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ぼくとアールと彼女のさよなら

もう8月も中旬を過ぎましたが、
今更ながら今年上半期の洋画作品興行収入ベストテンが発表されました。
1位は当然『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で約116億円、
2位はディズニーアニメーション『ズートピア』で約77億円だそうです。
邦画1位は『名探偵コナン 純黒の悪夢』で約60億円くらいだから、
洋邦合わせたランキングでも洋画がワンツー・フィニッシュのはず。
ついに邦高洋低(邦画>洋画)の傾向が終わりそうな雰囲気です。
7月以降も邦画は『ONE PIECE』や『シン・ゴジラ』がヒットしていますが、
洋画アニメ『ファインディング・ドリー』や『ペット』ほどの勢いはないし、
待機作品も『ファンタスティック・ビースト』など洋画の方が熱いです。
今年は久々に洋画の年になりそうでハリウッド映画ファンとして嬉しいです。

ということで、今日は洋画のパロディ満載の洋画の感想です。

ぼくとアールと彼女のさよなら
Me and Earl and the Dying Girl

2016年8月3日リリース。

本作は全米ボックスオフィス最高9位でしたが、
その評価は高く、アメリカのインディペンデント映画の祭典
サンダンス映画祭でドラマ部門のグランプリと観客賞をW受賞しています。
グランプは5人の映画関係者の好みで決まるので当てにならないけど、
観客の投票で決まる観客賞は信頼できると思っていますが、
本作は青春コメディドラマ映画ですが、名作映画のオマージュが満載、
というかそのオマージュの数々が最大の売りなので、
映画祭に行くほどの映画マニアな客にはウケるだろうけど、
一般客にはそこまでウケそうもない内容なので、
いくら高評価でもヒットするのは難しそうな作品です。
全米ヒットしなければ日本上陸は難しく、ビデオスルーとなりましたが、
ビデオ鑑賞の方が数々の名作オマージュネタをじっくり味わえそうです。
まぁ私程度の映画好きでは、元ネタがわからないというところも多く、
サンダンス映画祭の観客の半分も楽しめなかった気がしますが。
以下、ネタバレ注意です。

高校生グレッグは幼馴染アールと共に名作のパロディ映画を作るのが趣味です。
もともと父が珍味と外国映画のマニアで、その影響を受け外国映画にのめり込み、
好きが高じすぎて自分たちで外国映画のパロディ映画を撮り始めます。
まず元ネタ映画のタイトルをモジって、そのタイトルに沿った内容にするという
一風変わった製作スタイルで面白いですが、如何せん元ネタが通好みで…。
『My Dinner with Andre』のパロディ『My Dinner with Andre the Giant』は、
アンドレ・ザ・ジャイアント(人形)と食事するという内容の作品ですが、
そもそも『My Dinner with Andre』を知らないので面白味も半減です。
『My Dinner with Andre』はフランス人監督によるアメリカ映画らしいけど、
外国映画好きの彼らが元ネタにする作品はやはり外国映画が多く…。
もちろんアメリカ人にとっての外国映画なので、ハリウッド映画ではなく、
フランス映画やイタリア映画など、主にヨーロッパ映画が多いので、
ハリウッド映画好きな私には馴染みのないものが多いです。
まぁ『軽蔑』『勝手にしやがれ』『赤い影』『第七の封印』
『ヴェニスに死す』など、世界的に有名な作品が多いので、
ハリウッド映画に拘らない洋画好きの人は楽しめるんでしょうね。

彼らはこれまで42本以上作り、他にもわかる範囲(ほぼハリウッド映画)だと、
『風と共に去りぬ』『市民ケーン』『素晴らしき哉、人生!』『第三の男』『眩暈』
『イエロー・サブマリン』『真夜中のカーボーイ』『時計じかけのオレンジ』
『未知との遭遇』『アイズ・ワイド・シャット』などのパロディ映画がチラッと登場。
一番新しいもので『グリーン・ディスティニー』だと思いますが、
中高生の撮ったパロディ映画の元ネタとは思えない古い作品ばかりです。
(一部映像もあるが、ほとんどは彼らお手製のポスターのみでの登場です。)
ただヒュー・ジャックマンが『X-MEN』シリーズのウルヴァリン役で
まさかのカメオ出演していたのは驚いたし嬉しかったです。
『X-MEN』のパロディ映画としてではなく、まさかあんな形で登場するとは。
あと『千と千尋の神隠し』のポスターが映り込んでいたりと、
映画ネタには事欠かない作品となっています。

そんなある日、同級生の女子レイチェルが急性骨髄性白血病になり、
グレッグの母親は息子に彼女の話し相手になるように強要してきます。
グレッグとレイチェルは幼稚園から一緒だけど仲良しでもないけど、
どうも母親同士がママ友だったみたいです。
グレッグは母親の命令で渋々レイチェルの家に遊びに行くことになりますが、
レイチェルにとってもいい迷惑だけど、互いの母親の顔を立てることに。
仲良くもない癌の女子になんて言えばいいかなんてわからないし、
癌が発覚して落ち込んでる時に仲良くもない男子に励まされたくないよね。
母親の恐ろしいエゴに巻き込まれた2人ですが、レイチェルの部屋に通され、
はじめは気まずい雰囲気に包まれたものの、グレッグの下ネタがウケて、
2人は次第に打ち解けていくのです。

化学療法を受けることになったレイチェルを励ましに、
グレッグはアールを連れて彼女の家に行きます。
アールもレイチェルと仲良しではないが幼稚園から一緒だったみたいです。
アールは彼女に趣味のパロディ映画作りの話をしますが、
彼女がその映画を観たがるので、今までの作品を貸してあげることに。
その中の一本に『Monorash』という作品があり、これは『羅生門』のパロディ。
たしかに日本映画も彼らにとっては外国映画ですね。
ただタイトルをアナグラムにするって、わかり難いにも程があります。
グレッグは趣味が映画作りなんて馬鹿にされると思っているので、
学校でも秘密でしたが、レイチェルが彼らのパロディ映画を観ている所を、
お見舞いに行った学園のマドンナ的女子マディソンが目撃し、
彼女は「レイチェルのために映画を作るべきよ」と2人に提案します。
グレッグとアールは映画を作り始めるが、かなり難航します。
今まで『Peeping Tom(血を吸うカメラ)』のパロディ映画
『Pooping Tom(クソを吸うカレら)』みたいなバカ作品しか撮ってないので、
急に難病患者を励ます真面目な作品なんて撮れませんよね。
しかし発案者のマディソンはなぜ映画作りを手伝わないのか…。

化学療法開始から半年ほど経ち、髪も抜け落ちて醜くなる自分に
耐えきれなくなったレイチェルは化学療法をやめると言い出します。
それは即ち、治療を諦め死を受け入れることを意味するのですが、
グレッグは「人生を諦めるのか、死ぬのを黙って見てられない」と猛反対。
しかしレイチェルは「あなたはママに言われて私の相手をしているだけ」
「映画撮るのもマディソンに言われたからで、あなたの意志はどこにもない」と
グレッグを追い返してしまうのです。
グレッグはサプライズのつもりだった映画をアールが彼女にバラしたと知り、
人生で初めて殴り合いのケンカになり絶交。(後に仲直りするけど。)
半年間取り組んでいた映画作りも頓挫するのです。
更にそこに追い打ちをかけるように、州立大への進学が取り消されます。
半年映画作りが忙しく全く勉強してなかったため、成績がガタ落ちし、
大学側から一方的に取り消しされたみたいです。
アメリカの大学は内申がかなり重要らしいのでそんなこともあるのか。

マディソンは自分発案の映画作りで人生目茶目茶になったグレッグに同情し、
一緒にプロムに行こうと誘ってくれます。
学園のマドンナからプロムに誘われるなんて人生悪いことばかりではないです。
でもてっきりグレッグはレイチェルのことが好きになっていると思ったけど…。
と思ったら、プロム当日、タキシードを着てリムジンに乗ったグレッグは、
マディソンを迎えに行くのではなく、レイチェルの入院する病院へ直行。
彼女にいつの間にか完成した映画を上映、2人で一緒に観ます。
なんとも感動的な展開ですが、肝心の映画の内容が…。
もちろんバカ映画ではないけど、前衛的すぎるコマ撮りアニメで意味不明。
まぁたぶん半年間に撮った素材を編集した急拵えの映画だろうから、
内容は意味不明でも仕方ないんだろうけどね。
レイチェルはそれを観て感動しますが、彼女も内容に感動したというよりも、
自分のためにグレッグが映画を作ってくれたことが嬉しかったのでしょう。
その気持ちは理解できるけど、欲を言えば感動的な内容だったら
もっと感動的な物語になったと思うのでちょっと残念です。
更に欲を言えば、それがパロディ映画だったら最高でした。

グレッグの映画を観て、思い残すことがなくなったのか、
レイチェルは鑑賞後に昏睡状態になり、10時間後に他界します。
なんだか映画を観せたことで死期を早めたような気もしましたが、
ここは彼女が死ぬ前にギリギリ映画が間に合ったと考えるべきかな。
彼女は生前、州立大に「彼は半年間、私に捧げてくれたから成績が落ちた」と
グレッグの進学取り消しを取り消してもらうための嘆願書を送っていたみたいで、
彼は半年間のことをレポートにまとめ、レイチェルのための映画を大学に送付し、
たぶん進学が認められ、めでたしめでたしです。
レイチェルが死んでいるので、諸手挙げてのハッピーエンドではないけど、
なんだか心がホッコリする終わり方でした。

でもやっぱり最大の売りは劇中に登場する数々のパロディ映画なので、
元ネタを知らないと楽しさが半減するのは否めません。
青春映画、難病もの映画としてもう一捻りあれば、
映画マニア以外にも楽しめる作品になったはずで、少し残念です。

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