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シン・ゴジラ

先週土曜日に放送された『めちゃめちゃイケてる』を(録画で)見ました。
昔は好きで毎週見てた番組ですが、ここ何年も見てないのでかなり久しぶり。
もちろん淫行事件で芸能界から干された元レギュラー極楽とんぼ山本が
10年ぶりに『めちゃイケ』に登場と聞き、気になって見てしまったわけで、
まんまとフジテレビの炎上商法に釣られてしまったのは悔しいですが、
昔はラジオも聞いていたほど極楽とんぼのファンだったので、
見たいという欲求に負けてしまいました。
ちなみに私が『めちゃイケ』を見なくなったのは山本脱退より前なので
淫行事件が原因ではなく、ただ単に飽きただけでしたけどね。

正直、山本のことは好きだったけど、淫行にはドン引きで一気に覚めました。
私の物差しでは、薬物の使用や女子高生の制服を盗むことなんかより、
未成年への淫行の方が罪は重く、例え示談が成立し不起訴だとしても、
心情的に許せるものではありません。
山本が事件後も芸人を続けるのは勝手にすればいいと思うけど、
公共性の高い民放テレビ局が起用するのは納得できるものではなく、
(今更だが)フジテレビの道徳的意識の低さにはほとほと呆れます。
でもまんまと釣られた私が偉そうに言えた義理ではないですが…。
しかもあざとい演出だと思いながら不覚にも感動してしまったし。

とりあえず今回は視聴者の理解を得られていないという名目で
レギュラー復帰は見送られましたが、それは懸命な判断でしょうね。
いずれは復帰させる青写真があるかもしれませんが、
今の『めちゃイケ』の不人気を鑑みれば、山本の復帰が早いか、
それとも番組の打ち切りが早いか微妙なところでしょう。

ということで、今日は十数年ぶりに復帰を果たした映画シリーズの感想です。

シン・ゴジラ
シン・ゴジラ

2016年7月29日公開。

本作は日本のゴジラ映画シリーズ第29作目となりますが、
第1作目『ゴジラ』から第15作目『メカゴジラの逆襲』までを「昭和ゴジラ」、
第16作目『ゴジラ』から第22作目『ゴジラvsデストロイア』までを「平成ゴジラ」、
第23作目『ゴジラ2000 ミレニアム』から第28作目『ゴジラ FINAL WARS』を
「ミレニアム」シリーズと称されます。

『ゴジラ』シリーズは私の最も好きな日本映画シリーズですが、
ぶっちゃけ本作には全く期待しておらず、不快感すらありました。
そもそも私は東宝が2004年の『ゴジラ FINAL WARS』と公開時に
「今後10年はゴジラ映画を製作しない」と明言したことに納得してません。
これは「10年後にまたゴジラ映画作るよ」という意味ではなく、
客が全然入らなくなってしまったことによる事実上の完全撤退でした。
ゴジラ映画の大ファンだった私にとって本当にショックな出来事で、
東宝に対して強い怒りを覚えたものです。
というのも「ミレニアム」シリーズが失敗したのは東宝の戦略ミスだったから。
なんと第25作目から第27作目を『とっとこハム太郎』と二本立てにしたのです。
当時チビッコに大人気だったハム太郎にゴジラをフックアップさせる目的、
というか、完全にゴジラをハム太郎のバーターにした屈辱的な戦略です。
全くターゲット層の違う作品を併映すれば、客足が遠のくのも当然で、
特に大人のゴジラ映画ファンにとってハードルが高く、
当時大学生だった私も「ビデオ待てばいいか」と劇場鑑賞はスルーしました。
初の二本立てになった第25作『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』は
『ガメラ』平成三部作の金子修介監督が撮った影響もあってか、
「ミレニアム」シリーズ最高の出来で、その調子でシリーズを続けていれば
撤退に追い込まれずに済んだと思うのに、ハム太郎のバーターになり、
第26作、第27作がチビッコ向けにされ、さらにゴジラ映画ファンが離れ…。
それでシリーズ続行が困難になり、『ゴジラ FINAL WARS』が最終作になるが、
人気が低迷したハム太郎と併映されなかった最終作は
「ミレニアム」シリーズ最低の動員数を記録してしまいます。
最終作を謳っても集客できないなんて、東宝の戦略ミスにより、
いかにゴジラ映画ファンが離れてしまったか如実に現れていますね。

ゴジラ映画から撤退した東宝が再び動き出したのは、
ギャレス・エドワーズ監督のワーナー版『GODZILLA ゴジラ』が
世界5億3000万ドル(日本では32億円)の大ヒットを記録したためです。
ワーナー版はシリーズ化が決まり、2019年には第二弾が公開され、
更に2020年には、来年公開のリメイク版『キングコング』との
クロスオーバーが公開予定という世界的盛り上がりを見せています。
東宝はその盛り上がりに便乗し、日本のゴジラ映画を再開したわけです。
たしか「平成ゴジラ」が終了し「ミレニアム」シリーズが始まったのも、
ローランド・エメリッヒ監督のトライスター版『GODZILLA』が公開された時で、
ゴジラで便乗商法する東宝の浅ましさに虫唾が走ります。
便乗するために急拵えした作品の出来がいいはずありません。
それに東宝が見捨てたゴジラをワーナーが拾ってくれた時点で、
ゴジラはワーナーのものだと思うので、東宝が本家面して勝手に新作作るのは、
ワーナーに失礼だし、ハリウッドに敵う出来になるはずないんだから、
せっかく盛り上がるクロスオーバー「ゴジラ・コング」に水を差しかねないです。

『シン・ゴジラ』という、まるでワーナー版を偽者扱いするようなタイトルも不快。
この「シン」には、ワーナー版を偽者扱いする「真」という意味だけでなく、
「新」や「神」という意味も込められているそうです。
「新ゴジラ」はまだしも「神ゴジラ」なんて厨っぽくてキモいです。
ただ、この「シン」が「真」や「新」や「神」のトリプルミーニングである、
というのは建前で、本当は『シン・エヴァンゲリオン(略)』のオマージュです。
『シン・エヴァンゲリオン』は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』四部作の最終作で、
その庵野秀明監督が本作の総監督をしているんですよね。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』は社会現象にもなった大人気のアニメ映画で、
2012年公開の第3部から早4年が経つも、『シン・エヴァンゲリオン』は
庵野監督による製作の遅延による遅延で、依然いつ公開させるのかわからず、
待ち焦がれる多くのファンをヤキモキさせている状況です。
その待望の作品を連想させるタイトルを付けることで、
本作を『シン・エヴァンゲリオン』までの繋ぎのように使っているのです。
本作とエヴァのコラボグッツまで作ったりしていますが、
たぶん東宝はゴジラよりもエヴァの方が人気があると考え、
エヴァにゴジラをフックアップしてもらおうと考えているのでしょう。
ゴジラ映画ファンとしてはハム太郎のバーターの屈辱が蘇ります。
日本映画を代表する世界的映画スターだったはずのゴジラが、
なぜアニメごときの力を借りなければいけないのか、悲しくなります。
てか、庵野は本作のオファー受けてる暇があったら
さっさと『シン・エヴァンゲリオン』を完成させろよ…。

エヴァファン、というか庵野信者を動員しようとする東宝は、
結局ゴジラ人気を信用してないのは間違いないですが、
さらに動員数を増やすべく、無茶苦茶なことをしています。
総数328人という日本最大規模のキャスト数です。
まぁエキストラを含めないとは言っても、ほとんどは端役で、
名前を聞いてもピンとこない役者が大半だとは思いますが、
メインどころに長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、國村隼、柄本明、
高良健吾、大杉漣、余貴美子、平泉成、市川実日子、松尾諭など、
脇にはピエール瀧、KREVA、小出恵介、斎藤工、塚本晋也、前田敦子、
犬童一心、古田新太、などゴジラ映画史上最高の豪華キャストになっています。
本来ゴジラ映画は看板役者ゴジラの人気で客を呼んでいるので
キャストはそれほど豪華にする意味はありませんでしたが、
今の東宝はゴジラの集客力を疑い、脇を豪華に固めたわけです。
しかし、むしろキャストが豪華なのはゴジラ映画にとってはマイナスで、
失敗作『ゴジラ FINAL WARS』の敗因のひとつは、
ゴジラ以上に主演のジャニーズの活躍が目立ったことでした。
製作費が膨大な超大作のワーナー版になぜ大スターが出演していないのか、
それでもなぜ大ヒットしたのか、東宝はよく考えてみるべきです。

とにかくキャストを増やしてキャストのファンを動員しようとしていますが、
たしかに中には私の好きなキャストもいるし、釣られる客もいるだろうけど、
多すぎるアンサンブル・キャストは各キャストの比重(出番)を減らすだけで、
キャストに釣られた客は、贔屓の役者の活躍に不満を覚えるはず。
結果的に作品の評価を下げかねないと思います。
多すぎる登場人物を如何に統合し削って、客にわかりやすくするかというのも、
監督としての腕の見せ所だと思うのですけどね。
もちろん多すぎるキャストのせいで肝心のゴジラの出番も減るでしょうが、
東宝からしてみれば金の掛かる特撮が減って助かるのか。
極めつけは最後の最後に発表されたキャスト、野村萬斎です。
なんと今回のゴジラの中の人は彼らしいのです。
といっても今回のゴジラは着ぐるみではなく、ワーナー版と同様フルCGなので、
野村萬斎をモーションキャプチャーしているわけですが…。
「着ぐるみじゃないとゴジラじゃない」と言っていたハリウッド版ゴジラ否定派は
日本のゴジラもCGになってしまってどう思っているんでしょうね。
それはさておき、ゴジラ役を野村萬斎がすることがベストだとは思えません。
彼は一流の狂言師かもしれないが、一流のモーションアクターではないので、
彼以上にゴジラを演じられるモーションアクターはいるはず。
それを「実はゴジラは野村萬斎」という話題作りのためだけのキャスティングで、
いかに本作がキャスト重視で作られているかが窺えます。
まぁゴジラが野村萬斎だからって観ようと思う客がいるとは思えないけどね。

そして最もガッカリしたのがゴジラのデザインです。
原点回帰がコンセプトなどと嘯いてはいるが、
初代ゴジラを彷彿させるのはそのシルエットくらいのもので、
そのディテールは初代ゴジラに全く敬意を払わない独特なものです。
ケロイド状の赤い皮膚、耳まで割けた口、ビオランテのような乱杭歯、
異様なほど細い腕など、不気味で禍々しいデザインです。
まだほとんど恐竜なトライスター版ゴジラのデザインに比べると
既存のゴジラ像に幾分近いとは思いますが、ゴジラ史上最も不細工。
ワーナー版ゴジラは、不評だったトライスター版の反省を踏まえ、
初代ゴジラに敬意を払いながらも、さらにアメリカらしいマッスルなデザインで、
ゴジラ史上最高に強そうでかっこよかっただけに、その落差が酷すぎて、
初めて本作のゴジラの画像を見た時はショックで膝から崩れ落ち、
これが新しいゴジラなら復活してくれない方がマシだと思いました。
コンセプトデザインは庵野によるものらしいですが、彼は我を通すことだけで、
既存のゴジラファンがどう思うかなんて考えてないのでしょう。
独自性を出すことに必死で失敗したトライスター版と本質は同じで、
旧作に敬意を欠いた、唯我独尊なデザインです。
もし将来『エヴァンゲリオン』が他人の手で実写化されたとして、
そのエヴァがオリジナルに不敬な不細工なデザインにされたらどう思うか、
もう少し想像力を働かせてみるといいです。

いろいろ不満を挙げましたが、ここまでは本作を観る前に感じていたことで、
実際にここまでは本作を観る前に書いています。
観る前はネガティブな印象しかなかったものの、
それでも観に行ってしまうところがファンの弱みです。
(少しでもダメージを減らすため安く観れるファーストデイまで待ちましたが。)
不細工なゴジラ、必死な話題作り、アニメの人気頼み、安易な製作理由、
短すぎる製作期間と不安要素しかなく、駄作に違いないと確信していましたが、
それでも心のどこかではゴジラの復活を喜ぶ自分がいたし、
万が一にも傑作だったら儲けものだという淡い期待もありました。
観る前からこれ以上悪くなることはあり得ないほどのマイナスの印象だったので、
観終った時にきっと「思ったよりも悪くなかった」と思うに違いないと。

ところがいざ観てみると、最悪のはずだった印象を更に下回る悲惨な出来で…。
…いや、これが全く新しい怪獣映画であれば及第点をあげてもいいが、
これをゴジラ映画の最新作だとは言ってほしくない内容でした。
「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)。」というキャッチコピーが踊っていますが、
そのコピー通り、本作のコンセプトは「リアリティの追及」です。
「ゴジラがもし本当に存在したら」という空想科学的な内容で、
ゴジラ襲来を実際に起こり得る災害と想定し、東日本大震災の資料を参考に、
政府や自衛隊、国際社会がどう動くのかシミュレーションした作品だそうです。
そのコンセプト自体はとても興味深いと思うし、
序盤の展開だけであれば、もし本当に怪獣が東京に上陸したら
日本はこんな対応になるだろうなど納得させられるところは多々ありました。
ただ日本の動きはリアリティがあるのかもしれませんが、
肝心のゴジラに生物としてのリアリティが全くないのです。
ゴジラにもリアリティを持たせるなら、火も吐かず魚を食べる、
単なる大型水性爬虫類だったトライスター版のようになるはず。
結果、トライスター版は不評だったので、それに倣うのが正しいとは思わないが、
せめていつものゴジラ程度のリアリティは担保しておくべきでしょう。
本作のゴジラは史上最高にあり得ない設定になっています。
違うのは容姿だけではなく、出自も生態も既存のゴジラとは全く違い、
生態だけなら最もリアルなトライスター版の方がまだゴジラっぽいくらいです。
なのでゴジラがゴジラではない本作は「もしゴジラが東京に上陸したら」という
シミュレーションの体裁すら成立していないのです。
本作のゴジラは既存のゴジラどころか地球上のどの生物とも全く似つかない
独特すぎる生態で、これで「リアリティの追及」なんて聞いて呆れます。
以下、ネタバレ注意です。

ある日、東京湾から大量の水蒸気が噴出し、海底火山かと思われましたが、
海面から巨大な尻尾が現れ、巨大不明生物の仕業だと判明します。
なぜその尻尾を見て尻尾だと判断できたのか不思議です。
普通だったら巨大なワーム型の生物だと考えると思うのに、
まるでそんな尻尾の怪獣を見たことがあるかのような反応ですよね。
巨大不明生物は呑川を遡上し始め、蒲田でついに上陸。
ついに全貌が明らかになるが、ウナギのような顔で、出血するエラがあり、
腕はなく後ろ脚で這って進む、やや黄ばんだグロテスクな巨大生物で、
既存のゴジラとも、本作の宣伝画像で見た怪獣とも全く違う風貌で、
「本作には複数の怪獣が登場するのか」なんて一瞬思いましたが、
どうもそうではないらしく、この怪獣は言わばミニラだったのです。

どうも変態するらしく宣伝画像で見た怪獣は第四形態で、
このグロテスクなウナギのバケモノは第二形態とのことです。
変態する怪獣をゴジラとは認めたくないが、変態というよりも急激に進化か。
急に第二形態が出てきて「第一形態はどうした?」と思いましたが、
東京湾の海面に尻尾を出していたのが第一形態で、
本体は海中だったのでその全貌は不明ですが、どうやら魚類ぽいようで、
そこから両生類に進化し上陸したのがこのグロテスクな第二形態です。
太古の爬虫類の突然変異だった既存のゴジラとは全く違う出自です。

巨大不明生物は、みるみるうちに更に進化し二足歩行になります。
細っこい腕が生え、既存のゴジラに近いシルエットになりますが、
そもそも進化とは環境に適応してするものなので、腕が生えるのは変でしょ。
二足歩行の恐竜に細い腕があるのは四足歩行をしていた名残で、
四足歩行を経てないこの怪獣に腕があるのは生物学的におかしいです。
これが第三形態で陸上活動に特化し、爬虫類に進化したのかと思いきや、
少し街を破壊し、また京浜運河から東京湾に帰っていくので、まだ両生類かも。

再襲来に備え、巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)が設置されます。
この巨災対ですが各省庁や研究機関の変人ばかりを集めたチームで、
この危機的状況の打破をこんなオカルトオタクたちに任せるなんて…。
メンバーは揃いも揃ってサバン症候群的な演技でリアリティがないが、
本作のキャストは全体的に演技が不自然すぎます。
政治用語や科学用語が連発される難しい台本に気持ちが入らないのか、
或いは理解してないのか、ほとんど棒読み台詞で緊張感が全く伝わりません。
演技に全くリアリティがないのに、POVなどリアリティを求められる
ドキュメンタリー的演出も盛り込んでいるんだから苦笑です。
POVなんかは『クローバー・フィールド』の影響を受けているのでしょうが、
『ゴジラ』のオマージュ作品から本家がパクるなんて情けない話です。
棒読みのキャストはまだマシな方で、最もあり得ない演技だったのは、
石原さとみ演じる米国大統領特使です。
日系アメリカ人ですが台詞は日本語で、ルー大柴なみに英単語を織り交ぜ、
そこだけネイティブっぽい発音という冗談みたいな台詞回しです。
印象としては、まるで『エヴァンゲリオン』のアスカみたいな感じで、
さすがはアニメ監督、実写向けの演技指導が苦手なんだなと思いました。
台詞回しのあり得なさも酷いが最もあり得ないのはその設定です。
なんと彼女は将来の米国大統領候補なのだそうで…。
やっと初の女性大統領が誕生するかもしれないという現状なのに、
女性なのに加え、日系二世が大統領になるなんて現実味がなさすぎます。
しかも四十代で大統領になる予定らしく、「リアリティの追及」が笑わせます。
巨災対の変人たちもそうだが、リアリティがないのは怪獣だけにしとけと。

後の日系女性最年少米国大統領曰く、巨大不明生物の襲来を
数年前に予言した行方不明の生物学者がいるそうで、
その学者は巨大不明生物のことを、故郷の大戸島の神「呉爾羅」から取り、
英語で「GODZILLA」と称し、日本もそれに倣い「ゴジラ」と呼称することに。
私はこの怪獣をゴジラと呼称することに抵抗があるので、単に怪獣と呼びます。
学者の遺した資料によれば、60年前に海に投棄された大量の放射性廃棄物を
太古から生き残った海洋生物が食べ、怪獣になったそうです。
なぜ初めて怪獣が出現する数年前にそんな詳細がわかるのか謎ですが、
「リアリティの追及」とは名ばかりで、その経緯などの説明は放棄です。
とにかくこの怪獣は絶えず放射性物質を発しているそうで、
物理的な破壊以上に放射能汚染が問題になります。
怪獣の食べ物が放射性廃棄物なら原発が狙われる可能性もあります。

相模湾から巨大不明生物が現れ、鎌倉から上陸し都心を目指します。
第四形態となり、約二倍に巨大化し、かなりパワーアップしているようです。
この出現シーンではあの名曲「ゴジラのテーマ」が流されますが、
正直ゴジラとは認めない怪獣の登場にこの曲は使わないでほしいけど、
やっぱりファンとしては昂揚感を否めません。
巨災対の活動開始のシーンで『エヴァンゲリオン』のBGMを流用していたのは
「いい加減にしろよ庵野!」と憤ったものですが…。
自衛隊が防衛出動し、多摩川付近に布陣し、戦闘ヘリや戦車で怪獣を総攻撃。
あまり効果は認められませんでしたが、多少の足止めには成功し、
戦闘機による空爆により、怪獣の進路を僅かに変えられます。
都心への直進は避けられたが、そのせいで怪獣の進路になった
目黒区の住民にとってはいい迷惑ですよね。(結局目黒経由で都心に行くし。)
日本は日米安保条約に基づく怪獣駆除協力を在日米軍に要請します。
米軍の空爆は広範囲に及ぶため、都民を地下に避難させます。
そして米軍による地中貫通型爆弾での空爆が始まり、さすがの怪獣も怯みます。
日本政府は「やっぱり米軍はすごいな」と感心しますが、
都民を地下に避難させたのに地中貫通型爆弾使用を許可したらダメだろ…。

米軍の猛攻にブチ切れた怪獣は火炎放射を吐き、街を火の海に。
更に熱線を発し、爆撃機や高層ビルを薙ぎ払います。
火炎放射を出せるのはゴジラっぽくていいと思いますが、
この怪獣は既存のゴジラと違って、背ビレや尾先からも熱線を出せ…。
ここまでするとゴジラっぽくなく、何でもアリかって感じです。
怪獣は暴れるだけ暴れて、なぜか東京駅構内線路上で活動停止します。
どうもエネルギー切れで充電期間に入ったものと思われますが、
停止中も接近する戦闘機を自動的に撃墜する熱線が背ビレから出るため
動かないからといって迂闊に攻撃することができません。
フェイズドアレイレーダーを搭載しているなんて生物というよりロボです。

アメリカ政府は怪獣を国連の監督下に置くことを決め、
多国籍軍による熱核兵器による駆除を決定し、日本政府に容認させます。
日本はアメリカの言いなりなので容認するしかないという論調ですが、
いやいや、さすがに核兵器による本土攻撃は容認するはずないでしょ。
怪獣が覚醒してしまったのも米軍の攻撃のせいなんだし、
核攻撃するにしても怪獣が日本から離岸したところを狙えばいいはず。
わざわざ東京のど真ん中に核弾頭を落とす必要はないです。
アメリカ曰く、15日後に怪獣が活動再開するらしく、
それを核攻撃開始の期限とし、それまでに住民を疎開させろと要求します。
なぜアメリカに、初めて出現した怪獣の正確な充電期間がわかるのか…。
それに放射性廃棄物から生まれたバケモノだと推察されているのに、
核なんて使えばさらに事態が悪化するとは考えないのか。
巨災対は東京が核攻撃されるのを未然に防ぐため、
15日間の間に核以外の駆除方法を見つけることになります。
結局、目的が怪獣の駆除ではなく核攻撃の回避になるわけで、
どんな怪獣よりも人間の業が最も怖いという、よくある展開ですね。

巨災対は物の食べるのに適さない怪獣の乱杭歯を見て、
核廃棄物はもちろん、何も食べないんじゃないかと考え、
水と空気があれば生きていける完全生物だとわかるのです。
トライスター版は魚を食べるという設定が嘲笑されましたが、
怪獣が何を食べいるのかは、リアリティを追及する上で必要不可欠な設定で、
本作では何も食べないでも大丈夫ということをちゃんと説明しています。
どうやら体内に原子炉のような器官があり、核分裂を行うことで
自らエネルギーを作り出しているみたいです。
体内に炉がある設定自体は平成ゴジラに近く、ありかなと思いますが、
完全に自給自足できるため核燃料を必要としないという設定になってしまうと、
原発を襲う必要もなくなるので、怪獣が上陸する動機がなくなってしまいます。
てっきり東京を経由し福島を目指しているのだろうと思ったのに…。
リアリティを追求するなら怪獣が東京に現れた必然性は必要だと思うが…。

体内に炉があるため、体温が高温になりすぎるのを防ぐため、
海中で生活していますが、陸上にいる間は血液流の循環で冷却しています。
その血液循環を止めてしまえば自滅すると考えた巨災対は
初上陸時に怪獣が垂れ流していた血液を採取して研究し凝固剤を開発します。
血液が凝固したら冷却云々以前に血流障害で死ぬだろ、とは思うものの、
血液を凝固させて倒すというアイディアはなかなか面白いと思います。
ところが初めこそ血液を凝固させるための薬品の開発だったはずが、
いつの間にか凍結させるための薬品にすり替わってしまいます。
結論から言えば、この薬品を投与された怪獣はコチコチに凍って死にますが、
当初の論調では、体温の調整が出来なくなって高温で焼け死ぬはずです。
追記:この件について、反論コメントが沢山ありました。
なんでもメルトダウンしないように怪獣自らスクラム停止したため凍ったそうです。
怪獣が焼死したくないから自殺したってことで、全く納得できませんが。

凝固剤(凍結剤?)の開発は困難を極めるも、例の学者が遺した資料を
日独のスパコンで解析して見つかった、未知の極限環境微生物を使うことで
ついに完成させるのですが、それって結局は未知の薬品ですよね。
シミュレーションを謳うなら現実に存在する物を駆使して怪獣を倒さないと…。
結局あり得ないものをあり得ないもので倒すだけの話になり、
「現実対虚構。」ではなく「虚構対虚構。」になりキャッチコピーは偽りになります。
それに単純にそんな決着では納得できるはずないし、面白くないでしょ。

アメリカ主導の国連軍による核攻撃が間近に迫るも、
凝固剤の開発が僅かに間に合わず、あと1日核攻撃を待ってもらうため、
日本はフランスに根回しして、核攻撃一日延期の同意を取り付けます。
なんだか本作から、そこはかとないアメリカへの敵意が垣間見えます。
「彼の国はいつも強引だ」みたいな論調が全体に蔓延しています。
曲がりなりにもゴジラが復活できたのはアメリカのお蔭なので、
大恩あるアメリカを揶揄するなんて不愉快極まりないです。
脚本を手掛けた庵野が単純に極右でアメリカ嫌いなのかもしれないが、
たぶんワーナー版へのコンプレックスや嫉妬の表れでしょうね。
「アメリカは極東のことだと思って無責任だ」という感じの台詞がありますが、
核攻撃には日本から近い中国、ロシアも大賛成してるんですよね。
本作はアメリカと共に中ロも批判しているわけですが、
海外興収にも影響するし、わざわざ外国を叩く必要はないんじゃないかと…。
(まぁそもそも輸出したら恥をかくので国内だけで消費してほしいけど…。)
一方でドイツやフランスのことは日本の協力者として持ち上げていますが、
その線引きは何なのでしょうね。
あと怪獣襲来に乗じて対馬沖で不穏な動きがあるとも言及されていますが、
これはあの隣国を揶揄しているのは間違いなく、それは面白かったです。

結局、フランスの働きかけで核攻撃は一日待ってもらえることになり、
巨災対が考案した怪獣に凝固剤を投与する作戦が実行され、
それに米軍も協力してくれ、日米合同作戦となります。
やはり海外での展開を考えて、最後にアメリカにも華を持たせたのでしょう。
それにしても、この作戦名を聞いて愕然としました。
「ゴジラ凍結作戦」では子供っぽいと付けられたのが「ヤシオリ作戦」…。
出雲神話でヤマタノオロチを眠らせた時に使われた「八塩折の酒」が由来の
厨二病っぽいネーミングで、これなら子供っぽい方がマシだと思いましたが、
実際の由来は言わずもがな『エヴァンゲリオン』の「ヤシマ作戦」のモジリです。
前述の「ヤシマ作戦」のBGMの使用も含め、日本の至宝であるゴジラ映画に
テメェの別作品のパロディをブッ込むのもいい加減にしとけ、と。
そんなに『エヴァンゲリオン』に未練があるなら、こんなところにいないで
さっさと『シン・エヴァンゲリオン』に取り掛かればいいのに…。
別にパロディのつもりはなく、単にワンパターンなだけかもしれませんが。

お馴染みの「自衛隊マーチ」が流れる中、ヤシオリ作戦が始まります。
せっかく休眠しているから、こっそり近づいて凝固剤を投与すればいいのに、
やざわざ爆弾を積んだ新幹線を足元に突撃させ、覚醒させます。
それもたまたま怪獣が東京駅で停止したから偶然できた作戦です。
目覚めた怪獣に向けて、米軍がドローンからミサイルを発射させます。
当然怪獣のフェイズドアレイレーダーが作動し、背ビレから無数の熱線を発し、
大量のドローンやミサイルを悉く撃墜するのです。
これは休眠で回復した怪獣のエネルギーを再び消耗させる陽動ですが、
それならドローンなんて高価な兵器を米軍に投入してもらわなくても、
地対空ミサイルを飛ばしまくればいいだけな気がしますが…。
消耗した怪獣に爆破解体した周囲の高層ビルの下敷きにし転倒させ、
クレーン車など特殊建機を使って倒れた怪獣の口に凝固剤を流し込みます。
このシーンにはさすがに我が目を疑いました。
食べ物を必要とせず、口から何も摂取しない怪獣に内服薬を用いるなんて…。
この怪獣の口は単なる砲台で、消化器官もないと考えるのが妥当なのに。
もし怪獣に消化器官があり、口から摂取できるとしても、
血液凝固剤は血管に直接注入しないと意味ないはずです。
まぁ前述のように、この時点では既に血液凝固剤という設定は忘れ去られ、
凍結剤にすり替わっているのですけどね。

怪獣は注入完遂前に置き上がるも、凍結剤の効果は認められ動きが鈍く…。
そこに大量の爆弾搭載した在来線を何本も突撃させることで、
再び転倒させ、再び特殊建機で口から凍結剤を流し込み切ります。
怪獣は再び立ち上がるが、次の瞬間、カッチカチに凍り付くのです。
怪獣を倒してヤシオリ作戦は大成功になります。
「完全に沈黙しました」という台詞が『エヴァ』っぽくてイラッとしました。
どうでもいいけど「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)。」というコピーなら、
日米合同ではなく日本の独力で怪獣と戦って倒すべきでは?
ここまでコンセプトがぶれまくる作品もなかなか珍しいですね。

怪獣が保持していたご都合主義的な新元素のお蔭で、
除染は簡単に出来るそうで、復興にも目途が立ち、めでたしめでたしです。
しかし「これから人類はゴジラと共存していく」云々の台詞があり、
この凍結した怪獣は完全に死んだわけではないのかもしれません。
または他にも別の個体がいることを示唆しているのかも。
凍結した怪獣の尾先をよく見ると、小さなヒューマノイドのような物体の
集合体のようになっていますが、この怪獣は無生殖による個体増殖が可能で、
たぶん放っておいたら小さく分裂し、翼が生えて世界中に飛翔し、
新しい巨大不明生物に急速進化することになるみたいなので、
この怪獣はすでに分裂したうちの一頭だったかもしれず、
別個体が他に存在する可能性は否めませんからね。
なぜ怪獣を初めてみた人間が、その繁殖方法を完璧に見極め、
いずれ有翼化するなんて断言できるのかは、全く理解できませんけどね。

怒りに任せて長々とボロカスに書いてきましたが、
ひとつよかったことは、極限まで大風呂敷を広げた荒唐無稽な設定のお蔭で、
本作がどんなにヒットしたとしても続編の製作が不可能になったことです。
単発で終わったので、ゴジラ映画にまた一本駄作が増えただけ。
ワーナーの「ゴジラ・コング」シリーズで世界的なゴジラブームが続く限り、
日本のゴジラ映画も便乗してまだまだ製作されると思いますが、
次のゴジラは本作とは全く関係ない作品としてリブートされるはずです。
奇しくも劇中で「日本は覇道より王道を選ぶべきだ」という台詞があったけど、
願わくば次こそ王道のゴジラ映画になることを期待します。
本作の怪獣は覇道というよりも邪道ですけどね。

本作はエヴァファンや庵野信者に絶賛される懸念があります。
そうなれば今後も庵野がゴジラ映画に絡んでくる可能性が否めません。
アメリカでワーナー版ゴジラがキングコングと戦うのに便乗して、
日本でもゴジラがエヴァと戦うクロスオーバーが実現しそうな気が…。
グッツの売り上げは観客動員並みに重視される人気のバロメーターですが、
本作のゴジラモドキは不細工すぎるので単独グッツも売れないだろうけど、
エヴァとのコラボグッツはアニオタが買い漁るだろうし、
『シン・エヴァンゲリオン対シン・ゴジラ』が現実味を帯びますね。
まぁ本作のワンパターンさを観てもわかるように庵野の才能は枯渇したので、
『シン・エヴァンゲリオン』は不評を買うのもわかり切っているし、
クロスオーバーが実現する前にエヴァがオワコン化してるかな。

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