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10 クローバーフィールド・レーン

今月19日、俳優アントン・イェルチンが亡くなったそうです。
正直私にとってはあまり馴染みのない俳優で、
名前を聞いただけでは顔も思い浮かびませんでした。
リブート版『スタートレック』のパヴェル・チェコフ役や、
『ターミネーター4』のカイル・リース役と聞いても、あまり記憶になくて…。
でも堀北真希主演の『誰かが私にキスをした』の米国人役と聞いて「彼か」と。
10月公開の『スター・トレック BEYOND』は日本で観れる唯一の遺作になるかも。
それにしてもそんな役のイメージからも、若い俳優だった気がしますが、
何が原因で亡くなったのかと思えば、これがなかなか数奇な最期で…。
なんでも愛車と自宅の郵便受けの間に挟まれて亡くなったらしいのです。
聞いただけでは全く状況が想像できない事故ですよね。
エンジンを切らず、ギアもニュートラルの状態で自宅前の坂道で降車し、
自分の車に轢かれたようですが、避けられた事故な気も…。
車の運転は降りてからも注意しないとダメですね。
10月公開の『スター・トレック BEYOND』は日本で観れる唯一の遺作になるかも。

ということで、今日は『スター・トレック』の監督が製作した映画の感想です。

10 クローバーフィールド・レーン
10 Cloverfield Lane

2016年6月17日日本公開。

2008年、ファウンド・フッテージの怪獣映画という斬新さで
低予算ながらサプライズヒットとなった『クローバーフィールド』。
そのシリーズ第二弾となるのが本作です。
…が、『クローバーフィールド』の続編ではありません。
製作のJ.J.エイブラムスは「血の繋がった映画」と言っており、
精神的続編だという扱いになっていますが、あまり納得はできないかな。

本作が製作された経緯を想像も交えて簡単に説明すれば、
はじめに『ザ・セラー(地下室)』という低予算映画用に書かれた脚本があり、
それの映画化権をパラマウント・ピクチャーズが購入します。
パラマウントは傘下であるJ.J,エイブラムスの制作会社バッド・ロボットに
その脚本の映画化をさせるのですが、
バット・ロボットはオリジナル脚本の低予算スリラーでは客が入らないと考え、
自社が携わった大ヒット作『クローバーフィールド』の知名度を利用しようと
シリーズ第二弾として無理やり制作してしまったのです。
要するにヒット作の名前を冠して集客したかっただけなので、
何のヒット作のシリーズにしても構わなかったが、
『クローバーフィールド』以外に使えるものがなかったのでしょう。
別物に無理やり「クローバーフィールド」を名乗らしているだけなので、
実際は血も繋がってなければ精神的続編でもありません。
なにしろ撮影中は『バレンシア』や『バンガー』なんて仮題が付けられ、
キャストも自分が『クローバーフィールド』シリーズに出演しているなんて
知らない状態だったので、精神的に繋がりなんてあるはずないです。

別に大ヒット作の威を借るのは卑怯だとか思っているわけではないです。
むしろ面白い作品なら、それで注目されるなら上手い手段だと思います。
ただ個人的に『クローバーフィールド』は使ってほしくなかったです。
『ゴジラ』のオマージュである怪獣映画『クローバーフィールド』には
日本人として『ゴジラ』ファンとして格段の思い入れがあります。
『クローバーフィールド』のヒットを受け、『ゴジラ』が再びハリウッドリメイクされ、
それが好評だったため日本でも再び『ゴジラ』が映画化される運びとなり、
『クローバーフィールド』には感謝してもしきれないです。
(ただ庵野秀明監督では『シン・ゴジラ』に期待できそうもありませんが。)
『クローバーフィールド』自体にも公開当時から続編の噂は絶えず、
それが実現することを心待ちにしていたのですが、
まさかこんな形の似非続編になってしまうとは残念でなりません。
別に物語上の繋がりは求めませんが、せめて怪獣映画であってほしかった。
まさかシチュエーション・スリラーになってしまうとは…。
私だけじゃなく『クローバーフィールド』の看板に惹かれて観に来た客は、
やはり主観撮影の怪獣映画を期待しているはずなので、
客観撮影のシチュエーション・スリラーなんて裏切りもいいところです。
ネタバレになるけど怪獣映画ではなくエイリアンものSF映画なので、
どうせなら『SUPER8/スーパーエイト』の看板使えばいいのに。

今のところボロカスに書いていますが、これはあくまで本作が
『クローバーフィールド』の似非続編であることの不満によるものであり、
オリジナル脚本のシチュエーション・スリラーとしてであれば、
相当出来はよく、逆に絶賛しててもおかしくない作品です。
むしろ評価は『クローバーフィールド』より高いくらいなので、
シリーズや続編を謳えば一見客の敷居は上がるし、
下手に看板を借りない方がヒットしたかもしれないとさえ思います。
とはいえ本作も『クローバーフィールド』の興収には届かなかったものの、
看板の効果か全米初登場2位で、7000万ドル以上の全米興収だし、
製作費は激安なので興行的には大成功でしたが。
以下、ネタバレ注意です。

恋人とケンカし家出したミシェルは、ルイジアナの田舎道を車で疾走中、
恋人からの着信に気を取られ、トラックに衝突して横転、気絶します。
ちなみに恋人ダンを演じるのは人気俳優ブラッドリー・クーパーですが、
今回は電話での声だけの出演で、残念だけど無駄に豪華です。
目を覚ましたミシェルは点滴とギブス兼足枷をされた状態で
地下室らしきところに監禁されていました。
そこに彼女を監禁した男ハワードが入って来て、「君は運がいい」と言います。
彼曰く、地上は何者かの攻撃により空気が汚染され人間は皆死んだ。
自分は親切にも事故った君を助けて、このシェルターに運んでやった、
というのですが、俄かに信じがたい話でミシェルは警戒します。
私は本作を『クローバーフィールド』の続編だと思っていたので、
地上ではあの怪獣が暴れ回っているに違いないと考えたため、
この男ハワードの話は本当に違いないと思いました。
なので脱走しようと松葉杖でハワードを殴ったりするミシェルに対し、
なんて恩知らずな女だと、イライラしました。
ただ、あの怪獣の影響で空気が汚染されるというのは疑問で…。

自分を疑うミシェルを納得させるため、エアロック式の二重扉になっている
シェルター入口の窓から外の様子を見せてやるのです。
外ではハワードが飼っていた豚2匹が皮膚が爛れたように変死していて…。
空気が汚染されていることの証明としては十分だと思いましたが、
彼女は外に停めてあったハワードのトラックを見て、
あの時、事故ったトラックだと気付き、逆に疑いを深めるのです。
後にハワードは、無理な追い越しを掛けて衝突してしまい、
その償いも兼ねてシェルターに運んであげたと弁明します。
失礼なミシェルが不愉快な私はハワードが正しいと思っているので、
その弁明も真実だと思いましたが、ミシェルはまだ疑ってるみたいで…。
事故だってミシェルが恋人からの着信に気を取られてなければ回避できたし、
ハワードがわざとぶつけたなんて被害妄想もいいところです。

地下室にはハワードの他に左腕を骨折した男エメットがいます。
彼曰く、ハワードは元海軍で人工衛星の仕事に携わっており、
近日中にもアルカイダやロシアや韓国、或いは火星人が
アメリカに核や生物兵器などで攻撃してくることを想定し、
(アメリカ人は北朝鮮と南朝鮮を同一視してるんですね。まぁ実際大差ないか。)
このシェルターを作ったそうで、自分はシェルター作りで雇われていたが、
2日前に赤い閃光を見て、ハワードの予想した攻撃が始まったと思い、
勝手にシェルターに逃げ込んだのだそうです。
第三者の証言で、ハワードの話も信用してもよさそうなものですが、
ミシェルはそれでも疑いを持ち続けており…。
彼女曰く、地上を走る車の音を聴いたらしく、外の人間は無事ではないかと。

夕食の時、ミシェルはエメットに気のある素振りをして、
それをハワードに見せつけ、彼を激怒させます。
そこまで怒ることないだろと思いましたが、男女3人の世界で、
自分以外のふたりがイチャイチャし始めたらムカついて当然か。
ミシェルの性悪さにますます嫌いになりましたが、彼女には狙いがあり、
ハワードをわざと怒らせて詰め寄ってきた時に、彼の腰から鍵束を掏り、
彼を空瓶でぶん殴り、その隙に二重扉を開けて脱走を謀るのです。
こんなクソ女はさっさと脱走して外気に汚染されて死ね、と思いました。
ところが風除室に入ったところで、外で汚染された女性が死ぬところを見て、
ハワードの話が本当だと漸く気付き、脱走を考え直してしまいます。
外にはまだ生存者もいるけど、汚染されているのは間違いないようです。
ここで漸く私も、これは怪獣の仕業ではないと落胆しました。

それ以降ミシェルも心を入れ替え、地下室で3人仲良く生活します。
ハワードに死んだ娘メーガンの写真を見せてもらったり、
みんなで一緒にゲームしたり、ビデオを見たりしながら過ごしていましたが、
ある日、地震のような揺れに襲われ、エア・フィルターが停止します。
ハワード曰く、掃討作戦中の敵の軍用ヘリが上空を通ったのだろうと。
エア・フィルターのある空調室に入るためのハッチも開かなくなり、
細いミシェルがダクトを通って空調室に行くことに。
見事にエア・フィルターの再起動に成功した彼女は、
その空調室で血の付いたピアスを発見します。
さらにハワードの娘メーガンの写真をエメットに見せたところ、
彼の妹の同級生で2年前に行方不明になったブリタニーの写真だとわかり、
ハワードがブリタニーを空調室に監禁していた疑いが…。
なにせクソ恩知らず女ミシェルの考えだから早合点な気もしますが、
さすがに私もハワードが誘拐犯かもしれないという疑念が湧きました。
それにしてもミシェルはハワードのことは執拗に疑うのに、
なぜエメットのことは無警戒なんでしょうね?
写真がメーガンじゃなくてブリタニーというのも嘘かもしれないのに。

ミシェルは外に助けを呼びに行くために防護服を作ろうと考え、
エメットに協力を仰ぎ地下室で材料を集めてもらいます。
防護服はミシェルが主にバスルームの防水カーテンを使って作るけど、
なんとエメットはペットボトルでガスマスクを作ってしまうんですよね。
そんな簡易なもので汚染が防げるとは思えませんが、
たぶんシェルターなら普通にガスマスクくらい準備してあるはずなので、
それを探して盗んだ方が早い気がしますが…。
2人は着々と防護服を完成させますが、それに使った道具がないことに
ハワードが気付き、2人は呼び出され、問い詰められます。
エメットはミシェルを庇い、俺が武器を作ろうと思って盗んだと謝りますが、
ハワードは彼を銃殺し、遺体を過塩素酸アンモニウムで溶かすのです。
ハワードのことを好意的に見ていた私も、さすがにこれは庇い切れず、
ミシェルの言う通り誘拐殺人犯で間違いないと確信しました。
しかも証拠隠滅する必要もないのに遺体を溶かすなんて相当サイコ野郎です。

その後、ついに防護服も発見され、ミシェルも問い詰められますが、
彼女はハワードに過塩素酸アンモニウムを浴びせ、
その隙にダクトから空調室に行き、防護服を着て、天窓から脱出します。
空調室の天窓は南京錠で施錠されていましたが、液体窒素で壊します。
しかしシェルター入口はエアロック式の二重扉と厳重なのに、
空調室の天窓はせいぜい強化ガラスに南京錠を掛けただけなんて…。
それでシェルターの密閉性は保たれるのでしょうか?

恐る恐る外に出たミシェルだが、防護服がすぐに破れて大慌て。
防水カーテンをガムテープで貼り合わせただけの防護服なので破れて当然。
しかし普通に渡り鳥が飛んでいるのを見て安心し、ガスマスクも脱ぎます。
ただ上空が汚染されてないだけかもしれないとか思わないのかな?
まぁ結局ガスマスクを脱いでも何も異変はなく、
何者かの攻撃によるガスに直接触れなければ汚染されないみたいです。
その何者かはすぐに現れ、どうやらエイリアンの宇宙船のようです。
もしかしたら怪獣かもしれないと僅かな希望を抱いていたのですが残念。
この敵はいわばマクガフィンで、別にロシアの最新兵器でも怪獣でも、
物語上なんの支障もないので、どうせなら怪獣にしてほしかったです。
宇宙船から投下されたクリーチャーは怪獣とは言えなくもないけど、
私が期待したのは大怪獣なので、このクリーチャーでは小さすぎます。
まぁ巨大な宇宙船自体も有機的な感じだったので、
百歩譲れば大怪獣と呼べなくもないのかな?
いずれにせよ、こんなエイリアンよりもハワードの方が怖かったです。

ミシェルは宇宙船にアブダクションされそうになるが、火炎瓶で応戦して撃墜。
そして車に乗り込み、生存者を探しに出発するのです。
カーラジオから「海軍がバトンルージュを奪回した」と放送されていましたが、
火炎瓶で倒せるような敵なら海軍にとっては楽勝の相手でしょうね。
ミシェルもバトンルージュに行って保護してもらうのかと思いきや、
カーラジオで「ヒューストンに生存者あり、救援求む」と聴き、
バトンルージュではなくヒューストンに向かいます。
服飾関係の民間人が救援に行って何の役に立つのかと思いますが、
宇宙船を一台撃墜したことで自分は強いと勘違いしちゃったのかな?

本作はここで終了しますが、続編を思わせる結末でした。
どうもバッド・ロボットは更なるシリーズ化を目論んでいるみたいです。
ただ本当に続編にするのではなく、本作同様、気に入った脚本を見つけたら、
「クローバーフィールド」を冠して映画化しようと思っているのでしょう。
最終的には各作品を繋げてシェアード・ユニバースにする
「クローバース」構想もあるみたいです。
本作の小さいクリーチャーがあの大怪獣の幼体だったりするのかもね。

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