ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

TAJOMARU

ボクは雑誌と漫画と参考書しか本は読みません。
とにかく読書が大嫌いなんで、学生時代も読書感想文の宿題とか、
締め切りの前日の夜になってようやく読み始める感じで…。
なのでとにかく時間が無いんで、課題図書がある場合はどうしようもないけど、
本の選出が自由な場合はなるべく短いものを選びます。
そんな時に役に立つのが芥川龍之介の著書です。
短編ばかりでアッサリ読めるし、教師へのウケも悪くない。
結局、小中学校の夏休みの読書感想文は毎年芥川龍之介でした。
今日は中学の時にお世話になった芥川龍之介の著書が原作の映画の感想です。

TAJOMARU

2009年9月12日公開。
芥川龍之介の短編小説「藪の中」に登場する多襄丸を主人公にした時代劇。

阿古姫(柴本幸)という許婚もいて将来を約束された畠山家の次男・直光(小栗旬)は、陰謀により家を追われてしまう。山中に逃げ込んだ二人は盗賊の多襄丸(松方弘樹)に襲われ、その際に阿古が言い放った言葉に直光は驚く。すきをついて逃げ出した阿古を追う多襄丸を殺めてしまった直光は、死にゆく多襄丸から彼の名前を継ぐよう託される。(シネマトゥデイより)

原作「藪の中」は芥川龍之介の代表作で、誰もが知ってる話だと思ってたけど、
ちょっとリサーチしてみると意外とそうでもないようですね。
「藪の中」は小説というよりは、いわゆる推理クイズみたいな内容で、
ある殺人事件の関係者7人の証言が順番にならでいる形式の読み物ですが、
その中の事件の当事者3人の証言が食い違っているという話。
その3人が被害者の侍・金沢武弘、その妻・真砂、盗賊・多襄丸です。
3人が3人とも"侍は自分が殺害した"と供述する不可解な話ですが、
結局、作者の芥川龍之介によって真相が明らかにされることはなく、
未だに何かと議論になる興味深い短編小説です。

本作はその短編小説を原作にした映画ですが、
第一報で小栗旬が多襄丸を演じると聞いてちょっと驚きました。
多襄丸といえば、名の知れた大盗賊で、女好きで強姦も厭わない豪快な男。
『天地人』の石田三成や『クローズZERO』の滝谷源治みたいなクールな役が多くて、
そのイメージが強い小栗旬が多襄丸の役をするなんて、意外というよりも、
また名作の知名度だけを利用して、安易な映画を撮る気なんだろうと不愉快な気分に。
でも情報が明らかになるにつれて、小栗旬が演じるのは多襄丸じゃなくて、
どうやら侍の方だとわかって、安心したと同時に、
あの「藪の中」をどう映画化するのか興味が湧きました。

あ、「藪の中」の映画化は初めてじゃないのは知ってますよ。
黒澤明監督の世界的名作『羅生門』も「藪の中」が原作ですし、ボクも観ました。
本作のプロデューサー山本又一朗さんも『羅生門』に影響を受けたと言ってます。
なので本作は「藪の中」が原作というよりも、『羅生門』のリメイクっぽいです。
松方弘樹演じる多襄丸も『羅生門』で三船敏郎が演じた多襄丸にかなり近いし、
死体捨て場の地獄谷も羅生門の楼の上の死体捨て場のオマージュだと思います。
検非違使(本作では所司代)の御白砂で証言するシーンも取り入れられてます。
事件の一部始終を見ていた目撃者が真相を語るのも一緒ですね。
『羅生門』の影響は多分に受けてるのに、表向きの原作「藪の中」とは
多襄丸以外、役名も全然違いますからね。
でも『羅生門』のリメイクと銘打つと、『隠し砦の三悪人』や『椿三十郎』みたく、
黒澤映画のリメイクブームに乗ったみたいな印象になるから避けたのかも。

とはいえ基本的にはオリジナルストーリーで、当然『羅生門』とは全く違う真相です。
きっと黒澤明の提示したあの真相では納得できなかったんでしょうね。
ボクも『羅生門』の真相はちょっと矛盾があると思ってましたし。
本作の真相を簡単に言ってしまえば、実は死んだのは侍じゃなくて多襄丸だったが、
その後、侍が多襄丸を名乗ることで被害者が入れ替わってしまったってこと。
突飛な発想なんで無理があるように思うけど、それもありかなと思える真相です。
でも目撃者によって語られるさらに深い真相の方は、(ネタバレなので書けませんが)
「藪の中」で書かれている事実と大きく異なるので、こっちは認められないかな。

誰かが本作を『あずみ』っぽいって評してました。
まぁどちらも小栗旬が出てるってのもあるけど、制作・脚本も同じ人なんで当たり前。
(ちなみに『クローズZERO』の制作も同じ人です。)
でも『あずみ』ほどアクション要素も強くないし、チャンバラもそんなにないです。
本作は畠山直光(小栗旬)と阿古姫(柴本幸)の複雑な感情を描いたラブストーリー。
本作の時代や地位に翻弄される悲恋は公開中の『BALLAD』に近いものがあるけど、
あれより数段マシだし、悲劇の度合いも愛の強さもこちらが勝ってます。
配役もバッチリで、特に悪い将軍・足利義政役のショーケンなんてハマリすぎです。
期待してたよりかなり面白い作品でした。
まぁもちろん、そう思えるのは「藪の中」や『羅生門』が好きというのが前提ですが。
なので、逆に真相がわかった以降のアクション展開はもうどうでもよかったかも。
そういえば、小栗旬、松方弘樹の両多襄丸は、今年の大河『天地人』で
石田三成と徳川家康を演じてますね。わざとそんな配役にしたのかな?

さて、来年はついに小栗旬の最年少監督デビュー作が公開されるということで、
どこかで"もう撮った"みたいなこと言ってましたが、一体どんな作品になったのやら。
期待はしてないけど、何気に興味深いです。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/171-3d645c1b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad