ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント

中国舞台のアニメ映画『ムーラン』の実写版を製作するディズニーに対し、
ヒロインに白人女優を起用しないように要求する
オンライン嘆願サイトが注目されているようです。
そんなことしなくても、ディズニーは実写版『ジャングルブック』でも
ちゃんとインド系の子役を起用しているので大丈夫だと思います。
そもそもこの企画自体、チャイナマネーを稼ぐためのものであり、
そこで白人女優なんて起用しようものなら本末転倒ですからね。
まぁ中国系女優が主演では、中国以外での興収は厳しくなるだろうけど、
市場規模第二位の中国だけでも2億ドル以上稼げるのは間違いないでしょう。
脇にコジツケで白人俳優を起用して、批判されるとは思いますけどね。
それにしても「中国人女優を起用しろ」ではなく、
「白人女優を起用するな」という要求なのが面白いですね。
嘆願者たちは黒人女優ならOKなのか。

ドリームワークスが製作し来年公開となる
日本原作の『攻殻機動隊』の実写版ハリウッド映画は、
ヒロインに白人女優スカーレット・ヨハンソンが起用され、
やはりアメリカでは批判されているようですが、日本人は比較的好意的。
私も下手にアジア系なんて起用されてヒットしないよりも、
スカヨハの人気に牽引されてヒットしてくれた方が、
延いては原作が注目されて、日本エンタメにとってもプラスな気がします。

ということで、今日はドリームワークス系ディズニー映画の感想です。
英国舞台なので、ヒロインは英国の子役を起用しており、律儀ですね。

BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント
The BFG

2016年9月17日日本公開。

スティーブン・スピルバーグ監督作の本作は、全米ボックスオフィス初登場4位、
製作費1億4000万ドルに対し全米興収わずか5500万ドルと、全くヒットできず、
大コケした『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』と共に、
今年ディズニーに大損害を与えた二大失敗作と揶揄されています。
客は全く入らなかったけど、評価自体は決して悪くはないんですよね。
もともとはディズニー配給のドリームワークス映画として製作されていたのを、
ディズニーがあまりに素晴らしい作品だから共同製作したいと言い出し、
正真正銘のディズニー映画として自社配給することになったくらいですから、
ディズニーとしては大ヒットできる佳作だと期待していたはずです。
そんな佳作なのに興行的に失敗してしまったのは、つまり観さえすれば、
楽しめる人は多いだろうに、誰も観ようとすら思わなかったということでしょう。

まず全米公開日を失敗してます。
本作は絵本を原作にした子供向けファンタジー映画ですが、
ディズニー・ピクサー『ファインディング・ドリー』の翌週に公開してますからね。
自社の映画同士で客を奪い合ってしまうことになりますが、
アニメーション映画史上最も大ヒットした『ファインディング・ドリー』が相手では、
奪い合いにもならず、ただただ奪われるだけだったでしょう。
本作のオープニング成績も公開二週目の『ファインディング・ドリー』に
ダブルスコア以上で惨敗してますからね。
もちろんプロモーションも『ファインディング・ドリー』が中心になるし、
ディズニーは何のつもりでそんなスケジュールにしたのか…。

まぁ『ファインディング・ドリー』の割を食ったのは間違いないでしょうが、
本作の人気がないのはそれだけでが理由ではないでしょう。
世間のスピルバーグ監督への期待感が薄れているのだと思います。
巨匠監督だった彼ですが、最近の監督作はいまいちパッとしません。
最近では『リンカーン』がオスカー受賞の恩恵を受けてヒットしたけど、
『タンタンの冒険』『戦火の馬』『ブリッジ・オブ・スパイ』など、
オスカーを逃した作品はあまりヒットすることが出来ず…。
とりあえずアカデミー賞にノミネートはされるのですが、
それが逆に「オスカー狙いの監督」という印象を与えてしまい、
娯楽を期待する客から避けられているような気がします。
本作は久々に娯楽映画だったけど、もう彼に娯楽を求める客はおらず、
彼の監督作の中でも最低級の成績になってしまいました。
昔は「スピルバーグ監督だから間違いない」と思って作品選びしていた私も、
最近はスピルバーグと聞いてもなんの期待感も湧きません。
一応、全米4位なのでハリウッド映画ファンとして観に行きましたが…。

で、いざ観てみたのですが、これを観ないなんて勿体ない!
…と言いたいところでしたが、私は全く楽しめませんでした。
この程度の作品ならその程度の低い成績でも当然だと思えるほどで、
むしろなぜディズニーや批評家から高評価を得ているのか謎です。
コケたのに高評価だった『タンタンの冒険』の時も似た印象を受けたけど、
彼の映画は私のような一般人にはわからない、
関係者や玄人ウケする何かがあるのかもしれません。
私にとっては古い漫画が原作だった『タンタンの冒険』同様、
なんで今更こんな古い絵本を映像化したのか時代錯誤を感じる作品でした。
まぁスピルバーグはお爺ちゃんだし、好きな作品も古いのは仕方ないのかな
あまりにも古典的すぎて、今の子どもはこれを観て面白がれるのか疑問。
もちろん大人の鑑賞に堪えうるものではないと思いましたが、
大人の批評家たちが大絶賛しているので、一概には言えないけど。
以下、ネタバレ注意です。

主人公はロンドンの孤児院に住む10歳くらいの女の子ソフィー。
英国のファンタジーって、だいたい孤児が不思議な冒険をする物語ですね。
初っ端からベタで古典的な導入だなと思ってしまいました。
余談ですが英国の物語なためか、アメリカで全くヒットしなかった本作ですが、
英国では『ズートピア』を超える大ヒットを記録したみたいで、
そのお蔭もあって、本作は世界興収で製作費をギリギリ回収しています。
ソフィーは不眠症なので、みんな寝静まった深夜3時でも起きています。
ベッドに潜り込んで読書をしていると、窓の外から物音が聴こえ、
ベランダに出ると、前の路地に巨人の姿が…。
ベッドの中から始まった物語なので、絶対に夢オチに違いないと思ってしまい、
急激に興味が失せましたが、終わってみれば夢オチではなかったので、
変な先入観を持ってしまって楽しめなかったのは損しました。

見られたと気付いた巨人は彼女を鷲掴みにし、一目散に走り出し、
巨人の国の自分の家に戻って、料理の支度を開始。
「今晩のオカズは私では?」とビビるソフィーでしたが、
その巨人は「私はニンゲンマメ(ヒューマンビーンズ)は食べない」と…。
人間をマメ扱いしている時点で、巨人が人食いなのは間違いないが、
この巨人はクソ不味いオバケ胡瓜しか食べてないベジタリアンです。
オバケ胡瓜は不味い上に巨大芋虫みたいなグロい見た目で…。
これ喰うくらいなら人間丸呑みにした方がマシだろと思いましたが、
どうも蒸留すると美味しいスパークリングワインになるみたいです。
その酒は通常とは違って気泡が上から下に落ちていき、
飲んだらゲップではなく強力なオナラが出るみたいですが、
今時そんな下ネタで笑わそうなんてギャグのレベルが低すぎます。
まぁ笑ってるお客さんもいましたけど…。

ニンゲンマメを食べないため栄養不足なのか、
この約7メートルもある巨人は巨人の中ではチビだそうです。
チビかどうかは別として、なんかガリガリでみすぼらしい気はしますね。
というか、この巨人のデザインも本作が不人気な原因な気がします。
みすぼらしい爺さんで魅力的じゃないのもあるけど、
CGのクオリティが低すぎる気がするんですよね。
CGなのが丸わかりなのに、写実的に描かれているので、
まるでロバート・ゼメキスのアニメ映画キャラみたいな中途半端なリアルさで、
不気味の谷に嵌ってしまっているような気がします。
こんな巨人を予告編やポスターで見たら客足も遠のくよ。
これならもっとアニメ的にしてポップなデザインにするか、
俳優にそのまま巨人を演じてもらった方がよかった気がします。

この巨人は以前浚ってきた人間の少年に
「ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」、略して「BFG」と名付けられます。
その少年に文字や言葉も教えてもらったみたいですが、
BFGの言葉遣いや単語間違いはかなり酷いです。
「ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」も重複表現だし、
そう名付けた少年の言語能力も低かったのかもしれないな。
このBFGの酷い言い違えも本作の面白味なのだろうと思いますが、
如何せん吹替えや字幕ではその面白味が伝わりませんね。
それにしても、この巨人のどこがフレンドリーなのか…。
人間を食べないにしても、見られたから口封じのために浚ったわけで、
殺人犯ではないけど誘拐犯なので、フレンドリーではないよね。
彼以外の巨人は人食いらしく、その少年も食われたみたいですが、
巨人の国という割には、巨人はBFG含めて10人しかいません。
他の9人にも名前はあるし、普通に言葉も喋ってますけど…。
BFGは倍以上の体格の他の巨人たちにイジメられているようです。

BFGは夢の国で夢を捕まえて調合して夢を作る仕事をしています。
要するに素晴らしい夢を作って、寝ている人間に送り込み、
いい夢を見させてあげるという仕事らしいです。
人間にいい夢を見せて巨人に何かメリットがあるのかと思いますが…。
ソフィーに仕事に一緒に連れて行ってほしいとせがまれたBFGは、
次の夜、彼女を連れてロンドンまで戻って来て、
ある寝ている少年に「大統領と知り合いになる」という楽しい夢を見せます。
ロンドンの少年が大統領と知り合うことを喜ぶなんて変な気がするけど…。
仕事に来る途中でソフィーのことが他の巨人にバレてしまったようで、
BFGはまた彼女を巨人の国に連れて帰れば、他の巨人から襲われると考え、
ソフィーをロンドンに置いて帰ろうとします。
一生監禁の可能性もあったソフィーにしてみたら、願ってもないことです。
…と思いきや、彼女は孤児院での生活よりBFGと一緒にいたいみたいで、
自殺を謀って、無理やりBFGに助けさせ、巨人の国に連れ帰ってもらいます。
まぁ孤児院暮らしが嫌なのはわかるけど、危険な巨人の国で、
会ったばかりの誘拐犯と暮らしたいという心境はよくわかりませんね。
てっきりソフィーが巨人の国を脱出する物語だと思っていたので、
本作のゴールがわからなくなってしまいました。

BFGとソフィーは巨人の国の家に帰りますが、
他の巨人が家に来て、ニンゲンマメを奪おうと家探しします。
イジメられっ子のBFGでしたが、火かき棒を手に彼らを追い払います。
BFGもなぜそこまでしてソフィーを守りたいのか不思議です。
前の少年が巨人に食べられたことを後悔しているのはわかるけど、
なんとBFGは他の巨人を巨人の国から排除しようとまで考えます。
そこでソフィーに英国女王の力を借りるという妙案が浮かびます。
BFGに巨人が英国の子供たちを食べるという悪夢を作らせて、
それを女王に見せ、巨人への敵愾心を植え付けようという作戦です。
BFGはなぜかビクトリア女王の肖像画を家に飾っていて、
彼は巨人のくせに人間の女王を崇拝しているみたいです。

その夜、BFGとソフィーはバッキンガム宮殿に侵入し、
寝ている女王に作った悪夢を見せます。
ファンタジー映画だし架空の英国女王だろうと思ったけど、
どうも現英国女王エリザベス二世っぽいです。
恐ろしい悪夢で飛び起きた女王の前にソフィーが現れて、
悪い巨人退治に協力してほしいと申し出て、BFGも紹介します。
BFGも巨人だし、子供を食べないなんて証拠はないのに、
女王はBFGを信用し、彼らに手を貸すことにするのです。
そして悠長に彼らを豪華な朝食に招待した後、英軍を出動させます。
てっきり巨人の国は英国内にあるものだと思ってましたが、
どうやら海を越えた遥か先にあるみたいで、BFGの案内で行くのですが、
英国領外に派兵なんかしたらマズいんじゃないのかな?

BFGは寝ている巨人たちに悪夢を見せて、そこを英軍に襲撃させて、
巨人たちを捕獲するという作戦ですが、悪夢を見せる必要性がないです。
実際に巨人のひとりが悪夢を見る前に起きてしまうが、
英軍は難なく彼を捕獲してしまっているので…。
巨人たちはどこかの無人島に島流しにされ、隔離されてしまいますが、
BFGは巨人の国から海を越えてロンドンに通っているので、
彼らがBFGと同等の力があれば、海を越えるなど容易いはずですよね。
ソフィーは孤児院に戻らず、なぜかバッキンガム宮殿で暮らせることになって、
BFGはひとりで巨人の国で暮らすことになります。
例えイジメられても孤独に暮らすより仲間がいる方がマシな気がするけど…。
てか、ソフィーは孤児院暮らしよりBFGと暮らす方を選んだくせに、
BFGと暮らすより宮殿暮らしを選ぶなんて、意外と現金な子です。
地球誕生から一緒に暮らしていた仲間を失ったBFGが幸せとは思えないが、
ソフィーにとってはめでたしめでたしで幕を降ろします。

私にとってはコケたのも納得の駄作で、
またスピルバーグの評価が下がってしまいました。
時代錯誤が目に余るので、もう娯楽映画は引退した方がいい気がしますが、
次回作はカトリック司教を描いたオスカー狙いの社会派作品になるみたいです。
まぁヒットは難しいでしょうが、本作よりは楽しめそうな気がします。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1719-0a0a08bf
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad