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レッドタートル ある島の物語

今日はウチの地元にも台風が上陸しました。
一番激しい時は室内で仕事していたので特に影響なかったけど、
こんな日は映画館もガラガラで、ゆっくり観ることが出来ました。
でも映画館の電光掲示板を見ると、『君の名は。』だけほぼ満席で…。
公開から一カ月近く経つのに、どんだけ人気があるのか…。
斯く言う私はまだ観れてないんですよね。
本当は昨日観るつもりだったのですが、祝日ということもあって、
朝の時点で夜の分まで全てソールドアウト状態で観ることが出来ず…。
明後日はまた祝日なので無理っぽいから、明日観れたら観ようかな。
明日が無理でも来週中には観たいと思いますが、感想を書くかは微妙。
大人気作の感想を書く場合、もし酷評でもしようものなら叩かれるので、
その対処がけっこう面倒で、書くのが億劫になるんですよね。
だから映画の感想は、世間の感想がまだ多くない公開直後に書くのがベスト。
『君の名は。』みたいに公開直後に見過ごし、大評判だとわかってしまうと、
感想も書き難くなるから、鑑賞も後回しになってしまうんですよね。
でもたぶんこれほど大ヒットしているなら、内容も間違いないだろうし、
酷評することにはならないと思うので、感想も書けそうかな?

ということで、今日は酷評しても叩かれなさそうな不人気アニメの感想です。
作品自体はそんなに酷評してませんけどね。

レッドタートル ある島の物語
The Red Turtle

2016年9月17日日本公開。

2013年の駄作『風立ちぬ』を最後に、才能が枯渇してした宮崎駿監督が引退し、
高畑勲監督も『かぐや姫の物語』の物語が事実上の引退作で、
両巨頭を失ってしまったジブリは新人監督の育成に取り組むも、
期待の米林宏昌監督が二作目『思い出のマーニー』がイマイチ振るわず…。
彼の一作目『借りぐらしのアリエッティ』は宮崎駿企画・脚本だったので
大ヒットできましたが、やはり宮崎駿ブランドがないとダメだと悟り、
ジブリは制作部門を解体し、長編アニメ映画製作を休止することに。
以降はジブリ美術館の運営やグッツ販売のみを行う。
と発表されたのが、最終作『思い出のマーニー』公開時の2014年。
その舌の根も乾かぬうちにジブリの新作が公開されてしまいました。
これだと『思い出のマーニー』は完全に閉店商法、辞める辞める詐欺です。
休止というからには少なくとも5年は間隔を開けるべきでしょう。
寡作のジブリにとって2年のブランクは普通ですし、休止とは呼べません。
結局、『風立ちぬ』で宮崎駿の、『かぐや姫の物語』で高畑勲の引退を謳い、
3作続けて引退商法に手を出したわけで、なんだか不誠実な気がします。
宮崎駿もそろそろ引退撤回しそうな気がするし…。

ただ本作がジブリの新作と呼べるかはかなり微妙です。
200名ちかいアニメーターを解雇し、制作部門を解体したジブリに
新作を作れるはずはなく、本作は言わば外注した作品になります。
ジブリの代表取締役である鈴木敏夫プロデューサーが、
第73回 アカデミー賞で短編アニメ賞を受賞したオランダ人監督
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットに長編アニメの制作を依頼し、
出来上がったものが本作だったみたいです。
なんでもオファーしたのが10年前らしいですが、
完成を前に鈴木Pがジブリ休止を発表しているということは、
発表時点では本作をジブリ作品として公開する気はなかったことになります。
それが一転してジブリの最新作と銘打たれることになるのですが、
たぶん本作が今年5月に行われた第69回カンヌ国際映画祭で、
ある視点部門特別賞を受賞して箔が付いたので、ジブリ作品だと謳えば
ジブリの価値が上がるという打算があったのでしょう。
娯楽を嫌い芸術を好むカンヌに絡んだ作品は退屈な印象があるので、
私としては全く箔にはなってませんけども。

で、そんな箔を付けて、ジブリ作品として日本公開されたわけですが、
週末興行成績では1位『君の名は。』、2位『聲の形』と、
国産アニメ映画が上位を独占する中、本作はベストテンからも漏れ…。
私が観た時も劇場に客は4人しかいませんでしたから当然です。
ジブリ作品史上、最低の興収になることは間違いないかな。
結局、日本でももはやジブリブランドに訴求力はないのでしょう。
鈴木Pは自分がジブリの顔だと思ってるのかもしれませんが、
パブリックイメージでは「ジブリ作品≒宮崎駿作品」です。
宮崎駿が絡んでなければ誰も見向きはしないのは明白です。
「ジブリだから」と配給してくれた東宝も唖然としたことでしょう。
更に日本人はディズニーとイルミネーション以外の洋アニメは嫌いだし。
私は洋アニメも好きだが、それをジブリ作品と謳うことには不快感があります。
日本での訴求力は地に堕ちたジブリでも、日本を代表するアニメスタジオとして
世界的に有名なのに、そこが日本以外のアニメに手を出したとなれば、
世界がどう思うのかもう少し考えてみてほしいです。
「ジブリが日本のアニメを見限った」と思われてしまう気がします。

本作は宮崎駿はノータッチですが、高畑勲は一応関わっているようです。
なんでもヴィット監督が依頼を受ける条件として、高畑勲からの助言を要求し、
彼がアーティスティックプロデューサーとして本作に名を連ねています。
聞いたこともない肩書で、一体どんな助言をしたのか不明ですが、
いずれにせよ『かぐや姫の物語』の無残な興収でもわかるように、
高畑勲ブランドにはそれほど訴求力はありません。
ヴィット監督もどうせなら宮崎駿の助言を要求したらよかったのに、
どうも彼は『となりの山田くん』が好きな変わり者だったみたいです。
実際は宮崎駿を要求したけどNGだっただけだと思いますけどね。
ジブリとフランスの映画会社ワイルドバンチの共同製作ですが、
総勢数百人で作られた作品だけど、ジブリから参加したのはたったの6人。
(しかもジブリ6人中、日本人は4人だけです。)
これで共同製作を謳うのはちょっと誤解を生むんじゃないかな?

偽ジブリ作品なのがバレバレなため、日本で完全無視された本作ですが、
ヒットしなかったからといって駄作ということにはなりません。
無価値なカンヌは別にしても、仮にもオスカー監督の作品なわけで、
育成失敗したジブリの生え抜き新人監督に比べたら断然マシでしょう。
私も期待していませんでしたが、いざ観てみるとそれなりによかったです。
面白いか、オススメできるかと言われると微妙なところですが、
少なくとも『思い出のマーニー』よりは楽しめた気がします。
以下、ネタバレ注意です。

ある男が海で遭難し、とある無人島に流れ着きます。
砂浜と雑木林と岩山しかない小さな無人島です。
男は雑木林で倒木を集めて筏を作り、海に漕ぎ出します。
これが6畳くらいありそうな一人には広すぎる筏で、
なぜ大変なのにわざわざそんな大きな筏にしたのか謎です。
少し沖に行くと、船底から何かにゴツンと突き上げられて筏崩壊。
男は泳いで島に引き返すしかなくなります。
男は筏が小さいから壊されたと思ったのか、大きめの筏を作り直し、
再び漕ぎ出しますが、大きいからちょっと当たっただけで自重で潰れるんだし、
絶対コンパクトにして頑丈に作った方がいいと思うのですが…。
少し沖に行くと、また何かから突き上げられて筏崩壊、島に戻ります。
もう邦題に「ある島の物語」なんて副題が付いてしまってる時点で、
少なくとも終盤までこの島から脱出できないのはわかり切っているので、
男がいくら脱出しようと頑張っていても、まったくハラハラしません。
邦題を付けたのもジブリだと思いますが、アホなのかな?
宮崎駿作品の"「の」の法則"に肖ろうとしたのでしょうけどね。
(タイトルに助詞「の」を使うとヒットする法則ですが本作で見事に破られました。)

絶望した男が雑木林で不貞寝していると、砂浜の方から音楽が。
行ってみると砂浜で演奏しているカルテッドがいるのですが、
男が助けを求めて近づくとフッと消えてしまい…。
男は夢を見ていたようですが、彼は空を飛ぶ夢など、よく夢を見ます。
夢だとわかり泣き叫んだ男は、泣いてスッキリしたのか、
更に巨大な筏作りを作り、三度(みたび)海に漕ぎ出すのです。
そしていつもの沖で棒を手に待ち構えていると、
人間くらいの全長の大きなアカウミガメが現れ、筏は破壊されます。
ウミガメは海に落ちた男を襲うこともなく去ります。
なぜそんな嫌がらせをするのか不思議で、物語に引き込まれました。

また島に戻った男が岩山から砂浜を見ていると、例のウミガメが上陸。
男はダッシュで砂浜に行き、憎きウミガメの頭を棒でぶん殴り、
仰向けにひっくり返して、腹を踏みつけます。
まぁ甲羅があるので踏まれても痛くないでしょうが、
仰向けにされたウミガメは自分でひっくり返ることができずジタバタ。
男はもがくウミガメを放置して四艘目の筏作りを始めるのです。
もうウミガメに破壊されることはないのに更に大きな筏を…。
日差しの強い砂浜で何日も放置されたウミガメは動かなくなります。

ある夜、男はウミガメが宙に浮く夢を見て、何かの啓示だとでも思ったのか、
ウミガメを助けようとしますが、重くてひっくり返すことが出来ず…。
仰向けにした時は怒りでいつも以上の力でも出たのかな?
男はウミガメに海水を掛けてやりますが、すると甲羅がパキッと割れ、
中から髪の長い綺麗な女の子が出てくるのです。
いや、出てくるわけではなく、ウミガメが甲羅を纏った女の子になります。
暫く人に会ってなかった男はビックリ仰天です。
カメ子は生きているようですが、まだ動けないみたいで、
男は日除けを作ったり、真水を与えたりして必死に看病。
しかしある雨の日、元気になったカメ子は甲羅を残して姿を消してしまうのです。
男はショックを受けますが、翌朝海から頭を出してこちらを眺めるカメ子を発見。
自分の着ている服をあげると、カメ子はそれを着て、甲羅を海に流します。
するとなぜか男も作りかけの筏を海に流してしまうのです。
可愛い女の子のいる島から脱出する気がなくなったのかな?

どうもカメ子も男に気があるみたいで、ほどなく二人はメイクラブ。
男はこの女が元ウミガメだとわかってるのに恋に落ちるものかな?
しかも自分を島から逃がすまいとした憎むべきウミガメですよ。
まぁ女日照りが続けば女なら何でもいいと思っちゃうのかな?
カメ子もウミガメの時点で男に気があるから脱出を邪魔したのでしょうね。
二人はすぐに子供まで儲けますが、生まれた子はカメ人間…、
…ではなく、普通の人間の子です。(いや、泳ぎはカメ並みに上手いか。)
男は息子に海の向こうにはもっと大きな世界があることを教えます。
が、言葉ではなく砂浜に絵を描いて伝えるんですよね。
なぜなら本作は台詞が一切ない作品だからです。
ヴィット監督は多少台詞があった方がいいと考えたみたいなのですが、
ジブリ側の無理強いで台詞なしになったみたいです。
ジブリとしては台詞なしなら字幕とか吹替えも必要ないので、
日本をはじめ国際的に勝負しやすいと考えたのかもしれませんね。
ただ、台詞がない映画は取っ付き難いし、家族と会話も出来ないという
ちょっと違和感のある演出になってしまうので、これが正解かどうか…。
たしかに台詞なしでもちゃんと伝わる作品なのは立派だと思うけど…。

あ、という間に月日は流れ、息子も青年になります。
そんなある日、やけに海鳥が騒ぎだし、なんだか不吉な雰囲気に…。
そして潮が異常に引いたかと思ったら、巨大な津波が押し寄せて来て…。
ジブリが関わったなら3.11を彷彿とさせる津波ネタは避けそうなものですが。
いや、『風立ちぬ』であえて地震ネタをぶち込むようなスタジオなので、
津波ネタはジブリが発案したのかもしれませんね。
津波は島の形が変わるほどの威力で、砂浜を越え、
雑木林を薙ぎ倒し、逃げる家族3人を襲います。
津波が引いた後、木に掴まり無事だった息子は両親を探し、
すぐに母カメ子は発見しますが、島のどこにも父の姿はなく…。
ウミガメの血を引く母子は耐えられても、人間は津波に耐えられなかったのか。
と思ったら、息子は沖で流木に掴まっている父を発見、救出します。
本物の津波ならこんなに甘くはないと思いますけどね。

ある夜、緑色の海の夢を見た息子は、急に島を出る決心をします。
お年頃だし、外の世界に女の子でも探しに行きたかったのかな。
昔の男のように筏でも作るのかと思いきや、身ひとつで海に入り、
なんと友達のウミガメの背中に乗って海を渡るみたいです。
ウミガメと意思疎通できるなんて、やっぱりカメ人間なのかも。
その後、息子が無事どこかの岸に辿り着いたかは不明です。
更に月日は経ち、男とカメ子は歳を取ります。
歳を取っても見た目の変化は髪が灰色になるくらいですが、
老衰はしているみたいで、ある日ついに男は他界します。
暫く遺体と添い寝するカメ子でしたが、ウミガメの姿に戻り海へ帰るのです。
やっぱりウミガメは人間より長生きなんですね。
結局、男は島から生涯出られなかったわけですが、
本人は幸せそうだけど、カメに憑りつかれた憐れな男の話でしたね。
ウミガメが女の子になるという夢を見た男の話かと思ったけど、
夢見がちな男だったので、夢オチじゃなかったのは意外でした。
まぁ夢オチだったら最悪だったけども…。

作品自体は決して悪いとは思わなかったけど、今回の興行的失敗で、
ジブリはもう洋アニメのプロデュースなんてしないでしょう。
(おそらく東宝も配給から手を引くでしょう。)
「スタジオジブリ総選挙」で1位の『千と千尋の神隠し』の上映が決まったけど、
そっちの方が本作よりも興収を稼げるんじゃないかと思うし、
ジブリは過去作のリバイバル上映でも続けながら、
宮崎駿の復活を待つしかないんじゃないかな。
まぁ新海誠とかポスト宮崎駿がどんどん育ってきているので、
復活しても需要はないかもしれないけど…。

関連作の感想
崖の上のポニョ
借りぐらしのアリエッティ
コクリコ坂から
風立ちぬ
かぐや姫の物語
思い出のマーニー

コメント

シン・ゴジラが興行収入73億円、動員数500万人を超えましたね。
評判が悪いと伸びずにすぐランキングから下がるはずなんですがね。
ワーナー版とトントンどころか2倍以上稼いでしまいました。
どうしてこんな作品がここまでヒットしたのか理解出来ません。

  • 2016/09/23(金) 17:39:06 |
  • URL |
  • 小松 #a0zlz/WY
  • [ 編集 ]

小松さんへ。

大変申し訳ありません。
ここは『レッドタートル』のコメント欄なので返信できません。
現在『シン・ゴジラ』のコメントは受け付けておりません。
悪しからず、ご容赦ください。

  • 2016/09/23(金) 18:48:23 |
  • URL |
  • BLRPN #-
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