないです。
19世紀イギリスを舞台にしたゾンビ映画として普通に観れます。
ただやはり元ネタがわからないので、ここをこう変えたのか、
とかパロディの面白味は全く味わえず、本当に普通のゾンビ映画です。
…いや、普通のゾンビ映画よりちょっと金がかかってるかな。
ゾンビ・コメディとしても、パロディであること自体が大ネタなので、
個々のボケは弱く、元ネタ知らないと笑える箇所も少ないです。
もう終盤なんて、コメディですらないロマンス映画になっちゃってるし…。
元ネタを知らないことで最も困ったことは、多すぎる登場人物を把握できず、
誰が誰なのかコンガラガッてしまったことです。
ヒロインの友達シャーロットのことも、ずっとヒロインの妹だと思ってました。
元ネタに登場するなら仕方ないけど、特に必然性のないキャラが多すぎます。
ヒロインも五姉妹ですが、物語上は三姉妹で事足りたと思います。
以下、ネタバレ注意です。

18世紀、イギリスは世界各国と盛んに貿易していましたが、
ゾンビ化する疫病まで国内に持ち込まれてしまいます。
貴族たちはゾンビの侵入を防ぐためロンドンの周りに高さ30mの大壁を建設し、
さらに外堀としてロイヤル運河を作り、壁の中で暮らします。
なんだか『進撃の巨人』みたいな終末もの設定だな、
と思いきや、大壁の内部にゾンビの侵入を許し、ロンドンはゾンビ天国に。
警備の厳重なビンガム橋だけを残しロイヤル運河の橋を全部落とし、
貴族たちは壁の外に逃げて、郊外で生活します。
といっても、もちろんゾンビを全て大壁で囲い込めたわけではないので、
いつ外をうろつくゾンビに襲われるか戦々恐々な暮らしのはずですが、
貴族たちの頭の中は金持ちとの結婚のことしかないみたいで…。
当時のイギリスの女性たちは、どこに嫁ぐかで全てが決まるのでしょうが、
黙示録状態でも果たしてそんな悠長なことを言ってられるのかは疑問。
(ヨハネ黙示録の四騎士も登場しますが、特に意味はありません。)
やはりゾンビネタをブッ込んだことによる設定の無理は出てきますね。

超金持ちのダーシー大佐はゾンビ狩りの名人。
ベタにゾンビに噛まれるとゾンビになる設定のようですが、
ゾンビ化したばかりの人間は、生きてる時と見分けが付かず、
人々に紛れて普通に生活し、急に襲って来て脳みそを食われるみたいです。
ゾンビは頭が弱点なので脳みそ喰われた人はゾンビ化もできないはずだから、
ゾンビがどんどん増殖する設定はおかしいと思うのだけど…。
ダーシーは新しいゾンビを見分けるために「死肉ハエ」を使います。
このハエはゾンビに止まる習性があり、止まられた人物は
問答無用でダーシーに首を斬り落とされるのです。
それもあって彼は無情で高慢な人物だと偏見を持たれています。
なんでそんな超金持ち貴族が自ら危険なゾンビ狩りなんてしてるのか謎です。
ゾンビを狩ることで儲けてるのかな?

貧乏貴族ベネット夫妻には五人の娘がいますが息子がおらず、
跡取りがいないと家が断絶するので、ベネット夫人は娘の婿探しに必死。
そんな折、近所の屋敷に金持ち貴族ビングリーが引っ越して来たので、
ベネット夫人は資産目当てで五姉妹を彼に紹介。
ビングリーは長女ジェインのことを見初めます。
その席で次女リズはビングリーの友人ダーシー大佐に一目惚れするが、
超金持ちの彼の見下すような高慢な態度に一瞬で幻滅します。
そこになんとゾンビの大群が襲って来るのですが、
少林寺拳法を体得している五姉妹は臆することなく
ゾンビたちを次々倒し、そのリズの勇ましい姿にダーシーは惹かれます。
五姉妹は剣でゾンビを斬り殺すので、あまり拳法感はありませんね。
アジアの武道を体得することは英国淑女の嗜みらしくて、
貧乏人は中国で、金持ちは日本で修業するらしいです。
ビングリーの姉妹は日本で修業し、日本語も覚えたみたいだけど、
日本語字幕がないと聞き取れないほど下手な日本語でした。
スタッフに日本語指導者がいなかったんだろうな…。

ある日、長女ジェインはビングリー邸に招待され、馬に跨って出発。
しかし道中、赤ちゃんゾンビを抱えた母ゾンビが襲って来て…。
ただのゾンビなら一刀両断したでしょうが、母子ゾンビなので情が湧き…。
ビングリー邸に到着した彼女は、気分が優れないと横になるのですが、
たまたま遊びに来たダーシーはゾンビ感染を疑い、死肉ハエを飛ばします。
しかし姉を迎えに来た次女リズがハエを全て掴み取って妨害します。
もしハエが姉に止まれば、姉が殺されるかもしれないとはいえ、
リズも姉が本当に感染してないかどうか気になると思うんだけど…。
その後、姉は回復しますが、新しい感染者は人間と見分け付かないので、
回復しても感染してないとは言い切れませんよね。
これが後の展開に大きな影響を及ぼす伏線になると思ったのですが…。

従兄のコリンズ牧師と一緒にメリトンに遊びに行く五姉妹。
そこでイケメン青年ウィカム中尉と出会い、次女リズは意気投合。
あー、また新キャラ出てきてしまった…、と思ってしまいました。
ウィカム中尉は昔、ダーシー大佐に父の遺産の聖職禄を奪われたそうで、
それを聞いたリズはますますダーシーを嫌いになります。
そんな折、長女ジェインの婚約者ビングリーがロンドンに行くことに。
なんでもダーシーが裏で糸を引き、ジェインと無理やり別れさせたみたいです。
それを知ったリズはますますダーシーを大嫌いになります。
ダーシーはジェインがゾンビと疑っていたから、友人ビングリーを守るために
泣く泣く引き離したのだろうと思いましたが、後に全く違う理由だとわかります。
というか、ジェインの感染云々はいつの間にか忘れられているようで、
まさかのあれが伏線じゃなかったことに拍子抜けしました。
あの時ジェインは普通に母子ゾンビをブッタ斬ったわけですね。
なんかイメージと違うな…。

ある日、従兄のコリンズ牧師が次女リズに求婚しますが、彼女は拒否。
はじめは長女狙いだったのに諦めて次女に切り替えたような軽薄な奴で、
そりゃ拒否られて当然ですが、母ベネット夫人は結婚しなければ勘当だと言い、
リズは頭に来てひとりで森に行き、そこでウィカム中尉と再会。
彼は「見せたいものがある」と大壁内の聖ラザロ教会にリズを連れて行きます。
なんとそこではゾンビたちが大人しく牧師の説教を聞いていたのでした。
さそがはゾンビな聖人の名を冠する教会ですね。
ゾンビにも予想以上の知性があるみたいで、人を襲わないゾンビもいて、
この教会で豚の脳みそを食べ、人間の脳みその欲求を抑えているようです。
ウィカムは人間とゾンビの共存の道があると教えたかったみたいです。
一度、人間の脳みそに手を出したゾンビは後戻りできないようですが。

ある日、リズはウィカムに「駆け落ちしよう」と求婚されます。
彼に好意はあるけど、さすがに駆け落ちは無理なので丁重にお断り。
その直後、なんとダーシー大佐にも求婚されますが、もちろん猛烈に拒絶。
姉とビングリーを無理やり別れさせ、ウィカムの遺産を奪った男ですからね。
フラれたダーシーは失望し、死ぬ覚悟で大壁でのゾンビとの戦いに出兵します。
リズが彼の残した手紙を読むと、そこには弁明が書かれており、
なんでもビングリーの件はベネット夫人が露骨に遺産目当てだったからで、
ウィカムの件はちゃんと遺産を渡したのに彼が使い切っただけだと…。
さらにウィカムがまだ16歳の妹(五女)リディアと駆け落ちしたと知り、
リズはダーシーの手紙は真実だと確信するのです。
自分と駆け落ちしたいと言っておきながら、ダメなら妹に鞍替えするとか、
ウィカムは女の敵ですが、なぜ貧乏貴族の娘なんかと結婚したいのか…。
リズは妹がラザロ教会に連れていかれたと考え、大壁に向かいます。

大壁ではダーシーやビングリーの部隊がゾンビたちと戦っています。
ウィカムは脳みその欲求を抑えたゾンビたちを使って、
ロンドンを侵略しようとしているみたいで、妹リディアはたぶん人質かな?
リディアを救出したダーシーは、あえてゾンビに死人の脳みそを与えて、
欲求を抑えられなくして暴走させるのです。
ダーシーはウィカムと一騎打ちしますが、ウィカムの胸を刺しても死なず…。
なんとウィカムはとっくの昔にゾンビ化していたようです。
だから人間とゾンビの共存とか説いていたわけですね。
本当に共存したいのではなく、協定交渉時に人間から大金をせしめる気で…。
殺しても死なないウィカムにダーシーは追い詰められますが、
リズが駆け付けてウィカムを殺し、ダーシーを救出します。
大壁脱出時にゾンビ隔離作戦のためのビンガム橋爆破に巻き込まれるも、
奇跡的にふたりとも無事で帰還します。
あの爆発で死なないとは、ゾンビよりも不死身な奴らです。

そして誤解も解け、ジェインとビングリー、
リズとダーシーの合同結婚式が執り行われて、めでたしめでたし。
…と思いきや、ゾンビの大軍勢を率いたウィカムが式場を襲撃し、幕を閉じます。
なんだか続編でも製作できそうな終わり方ですが、
製作費も回収できない失敗作に続編は望めません。というか誰も望みません。
続編がないとなると、この幕切れは少しモヤッとするので、
ラストは花嫁衣裳のリズとジェインを含むベネット五姉妹が
ゾンビの大軍勢相手に大立ち回りしてくれたらスカッとしたかもしれないのに。
序盤の五姉妹の共闘シーンはけっこう面白かったのに、
そんな共闘シーンがそこだけだったのも物足りないと思ったので…。
たぶん全く知らないけど元ネタが結婚で終わる物語だろうから、
それ以降のウィカム襲撃は蛇足承知のオマケなのでしょうね。

高慢にも下調べをしないで、所詮はゾンビ映画だという偏見で観に行った結果、
元ネタを知らずにパロディ映画を観なければならないという悲劇に…。
高慢と偏見はダメだな…。

コメント

高慢と偏見も高慢と偏見とゾンビも大好き(^^)/

高慢と偏見とゾンビ、本当に楽しかったです。

私はジェーン・オースティンの高慢と偏見が大好き。だから、大好きな作品が身勝手なアレンジで汚されてしまうのは嫌、そんな被害妄想を持っていたんです。

でも、いざ観てみると、登場人物やその性格、人間関係は原作の高慢と偏見とほとんど同じ。高慢と偏見にゾンビの要素を加えただけでこんなにも奇想天外で楽しいストーリーになるなんて。

  • 2017/08/19(土) 15:25:29 |
  • URL |
  • 香菜子高慢と偏見も高慢と偏見とゾンビも大好き(^^)/ #-
  • [ 編集 ]

香菜子さんへ。

やっぱり元ネタ知ってた方が楽しめるんですね。
私も好きな作品がゾンビパロディ化されたら懸念を感じると思うけど、
本作は元ネタファンも納得させる巧いパロディだったんですね。
なおさら下調べしておくべきだった…。

  • 2017/08/20(日) 21:06:18 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

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