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二重生活

アカデミー賞主催者が683人の新たな会員候補を発表しました。
彼らが受諾した場合、アカデミー賞の投票権が与えられるそうです。
前年度に比べ、2倍以上の候補者を協会に招待しているそうですが、
以前から白人に偏っていると問題視されていた会員の構成を見直すためだとか。
ここ2年連続で俳優部門候補が全員白人で、主に黒人から批判の声があがり、
2020年までに非白人の会員数を現在の2倍にすると発表していました。
アメリカの人種構成は白人が7割以上なので、白人が有利なのは当然ですが、
現在の会員は92%が白人だそうで、それはたしかに占めすぎな気もするかな。
ただ今回の候補者全員が承諾しても白人率89%になるだけらしく、
状況はそれほど大きく変わらない気もします。
まぁ目標の非白人率2倍に達しても白人率86%だし、もともと変える気ないか。

北野武などを含む日本人10名以上も会員候補に招待したそうですが、
是枝裕和、仲代達矢、原一男、梅林茂、西村義明、米林宏昌、山村浩二、
堤大介、赤塚佳仁、種田陽平、黒沢清監督、河瀬直美など、微妙な人選です。
アカデミー賞はハリウッド映画の祭典なんだから、
ハリウッドで活躍する映画関係者を選ばないと意味ない気がします。
オスカー候補が全員白人でも文句を言う日本人はいないんだし、
会員候補の日本人枠(?)も全て黒人にあげたらいいのに。
まぁ投票するには候補作を全部観る必要があり、
暇じゃないと無理なので、北野武なんかは受諾しないでしょう。

さて、今日は日本映画の感想です。

二重生活
二重生活

2016年6月25日公開。

劇場で予告編を観た時に面白そうだとは思いながらも、
日本映画なので鑑賞優先順位が低かった本作ですが、
彼女に誘われたので一緒に観に行きました。
直木賞作家・小池真理子の原作も知らないし、監督も知らないし、
好きな俳優が出ているわけでもないので、(あえて挙げれば宇野祥平。)
期待はしてませんでしたが、いざ観てみたらなかなか面白かったです

大学院の哲学科に通う白石珠は修士論文の題材として、担当教授の勧めで、
ひとりの対象を追いかけて行動を記録する「理由なき尾行」を実践することに。
最初は尾行という行為に戸惑いを感じる珠でしたが、
たまたま近所に住む出版社部長・石坂の姿を目にし、彼を尾行することに。
そして完璧なセレブだった石坂の秘密を知ってしまうことに…、という話です。
殺人とか誘拐とか、事件的な秘密を期待してしまいましたが、
石坂の秘密は不倫というあまりにもありきたりなもので少し残念。
まぁヒロイン役に門脇麦を起用している時点でエロ展開は予想できるか。
冒頭から彼女と菅田将暉の濡れ場だし。
以下、ネタバレ注意です。

主人公の女子大学院生・珠が理由なき尾行をする物語ですが、
尾行は対象に気付かれてはダメなので、ただでさえドキドキけど、
珠はとにかく尾行が下手なので、更にハラハラさせられます。
本屋で『探偵入門』を手に取った時に対象となる石坂の姿が目に入り、
なんとなく彼を尾行したのが始まりでしたが、初めての尾行とはいえ
下手すぎるのでちゃんと『探偵入門』読んでから尾行するべきでしたね。
危なっかしくてハラハラドキドキできるのはいいのだけど、
あり得ないほど不自然な尾行なのに、石坂には全く気付かれず、
これはいくらなんでも現実味がないだろうと感じてしまいます。
人通りのない道を近接して歩いていても気付かないし、
店でも視界に入る席に座っているのに気付かないなんて、
「本当は気付いてるのに何かの目的で見て見ぬふりしてるのか?」と思うほど。
ハラハラする尾行を演出するにしても、もう少し自然に出来ないものか…。
大家さんのゴミ捨て場の監視カメラ映像も全く活かされないし、
初監督作品らしいので、まだまだ演出が下手なのかも。

尾行する珠は石坂の不倫現場を目撃するのですが、
不倫相手と逢瀬する時なんて特に警戒しそうなものだけど、
石坂には警戒心というものが全く無いのか、
ビルの隙間でキスする時も周りを気にする素振りもありません。
それどころかそのビルの隙間でそのままセックスするのです。
20代のバカップルなら若気の至りで青姦しそうなものだけど、
社会的地位もあるアラフォーの大人がビルの隙間でするか?
せめてバーのトイレとかならまだわかるけど…。
しかも不倫相手もそこそこ著名なデザイナーらしくて、
そんなセレブ同士の不倫で青姦はさすがにあり得ません。
人通りは少ないとはいえ道路からは丸見えで、
珠も何回も往復してチラ見しまくるのですが、それにも気付かず…。
青姦中くらい警戒しろと思いましたが、ここまであり得ないと逆に笑えます。
あと石坂がこんなエロいだけの中年女と不倫する理由がわかりません。
奥さんの方が若くて綺麗だった気がするんですけど、枕営業か?

石坂は金持ちですが、金持ちを尾行するのは金銭的にも大変です。
移動にはすぐタクシー使うから、こちらもタクシーで追わなきゃいけないし、
ディナーも高級レストランなので、こちらも入店し何か注文しなきゃならず、
修士論文のためとはいえ、大学院生の珠には辛い出費です。
理由なき尾行は理由がないので誰でもいいわけだから、
もっと金かからなそうな対象を選べばいいのにね。
まぁ本当に無作為にチョイスして尾行しても、そんなに面白いことはないし、
たまたまチョイスした石坂が不倫相手と青姦するような変人だから
珠も尾行にのめり込んでしまったのでしょうが…。

珠はゲームデザイナーの恋人と同棲中ですが、なぜか彼に尾行の話はせず、
尾行に出掛ける時はわざわざ嘘を付いて家を出るのです。
まぁ「理由はないけど隣人を尾行してる」なんて言ったら男も引くでしょうが、
修士論文の研究のためと説明したら理解してくれそうなのに。
彼も美少女ゲームのデザイナーなので普通なら引かれそうなものだし、
変わり者はお互い様じゃないかな。
彼は嘘を付いて出掛ける珠を不審に思って尾行するようになります。
理由のある二重尾行ですね。

ある夜、珠が石坂と不倫相手のデートを尾行中していると、
石坂の妻子が現れ修羅場になり、後日、妻は自宅で自殺未遂し、
珠は妻が搬送されるところを野次馬根性で見に行くのですが、
そこでついに石坂に見つかってしまいます。
石坂は珠が妻に頼まれて尾行していたと疑い、彼女を問い詰めます。
妻は「携帯のGPSで見つけた」と言ってたんですけどね。
珠は席を設けて事情を説明し、「論文に使わせてほしい」と懇願しますが、
石坂は頑なに拒否します。
石坂にしてみたら拒否して当然だけど、別に名前を出すわけでもなし、
勝手に論文にしても問題ないし、石坂に拒否する権利もない気がします。
恋愛感情がなく探偵の尾行と同じでストーカー規制法でも取り締まれないし。

論文に出来ないと困る珠(泥酔)は石坂に色仕掛けで懇願。
石坂もその気になり珠をラブホテルに連れ込むのですが、
不倫するような下衆野郎とはいえ、妻が自殺未遂したばかりなのに、
また浮気しようとするなんて、ちょっと常識では考えられないですね。
しかしベッドに押し倒し行為におよぼうとした矢先、
石坂の携帯に娘から「早く帰って来て」とメールがあり、正気に戻ります。
そして石坂は「書きたければ書けばいい」と論文を許可するのです。
2人がホテルから出たところを二重尾行していた彼氏が目撃し、
珠はフラれ、彼氏は部屋から出て行きます。
セックスはしてないから浮気と言えるかどうかは微妙だけど、
Bまでやっちゃってるからやっぱりアウトか。

珠は論文完成のために対象を変えて理由なき尾行を続けますが、
なんと今度の相手は理由なき尾行を薦めた担当教授です。
まぁ彼ならもし見つかっても石坂の時みたいに揉めずに済みますもんね。
というか教授も尾行されていることを気付いているみたいなので、
それでは尾行していると言えるかどうか微妙なところです。

教授にも秘密があり、珠が教授の奥さんだと思っていた女性は、
なんと奥さん役のために雇われた小劇場の舞台女優だったのです。
独身だった教授は癌で余命僅かな老いた母を安心させるため、
雇った女優を妻として紹介していたのですが、母が他界し、
女優との契約も切れ、ひとりになった教授は自殺をはかります。
しかし珠に発見されて未遂で終わり、その後その女優と結婚したっぽいです。
教授の態度が余所余所しいので、妻が本物じゃないことは予想できました。
夫婦のふりをしているうちに双方とも恋愛感情が芽生えたっぽいですが、
そもそもこの二人がなぜいい歳まで独身だったのか不思議でした。
なぜ教授が自殺をはかったのかもイマイチ理解できませんが、
哲学者は自殺しがちなイメージがありますよね。
他人のことなんて理解できないんだから自分で考えるしかないというのも
本作のテーマのひとつなので、自殺理由は観客の想像にお任せって感じか。

とにかく教授も助かり、珠の論文も完成してめでたしめでたしです。
いや、珠は恋人からフラれてしまったし、あまりハッピーエンドではないか。
なにより石坂が妻とヨリを戻して、幸せそうに暮らしているのが気に入りません。
三下り半を突き付けられるとか何か制裁がほしかったです。
あと結局理由なき尾行をすることで、哲学的に何を学べるのか、
イマイチよくわからなかったので、もう少し説明がほしかったかな。
でも拙すぎる尾行はスリリングで、ハラハラドキドキの飽きない2時間でした。

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