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天国からの奇跡

今日、ちょっと用事があって神戸の方に行ったのですが、
JR元町駅の前あたりで、元SPEEDの今井絵理子が街頭演説していました。
知らなかったけど、どうやら参院選の比例区で出馬するみたいですね。
SPEEDはあまり好きじゃないし、タレント議員は応援する気になりませんが、
信号待ちでなんとなく演説を聞いていると、
なんでも彼女の子どもは先天性の聴覚障害を患っているらしいですね。
それもあってか演説も手話を交えながら行っていて、
その辺の落ち目で就職先として政界を目指すタレント議員よりは、
障害者支援など真面目に政治に取り組みそうな気がします。
まぁそうだとしても比例区にタレントを利用するのは卑怯だと思うので、
私が比例区の投票用紙に彼女の名前を書くことは絶対にあり得ませんが。

ということで、今日は難病の子供を持つ母親の物語の感想です。

天国からの奇跡
Miracles from Heaven

2016年6月18日日本公開。

前述のように、神戸に用事があったので、そのついでに観た本作。
本当は『トリプル9 裏切りのコード』があればいいなと思っていたのですが、
神戸では上映しておらず、第二候補の本作をシネ・リーブル神戸で観ました。
映画館の近くに行く機会がなければ、観る予定ではなかった作品なので、
当然それほど期待していたわけでもありませんでしたが、
飛び込みで観た割にはアタリだったと思います。
クリスチャン映画なので、非クリスチャンの私には楽しめないかと思ったけど、
仮にも全米ボックスオフィス初登場3位になるだけあって、
宗教臭さを前面に出し過ぎないように作られている気がします。
それでも終盤はかなり臭いましたが、この程度なら許容範囲です。
むしろクリスチャン映画ならもっと宗教臭を漂わせないと布教効果がないのにと
お節介な心配をしてしまうくらいでした。
実話を基にした奇跡的な物語ですが、この程度では私も改宗できませんね。
あ、私は無宗教なので改宗じゃなくて入信か。
以下、ネタバレ注意です。

テキサスに住む敬虔なクリスチャン、夫ケヴィンと妻クリスティには
13歳の長女アビー、10歳の次女アナ、6歳の三女アデリンの三人の娘がいます。
夫ケヴィンは全財産を叩いて動物病院を開業したばかりで、
生活は苦しいですが仲良く幸せに暮らしていました。
ところがある日、次女アナが嘔吐を繰り返し、お腹がパンパンに膨張。
食中毒を疑い、病院に駆け込みますが特に異常はないと診断され…。
そんなはずはないと消化器の専門医にセカンドオピニンオンすると、
乳糖不耐症(牛乳アレルギーぽい病気)と診断されます。
それなら家族で乳製品を絶てば問題ないと安心した夫妻でしたが、
ある夜、アナが強烈な腹痛に見舞われて、フォートワース病院に緊急搬送。
しかし当直医から流動性食道炎だと全く見当ハズレな診断を受け、
夫妻はまともな医師を出せと要求し、小児科医のブルギ先生に診察してもらい、
命に係わる重度の腸閉塞だと診断され、緊急オペを受けます。
腸閉塞なんてすぐにわかりそうなものですが、セカンドオピニオンどころか
サード、フォースとオピニオンを重ねないとわからないとはヤブ医者だらけです。
というか、父ケヴィンも獣医師なんだから、人間は専門外とはいえ同じ医師。
ある程度予測できそうな気がするのですが…。

緊急オペの結果、食べ物を消化できない機能性胃腸障害だと判明。
ブルギ先生の手にあまる難病で、小児消化器系のエキスパートで、
ボストン病院に勤めるヌルコ先生を紹介してくれることになるのですが、
ヌルコ先生は凄腕なので多忙を極め、診察を受けるには順番待ちで、
ブルギ先生も「ヌルコ先生の患者が死ぬのを待つしかない」と…。
自分の子のために他人の子が早く死ぬように神に祈れということですね。
というか、それって裏を返せばヌルコ先生の患者はだいたい死ぬってことで、
あまり凄腕とは言えない気が…。(まぁ患者も難病ばかりだろうけど。)
クリスティはアナからも「神様に治せないの?」と問われて返答に困ります。
さらに「娘さんの病気は家族の誰かが罪を犯したから」と
日曜礼拝に来たクリスチャンから酷いことを言われ、信仰に疑問を持ちます。
クリスチャン映画なのにこんな下衆なクリスチャンを登場させて大丈夫なの?
まぁこんな独善的なところもクリスチャンの一面ではありますよね。
神父(牧師?)からも「隣人は選べないから愛するしかない」と助言されますが、
こんな下衆を愛さないといけないような信仰なんて願い下げですね。

順番待ちに痺れを切らしたクリスティはアポなしでボストン病院に行きます。
そして受付嬢に「テキサスから来た」と泣き落としで割り込みを懇願しますが、
受付嬢からも「無理してこの仕事を失うわけにはいかない」と泣き落され…。
クリスティの親心は痛いほどわかるけど、割り込みは許されませんよね。
落胆してボストンのダイナーで食事するクリスティとアナでしたが、
その様子を見かねた親切なウエイトレスのアンジェラが、
2人をボストン観光に連れ出してくれるのです。
美術館でモネの『睡蓮の池に映る雲』を見てアナが感動していると、
(アナはフランスが大好きだからフランスの画家モネも好きなんでしょうね。)
病院から電話があり「明朝に空きが出て予約が取れた」と…。
どうも受付嬢が直接ヌルコ先生に掛け合ってくれたみたいです。
アンジェラもだけどボストンの黒人女性は親切ですね。
彼女たちがクリスチャンだという描写もないので素直に受け取れます。

ヌルコ先生は世界的権威なのでどんな偉そうな医者かと思ったら、
エルモのネクタイをした優しくて楽しいフレンドリーなメキシコ人でした。
腕もさることながらこの人柄も彼の人気の秘訣でしょうね。
ヌルコ先生から偽性腸閉塞症と診断されますが、これには治療法がなく、
凄腕の彼でも消化を促す薬を処方するのが精一杯でした。
どうも脳からの「消化しろ」という命令が伝達されない病気みたいです。
胃腸障害というよりも脳障害なのかもしれませんね。
更に副作用の強い薬なので6週間ごとに経過を診たいと言われます。
アメリカの南端テキサスから北東ボストンまで通うことになりますが、
交通費だけで1000ドル、保険料も2000ドルアップするみたいで、
全財産はたき動物病院開業したばかりの家族には厳しすぎる負担です。
そのせいで夫婦仲もギクシャクし始めます。
試練か何か知らないが、そんなことをされたら神を恨みたくもなるね。

再診のためボストン病院に行くとヌルコ先生から、
薬の効果が薄いので再検査のために入院するように言われます。
病室でアナは同室の癌患者の女の子ヘイリーと仲良くなり、
死を怖がる彼女に「神様はいつも一緒よ」と十字架のネックレスをあげます。
ヘイリーは喜び、何か安心感を得たみたいです。
私も普段は宗教なんて必要ないと思ってますが、ターミナルケアに至っては
宗教も患者の苦痛を緩和・軽減するのに役立っている気がします。
ところがヘイリーの父ベンは、アナの母クリスティに対して、
「娘に宗教的な話しないで。無駄な期待させたくない」と苦情を申し入れます。
その親心もわかる気がしますね。
彼はボストンタイムズの記者なのでリアリストだろうし。

入院中ずっと痛みが続くアナは「死にたい、天国に行きたい」と言い出します。
病人には宗教が必要と思ったけど、下手に天国が素晴らしい所と信じてしまうと、
生きる希望を失ってしまうのは考え物かもしれません。
ヘイリーも退院し、父や姉妹にも会えないアナはイライラし、母ともギクシャク。
なんとそこに父と姉妹がサプライズお見舞いに来るのです。
3人が金もないのにテキサスまでどうやって来たのかのかといえば、
借金でクレジットカードが全て使用不可能になり航空券が買えなかったけど、
事情を察した親切な空港職員が手書きのチケットを発行してくれたのでした。
なんて粋な職員さんでしょうか。
家族と会ってアナは明るさを取り戻し、ついに退院することになります。
が、再検査で治療できたわけではなく、実質匙を投げられての退院です。
とはいえ悔しそうに見送るヌルコ先生は精一杯やってくれたと思います。

テキサスの自宅に帰ったアナは姉アビーから木登り遊びに誘われます。
アナが乳糖不耐症と診断された時は真っ先に自分も乳製品断ちを決意したり、
妹想いのアビーですが、なぜ難病の妹に木登りなんて無茶ぶりを…。
2人は庭の大木で木登りしますが、案の定アナは落っこちてしまうのです。
しかも地面にではなく、木の洞(きのうろ)の深くに落ち込みます。
レスキュー隊が救助に来ますが、テレビ局も取材に来るほどの大救出劇に。
はしご車で吊り上げて救出、意識はないが呼吸はあり、すぐ搬送されます。
致命傷必至の状況でしたが、なんとアナは無傷で脳震盪のみと診断されます。
しかもどういうわけか偽性腸閉塞症も完治し、2日後には元気に走り回ります。
ヌルコ先生も「医学では説明できない自然寛解だ」と驚きますが、
その前に「頭打って中枢神経が再起動した」と医学的に説明してます。
偽性腸閉塞症は脳の疾患ぽいので、その説が正しい気がします。

しかし本作はクリスチャン映画です。
アナの回復を宗教と相反する医学なんかで説明できるものではなく、
神の御業であるという展開にするのは当然です。
クリスティがアナに話を聞くと、彼女は木の洞に落ちた時に幽体離脱し、
蝶々に連れられて天国まで行って神様に会い、「戻りなさい」と言われたと。
「病気だから戻りたくない、天国にいたい」という彼女に神様は、
「戻ったら全て治っている」と言ったそうで、それが現実になったわけです。
クリスティは「奇跡だわ」と、神を再び信じるようになるのです。
このアナの夢が本当なら、天国と神様の存在に信憑性がありますが、
どうもこの夢の話はフィクションっぽいです。
クリスティは「他の人の反応が心配」とアナに口止めしているので、
本作の原作を書いた実際のクリスティの創作だろうと思われます。

クリスティは日曜礼拝でアナの病気が治った奇跡について演説します。
(もちろんそこではアナの夢の話はしません。)
クリスティは、祈っても応えがないことに怒り、神様を疑ったこともあったが、
数々の出会いの奇跡を経験して改心、奇跡は神様の御業だ、と語ります。
親切なウェイトレス、親切な受付嬢、親身なヌルコ先生、親切な空港職員など、
彼らとの出会いは奇跡であり、それは神様のお蔭だと言いたいみたいですが、
たしかに親切な彼らとの出会いは奇跡だというのは同意するけど、
それが神様のお蔭で片付けられるのは釈然としませんね。
彼らが親切なのは神様がそうしているからではなく、彼らがもともと善人で、
アナや家族のために力になりたいと思ったからです。
それを彼らのお蔭ではなく神様のお蔭にするのは彼らに失礼ですよ。
彼らがクリスチャンかどうかもわからないのに…。
それにそもそもアナは自然寛解したわけだから、その奇跡の出会いの数々は、
アナの病気を治すことに何も貢献してないですしね。

その演説が終わった時に、例の下衆なクリスチャンが、
「本当に難病だったのか、俄かには信じがたい」と野次を飛ばします。
私も彼女の演説には一部異論もあるけど、こいつの空気の読めなさこそ奇跡。
ところが教会にいたある男が「私は彼女を信じる」と声を上げます。
なんとその男はアナと同室だった女の子ヘイリーの父ベンでした。
もちろん彼はアナが本当に難病だったことは知っています。
ヘイリーは最近亡くなりましたが、アナに十字架のネックレスを貰ったことで、
最後の数週間は安心して穏やかに逝ったそうで、お礼を言いに来たのです。
ベンの話を聞いて、聴衆はクリスティとアナに拍手喝采します。
ついでに下衆なクリスチャンをつまみ出してほしかったけど、
これにてめでたしめでたし、です。

もし天国があると仮定した場合、私はヘイリーが亡くなったという話を聞いて、
アナを天国から連れ戻し、奇跡を起こしてくれたのは神様なんかではなく、
亡くなった親友ヘイリーだったんじゃないかな、と思いました。
たぶんクリスチャン以外の人はそう考えるんじゃないかと思うんですよね。
その方がドラマチックだし感動できる気がするので。
なんでも神様のお蔭で片付けるのは、ある意味「デウス・エクス・マキナ」。
好ましくない演出で物語をチープで面白くないものにしてしまいますが、
それがクリスチャン映画の限界であり宿命なのかもね。

本作と先月公開の『復活』、来月公開の『祈りのちから』は、
クリスチャン映画3作連続公開実行委員会による企画だそうです。
『復活』も観たし、どうせだから『祈りのちから』も観ようかな?
全米ボックスオフィス1位で、3作中最もヒットした作品だし、
本作もそこそこ楽しめたから、それ以上に楽しめるかも?

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