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ルドルフとイッパイアッテナ

『クレヨンしんちゃん』の父ひろし役の声優が病気療養するそうですね。
私も欠かさず見ている数少ないアニメなので気になるところですが、
あくまで休演ということなので、病名非公開ですが深刻な病気ではないのかも。
代役はまだ決まってないそうですが、戻って来るなら代役は要らないかと。
(実際ぶりぶりざえもんは戻って来ないのに16年も代役立てなかったわけだし。)
幼稚園とか昼間の話とか、ひろしが登場しないエピソードで繋げばいいです。
代役を立てるなら、もうその代役にバトンタッチでいいと思います。
最近だと園長先生の声優さんが交代になり、はじめこそ違和感を覚えましたが、
それもいつの間にか慣れてくるものなので、代役でコロコロ変えるよりは、
思い切ってバトンタッチして視聴者に早く慣れてもらう方がいい気がします。
休養する声優のファンには不愉快なことかもしれないけど、
私は声優自体に関心がないので、下手でなければ誰でも構わないです。
最近はタレントや俳優でも声の演技が上手い人が増えていますよね。

ということで、今日は主要キャストは全員俳優のアニメ映画の感想です。
主人公役の井上真央、鈴木亮平をはじめ、八嶋智人や古田新太など、
知らなければ本職声優と思うほど自然な声の演技で感心しました。

ルドルフとイッパイアッテナ
ルドルフとイッパイアッテナ

2016年8月6日公開。

本作は児童文学『ルドルフとイッパイアッテナ』シリーズをCGIアニメ化した
和製CGIアニメーション映画ですが、純粋に和製と言えるかは微妙なところで、
ハリウッドの制作会社、スプライト・アニメーション・スタジオが作っています。
私も聞いたことがないスタジオでしたが、
スプライトはハリウッドでCGIアニメ映画『ファイナルファンタジー』を製作した
スクウェアのチームが2002年に設立したスタジオらしくて、
海外テレビアニメ『パックワールド』なんかを制作しているところみたいです。
まぁ簡単に言えば日系アメリカ企業ということになるでしょうが、
2009年から日本の老舗アニメ制作会社OLMと業務提携し、
スプライト初のアニメ映画として制作されたのが本作ということでしょう。

ハリウッドのアニメ制作会社とはいえ、ピクサーやイルミネーションと比べると、
映像技術はまだまだですが、日本のCGIアニメ映画であれば十分な出来です。
日本でもCGIアニメ映画が年に数本制作されるようになりましたが、
正直、CGI技術以前に内容がイマイチなことが多いです。
昨年公開された白組の『GAMBA ガンバと仲間たち』なんて相当微妙でした。
しかし、本作はかなり大健闘していると思います。
こういう佳作CGIアニメ映画がちゃんとヒットしてくれたら、
日本でもCGIアニメ映画制作が盛んになると思いますが、なかなか難しいかな。
なにしろ夏休み真っ盛りの現在、劇場はアニメ映画が群雄割拠しており、
日本からは人気テレビアニメの劇場版『ONE PIECE』や『ポケモン』、
(あと特撮ヒーロー映画ですが『仮面ライダー』も。)
ハリウッドからもピクサーの『ファインディング・ドリー』が大ヒット中で、
子供客の奪い合いを繰り広げていますが、本作がそこに混ざるのは困難です。
更に今週末にはイルミネーションの『ペット』まで公開になりますが、
同じペットもので内容が被るだけに、更に厳しい状況になるでしょう。

原作の児童文学は私でも知っているので有名なのでしょうが、
刊行が1987年らしく如何せん古すぎて、今の子供がどれほど知っているか疑問。
原作に親しんだ親御さんが本作をチョイスすることは考えられますが、
群雄割拠の中で子供が本作をチョイスするとは考えにくいですからね。
まぁ昨今は空前の猫ブームなので、原作読者や子供を動員できなくても、
猫好きを動員して、そこそこヒットできる可能性もあるかな。
ちなみに私が観た昨日(8月8日)は「世界猫の日」でした。
別にそこに合わせて公開したわけじゃないと思うけど…。

私も原作は知っていると言っても、読んだのは小学生の時なので、
内容はほとんど覚えていませんでした。
本作はけっこう原作に忠実に映画化されているみたいですが、
いざ観てみて「こんな話だったのか」と思ったくらいです。
所詮は児童文学と舐めていましたが、なかなか教訓的で興味深い物語で、
私が親なら子供には『ONE PIECE』や『ファインディング・ドリー』よりも
本作を観せたいと思うような素晴らしい出来でした。
意外にも感動的で、特に猫を飼ってる人は泣けるかもしれません。
まぁアニメなのでファンタジーなところも多く、ツッコミどころも多いですが。
以下、ネタバレ注意です。

春、小学生の女の子リエちゃんが飼う黒猫ルドルフは、
家の敷地から出たことがない家猫でしたが、好奇心が強く、
外出したリエちゃんの後を追って敷地から出てしまいます。
ルドルフはなぜか魚屋でシシャモを盗み、店主に追いかけられ、
停まっていたトラックの荷台に隠れますが、そのトラックは出発してしまい、
一晩走り続け、家から遠く離れた知らない街まで来てしまうのです。
リエちゃんを追いかける途中にシシャモ盗む意味がわかりませんが、
魚を見ると咥えずにはいられない猫の習性なのか…。
ルドルフは空腹でもないし、魚より肉が好きみたいだけど。

初めての外で、道路を歩くことに慣れていない家猫のルドルフは
不注意で車に轢かれそうになるが、間一髪、大きなトラ猫に救われます。
トラ猫に名前を聞くと「俺の名前はいっぱいあってな」と言われ、
ルドルフは「イッパイアッテナという名前か」と勘違いするのです。
『おまえうまそうだな』もそうだけど、児童文学はこの手の勘違いが好きですね。
「リエちゃんのいる三丁目に帰りたい」というルドルフに、イッパイアッテナは
「三丁目は沢山ある、地名がわからないと帰りようがない」と諭し、
仕方がないので暫く面倒を見て、野良猫の生き方を教えることにします。

イッパイアッテナはルドルフを連れて小学校の給食室まで行き、
給食のおばちゃんからシチューの肉を分けてもらいます。
なぜシチューの日には欠かさず来るイッパイアッテナを
「献立がわかるのかしら?」と不思議がる給食のおばちゃんたち。
実はイッパイアッテナは猫のくせに識字でき、献立も読めるのです。
彼曰く、字が読めると教養が身に付き、野良生活にも役立つらしいです。
給食のおばちゃんはルドルフを見て「黒猫よ、縁起が悪い」と言いますが、
イッパイアッテナは「迷信を信じるのは教養がないから」とルドルフを慰めます。
仮にも餌をくれた恩人を無教養と馬鹿にするなんて毒舌ですね。
それにしても給食のおばちゃんが野良猫に餌をあげるなんて…。
学校に野良猫が棲みつかれたら困るから、普通はあり得ないことですが、
きっと今時珍しいかなり大らかな校風なんでしょうね。
他にも魚屋やご近所さんの家なども回って、餌を恵んでもらいます。
イッパイアッテナは給食のおばちゃんからは「ボス」、魚屋からは「デカ」、
ご近所さんからは「トラ」や「シマ助」と呼ばれ、本当に名前がいっぱいあります。

字が読めるイッパイアッテナですが、なんと字を書くことも出来るのです。
平仮名、片仮名はもちろん、地面に「山川海空」など漢字も書いて見せ、
猫のくせに小学1年生並みの教養がありそうだと思いましたが、
実際は下手な人間の大人より賢いかもしれません。
「絶望は愚か者の答えだ」なんてイギリスの作家の名言を引用したり、
ルドルフの名前の由来を「ハプスブルク家のルドルフ一世か」と言い当てたり、
たぶん歴史の教養は私以上だと思われます。
でも彼は主に小学校の学級文庫や図書室で本を読んでいるので、
そんな難しい本は置いてないと思うんですけどね。
イッパイアッテナは元飼猫でしたが、飼い主がアメリカに引越すことになり、
アメリカには連れて行けないので置いて行かれたみたいですが、
飼い主が野良として生きて行けるように文字を教えてくれたんだそうです。
一年間毎日猛勉強し、新聞が読めるほどになったみたいですが、
人間でも新聞が読めるまでに何年もかかるのに、かなり優秀ですね。
でもアメリカ引越しが一年前にわかっていたなら、飼い主も文字教えるより、
一年かけて貰い手探して、野良にならないようにしてあげたらいいのにね。
なお、飼い主からは「タイガー」と呼ばれていたそうです。

文字の魅力を知ったルドルフはイッパイアッテナから文字を習い始めます。
夏休みの小学校に行った2匹は、当直のクマ先生に職員室に入れてもらい、
弁当を分けてもらいながらテレビを見ます。
給食のおばちゃんだけじゃなく教員まで野良猫ウェルカムなんて…。
たまたまテレビにリエちゃん宅からも見えた岐阜城が映り、
ルドルフは自分の家が岐阜県岐阜市だと知るのです。
もうルドルフも「岐阜」なんて難読漢字を読めるようになっているとは凄いです。
しかし今いる場所は東京都江戸川区北小岩で、岐阜市から相当遠く、
イッパイアッテナは「猫がこんな距離を移動する方法はない」と諭します。
しかしルドルフは諦め切れず、「トラックで来たからトラックで帰れるはず」と、
車体に「ギブ&テイク」と書かれたトラックを岐阜行きと勘違いし、
荷台に乗り込むも、それはクール便の冷凍車で、あわや凍死。
イッパイアッテナに救出され一命を取り留めますが、いくらアニメとはいえ、
ルドルフが氷に覆われてしまう表現は誇張しすぎです。
普通ならあの状態で生きているわけがないですが、
教養の大切さを説くなら、ある程度考証も必要だと思うのですが。

秋になったある日、ルドルフは商店街のポスターを見て喜びます。
それは「岐阜紅葉バスツアー」の案内ポスターで、
このバスに忍び込めば、確実に岐阜まで帰れるはずだと。
ルドルフは商店街の金物屋で飼われている情報通の三毛猫ブッチに
バスツアーの詳細を聞き、11月10日6時半出発だとわかります。
ブッチは後にアメショの雌猫ミーシャと付き合うことになるので雄ですが、
三毛猫の雄なんて相当珍しいですよね。
図鑑の雄猫を見て雌だと勘違いしたりもするブッチですが、
何気に一番性別を間違われそうなのは自分じゃないかな?
ブッチはイッパイアッテナのことを「捨てトラ」と呼んでいますが、
ボスネコのことをそんな侮辱的な名前で呼ぶなんて怖い者知らずですね。

バスツアー前日、ルドルフのお別れパーティが開かれることになりますが、
イッパイアッテナはルドルフの大好物の牛肉を用意してやろうと、
金持ちの小川さんが飼うブルドッグのデビルに餌の肉を分けてもらおうとします。
デビルは地獄の番犬という異名を持つ猛犬で皆から恐れられていますが、
小川さんちはイッパイアッテナの元飼い主のお隣さんで、
昔はペット同士も仲が良かったけど、イッパイアッテナが野良になった途端、
デビルが彼を見下し始め、今は険悪な仲です。
イッパイアッテナはルドルフのために宿敵デビルに頭を下げますが、
デビルは肉を与えるふりをして襲い掛かり、イッパイアッテナを半殺しにします。
そんな卑怯なことするということは、ガチで戦ったら勝ち目がないのかな?
ブルドックがトラ猫風情に負けるとは思えませんが、
イッパイアッテナは過去にドーベルマンまで倒したことがあるバケ猫ですからね。

デビルにやられ、虫の息のイッパイアッテナを発見したルドルフは、
助けを呼ぶためクマ先生のアパートに行きます。
そして覚えた文字で地面に「ぼすしぬ」と書いて状況を伝え、
クマ先生をイッパイアッテナのところまで連れて行くのです。
(クマ先生は給食のおばちゃん同様、イッパイアッテナを「ボス」と呼びます。)
人間に文字を書けると知られるのは不味いですが緊急事態だから仕方ないか。
クマ先生は大らかすぎるのか、あまり気にしなかったみたいですが…。
イッパイアッテナは動物病院に連れて行ってもらい、一命を取り留めます。
クマ先生も野良猫の治療費出して、治るまで面倒見るなんて奇特な人です。

翌朝、バスが到着しますが、ルドルフは集合場所に行かず、小川さんちへ。
イッパイアッテナを半殺しにしたデビルに敵討ちをするつもりです。
「今日は牛肉じゃなくお前の肉をいただきに来た」と脅し文句は威勢がいいが、
小さい黒猫がどうやってブルドックに勝てるのかと思いましたが、
案の定、ルドルフは庭中をすばしっこく逃げ回るのが精一杯で…。
デビルが勢い余って池に落ち、たまたまカナヅチだったので勝利しますが、
普通犬は泳げるものだし、もしカナヅチじゃなければどうする気だったのか。
そもそも泳げないデビルの庭に池を作る飼い主もどうかしてるな。
負けたデビルは反省し、もう猫に手を出さないことを誓います。
実はデビルは「いっぱい名前があるのは友達がいっぱいいるから」と
イッパイアッテナのことを羨ましく思っていたみたいです。
デビルは飼い主から付けられた名前だけですが、
愛犬に「デビル」なんて付ける飼い主が本当に彼を愛しているか疑わしいです。
餌はローストビーフとかステーキとかやたら豪華だけど…。

もちろんバスには乗り遅れたルドルフは北小岩に残ります。
冬が過ぎ、また春が来た頃、ブッチの飼い主の金物屋に納入している業者が、
「東名が混んでた」と言っているのを聞いたイッパイアッテナは妙案を閃きます。
岐阜行きの車を見つけるのは難しいが、その業者のトラックに乗れば、
東名高速道路で岐阜方面に行けるので、パーキングエリアで
岐阜方面のナンバーを探して乗り継げば、いつかは岐阜に着くはずだと。
それを聞いたルドルフは岐阜方面の地名を覚え、出発に備えます。
そして出発前日、仲直りしたデビルの庭でお別れパーティが開かれます。
そこでイッパイアッテナは、自分も飼い主に会いにアメリカに行く計画を語ります。
当初は岐阜も無理だと言っていたのに、急にアメリカに行くと言い出すなんて、
教養のあるイッパイアッテナとは思えない無謀すぎる計画ですが、
序盤に彼が学級文庫でアルファベットの本を読んでいたのは、
アメリカに行くために英語も覚えようとしていたんですね。
漢字を覚えるのに比べたら英語の方が簡単かもしれません。

翌日ルドルフは納入業者のトラックの荷台に忍び込み出発。
パーキングエリアで静岡ナンバーのトラックに乗り換えます。
トラックの運転手から「ねこざえもん」と呼ばれたルドルフですが、
彼もこの一年で「クロ」とか「チビ」とかいろんな名前が増えました。
次のパーキングエリアで岐阜ナンバーの軽トラを発見して乗り換え、
ついに岐阜まで帰って来ます。
しかし岐阜県も広いし、三丁目だって沢山あるだろうから、
岐阜県に入ってからどうやって岐阜市の家に戻るのかと思ったけど、
ただ歩いているうちに普通に岐阜城を発見するという…。
そこは展開的にもう一捻りほしかった気がしますね。

リエちゃんの家に帰って来たルドルフでしたが、庭から部屋に入ると、
見知らぬ小さな黒猫から「おじさん誰?」と声を掛けられます。
その黒猫はルドルフが行方不明になった後に、
リエちゃんが新しく飼い始めた黒猫で、名前もルドルフ…。
ソックリですがどうやら母猫が同じらしく、ルドルフの弟になるみたいです。
もはや自分の居場所はここにはないと悟ったルドルフは去ることを決心。
兄なのにおじさん呼ばわりは酷いですが「おじさん誰」と聞かれて、
ルドルフは「僕の名前はいっぱいあってな」と言い残して去ります。
イッパイアッテナの真似をしたわけですが、別に名乗ればいいとも思うけど、
弟に気を使ったのかもしれませんね。
このルドルフの健気さにはちょっと泣けました。

ルドルフは東京に戻りますが、岐阜から北小岩に戻る方が難しそうな気も。
イッパイアッテナが棲んでいた神社の軒下はモヌケの空になっており、
もうアメリカに旅立ったのかと思いきや、なんと飼い主がアメリカから戻って来て、
イッパイアッテナは再び飼われていたのでした。
飼い主はアメリカですき焼きの店を出して一発当てたらしく、
小川さん宅に負けない金持ちになっており、ルドルフは「クロウ」と名付けられ、
イッパイアッテナと一緒に面倒を見てもらえることになり、めでたしめでたし。
でも黒いからって「クロウ(カラス)」なんて名前、ちょっと酷いね。
イッパイアッテナは「タイガー」と呼ばれていますが、
それならルドルフも「ブラックパンサー」とかにしてあげたらいいのに。

あとイッパイアッテナは「飼猫だろうが野良だろうが俺は俺」と言いますが、
飼猫になってしまうとせっかくの識字力も必要なくなるので、
教養を培うには野良のままの方がよかった気もします。
デビルも野良になって自由になったイッパイアッテナを僻んでいたので、
飼猫よりも野良の方が幸せなんじゃないかとも思います。
それにせっかく英語も勉強していたのだから、無謀な計画とは思ったけど
行けるものならアメリカにも行ってほしかったしね。
一度捨てたのにまた飼い始める飼い主も調子が良すぎると思うが、
飼い主にしてみたら捨てたつもりはなく、留守番させてただけなのかも?
猫に文字を教えるような変わり者なので常識は通じなさそうだし。

主人公たちは猫でしたが、彼らは人間のメタファーでもあり、
生きる上で教養が如何に大事かという教訓が込められた物語だと思います。
識字率の高い日本では文字を読めることの大切さが軽んじられてるけど、
本作の猫たちを通して、文字が読める喜びを再認識できた気がします。
そして久しぶりに漢字を勉強してみたくなりました。
なかなか面白く、オススメな夏休み映画です。

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